もっと「テーマ」から自由になってほしかったかな、『シン・ウルトラマン』は(ネタバレあり) [映画感想・実況]
アニメでは「監督がいて総監督がいる」って普通ですが、ファンでも案外、その役割分担の詳細は分からないところだと思います。ぼくも含めて。
前に実写系の某監督が、アニメ作品で監督と総監督がいる不思議をツイートしていましたが、「船頭多くして船山に登る」のことわざもある通り、ある意味もっともな意見でしょう。
『シン・ウルトラマン』ではついに「准監督」「副監督」「監督補」と細分化されていました。「准監督」なんて初めて聞いたわ。
庵野さんが企画・脚本をはじめ・あちらこちらでクレジットされているとはいえ、監督は樋口さんだし、「シン・ウルトラマン=庵野作品」の視点は持たないで語ります。
『シン・ゴジラ』との比較はする。冒頭にタイトル出てたしいいよね。
公開から1週間たって、ネットでは賛否両論の感想が溢れています。
その根本って、「感想を言っている人の・ウルトラシリーズへの評価」に直結しているように見えるんですよね。
「『シン・ウルトラマン』は映像がしょぼい」系の意見もありますが、ぼくは「え、ウルトラマンって(映画とは言え)そんなもんじゃないの?」と感じています。
ぼくは子どもの頃に初代~レオまでの再放送をチョロチョロ見ていて、その後のシリーズはいっさい見ていません。
『80』や『ザ・ウルトラマン』は見ていたはずだけれど、全く覚えていないな…
だから昔のイメージなので、もともと『シン・ウルトラマン』に「迫力ある映像」とかにはあまり期待していなかったし、むしろどこかチープさを望んでいたようにさえ思う。
だからわざとだろうけれど、ちょっとチャちい飛行シーンも良かったし、人形のようにウルトラマンがクルクル回る戦闘シーンは面白かった。
長澤まさみさんが偽ウルトラマンに空中に放り出されて・顔がアップになるシーンも、昔っぽくて良かったですよ。
ウルトラマンほど昔じゃないけれど、『ダイハード』思い出しちゃった。
顔のアップが多用されるカメラアングルは、「特に女優さんは嫌じゃないかなー」と思うくらいで、効果の有無は不明でしたね。
で、長澤まさみさんが巨大化するシーンは、笑いそうになってしまいました。特にビルを破壊した時。
TV版でフジ隊員が巨大化したのはもちろん知っていましたが、スクリーンで見たせいか印象が全く違って、「美人がビル並にデカくなるって・バカ絵で面白いな」と。
ちなみに妻は全く『シン・ウルトラマン』に興味を持っていなかったのですが、「長澤まさみが巨大化してビルを破壊していたよ」と伝えたら、「ちょっと見たくなってきたな」と興味を持っていました。
ウルトラマンって、高尚な作品ではなくて、こういうもんじゃなかったっけ?
真剣にやっているけれど、どこか画面にユーモラスがあって(ほら、それぞれの「ウルトラシリーズ像」が出る)。
序盤、戦闘中なのに神永(「永」遠の「神」!)がいなくてもあまり問題にしていないシーンがあるでしょ。
そのちょっと間抜けなところも、お約束と言うか、ウルトラマンじゃん、と。
まあビックリして、そして「良い!」と思ったのは、導入ですよね。
ウルトラマンいないのに、すでにカイジュウを撃退しているんだ! っていうね。人間やるじゃん! と。
まあその後、ウルトラマン頼みになる→人間自立の伏線なんだけれどね。
だから最初に、(ウルトラマンが出ない)『ウルトラQ』の音楽が使われているのも良かったです。
そういや音楽と言えばさあ。
ワンダバは欲しかったなー。あと『シン』シリーズなんだから、『シン・ゴジラ』でも使われていた、エヴァの音楽流してほしかった。
ダン、ダン、ダン、ダンダン、ってやつ(『DECISIVE BATTLE』ね)。
あの曲、盛り上がるじゃん。ああ、ゴジラに続いて、ウルトラマンもシンに浸食されている……と。
『シン・ゴジラ』はさあ。
「ゴジラを倒す」一点に集中しているじゃん。ほとんどドラマもなしに、最初から最後まで・ただただ「どのようにゴジラを倒すか」に焦点が当てられている。
だから観客もエンタメ的視点に徹していられる。
でも『シン・ウルトラマン』はまずウルトラマン登場があって、ザラブ星人が出て、メフィラスが出て、ラスボス・ゼットンが出て、とストーリーが分断されているんだよね。
だからどうしてもリセット感、話の寄せ集め感がある。
こちらのブログにある、
「総集編」っぽいんだよね、作りが。
って指摘は、ホントにその通りなんだよね。
しかもさあ。
「ニセモノ登場」は1年のTVシリーズの中にはあってもいいけれど、2時間の映画の中にはいらないなって(笑)。
でもさ、制作側としては、「絶対に入れたいエピソード」だったわけでしょ。
それってファーストコンタクトとか、
「ウルトラマンに対する人間の評価は容易くたゆたう」とか、
さらにはまさに神永への世間の反応がそうであるように・「人間から人間への評価も簡単に変わる」とか、そこら辺のテーマが見えてくるわけじゃん?
それが一切邪魔なんだよね(笑)。
『シン・ゴジラ』の興奮を追体験したい身としては。
メフィラスはまだ見られる。
会話シーンに、趣あるから。
そういや宇宙人が「河岸を変えよう」って言ったのは面白かった。俺、実際には使ったことないわ。河岸を変えよう。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) May 16, 2022
でもザラブ星人が政府上層をたらしこむところとかは、ダルいんだよねえ。
『シン・ゴジラ』は戦闘シーン以外も面白かったのに…
ゼットンを「最終兵器」にしたのは良かった。ガンドロワ!
たださ。
あれ、どのくらいの時間が流れているんだろうね。
ツイッターで「ゼットン登場後はカウントダウンがあれば良かったのに」って意見を見かけて(ヤマト?)、それは全くその通りなんだけれど、それをすると別なボロが露出したと思うよ。
ゼットンの火球(ギャグでも使われる・お馴染み1兆度)をなんか良く分からない理論で回避するわけだけれど。
いくら神永から超文明のヒントを貰い、地球上の英知を結集させたとは言え、そんなに簡単に解決するものかね。
この世には何十年も解かれていない問題もあるだろうに、「今までは・人間では手も足も出なかった技術」を、どのくらいの期間で解決したんだろうね? 1日? 1か月? 1年?
短すぎると「そんなバカな」となるし、逆に時間かかりすぎると「ゼットン完成までに時間どれだけかかっているんだ」となるし。
だから、故意にタイムスケジュールはぼかしているんじゃないのかなあ。
故に、盛り上がるはずの「人間とウルトラマンが協力」が、思ったほど胸に迫らないと…
なんかこれまで不満ばかり書いたようですけれど、定価1900円払って見ても、損する映画ではないですよ。
普通に面白いことは面白いです。
良いシーンもあります。
チェンソー持って駆けつける長澤まさみとか。ウルトラマンの手がニョキっと現れるシーンとか。
TV版を思い出す、赤バックの登場シーンとかね。
「科特隊の存在意義」とか、「ウルトラマンってなんで地球を助けるんだろ?」とか疑問に思っていた人には、1つの答えが用意されているので、そこも真摯ではあるよね。
まあ俺は、そういうのいらなかったんだけれど…
そういや、最後まで見当違いをしていたことが一点あった。
公開前にさ、「カラータイマーがない」ことが(どちらかと言えば批判的に)話題になっていたじゃない?
だから俺、「公開前にグダグダ言うなよ。じゃあシン・ウルトラマンは、『ウルトラマンがカラータイマーを付ける物語』なんだろ」って思い込んでいたんだよね。
全然違った(笑)。
いっさい情報を入れずに見た新海誠監督『天気の子』が良かった。ネタバレあり感想・レビュー [映画感想・実況]
新海誠監督の新作『天気の子』を見てきました。

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前作の『君の名は。』は僕にとっては全くいただけない作品でしたが、処女作である『ほしのこえ』からずっと見ている身として映画館に足を運びました。
例によって、事前情報は全く耳に入れず鑑賞した結果の感想です。ネタバレ有りです。
大昔にも、このブログで触れたことがあるドラマですが。
僕がこの映画を見終って、真っ先に思い出したのがTVドラマ『男女七人秋物語』の最終回でした。古いな。
様々な出来事があって・やっと結ばれるさんまさんとしのぶさん(役名ではなく演じた人の名前になってしまうな、このドラマ)。
しかし結ばれた2人ですが、そこに祝福ムードの演出はありません。
お互いを支えあうようにして、2人は道行く多くの人たちと反対方向に歩き始めます。
そして、これまでいろいろなキャラクターが・2人に投げかけた言葉がバックに流れます。それは2人を責めたり、周りに傷ついている人たちがいることを指摘する数々のセリフです。
紆余曲折を経て、2人がやって結ばれた。
表向きにはハッピーエンドのはずなのに、2人を非難する言葉が流れる。
2人にとってはハッピーエンドの恋愛でも、周囲にとってはそうではない・違う側面があることを、ともすれば軽佻浮薄のイメージがあるトレンディドラマで見せたことに、ぼくはびっくりしたのでした(リアルタイムではなく後年に見ています)。
新海誠監督の最新作『天気の子』においても。
2人が結ばれれば・東京がアトランティスかはたまたネアポリスのように…とまではいかなくても、水に沈んでしまうという二択を主人公に突きつけたことに、僕はびっくりしました。
そしてびっくりしながらも、この映画を見て良かったな、と思いました。
『君の名は。』では、愛が奇跡を起こし天災から多くの人を救ってしまう、能天気な展開がどうしても受容できなかったぼくですが。
その作品を作った新海監督が、恋愛と多くの人の不幸・不便を「天秤にかける」作品を新たに作ったことに、「こんな逆のことを提示してこれるのか」と軽い衝撃がありました。
そこで、やはり「恋愛」を選んでしまう新海監督の素質に非難の目を向ける人もいるでしょうが、しかしぼくはそもそも、この二択を提示した時点で・もういいだろうと許容できる気持ちになっています。
しかし思い出すに、新海監督は『雲のむこう、約束の場所』で北海道を犠牲に(笑)しています。
当時はまだ新海作品は、札幌ではシネコンでの上映ではなく・アート系映画館での上映でした。
僕は監督の舞台挨拶付き上映を見に行っていますが、その時の質疑応答で観客から「北海道はどうなってしまうのでしょうか」と質問があり。
監督が苦笑いしていた覚えがあります。
道産子のぼくは、当時は北海道が…と思いながら見ていましたが(笑)、今回似たような気持ちを東京に縁のある方は味わっているのでしょうか。
話を『天気の子』に戻します。
今回、ぼくが『天気の子』を肯定できるのは、何て言えばいいのか…ドラマの層が厚くなっていることもあります。
鑑賞した直後のツイートでは、下のように感想を書きました。
天気の子、良かった。監督が持つ・ややセンチメンタルすぎる恋愛観と、劇中のドラマが今作にてやっと均衡した。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2019年7月22日
気に入らない点が3点あるけれど、うち2点は個人の趣味でおさまる範囲。君の名は。よりも断然良い。
新海監督の作風の特徴といえば、処女作『ほしのこえ』からそうであるように。
少年少女(主に少年)の恋愛感情をセンシティブに、そしてやや憧憬を強く持ちすぎて描くことにあります。
その特徴が強すぎるため、突出してしまうのが新海監督の長所でもあり短所でもありました。
『秒速5センチメートル』は、そのメランコリックな恋愛感情描写があまりにも突出していたために、ある種の感情が見た人の胸に迫ってくる作品になっていたと思います。
が、この特徴は、新海作品が批判される時によく使われていた点でもありました(いわゆる童貞云々といった批評です)。
その弱点は例えば、サブキャラクターに多少の「物語」を持たせても。
拭えないほどの「特徴」であり「弱点」だと考えていました。
ところが『天気の子』では、サブキャラクターの大人2人にもドラマが与えられているほか(その代わり弟のドラマは弱い)、主人公2人の本筋の話とは別に、拳銃にまつわるドラマが同時進行していました。
そのことで、映画全体が新海監督の「恋愛観」「恋愛描写」といったものを支えるくらいの力を獲得するに至ったと思います。
主人公の2人は少年少女です。
もちろん見た目でわかるし、年齢も何回も口にするし、「少年」と呼ばれます。
さらにそれ以外に、分かりやすい描写で・視聴者に主人公が「少年少女」であることを提示しています。
帆高は家出中の少年です。『大人になることのむずかしさ 青年期の問題』(岩波書店)において河合隼雄さんは、
「家出」というと聞こえが悪いが、「家を出る」と言うとそれほど悪くは聞こえない。それどころか、人間は本当に自立してゆくためには、一度は家を出ることが必要ではないか、とさえ考えられるのである。(10P)
と指摘しています。
一方、ヒロインはマクドナルドで働いている少女です。
帆高との再会は、スカウトマンに売春なのかAV出演の誘いなのか、ラブホテルに連れ込まれそうになっているところでした。
マックのバイトの次がいきなり風俗かとちょっと飛躍する感じもしますが、お金に切羽詰まっているからこその判断でしょう。
その行為も含めて、まだ子どもであることが分かります。恋愛映画であると同時に、この2人が成長する…グローイング・アップの映画であることが序盤で提示されるわけです。
さらにその分かりやすい年齢描写を踏まえた上で、陽菜の年齢詐称があったり、弟を目上のように呼んだりする、年齢のかく乱とも呼ぶべき細工が劇中に施されています。
他にも、年齢が原因で仕事が見つからなかったり、ホテル宿泊を断られたりと、「年齢」がキーとなる要素になっています。
「少年少女である=大人ではない」ことが重要な外因であると同時に、「子ども」である彼ら・彼女らにとっては、年齢は重要ではないという、二重描写がなされているのです。
ここは非常に、巧みな作劇だと感心しました。やっぱりプロですなー。
当たり前のように書いてしまいますが。
絵は「当然のごとく」美しいので(これ、どれだけ凄いことなんだろう)見ていて心地よさがあります。
一方ちょっと不満があったのは音楽の使い方で、これは個人の好き嫌いの問題なのですが。
歌詞ありの音楽、つまり歌ですね、歌をベタ貼りにするのはせめて1回だけにしてくれないかなとは思います。もしかしたら何か事情があるのかもしれませんが…
個人的にはMVかCMを見ているような感覚になってしまい、それが3回もあるとちょっと覚めてしまいました。
この映画を見て心地よく感じるのは、作画だけではありません。
何より「さっきの描写がこう繋がってくるんだ」という、伏線の上手さや、さりげないキャラクター設定の描写が素晴らしいのです。
冒頭のバニラトラックも、陽菜ちゃんが風俗に行きそうになる行動に繋がるものです。高収入!
特にぼくがニヤニヤしてしまったのは、陽菜の料理シーン。
おそらくあれは豆苗でしょう(違ったらすみません)、一度食べた豆苗を栽培して育てているところに、懐具合を感じる…(うちもやってる)。
それと、特にニヤニヤした描写がもう1つ。
ホテルに泊まったシーンで。
お風呂上がりの陽菜ちゃんが、チョーカーをつけています。
お風呂上がりにすぐチョーカー? とちょっと違和感もあり・印象深いシーンなので、あのチョーカーは多くの観客の印象に残っていると思います。
もちろんそれが技です。
最終シーンにおいて、あのチョーカーが壊れています。もちろん分かりやすく、「天気の子」としての戒めが解けた象徴なのです。
その一方、帆高の片手には手錠がされたままです。無論あれも、わざわざその前に捕物シーンを用意してまで「かけさせた」手錠なので、意味があるのです。
一足早く(東京を犠牲にして)自分の使命をから解き放たれた陽菜と、大人になるためにはまだしなければならないことが残っている―それは例えば罪の償いであったり、親との関係の修復であったり―帆高との違いです。
伏線とも言えないような単純なキャラクターの顔見せや、女占い師による分かりやすい天気の子の説明まで含めて、無駄のない描写・「あそこの描写が、ここでこう効いてくるのか!」感も、かなり私の好みでした。
褒めてばかりもなんなので、個人的に好きになれなかった点もあげておきましょう。
「全部OK!」なんて作品、両手の指であまるくらいしかない。
先にも書いた歌のペタ貼りもありますが、前作の映画のキャラクターを出す遊びね…
ガッツリとストーリーに絡んでくるのならいいのですが、「ちょっと顔見せ」「探してみよう」みたいなのはね。
長丁場のTVシリーズなら気にならないのですが、1本の映画では、「オタク向けの遊び」みたいで、ぼくは好みじゃないです。
さらに、それよりも。
個人の好き嫌いを超えて気になったのは。
終盤のシーン。帆高がビル屋上の祠に向かって走るシーンです。
ぼくは東京の地理に全く疎いので分かりませんが、あのコースが最短距離なのかもしれません。
しかし目立ってはいけない追われ者の立場でありながら、道行く人から注目を集めるようなあんなコースをわざわざ走るでしょうか。
立ち入り禁止区域に入って・たくさんの関係者がいるのに、誰も帆高くんをとめられない。
「どんな困難も乗り越えて」という描写かもしれませんが、せっかく「天気を自由に操る」という・とんでもないファンタジーを無理なく見せているのに(この力技もすごいと思います)、あの走るシーンではリアルさを感じられませんでした。
「リアリティ」とは本当にあるか・ないかではなく、その虚構世界の中で不自然さを感じるか・感じないかだということが実感できるシーンでした。
あれはない。せっかく盛り上がるラストシーンに向けて、若干覚めてしまいました。
ちなみにこの覚め方は、『君の名は。』の終盤シーン、多くの人を逃すところでも感じたものでした。
映画はどんどんラストに向けて盛り上がろうとしているのに、逆に見ているこちらは覚めてしまう。あそこだけはいただけませんでした。
グレートマジンガー陽菜ちゃん。
そしてクレジットで知ったキャラクター名。カナ。アヤネ。まんまか!
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富野監督と新海監督の15年前の対談。まるで『君の名は。』への評価かと錯覚するような言葉もあった。
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『監督失格』と『ジェニーの肖像』 [映画感想・実況]
先日、Netflixで『監督失格』という映画を見まして。
知識としては少し知っていたんですけれども。
林由美香さんというAV女優さんと、AV監督の平野勝之さんの不倫旅行(平野さんが既婚)であるとか、庵野秀明さんがプロデュースをしているとか、林由美香さんが早世されたこととか。
で、その『監督失格』がネトフリにあったので、興味があるので見てみようと。
前半の舞台は北海道なんですよね。
北海道で、林さんと平野監督がサイクリング旅行をするドキュメンタリー。
札幌に住んでいるぼくとしては、また北海道かと。劇場版『テレクラキャノンボール』も北海道だったぞ、と。

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AV発で劇場公開され、話題になった2作品がどちらも北海道。
「ダラケ!」(米田さん出産めでたい)の AV監督回だったと思うんですけれども、「九州は淫乱天国。北海道も」みたいなセリフを思い出す。
で、映画の方は・序盤は本当に普通のドキュメンタリーの範囲内で進みます。
しかし物語の中盤から、もうすごい展開があって。
ぼく、この映画を午前2時から見始めて、眠くなったら途中で見るのやめようと思っていたんですけれども、途中で急展開があって、もう見るのやめることはできませんでしたね。
結局午前4時過ぎまで見てた、最後まで。
あの、公式ホームページとかを見ると、監督さんとしては林さんとそのお母さんとの物語を。
まあメインに据えたいみたいな意思もあるようなんですけれども、やっぱり一視聴者から見るとメインは平野監督と林さんの関係であるし。
ちょっと話が逸れるようですが、ぼく『ジェニーの肖像』っていう映画が好きなんですよ。ジェニファー・ジョーンズと ジョセフ・コットンの。
『ジェニーの肖像』って映画は、普通に見ると・まあ他愛もない幻想恋愛映画なんですけれど、ぼくが思うに作家が――劇中では画家ですが、創作者が1つのテーマを見つけていく物語なんですよね。ぼくにすると。
ぼくが『ジェニーの肖像』を説明する時に、はるか前にもこのブログで書いたはずですが、分かりやすく言うと「水島新司先生が野球を見つける映画」って説明しているんです(笑)。
とにかくクリエイターが、一生のテーマを見つける物語なんですよ。
で、『ジェニーの肖像』が「テーマを見つける物語」だとしたら、『監督失格』は「テーマを失う物語」なんだなと。
本当にこの2つの作品は・鏡合わせのようにある作品だなと思って見てました。後半からはね。
北海道での旅行なんていうのはとうに終わって、中盤から違う展開に進んでいくわけですけれども、一人の映画作家がテーマを喪失していく過程を、こうも密着して描いたかっていうのにすごく衝撃を受けましたね。
何かものを作っている人とか、それか物を作ることに憧れている人とかは、Netflixに契約していて気軽に見られる環境だったら、必見の映画だと思います。
最初の1時間も面白いですけれど、後半はちょっと胸に迫るものがありましたね。
で、このブログ的に言うと。
ほら、皆さんにとっては・お別れの時に叫びながら自転車に乗るって儀式は、馴染みのあるものじゃないですか。『∀』の最終回で。
同じシーンが見られますよ。自転車に乗ってるのは美少女じゃなくて、おじさんですけれども。
その最後のシーンがですね、視聴者が持つのは単純な感情じゃなくて。
平野監督、腰をかなり痛めているんですよ。その姿がですね、ご本人には申し訳ないんですけれど滑稽なんですよね。
その滑稽さの上に、色んな感情が乗っかって。
滑稽さが、(平野監督だけではなく)人間らしいな。
こんな場面でも、ただ悲しいだけじゃなく、滑稽さとか格好悪さがつきまとう。
でもそこが、人間じゃないですか。
あんまり好きな言葉じゃないけれど、談志師が落語を言うところの「業の肯定」じゃないですか。
いや、良い映画でしたよ。
ネタバレありで『リズと青い鳥』感想・レビュー~「disjoint」な2人 [映画感想・実況]
先日、映画『リズと青い鳥』を見てきまして。
予備知識全くなしで見に行ったんですけれども。
TV版の『響け! ユーフォニアム』は1期・2期とも見ていて素晴らしい出来だったので、スピンオフ作品である今回の『リズと青い鳥』も素晴らしい出来だろうと、120点の出来だろうと思って見に行きました。
120点はさすがに欲張りすぎでしたが、でも満足できました。
では感想というかレビューというか、ネタバレありでいきますね。
ネタバレというか、見ている前提で話を進めます。
まず、最初に導入部分にびっくりして。
もちろん計っている訳ではないので、正確な時間は分からないですけれど。
たぶん1分……じゃすまないかな、2分くらいはただただ・二人の主人公である鎧塚みぞれと傘木希美が、校門から部室に行くまでの道のりをただ淡々と描いているんですよね。
でもその一連のシーンで、2人の距離感をとても良く表していて。
こんなにじっくり見せるんだなーって言うのが、あそこのなんでもないような導入部で・この物語のテーマを表しているっていうのを面白く感じましたね。
最初に全部風呂敷を広げて、「さあどうぞ、こちらをご覧にいれます」って感じがね。良かったです。
2人は席を1つ空けて座っていて、その距離を詰めたかと思ったら・また離れていく。
「あ、こんなに丁寧に描写するんだ」とも思うけれど、観客はこれでテーマが分かるわけですよね。
そしてスタッフクレジットだけ先に流しておいて、2人の演奏に合わせて作品タイトルが出てくるっていう演出は、心掴まれるオープニングでしたね。
物語全体としては 。
歯車の大きさが違う2人が、当然噛み合わないまま・でも同じ場所にいながら物語が進んでいく。
2人が大きさの違う歯車だっていうのは、山田尚子監督がインタビューで語っていますけれども。
映画では些細なその「噛み合わなさ」を繊細に積み上げていく。
でも歯車の大きさが違っても・カチリと噛み合う時が来る、その一瞬を切り取った映画ですよね。大変面白く見ることが出来ました。
あのー。
アニメ『響け! ユーフォニアム』は、青春のちょっと恥ずかしいところとか、尖っているところとか、脆いところとかを、「恥ずかしげもなく表現できる舞台」にするのがとても上手だと思っているんですよね。
で、今回の映画『リズと青い鳥』でも、その匠の技を感じ取ることができました。
2人のレイアウトだったり、キャラクターたちの些細な演技だったり、空を飛ぶ鳥だったり。
みぞれが嘘をつく時に髪を撫でる仕草とか、希美が自分の肘を手で押さえるとか、そういう仕草によって心情を表すのも良かったんですけど。
ぼくがもっと良いなと思ったのは、この映画では2つの世界を交互に描いてるじゃないですか。
2人が生きている世界と・物語である『リズと青い鳥』の世界を。
で、映画の中で違う世界をどのように切り替えて見せるか、どのように導入させてまた別な世界にチェンジさせるかっていうのに、もう絵のタッチをガラッと変えることで達成しているところ。
あのもちろん、例えばみぞれが本『リズと青い鳥』を読んでいて、そこから物語世界に移行するっていう・まあ言ってみればノーマルな見せ方も劇中にあるんですれけど、
絵柄をものすごく変えることによって、そういう導入部分無しに2つの世界を切り替える、これはとても素晴らしい見せ方だなと思いました。
もちろん他作品でもこの見せ方はあるけれど、『リズと青い鳥』ではその差異が明確なんだよね。
あとそういう見せ方と言うか…飛ばし方で言うと、プールに行く話がありますよね。
みんなでプールに行くと決まって、次にスマホ内の写真を見せることによって、行った事実をスパッと飛ばしてしまう。
この物語の時間の飛ばし方っていうのは、小気味良かったです。
いちいち、かったるい「これから物語世界になりますよ」ってシーンを見なくて済む。
このテンポの良さは特筆すべきだと思います。
スクリーン見つめながら、良い映画見てるなーっていう実感が湧きました。
ぼくは『響け!ユーフォニアム』のアニメは見て・原作は読んでいないので、今回の『リズと青い鳥』がどういう話かは知らなかったんですけれども。

響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前編 (宝島社文庫)
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響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 後編 (宝島社文庫)
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ただぼくのようにスレたおじさんだと、まあ途中でね。
観客をミスリードさせようとしているのには気付くので。
これは逆なんだな、と。
それは例えれば。あの。
お笑いのオードリーさんが昔、ボケとツッコミが逆だった頃は上手くいかなくて、それを今の形にしたら漫才がウケるようになったエピソードありますけれど。
「それと同じようなことなんだろうな」とは分かりました。
みぞれと希美、『リズと青い鳥』における立場が逆なんだろうな、それに気付けば演奏もうまくいくんだろうなっていうのは・途中で分かりながら見進めるわけですけれども。
それでもやっぱり面白かったですね。
そのどんでん返しは、展開としては確かに重要だけれど、テーマの本質ではないのでね。
ひょっとしたらこの先、また立場が逆になる「if」も想像できるし。
この映画『リズと青い鳥』は、2人の少女がすれ違うエピソードの積み重ねが、肝なわけですが。
この記事の最初に触れた、部室まで行くシーンで。
いつも希美が先を歩いて、みぞれがついていくわけですよね。当然、下がみぞれ・上が希美になるわけです。
登場人物の立ち位置・距離が、2人の距離感や立場を表しているのはまあ、映画における常套手段だと思うんですけれど……
最後ではね、それがいつもと同じように希美が前・みぞれが後ろを歩いているんですけれど、顔の向きは逆。
それまではみぞれが希美を追っていたのに、最後のシーンでは希美がみぞれを見上げているわけですよね。
ここら辺は、オーソドックスな見せ方でも非常に好感が持てました。
もちろん演奏シーンもあることだし、是非劇場で見たほうがよろしいんじゃないかなと思える映画でしたね。
映画の冒頭に出てくる「disjoint」は、「互いに素」という数学用語だと山田監督がインタビューで答えています。
実はあんまり共通点のない2人が、しかし・だからこそ惹かれあっている、と。
でも唯一の共通点と言うか、素数で言えば「1」 …1は素数じゃないか。
唯一の共通点が「音楽」なわけじゃないですか。
だからこそ、その音楽によって2人の進路とか関係が変わり始めるわけです。
ここら辺の設定も唸らされるものがありますよね。
ただまあ、最後の「
あとはですね。
ちょっとぼくには縁遠い関係ですし、その2人の…特にみぞれが持っている感情が、友達に対する愛情なのか・それとは違う愛情なのか。
またそれは高校時代特有のものなのか、それとも彼女は女性が好きな……大人になってもね、人なのかっていうのは、そこはこの物語だけではわからないことですよね。
ぼくとしてはまあ、思春期だけの感情と捉えた方が、より青春映画としての『リズと青い鳥』の儚さとか美しさが際立つんですけれども。
そこはどう解釈するかは、もう好みの問題なのかなと思いますね。
たぶん同じ女子高生を描いた映画で、その静的な「青春ならでは」の話、心情を丁寧に追った作品としては、アニメではあんまり同じような作品を思いつかないな。
邦画・実写で言うと最初の『櫻の園』とか『花とアリス』とか、そこら辺の作品と比肩している程にとても素晴らしい作品だと思いました。
見て満足でしたね。
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2017年の映画視聴歴(各映画の名セリフ付き) [映画感想・実況]
さて、このブログを長年読んで頂いている奇特な方には毎年恒例・とは言えここ2年ほどはしていなかったですが、今年見た映画のリストです。
映画館で見た映画はわずかなので、今年は分けて記さずに自宅で見た映画と混在にしました。
また、個人の映画視聴歴などさして面白くもないだろから、わざわざ当ブログに足を運んでいただいた皆様に少しでも楽しんでもらおうと、今年はその映画の名セリフを併記しておきました。
無論、映画館で見た作品は・メモをとるわけにもいかないので記していません。
またこの試みは途中で思いついたので、今年序盤に見た作品にも名セリフは併記できていません。
カギカッコでくくっているものが劇中のセリフ、平文がぼくの感想。
では羅列。順不同。視聴順ですらない。
『マッドマックス 怒りのデス・ロード ブラック&クローム エディション』
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』
『ラ・ラ・ランド』
シネスコ強調やクラシック映画を彷彿とさせる字体から始まって、全てが「失われていくものへの愛」だからね…
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年2月26日
まあメインテーマである「選択」は、俺にとっては苦さすら感じさせない当然のものだった。だからちょっと感情への揺さぶりは弱かった。
あ、勿論泣きはしましたよええ。
実は、特にヒロインにとっては物凄いハッピーエンドなんだよなあ。『カサブランカ』で描かれなかった「幸せなその先」なんだよ。あれ以上のハッピーエンドはない。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年2月26日
『ゴースト・イン・ザ・シェル』
スカヨハ攻殻見た。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年4月12日
「“Beat ”Takeshi Kitano」ってクレジットが格好良かったですね。
たけしは刀も良いけれど、銃が似合うわ。殺戮衝動を肯定する説得力が生み出される、たけしが銃を撃つと。死体蹴飛ばしのコンボまで期待してしまう。
『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』
以下、直後のツイに書いた感想。
こんなバカなことがあるのか…公開終了ギリギリで某アニメ映画見たんだが。この前の講演で富野も名前出していたらしい、デイドリームビリーバー。
話は悪くなかった、後半で「そうだったのか」となる展開上のミスリードもあった、作画は勿論不満はない、CVも気にならない、最後は正直涙腺を少し刺激された。出だしを除けば、強い不満点はない。
それなのに、
見終わった後の感想としては、『うん、まあ面白かった…?』くらいでおさまってしまうとは。
なんでこうなるんだ?
少なくとも神山監督のこれまでの劇場作の中では、エデンよりも009よりも良かったと思うんだけれどな。
まあぼくは実写・アニメに関わらず、作品の中心には美男美女がいてスクリーンを支えるべきだと思っているので、その点では不満あるけれども。アニメキャラにしては、と思わない?(笑)
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
『吉田類の「今宵、ほろ酔い酒場で」』
吉田さんの舞台あいさつを、小学生の娘と一緒に見た(娘本人の希望です)。
映画本編に関しては「ファンなら」ということになるだろうが、子ども達の飲酒シーンを逃げずに描いたところは「酒呑み映画」としての矜持を感じた。
アニメも逃げるのはええかげんにせいよ。
【市川崑が手掛けたアニメ・時代劇】
『弱虫珍選組』
『新説カチカチ山』
『娘道成寺』
【吹替で蘇る!チャップリン笑劇場】
(サイレントのチャップリン映画に、著名な声優さんが声をアテたスターチャンネルの企画)
『チャップリンの替玉』
『ヴェニスの子供自動車競走』
『チャップリンとパン屋』
『チャップリンの失恋』(やっと少しドラマ性が出てきた)
『チャップリンの女装』(こんなんで1930年代は上映禁止になるとはねえ…)
『チャップリンの役者』
『チャップリンの午前1時』
『チャップリンの寄席見物』
『チャップリンの舞台裏』
ウィキによると、この映画は「ハリウッドで製作された映画の中で、はじめて同性愛が描かれた作品」らしいですね。まあホントは「男装している女性」なんだけれど。
ちなみにその女性・当時のチャップリンの恋人だった女優の吹き替え、野沢雅子さんだった。
『チャップリンの霊泉』
『チャップリンの掃除番』
最後の展開ちょっと驚いた。あの展開なくていいのに、チャップリン、リアリストなのかな。
【チャップリンのサイレント短編】
『泥棒を捕まえる人』(監督・主演は別)
『新米用務員』
『チャールズ・チャップリン -放浪紳士の誕生-』
チャップリンが「放浪紳士」というキャラクターを生み出したまでのドキュメンタリー。フランス制作。
『シャーロック・ホームズの冒険』(ビリー・ワイルダー版)
『赤い河』(ハワード・ホークス監督)
30年ぶりくらいの再見。
『たまこラブストーリー』
カミさんに付き合ってもう1回見た。
『ブラインドマン その調律は暗殺の調べ』
『豚と軍艦』(今村昌平)
「逃げろ。おまえらみんな逃げろ」
『名探偵登場』
主演はピーター・フォーク。
『流星課長』(庵野の短編)
【東海テレビドキュメンタリー群】
『ヤクザと憲法』
『死刑弁護人』
『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』
『リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』
魔法仕掛けのパレード良かった。素直に子どもに見てほしいと思えるし、画面も賑やかだし、時折ディフォルメされる作画も楽しかったし。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年1月23日
すれた大人としては、物語が過不足なく収納されていく感覚が心地よかった。
『式日』(庵野の実写)
序盤はどうなることかと思ったけれど、ちゃんと面白かった。ぼくは子ども時分も現在も家庭に不満を持ったことがないのでアレだが、特定の人にはストレートに響くかもしれない。
『恐怖のメロディ』
休みなので『恐怖のメロディ』見てた。女こえー。ストーカーって概念が無かった時代に、この内容はすごいな。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年2月6日
そしてあのバーテンダー、ドン・シーゲルだったのか…あとポーの詩くらい読んでなきゃダメでしょうか(有名な小説2作しか読んだことない)
『御法度』(大島渚)
小林信彦さんが邦画ベスト100に入れているので見た。かなり良かった。まずキャスティングが面白い。
「こいつら、デキたな。そういうものか」
『エクソシスト ディレクターズカット版』
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『傷物語 Ⅰ鉄血篇』
『傷物語 Ⅱ熱血篇』
【仁義なき戦いシリーズ】(1作目以外見直した。※初見もあった)
『仁義なき戦い 広島死闘篇』
「あれらはおめこの汁で飯食うとるんで。のう、おやじさん、テキヤじゃろうと博奕打ちじゃろうと、わしらうまいもん喰ってよ、マブい女(スケ)抱くために生まれてきとるんじゃないの」
『仁義なき戦い 代理戦争』
「わしらばかりが火の粉を浴びんでもいいじゃない。山守にも火傷させちゃれや、のう」
『仁義なき戦い 頂上作戦』
「(敵の山守と自分の刑罰を比較して)1年半と7年か…間尺に合わん仕事をしたのう」
『仁義なき戦い 完結篇』
「喧嘩はいつでもできますが、酒はめったに飲めん」
『映画立川談志 ディレクターズ・カット』
「学問? 貧乏人の暇潰しだ。努力は馬鹿に与えた夢。腹が立つってのは共同価値観の崩壊が腹が立つって言うんだよ。恨みはそれが残ったもの」(「やかん」より)
『グランド・ブダペスト・ホテル』
「(84歳の女性を相手にした、との会話に続けて)若い時はフィレ肉だが、年をとれば安い肉に変える。かまわんよ。安い肉も好きだ。“味わい深い”とも言うしな。」
『パプリカ』
「魂の肥満はダイエット要らず。進め超人どこまでも」
@sakaitetsu あと作家の出演というと、ぼくはどうしても横溝正史を思い出しちゃうんだけれど(ロバートさんのネタでいうところの「抜いてる」)、大筒井さすがに違和感なかったな。気付かなかったわ。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年3月27日
『ゼンタイ』
全身タイツ愛好家の映画。舞台劇を見ているようだった。
「ちゃんと生きれている人っているんですかね」
『劇場版テレクラキャノンボール』
「食うか食わないかの人生なら、俺は食う人生を選ぶ」(注・ウンコを、です)
劇場版テレクラキャノンボール見た。しかもカミさんといっしょに。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年4月26日
メインの舞台が札幌だったので興味倍増した。面白かった。でもすみません、飲尿・食糞は無理でした。早送りした。俺は食えないタイプの人間です。
『千年女王』
「でも、どっちでもいいのかもしれない。だって、私…」
この映画についてはブログに感想を書いた。
「最後のセリフにショックを受けた、ネタバレありの『千年女優』感想・レビュー。~『ひるね姫』を添えて~」
『アントマン』
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
『ドクター・ストレンジ』
『SHAME』
「現在」だけを描いて、おそらく主人公と妹に重大なことがあった・肝心の過去や原因を全て観客に委ねているところに感心した。
『FAKE』
遅ればせながら「Fake」見た。森さんを下の名前で呼び、奥さんは「同じ船に乗っている」と言い、ドキュメンタリー作家への認識が俺とは違うなってことだけは分かった(笑)
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年6月2日
『ゲームの規則』
「ハーレムだよ。イスラム教だけが男女間の問題に道筋を示した」
『猫の恩返し』
ジブリだけれど今まで見てなかった。
『ポッピンQ』
『銀河鉄道の夜』
猫のやつ。
『キートンのマイホーム』
これは『文化生活一週間』の別名でも知られる作品。
『キートンの悪太郎』
別名『強盗騒動』。
『Mr.Boo!ミスター・ブー』
「じゃん」
休みなので、Huluでhttps://t.co/idk2MXPHwy見てた。やっぱりこの映画、日本人にとっては広川節を楽しむものだよな。じゃん。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年6月26日
『モンティ・パイソン・アンド・ナウ』
吹き替え版を見た。山田康雄さん、納谷悟郎さん、古川登志夫さん、そして広川太一郎さん。
「ちょんちょん」
『ゲームセンターCX THE MOVIE 1986 マイティボンジャック』
もし「映画」に「一定の質」の意味が付加されているなら、これは映画ではないことになる。
劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』
「でも、ハッキリ言って悔しいな。晴香はハニーに選ばれたリーダーだもん。ハリウッドが決まって、皆に誉めてもらうより、美希的には、そっちの方が嬉しかったかな」
『男性の好きなスポーツ』
監督ハワード・ホークス、音楽ヘンリー・マンシーニ、主演ロック・ハドソンなのに、DVD化されていないらしい。
気楽に笑って見られた。
男「孔子いわく…『男の酒に口出しする女は殴られる』」
女「飲み過ぎた男はオリーブしか釣れない」
『月世界旅行』(着色版)
【岩井俊二監督作品】
『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』
「おい、蟻」
「取って」
「え?」
「取ってよ」
『undo』
「ちゃんと縛ってよ」
『PiCNiC』
「私があなたの罪を洗い流してあげる」
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(アニメ版)
この映画については感想を書いた。
アニメ『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』感想・レビュー~彼女の体から、蟻を取るか? トンボを取るか?(ネタバレあり)
『陸軍中野学校』
「私もスパイだった。私の心も死んだ」
『陸軍中野学校 竜三号指令』
「神よ与えよ万難我に」
『東京無国籍少女』(押井)
これほどセリフが少なかった押井映画は初めてじゃない?
『プーサン』(市川崑)
『マダムと女房』
日本初のトーキー映画と言われる。小林信彦さんが邦画ベスト100に入れているので見た。
『太陽の王子 ホルスの大冒険』
砂嵐のシーン、雨のシーン。ホントすごいわ。動くところは、見ているだけで楽しい。
『砂の器』
良質な殺人事件見たくて『砂の器』見てみた。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年9月4日
一本しかない糸を執念で手繰るような捜査、犯人は序盤で分かるのに飽きない展開、何より「ああアレが原因なんだな」と予想したこちらを余裕で上回る動機、素晴らしいな。
『ヴイナス戦記』
「ゲームライダーのヒロだあ!」
昼食休憩を挟んで見終わった。まさに「絵はいいんだけれど」案件。話がなあ…学生運動の残滓がちらついてしまうのは俺の思い過ごしか(笑)
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年9月28日
自分の街に侵攻してきた戦車は気に食わないから襲撃する、でも自軍も嫌、軍隊嫌、かと言って確固たる「自分」もなさそう、それで最後に出たのが上記の感想。
『お早うデジタル修復版』(小津安二郎監督)
3~4回目の視聴。
「でもそんなこと、案外余計なことじゃないんじゃないかな。それ言わなかったら世の中、味も素っ気も無くなっちゃうんじゃないですかね」(「そんなこと」とはおはようなどのあいさつや天気の話題のこと)
『妻は告白する』(増村保造監督)
最後までミステリーとして見てしまった。見方間違えた。
「卑しくも人の妻である以上、どんなに苦しくても最後まで夫と一緒に頑張るのが人情であります。死なばもろとも、それが夫婦だと現に家内も申しました(傍聴席から笑い)」
『スペースアドベンチャーコブラ(劇場版)』
出﨑監督なので見た。松崎さんなあ…(笑)
『櫻の園』(2008年版)
「苦さ」のようなものが、決定的に欠けている。特に後半。また「かつての演劇部女子高生」を2人も出すことで、最大の魅力・切なさであるはずの「今・この時だけ」感も薄れてしまっている。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年10月12日
やはり90年版に及ばない。あと用務員さんと教頭先生が、あんな距離感で話をするか? なんだあのシーン。
『トップをねらえ2! 劇場版』
『DENKI GROOVE THE MOVIE? -石野卓球とピエール瀧-』
某漫画家さん、電気グルーヴって元からこういうバンドでも好きになったのに、いざ自分がブス扱いされると落ち込んで・ついでに友達は怒りだして。人間って面白いね。
「電気グルーヴこれから信条として、ブルーハーツに『人にやさしく』ってあるけれど俺たちのテーマはブスに厳しく」
『ゾンビ』
「救う価値のある者などいるのか? 生き残っているのはバカしかいない」
『ダンケルク』
もう上映終るギリギリでダンケルク見た。バットマン3本がぼくにはピンと来なかったので、それ以来見ていなかったノーラン作品。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年10月30日
面白かった。複数視点の同時進行から時系列の入れ換えまであるのに・見やすいのにまず感激しました。
『羊たちの沈黙』
有名作なのに未見だった。
「違うね 極度の切望だ それが本質だ」
『麒麟の翼 劇場版・新参者』
「勇気を持て、真実から逃げるな。自分が正しいと信じたことをやれ」
劇場版麒麟の翼見た。ミステリー的(犯人当て)には、ぼく程度のオツムの人間が飛び付きやすいデコイがあったのがとても良かったです。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年11月19日
『KUBO』
KUBO見た。陳腐なテーマを、アレに見立てたアイデアと、死生観に絡めていたので感動的に見られた(感動したとは言ってない)。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年11月29日
子持ちの親なら気持ちよく見られそう。
この映画については感想を書いた。
ぼくが、二本の弦の秘密を知ったタイミングが良くなかった
『茄子 スーツケースの渡り鳥』
『河内山宗俊』(山中貞雄監督)
「ここらがわしの潮時だ。人間、潮時に取り残されると、恥が多いというからな」
河内山宗俊見た。小林御大が書いていた通り、悪党達が命をはって原節子の処女を守る話だった。面白かった。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年12月22日
しかし映像もそうだが音声が聞き取りづらいレベルで、やっぱり保存の問題なのかな。
『SING/シング』
「恐怖に負けて夢を諦めるな」
『LIVE FOR TODAY-天龍源一郎-』
クレジットの最後に出てきた「楽ちゃん」って圓楽師匠だよね。
「俺とテリーとスタンで組もうぜ」
「ドリーの方が適任だ」
『ヒッチコック/トリュフォー』
「ヴェラ・マイルズをヒロインに予定していたのにーー妊娠して大きな腹が目立って出られなくなった。大事な役だったのにあのバカ女が!」
「ヒッチコックは単なるサスペンスの巨匠ではない。キャメラで書く作家(オートゥール)であり芸術家なのだ」
『十二人の怒れる男』
「可能性はある」
12人の怒れる男見た。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年12月16日
すげー。全てが繋がっていく有機的なストーリー展開、素人の俺でも語りたくなるカメラワーク。
強いて言えば有罪側に最初から有能なキャラを置いて欲しかったけれど、まあ無い物ねだりかな。すごいもん見たわ。
『オリエント急行殺人事件』
現在上映中の方です。この映画については感想を書きました。恥ずかしながらブログ書いた後に、乗客数の意味に今更気づいた。
映画『オリエント急行殺人事件』感想・レビュー(ネタバレなし)
『フェリーニのアマルコルド』
「アマルコルド」の意味は、フェリーニの生まれ故郷の方言で「私は覚えている」。
笑えるシーンも多く、また故郷への愛を感じる映画だった。しかし『フェリーニのローマ』もそうだが、人物がエネルギッシュだなあ。
「父は100人の子を養えるが、子は100人いても頼りにならん」
さて、以上です。短編抜かして80本か…
今年のブログ記事更新も以上です。
昨年は病気で死にかけ、今年は仕事減って、いいことがない…
まあ来年もフラフラ生きるか…皆様は良い年になりますよう。それではまた来年。
映画『オリエント急行殺人事件』感想・レビュー(ネタバレなし) [映画感想・実況]
先日、ぼくのTLでは創作物に対するネタバレの肯定・否定についてちょっと盛り上がっていました。
その中では、ネタバレ肯定の人でも、注意深い方なら「ミステリーは別にして」と添えている場合が多かったかと記憶しています。
ミステリーの醍醐味の1つは、犯人当てですからね。
しかし現在公開されている『オリエント急行殺人事件』は、まあ犯人に関してはネタバレの状態で勝負している作品なわけです。
勿論、犯人を知らないでご覧になった方もいるでしょう。
しかし劇場に足を運んだ方の何割かは、例え原作を読んでいなくても、シドニー・ルメット版の映画を見ていなくても、
例えば『アクロイド殺し』や『まだらの紐』や『Yの悲劇』と同じように、あるいは「犯人はヤス」と同じように、犯人は知っていると思うんですよね。
それでも見たいと思うのは、どのように映像化したのだろう、原作や過去の映画とどう差異があるのだろう・それを期待して、そしてこの映画ならではの良さを求めて見るのだと思います。
で、本日見たのですが、個人的には満足でした。
キャッチコピーは「この列車には、名優たちが必要だった」でしたが、ぼくは中でも久しぶりに見たミシェル・ファイファーに惹かれました。
オリエント急行見た。ミシェル・ファイファー!
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年12月27日
バコールやバーグマン版より、良かったんじゃない?
『最後の晩餐』を彷彿とさせるシーンも寓話的で良かったし。
江戸川乱歩の『探偵小説の「謎」』に倣えば、『オリエント急行殺人事件』は(列車自体が)密室+意外な犯人、ということになるのでしょう。
しかし救助の人達が近くに来ている、さらには橋の上で列車が止まったことで「雪上の足跡」の問題がなくなり、密室の要素が揺らぐことも結論にはプラスになると思いました。
途中であった逃走劇は、「密室」であることの否定として加えられたシーンだと解釈しました。
さてしかし、ぼくがこの映画で一番満足したのは、
序盤でポアロが
「この世は善と悪しかない」「私は殺人を許さない」とフリを効かせていたところです。
無論この「この世は善と悪しかない」「私は殺人を許さない」というセリフは結末に繋がっていくわけですが、私にはスタッフがこの事件だけではなく、ポアロ最後の事件になる『カーテン』まで視界に入れた上でのセリフではないか、と思えるのです。
それこそネタバレなので書きませんが、善悪で世界を分け・殺人を否定していたポアロの価値観が、この映画『オリエント急行殺人事件』で揺らぐのです。
そして揺らぎが結局、『カーテン』へまで繋がります。
この映画の最後は、ポアロに新しい事件が舞い込んで終ります(これはネタバレと怒る方はいないでしょう)。
この舞い込む新たな事件は、セリフからしておそらく『ナイルに死す』です。
スタッフはこの映画をシリーズ化して、最後の『カーテン』まで繋げようとしているのではないでしょうか。
と思って調べてみたら、続編制作のニュースあった…
今回、非常に満足したので、ぜひ『カーテン』まで映画化してほしいな、と願っています。
全部見ているわけではありませんが、クリスティ原作の映画としては、
『情婦』
『ゼロ時間の謎』
に続いて良かったです。

ぼくが、二本の弦の秘密を知ったタイミングが良くなかった [映画感想・実況]
今回の記事は関係なさそうなマクラから、映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』の感想に至る流れとなる予定なので、ひと時お付き合いのほどを。
最近ぼくは、HULUで配信が始まった『落語とは、俺である。-立川談志・唯一無二の講義録-』を少しずつ見ています。
以降、敬称略でいきますね。
談志と言えば以前、爆笑問題太田が「談志さんとたけしさんに奢った」と自慢している宴席で、たけしと2人で当時人気が出ていたねづっちの…厳密に言えばねづっちの「謎かけ」について延々と文句を言っていたそうです。
ネット記事にもなりましたが。
爆笑問題・太田光 ビートたけしと立川談志さんが酷評していた芸人を暴露
ぼくはこの話をラジオ番組「爆笑問題カーボーイ」で聞いた時に、「談志やたけしが思う『謎かけ』はどんなものなのだろう」と興味を持っていました。
『落語とは、俺である。』の2講目に少し謎かけの話が出てきて、その中で談志は模範例の1つとして
ウグイスとかけて お弔いととく その心は なきなきうめにいく
と話していました。
すごい。2つにかかっている。
この答え、ちょっとネットで調べてみると小三治師が感心していたとかいないとか…
で、ねづっちの「上手いこと」との違いはなんだろう…まさか「2つかかっていないとダメ」ってことでもないだろう。
おそらくは、「共通点を上げるだけではダメなんだ」ってことでしょうが。
で、えー……
『落語とは、俺である。』の1講目「落語とは」には(全部で8講ある)、落語の定義みたいなものが騙られています。
談志いわく例えば「夫婦仲良く」とか「親には孝行する」とか、そういう一般的な道徳というか規範のようなものがあるのは、逆に言うとそういう縛りがないと・人間はそんなものを守りはしないからだ、と。
数日前に呟いたコレ。
妻「転んであなたの大事なガンプラ壊しちゃった…」
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年11月21日
夫「怪我してないかい?」
妻「ガンプラより私の心配してくれるの?」
夫「ガンプラは買い直せるけれど、お前が怪我したら大変じゃないか」
妻「嬉しい」
夫「お前が怪我で仕事を辞めたら、ガンプラを買い直すことも出来ないだろ」
実は談志がこの番組の中で出した小咄を、ちょっとガンプラに変えただけなんだよね。このツイート。パクリ。
つまり夫婦愛の本当なんて、こんなもんじゃないのかい、と。
そして談志は落語を「常識でない非常識の部分を肯定してやる」と定義していたわけです。談志が語る落語の代名詞にもなっている「落語は人間の業の肯定である」とほぼほぼ似ていますね。
もっとも、とは言っても、落語に明るくないぼくにしてみれば。
そんなことを言っているが、「談志」と聞いてぼくが連想する噺といえば人情噺の代表作の1つで・夫婦愛を描いた「芝浜」だし…などと考えていたわけです。
「正しくあるべき形」「社会的な規範」などを提示してくる作品と、そこからはみ出たものを描いていく作品。
勿論、両方あって良いのですが。
自分はどちらが好きなんだろう、と。
Gレコって、こんなところから逸脱していた作品だよな、とか。
Gレコが「理解しづらい」って言われるの、設定とかもあるだろうけれども、ここら辺にも理由あるのかな…
ともかくそんなことを考えた翌日に、映画館へ行って・ツイッターのTL上で評判の良かった『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』を見てきたわけですよ。
ねえ。
ちょっとモヤモヤする感じ分かっていただけます?
ああも親子愛や夫婦愛をストレートに出されてきて、真正面に受けられます? と。
見終わった直後は
KUBO見た。陳腐なテーマを、アレに見立てたアイデアと、死生観に絡めていたので感動的に見られた(感動したとは言ってない)。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年11月29日
子持ちの親なら気持ちよく見られそう。
とツイートしました。
ぼくだって嫌われたくない…
いや実際に、子持ちのおっさんとしては感動もしたよ。したけれど前日に『落語とは、俺である。』を見てたから…
見てなかったら、もっと素直に感動できたと思うんだよな。
勿論素晴らしいところはたくさんある。
観客がこういう映画を褒める時、「クボの人形の数は30体、表情は4800万通りある」とか「振付師を採用して人形のリアルさを追求した」とかっていうのは、悪手…とは言わないまでも、ぼくの心には響かないんですよね。
ただ見ている分にはそんなこと知ったこっちゃないし、事前情報無しで見に行くタイプだからね。
ぼくは美的感覚がないので、正直「ストップモーションアニメで描く意味とは…」とすら思ったけれど、それはさすがにぼくの間違いだった。
あの画像だからこそ、折り紙のハンゾウのキャラクターも一層際立ったし、灯篭流しの幻想的な趣が実写や通常のアニメよりも増したと思うし。
日本文化の描き方は。
「『ティファニーで朝食を』から50年以上、ついに精神性まで描いてくれるようになったか!」と感動に似た気持ちを覚えた一方、
「いっそう日本について全く知らなければ、もっと異世界を感じられたのに」とも思いました。
日本人で嬉しかったような、全く知識が無い状態で見たいとも思うような。
まあこの作品を見るにあたって、日本人の特権があると思おう。
だから問題は、テーマだけなんですよ。
理想的な父親・母親を出して、その意思を受け継ぐ子どもなんて「作品として無邪気すぎないか」と思う一方、
「いや単純故に骨太だからこそ多くの人が好意的に受け止めたのだ、力強いメッセージとして届いたのだ」とも自分の中で反論できるんですよね。
矛盾に思われるかもしれないけれど、実はストーリーにも不満はない。
あのテーマを描いているストーリーとしては、素晴らしいと思うから。
実際のところ、ぼくは別に親になんの不満もないし、自分が親になった現在も家庭に不満はないし、だからもっとこの映画に感動して良かったはずなんだよな。
それを前日に。談志が非常識がどうこう言っているの聞いたから…
スクリーンでエンドロール見ながら、「これ、親を憎く思っている人や家族に不満がある人は、どう消化するんだろう。それでもやっぱり感動するんだろうか。ケッと思うんだろうか」とか、ついつい考えちゃったんだよね。
映画の鑑賞は個人的体験に拠る、とはやはり真実だなあ。
最後に。映画に関係ないことを1つ。
コレ、嬉しいね。楽しみだね。
KUBOのスタッフが参考にした版画作家。

この世からきれいに消えたい。―美しき少年の理由なき自殺 (朝日文庫)
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- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2003/10
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制服少女たちの選択―After 10 Years (朝日文庫)
- 作者: 宮台 真司
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2006/12
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アニメ『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』感想・レビュー~彼女の体から、蟻を取るか? トンボを取るか?(ネタバレあり) [映画感想・実況]
敬称略で、
原作が岩井俊二の名作映画、
総監督・監督・キャラデザが新房昭之・武内宣之・渡辺明夫の組み合わせ、
脚本が大根仁、
音楽が神前暁、
企画とプロデュースが川村元気と、
もうどう考えてもハズす作品を作るわけがないような陣容。
『君の名は。』の後のドジョウを総ざらいする気が満々のような。
まあ実際は、こちらのインタビューを読むと、『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』の方が『君の名は。』より企画が先行していたそうですが。
さてぼくは日頃から、「原作と映像作品は、別作品なのだから分けて評価するべき」と思っています。
ネットに溢れている、「原作のあそこと違うからダメ」「けっこう漫画の雰囲気を再現している」のような感想は、あまり意味を持たないと考えています。
にも関わらず。
直前に予習として岩井俊二版『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』を見たせいか、ついでに他の岩井作品も数作見たせいか、アニメ版を鑑賞中にもついつい色々なところを比較してしまいました。
ふだん否定している考えを自分もやってしまう、こういうのがダブルスタンダードなんですかね?
ま、自分の感情には素直に従って、感想を書き連ねていきたいと思います。
そもそも原作の魅力は、「からかい上手のなずなさん」と言うべきか、思春期を迎え始めた小学生高学年の男の子が、同級生だけれど大人びた女の子と接触することで、ちょっとだけ大人になる物語です。
少し酸っぱくて苦くて甘い物語を、美しい映像が支えた映画です。
実写版では、主役の山崎裕太さんは当時12歳でしたが、同級生である・なずな役の奥菜恵さんの実年齢は2歳年上でした。
なずなのオトナ感・年上感、小悪魔的な魅力が、非常に重要だったわけです。
岩井監督作品のヒロインは、どれも美しく映されています(ぼくが見た中では、唯一の例外がアニメの『花とアリス殺人事件』だったわけですが…)。
縛られる山口智子さんも、雨の中の松たか子さんも、堕天使ようなCHARAさんも、美しく見とれるばかりです。
そして『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』の奥菜恵さんも同様です。
この物語のキモの1つは、なずなの魅力です。
実写でもアニメでも、なずなは・一緒に花火を見に行く相手は典道と祐介、どちらでも良いのです。
それなのに実写では、典道と行くパターンでは「(水泳勝負)典道くんが勝つと思っていた」と典道に平然と言ってのけます。
これは勿論・嘘と解釈した方が自然で、典道も調子良いこと言ってと思っていても嬉しくなってしまうのです。
ここになずなの(小学生男子には)「手に負えなさ」が出ているわけですが、アニメ版のなずなは後半、典道に明らかに好意を寄せています。
あれではコケティッシュな魅力が半減してしまいます。
アニメが好きなぼくでも、ことこの映画に関しては二次元より奥菜さんの方が良いな、と思ってしまいます。
ちなみにアニメ版でのキャラクター達は中学生設定になっていますが、そこは違和感ありませんでした。
劇場でアニメ『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』の世界から、完全に一歩引いてしまう瞬間がありました。
それは典道が、プールサイドで寝ているなずなから虫を取るシーンです。
アニメでは、その虫がトンボでした。
アニメ版打ち上げ花火、どうしてあそこ、蟻からトンボに変えたのかな…。それに場所ね。トンボは羽を捕まえるし、体の上を這い回らない。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年8月23日
蟻だからエロティシズムが生まれるのに。スタッフがそれを分からない筈もなく、どういう意図だったんだろう。
実写版では蟻(アリ)でした。
蟻が首筋から胸元あたりを這っていたのです。
そのままでは水着の中に入るし、蟻を捕まえる=なずなの肌に触れるだし、そこにエロティシズムや、「取ってよ」と平然と言うなずなに・一足先に「女の子」から「少女」に向かっている魅力が生まれるわけです。
アニメではトンボで、しかも場所は顎の付近でした。
素人のぼくが分かることを、百戦錬磨のプロであるスタッフが気づかないはずがありません。
むしろ分かっているからこそ、スタッフは丹念にエロティシズムの要素を廃除したと見るべきです。
排除したと見るべきなのですが、その意図がぼくには分かりません。
おそらくここで、実写版とは明白に違う・アニメ版のなずなが動き始めるわけです。
しかしトンボなあ…トンボには前にしか進まない性質があるそうだけれど、「繰り返す物語」に敢えて選んだとかじゃないよなあ…?
実写版では「何故世界が繰り返したか」の描写がなく、極端な話「典道の空想かもしれない」という解釈も可能な訳です。
45分間しかない実写では、そこがあやふやでも乗り越えられたのですが、倍の尺があるアニメでは・しかも世界を繰り返す展開では、「世界を繰り返せる要因」をスルー出来ません。
そのためにアニメ版に用意されたのが、不思議な玉です。
中に「if」の文字が見えるけれど、原作の映画がもともとフジTVのオムニバスドラマ『If もしも』の一篇として作られていると知っていると、ちょっとニヤニヤしていまいますが。
まあこの玉がどのようなものか一切説明がないので、あれで納得できるかは別問題ですが…
しかし2人がいくつもの「違和感のある世界」を巡るのを見ているうち、ぼくには原作の実写版も「1つの可能性」として吸収されていく感覚がありました。
全ての作品世界を包括する…た、∀ガンダム……!
バスではなく列車、灯台で叫ぶ「憧れの女の子」にアニメキャラが出ない(今ならプリキュアだったかなあ)、最後も同じセリフながらプールではなく海…
実写版とは似ていながらも非なる世界、そしてアニメの中でも違う世界を何回も巡りつつ、2人は旅を続けます。
実写版が「SF要素も少しあるグローイング・アップもの」だったのに対し、アニメ版は終盤になるにつれ「グローイング・アップの要素を含んだパラレル・ワールドもの」としての本質が明らかになります。
だからこそ、最終シーンへと繋がっていきます。
ここでも「恋愛もの」としてこのアニメを見ていると、最後は全くの「?」となるかもしれません。
実写版での、なずなとのラストシーンの意味は明白です。
なずなは典道に「2学期が楽しみだね」と言いますが、違う学校に通い始める2人にとって無論これがお別れとなります。
コケティッシュなずなちゃんは、承知で「2学期が楽しみだね」と言い、プールの向こうに消えていくわけです。
一方アニメのなずなちゃんは、「次の世界が楽しみだね」と言います(だったよね?)。
そして最後の教室シーン。
なずなと典道の机が空席です。
まあ、ここなあ。「デートの前戯としての映画」としてはスッキリしないよなあ。
人気…出ないような気もするけれど。
でもこのエンドシーンのおかげで、少なくともぼくには深みが出る映画となりました。
蟻がトンボになって以降、ずっと一歩引いて見ていましたが、本当のホントに最後のシーンでおっとスクリーンに引き込まれました。
「解釈は見た人それぞれに任せます」のラストなんでしょうが、1つだけ明白なのは、障害の1つであった悪友達はすでに教室にいる、ということです。
先生がバックショットなのも、もちろん巨乳かそうでないかを曖昧にするためで、「元の世界なのか」を明確にしないためのカメラワークです。
ぼくなどは『ビューティフル・ドリーマー』のラスト=階数が違う校舎を思い出すわけですが。
あの玉は壊れてしまったので、もう世界移動はできないはずですね。
ところで、夏休み前に転校することが分かった生徒がいるとします。
休み明け、その生徒の席は用意されているでしょうか? 普通に考えて、ありませんよね。
でも教室にあった空席は2つでした。
つまり、ぼくの解釈はそんな感じです。それは心中。あれは駆け落ち。これは2人でサボリ。
…で、「恋愛映画」を期待してアニメ版を見てガッカリしてしまった人は、ぜひ実写版を見てみてください。良い映画ですよ。

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アニメ『心が叫びたがってるんだ。』感想・レビュー(ネタバレあり) [映画感想・実況]
実写版『心が叫びたがってるんだ。』の公開に合わせて、アニメ版『心が叫びたがってるんだ。』が地上波で初放送されるのを知り、過去にこのブログで書いた感想記事を読み直してみようと思ったのが、数日前。
ところが、無い。書いていたつもりなのに、記事がない。
自分のブログ内で「心が叫びたがってるんだ。」「ここさけ」で検索してもヒットしない。
コレ、アレだ。よくあるやつ。
頭の中では文章が出来上がっているのに、アウトプットするのが面倒で。
先延ばしにしているうちに、書いた気になって過ぎていくやつ。それで書いた気になったやーつ。
そんな訳で、2年前のぼくはこの映画を見て、何を思ったのかと言うと。
ほぼ1つしか無かったので、はっきり覚えています。
「うまいなあ、『木の葉を隠すなら森の中』とはこういう仕掛けのことかな」でした。
最初に言っておきますが、アニメ版『心が叫びたがってるんだ。』は全般的に非常に好感を持って見ました。
見終った方なら分かるでしょうが、この話、よくよく考えると多分にファンタジーなところがあります。
成瀬の声が出なくなっちゃうのもそうだけれど、そもそも「そんな校風・伝統なさそうなのに、高校生がいきなりミュージカル?」とも思うし、クラスのほとんど全員に「ミュージカルに適した何かの特技」があるのもそうだし、
何より拓実くんがピアノなどの楽器を扱えて、『ピアノソナタ第8番 悲愴』や『Over The Rainbow』をアレンジしてしまう、詞も乗っけてしまう。スーパー高校生じゃないですか!

でも実際には、見ている多くの人はあまり気にならなかったはずです。
それは思うに、冒頭に思い切りファンタジーな存在である「玉子の妖精」が出てくるからでしょう。
あんな存在が最初に出てくると、その後にちょっとくらい現実離れした展開があっても、さほど気になりません。
「喋ら(れ)ない理由」も、病気などにすると別のテーマが生まれてしまいます。
何故歌うと腹が痛くないの? とか…
それらも含めて、これは嫌味でもなんでもなく、アタマに玉子の妖精を登場させるのは・これがプロの技なんだろうなあ、流石だなあと思って見ていました。
そうか、それで喋れなくなったのか、と納得できてしまう(どう考えても離婚の原因は浮気した…もあるけれど、自宅近場のラブホを利用した親父がバカ)。
<ここさけ>中島健人&芳根京子で実写映画化 https://t.co/97oP2bW0DL ここさけは、冒頭にファンタジーを持ってくることでその後のふわふわした部分を取り繕うことに成功しているので、実写はスタートのそこをどうクリアするかだな。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年3月15日
アニメ『心が叫びたがってるんだ。』に好感を持てたのは、ともすれば恥ずかしい・青春とでも呼ぶべきものを、逃げもせずに正面から描いていることです。
しかもその「青春」はひょっとしたら実在しない、理想の「青春」です。
だいたいにして、『心が叫びたがってるんだ。』というタイトル自体が、おじさんのぼくからすれば「恥ずかしいことを正面から描くぞ」というスタッフの宣言に感じてしまいます。
ミュージカルの演目名だって「青春の向う脛」ですよ。
そして挫折した野球少年という主要キャラや、復活→挫折→もう一度復活する王道と呼ぶべき道を歩むヒロイン、淡い恋愛と失恋、それらこっぱずかしいことを逃げもせず正面から描いている。
菜月が、自分は拓実の連絡先を知らなかったり・順が拓実の家を知っていて拗ねたりするの、
映画レベルなのにこんな分かりやすい表現しちゃうんだ、と。
いや、悪口に聞こえるかもしれないけれど、そうじゃないんだよ。いいんだ、この映画にはこれくらいのベタで。
スタッフの陣容的には「『あの花』よもう一度」みたいな匂いがあるけれども、少なくともぼくは2匹目のドジョウを狙ったのではなく、「うわ、本気でやってんだ」とスクリーンから感じることができました。
いつも読んでいただいている方を別にすれば、この記事に辿り着いた方はTVで『心が叫びたがってるんだ。』を見た方がほとんどだと思います。
劇場でお金払った身として、劇場で見た利点を最後に書いておきたいと思います。
TVで見て感動した人達を、羨ましがらせるためです。性悪。
それはやはり、終盤のミュージカルシーンです。
それも、成瀬が戻ってきて、歌いながら歩いてステージに上がるシーンです。
ここは映画の肝であり、特に歌の出だし・第一声は画竜点睛の部分です。ここが「えー」って声だったら台無しです。
素人がエラソーに言うのもナンですが、水瀬さん素晴らしかったと思います。
その前の拓実を罵るところも良かったですが、
水瀬さん…成瀬が歌う第一声を聞いた時に、
「ああ、この声を劇場の大音量で聞けて良かったな」と思いました。
どうだ羨ましいか。
※おまけ。
当時、こんなツイートしているんだが、「根本的問題」ってなんだろう? もう忘れちゃった、やっぱり…
ここさけ、俺と全く同じ感想のTL見た。前にツイートした「根本的問題」はそこ。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2015年10月31日
俺はそこ諦めて、感情は揺さぶられたから満足だけれど。
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- アーティスト: 乃木坂46,秋元康,丸山真由子,Akira Sunset,APAZZI,Carlos K.
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最後のセリフにショックを受けた、ネタバレありの『千年女優』感想・レビュー。~『ひるね姫』を添えて~ [映画感想・実況]
先月、昨年録画したままHDの肥やしになっていた『千年女優』を見ましてね。
初見だったのですが。
ビックリしました。うわっ、と。ぼくは何故今まで、この映画を見ていなかったのか、と。
映画の冒頭から興味を持ちまして。芸能界を引退して、長年人前に出ていない大女優の千代子に会いに行く出だし。
ぼくなどには、千代子の設定は原節子を彷彿とさせましてね。
監督自身は、原節子と高峰秀子のイメージだったそうですが。
あーだからか。
原節子を連想したぼくは、「だったら結婚しないでほしいな」と思ったけれども、高峰秀子のイメージも入っているから監督と結婚したのか、と後で納得しました(勿論松山善三監督はあんな人じゃないだろうけれど)。
ぼくは、原節子は思いを寄せた相手(矢澤正雄氏)との思い出がある鎌倉で隠遁生活を過ごした、という伝説が好きなので、そのイメージに近い大女優に会いに行く、という導入部で惹かれたわけです。
他にも、その後の『蜘蛛巣城』まんまの矢が飛んでくるシーンや、同じく『蜘蛛巣城』に出てくる老婆のような妖女の登場、『君の名は』(当然真知子巻きの方ね)を思わせるシーンなど、映画好きをくすぐるシーンが続いてね。
面白く見進められた訳です。
何より、(劇中での)現実と虚構、現在と過去を混濁させた展開が見事で、面白くて。
「視聴者と同じ視点」の役割のはずの立花と井田すら虚構世界に入り込み、しかもなお千代子を追い続ける「カメラ」足りえるという展開が映画・アニメであり得るのか、と。
すごい、こんなのは見たことないぞ、と感心するやら怖いやら。
個人的な話ですが、実は『千年女優』を見る数日前に、劇場で『ひるね姫』を見まして。また小説では、平井和正本人が自作の登場人物達に邂逅していく『その日の午後、砲台山で』を読み始めていて。
偶然ですが、「現実と空想(夢)がリンクしていく」物語を立て続けに摂取していたのです。
同じアニメ映画で言うと、『ひるね姫』は現実と夢の世界が別々にあって、やがてクライマックスに向けて1つになっていくのに対し。
『千年女優』は、最初から現実と虚構が混濁して一体となり、時には離れて、またくっ付き、そのまま進んでいく。
どちらも良かったのですが、ぼくは『ひるね姫』には納得し、『千年女優』には感嘆しました。こんな見せ方があるのか、と。コイツがセンスオブワンダーってやつかいおいおい。
そして何よりビックリしたのが、最後のセリフ、たった一言で成し遂げたどんでん返しですよ。
『スティング』以来の「やられた」感に打ちのめされました。
現実と映画の世界を自由に行き来しつつ1人の男を追いかけ続け、最後は宇宙に向かった千代子が「だって私、あの人を追いかけてる私が好きなんだもん」と告白します。
うわあ。
長年追い続けた男よりも、千代子はおそらく自分を愛していた。
「万難を排して男を追い続ける私」を演じ続けて、そんな自分を愛していた。
女優だ! コイツ、私生活まで演技していた、気持ち悪いとすら呼べるような女優だったんだ!
このセリフは、そのまま『千年女優』というタイトルにも繋がっていきます。
もうすでに大女優で、歳をとっているのだからおかしな話なんだけれど、「次の大女優」を予感させる若手の登場で終る『イヴの総て』のラストすら脳裏を過りつつ。
たった一言のセリフでこれほどの衝撃を受けたのは、あまり記憶にありません。
良かった…見て良かった映画でした。
よろしければ皆さん見て…って、当ブログに足を運んでくださるようなアニメファンは、とうの昔に見ているんだろうな。
俺、TVアニメは見ている方だと思うし、映画も人並には見ているつもりなんだが、「アニメ映画」が取りこぼしが多いんだよな…
ちなみに、ぼくの『ひるね姫』感想は、おおむね下のツイートのようなものでした。
見終わった後の感想としては、「うん、まあ面白かった…?」くらいでおさまってしまうとは。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年4月26日
なんでこうなるんだ?
少なくとも監督のこれまでの劇場作の中では、エデンよりも009よりも良かったと思うんだけれどな。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年4月26日
まあぼくは実写・アニメに関わらず、作品の中心には美男美女がいてスクリーンを支えるべきだと思っているので、その点では不満あるけれども。アニメキャラにしては、と思わない?(笑)
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2017年4月26日
いや、悪くはなかったです『ひるね姫』。
冒頭はテーマが露骨すぎて、その時点で少し心のシャッターを閉じてしまったけれども。

ひるね姫~知らないワタシの物語~ (1) (角川コミックス・エース)
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- 出版社/メーカー: KADOKAWA
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ネタバレあり・映画『君の名は。』感想・レビュー [映画感想・実況]
新海誠監督の新作映画『君の名は。』を見てきました。
はじめに書いておくと、ぼくは新海作品には魅力を感じつつも、一種の忌避感というか、「嫌悪感」は言い過ぎだけれども、微妙な感情を持っていました。
ちょっとこの感情を、他者に伝えるのが難しいのですが…
ぼく、新海監督と同世代なんですよ。
その同世代のおじさんがね、1・2作ならいいけれども、何作も近くて遠い淡い恋愛を描き続けることに、やっぱりちょっと悪寒を感じるわけですよ。「いつまで初恋を」とね。
昔、富野×新海監督対談で、富野から「(『ほしのこえ』は)ナイーブさ、弱さが魅力になっている部分が強すぎます」と指摘があったけれども。
だから例えば、今作で言うとタイトルがさ。
『君の名は。』って、おっさんのぼくの世代でも(つまりは新海監督も)リアルタイムでは知らない、「真知子巻き」が流行したらしい、携帯・スマホなんか無かった60年以上昔のすれ違いメロドラマ『君の名は』を想起させるわけじゃない?
それと同じ題名を付けるのか…というね。
本編でいうと、冒頭に「運命の赤い糸(鑑賞後だと組紐だと分かる)」が出てくるでしょ?
「うわっ。そういうの堂々と描いちゃうんだ」と思っちゃうわけなんです。
だから、『秒速5センチメートル』なんか、本当に切なくていい映画だと思うけれども、同時に「ティーンだったら夢中になっていた」と・完全に一歩引いて見ていたわけです。
さて、それで今回の『君の名は。』ですが。
前半までは、かなり面白く見ていました。
繰り返し胸を確かめるシーンもコミカルだし(胸で終りなんだよなあとは言うまい)、何より「入れ替わり」が判明してから劇中曲が流れて・テンポ良く2人の「入れ替わった日常」が描かれる盛り上がりは、軽い興奮すら覚えました。
あとキャラクターでは、奥寺さんの造形が特に好みでした(CV・長澤まさみさんも良かった)。
年上で・彼氏もいそうだけれど、年下の男の子にちょっと興味を持っている感じが、コケティッシュで大変良かったですね。
ホラ最後、薬指のリングが光っても、何も不思議な感じや唐突感がないでしょ。そこまで含めて、良かった。
あと背景の美しさは、新海作品では言わずもがなだね。
さて物語が進み、瀧と奥寺さん、司は旅に出るわけですが、この「ないかもしれない記憶」を探す旅の描写も面白かった。
1回のデートで切れたと思っていた奥寺さんが同行したり、その奥寺さんと司がガツガツ食っていたり(この2人がくっつくのかと思った)。
そしてこの旅で、1つの事実が判明します。起承転結の「転」に当たる部分が動き出します。
SFテイストでコメディタッチの恋愛ものと見せておいて、シリアスな事実が走り始めるわけです。
ありきたり…というか、ほとんど事前情報に触れていなかった『君の名は。』は、ぼくのざっくりとした印象は「先達の『転校生』だよね」だったのが、そこにもう1つ「あ、タイムスリップもあったのか」と。
ここら辺の魅力については、こちらのブログの記事が簡潔に書かれています。
見終えた後から思うと、あれほど名前を忘れてしまったのに、死亡者名簿を見た時は都合良く覚えていたね、と思うけれども。そこはともかく。
さらに期待は高まりました。先が読めないからです。
これからどう展開するのだろう、『ゴースト』的な話になるのか、いや新海監督なら「一度も会ったことのない少女」を胸に宿しながら生きるエンドもありえるぞ…と想像しながら。
そう、この少年少女は1度も出会ってない(実は三葉が会いに行っていたが)のに恋に落ちている、という物語なんですよ。
ぼくはいつものように、「うわっおっさんがどれだけロマンチックな話を作っているんだよ」と思いつつも、そのひねくれた思いをねじ伏せるだけの展開があった訳です。
ところがここから、ぼくにとっては雲行きが怪しくなります。
三葉を助ける、という方向に物語は舵をきります。
え……
予想できなかった「隕石が分裂してまちに落ちる」も、天災ですよね。大災害です。
災害って、夢も希望も将来も・もちろん愛も、全てを飲み込むものでしょ。それを「愛と不思議な力をきっかけに回避する」は、少なくともぼくは、現在発表された作品においてはそれをフィクションとして割り切って楽しむことはできませんでした。
あー腹立つ。愛は地球を救うだね(爆笑)。なんやかんや言われても、あの番組が長年続く理由も分かるわ。みんな好きなんだ。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2016年8月29日
見終わった直後に、腹立ちにまかせてこう呟いてしまったけれども。
我ながら思慮に欠けた汚いツイートですなあ。まあこの程度の人間だから仕方ない。
「いつまでも消えない恋」、有名な歌の歌詞を借りるなら・浅い夢を描き続けるのは、好き嫌いは別として理解できた。
でもお互いの存在=半身を探す・つまりは激しい恋愛をしつつ、その恋愛と不思議な力によって災害も救いましたってされちゃうと…
そうなるともう、ぼくとは「災害」の認識が違うのか、それとも「恋愛」への重きが違うのか、何にしろ急激に理解の範疇外になりました。
実際物語としても、絶賛・肯定の方達でも、ここから先はやや退屈になったのではないでしょうか。
2人の奮闘は、成功するしかないからです。
発電所を爆破していいのか、とか、リアリティみたいな話はすでにぼくにはどうでも良くなっていました。
災害ってこんなので回避できるものだったのか…
ぼくは完全に醒めていました。
ただ最後、2人が互いを認識する…まあロマンチックに書こうか、「出逢う」のかという点では、興味を持続して見ることができました。
「タイトルからして『君の名は』って言って終るよな」と想像はできたのですが、新海監督はひょっとして『秒速』のパターンを繰り返すのか、ともふと脳裏をよぎりました。
ですからその点のみにおいて、視聴意欲は持続していました。
そういや最後に。
終盤でちょっと笑ったのは、2人が1回、橋ですれ違うところです。
あそこはやっぱり、『君の名は』の数寄屋橋のシーンに、敬意を払ったのかなあ。
昨日ブログでは省いたけれど、えー、ネタバレしないように書くと。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2016年8月30日
物語が変化するきっかけの出来事、どうしてあんなに大きなことにしたんだろうね。
話を進めるだけなら、もっと小さな・個人的な出来事でも良かったはずだよね(もしそうだったら、俺素直に泣いていたかもしれん)。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2016年8月30日
やっぱり物語を盛り上げるためには、映画としてはあのくらいのものを用意しないと持たないってことなんだろうか。それとも現実での出来事を、形を変えて描きたかった…はないよね?
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2016年8月30日
やっぱりエンタテイメントの映画として、あのくらいの出来事が必要だったのかな。
ツイッターではネタバレしないようにこのように書きましたが、早い話が隕石落下で何百人も亡くなる、ですよ。
ミもフタもなく書けば。
話の本筋だけで考えると、瀧(と三葉)が結果に干渉可能な原因で三葉が退場すれば良いわけで、交通事故にあったでも家が燃えて亡くなったでも問題ないわけです。
それを隕石落下で多くの人が亡くなる=多くの人を救うにしたのって、何かなと思って。
「このくらいの大きな事件じゃないと見せ場にならない」みたいな考えなのかな。
まあ『雲のむこう、約束の場所』では、北海道を閉鎖しちゃっていたんで、案外大掛かりな仕掛けがお好きなのかな、とも思うけれども。
そういや札幌での同作上映後インタビューでは、観客から監督に「札幌はどうなったんでしょう」って笑いを誘う質問が出たはずだけれど…。当時はシネコンではなく、単館上映だったよなあ。
話がそれた。
もしぼくが、あの「大災害だけれど人的被害はゼロ」でもOK・大絶賛だったとしても、あの設定のせいでやっぱり「玉に瑕」は生まれている訳でしょ。
例えば発電所爆破してもお咎めなしなの? とか、控えめな性格のはずのあの子が犯罪と分かっていても手を貸すんだ(友情って素晴らしい!)とか。
当然そんな不都合は承知していたはずで、それでもあの大掛かりな災害を描きたかった動機って、なんだったんだろうな。
ぼくは実は、これまで書いたように「映画を盛り上げるため」はもちろん、現実の出来事を形を変えて描きたかったのかな、とも思ってはいるんだよね。
だからこそ、理想的すぎる展開(結果)に醒めていったわけですが…

月刊MdN 2016年10月号(特集:君の名は。 彼と彼女と、そして風景が紡ぐ物語 / 新海誠)
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- 出版社/メーカー: エムディエヌコーポレーション
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ユリイカ 2016年9月号 特集=新海誠 ―『ほしのこえ』から『君の名は。』へ
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君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)
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最初の『ゴジラ』とハリウッド版の『GODZILLAゴジラ』しか見たことのないぼくが、『シン・ゴジラ』を見たのだが [映画感想・実況]
ゴジラシリーズは、最初の作品をまあ基礎知識のためというか・必須な作品だろうということで(全話視聴を目指している小林信彦さんの邦画ベスト100にも入っていたし)リバイバル上映で見たのが2年前。
その2ヵ月後に、ちょうど『GODZILLA ゴジラ』が公開されたのでそれも見て。
まあ、どのくらいぼくが、ゴジラシリーズの知識が無いかと言うと。
当時のツイート。
劇場で、一番最初のゴジラ見た。シリーズ通しても、見るの初めて。志村喬の役は、思考が不安定すぎる(笑)。そして菅井きんは若い頃から菅井きんだった。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2014年6月20日
ゴジラ見た。俺、最初のゴジラしか見たことなかったんだけれど、シリーズを重ねるごとに何かウルトラマンみたいな役割になったの? ゴジラって。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2014年8月27日
まあ、こんな知識ですよね。
でも『シン・ゴジラ』は見るつもりでした。
庵野作品として。
『アオイホノオ』で紹介されて、あと『監督不行届』にもあったっけ? 大学時代の庵野監督が、ウルトラマンになる自主映画。
その特撮を愛する監督が、お金と立派な場所を与えられて、どんな作品をつくるか興味あった。ゴジラには思い入れ強いだろうし。
で、あでのいさんも「シン・ゴジラ感想(ネタバレ極力無し) 昭和29年と2016年の『今この瞬間』」で「フィクションの魅力の大部分というのは『文脈』に依存する。作られた時の時代背景、既存のフィクションの文法、先行作品の量と質、視聴する観客の言語圏に文化圏、そして歩んできた人生」と指摘しているけれども、そもそもぼくにとって・初代ゴジラからして、原爆や核の象徴じゃないんだよね。
ゴジラに逃げ惑う人々を、戦火のその光景と重ねているのも、先述した小林さんの文章を読んで知っているけれど。
でもぼく、初代ゴジラを3.11の後に初見しているんだよ。
ぼくにとってはゴジラって、最初から「避けえない災害」の象徴なの。
だから今回のゴジラって、すんなり入ってこれた。もっと具体的に福島を出してほしいって感想も見たけれど、ゴジラが破壊した瓦礫の街並、放射能、そんなの舞台がどこだろうが連想するでしょ。
充分。
むしろ、場所を福島以外=東京にしたからこそ、「どこにでも起こりうる人智を超越した災害」としてのゴジラが映えたんじゃないかな。
地震も事故も怪獣も神も、場所なんか選ばない。
シン・ゴジラには素直に、畏怖や「荒ぶる神」を感じられるほど威圧感があったし、その圧倒的な存在という意味で造詣も成功していた思う。
だからこそ、少なくともぼくは物語全体に寓話性や神話性を感じられたし。神話性という意味では、ほぼ同時期に同じ狙いを持っていた(だろう)押井監督の『GARMWARS ガルム・ウォーズ』より、『シン・ゴジラ』に軍配上げたいね。
それにしても、庵野監督のオタク趣味がもっと出る作品――それは細部ではなく全体的――になると思っていたけれど、ちょっと違ったな。
オタク的視点はそもそもの舞台設定・つまりは政治家や役人、軍人が物語を進めることでそこに一任させて詰め込んで、テーマには「日本へのエール」を据えるという、こんなストレートなものになるとは思ってなかったわ。
テーマも「ゴジラカッコいい」のみになると思っていたので。
最後、ゴジラがどこにも行かずに東京に残っているのもメッセージは明白で、しかも「これからはゴジラといっしょに暮していかなきゃ」みたいなセリフもあって、あ・ここまでテーマを明白にするんだって驚きすらあった。
あとねー。
『ナディア』の頃から庵野作品を見ていて、『エヴァ』も本放送初回から「庵野の新しい作品が始まるぞ!」って見ていたけれど。
今回初めて、「庵野監督の得意なシチュエーション」を認識した気がする。
例えば、このブログらしく富野監督ならラストの三つ巴戦。押井なら「東京に戦場を出現させる」作品。
庵野監督って、「巨大な困難に立ち向かうために、いろいろな場所から力を一点に集中させる」ってシチュエーションでこれだけ見せてくれるんだ、エヴァのワンエピソードで終りじゃないんだ、と認識しました。
正直、かなり気持ちよかったので、もう1回同じパターンの映画作ってくれてもいい。見る。
アメリカのデキるお嬢さんの発音が「ゴッズィーラ」から「ゴジラ」になるのは、ファンなら思うところがあるでしょうなあ。
ぼくはゴジラシリーズに思い入れが全くないんで、アレだけれども。
そういや最後に。
自衛隊が一瞬に壊滅するシーンあるでしょ、すごい淡白な描写で人がたくさん死ぬところ。
あのシーンで、ラピュタの・時折批判の対象になる、あのポロポロ人が落ちるシーン思い出したのぼくだけ?
意外なところで、庵野さんは宮崎監督の後継者だなあとニヤニヤしてしまいました。
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未見の人、そして見た人への『TNGパトレイバー首都決戦』のススメ [映画感想・実況]
先週木曜、実写のTNGパトレイバーを見てきまして。
本当は記憶が鮮明なうちに、この記事を書きたかったのですが。
仕事・酒・睡眠・怠惰などの理由で、今日までズレこんでしまいました。
で、『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』の感想と見どころですが。
はじめに未見の方のためにネタバレなしでいくと。
あ、まずぼく自身はパトレイバーの映画もTVも全部見ていますし、今回のTNGも7章までスターチャンネルを契約して見ました。
第7章までの感想は、「押井監督担当の回はいただけないけれど、他の監督の回は普通に楽しいな」。
それで首都決戦は。
単純な感想では、ぼくは充分に楽しめました。
実写の押井作品はたぶん、『ケルベロス』以外は全部見ていると思うのですが、初めてアニメの押井作品と同等の興奮を味わえました。
まあ狭い観測範囲ですが、ツイッターでの反応・感想を見ると、ぼくみたいに全肯定している方はいないようですが…
もちろん不備を突こうと思えば、指摘できる点はあります。
一番は引っ掛かるのはたぶん、「なんで特車二課があんなことを」ってトコロだと思うのですが。
アレはたぶんねー。カーシャがスナイプした回を、伏線にしていると思うんですよ。
あの回で、おそらく特車二課は高島さん(役者名)の子飼い…じゃないけれど、手駒として使われるようになったんじゃないのかな。
そんな些細? なことより、ですよ。
この映画を見る上での、ポイントだと思うのは。
押井監督は、今回の映画について次のように語っていたわけです。この記事から引用。
個性的な初代。無個性な2代目。そして、無能で、物語をもっていない3代目。それを描くことによって、同時代的なテーマに辿り着くのではないか。今という時代をどういう物語として背負っていくのか、それがシリーズのテーマ。
実のところ、この「3代目」ってテーマがぼくにはピンとこなかったんだけれど。
首都決戦では、この構図が敵側にも適用されているんだよね。
で、ぼくが目にした感想では、テロリスト・敵の主人公の目的がハッキリしない、ってのもあった。でもそれは当然、ハッキリしないよ。
物語を持っていないんだからね。
見る上で把握したい1つ目は、敵側も「3代目」だということ。
2つ目はさらに、まあー、これを書くと野暮なんだけれど、ぼくには敵の主人公は「あるものの象徴」だと思うんだよね。
そして、敵の主人公イコール(6章・7章で出てきて・今回の映画で判明する)「特車二課の遺産」だということ。
あり様が同じなんだよ、敵の主人公と「特車二課の遺産」って。
それを踏まえると、この映画は楽しめるのではないか、と。
今後、尺が長いディレクターズカット版が公開されるようだけれど、どこが詳しく説明されるのかなー。
みんなが期待しているような箇所ではない気がする。
それと、映画2を見ていることは必須です。監督は大丈夫、と言っているらしいですが。で、見に行ったら値段分は楽しめると思います。
ではここで、ネタバレ嫌な方とはお別れです。また遊びに来てください。
ネタバレOKな方はスクロールを。
さあ、じゃあネタバレ気にせずに話すぞー。
まずさあ、ファーストカットでけっこうヤラれたんだよね、ぼく。
逆光や陰陽のコントラストが強い場面から始まって、「え、なんでこんな導入なんだ?」と思ったんだよね。
そうしたら・最初からしのぶさん出てきてさ。そうか、「このための・顔隠すための前フリで逆光か」と得心してさ。
内容のミソはやっぱり、特車二課とテロリスト側の構図が同じだったことだね。繰り返しになるけれど。
柘植の直属だったテロリスト(2代目)、そして思想もポリシーもない灰原(3代目)。
そして、「灰原零」という象徴的な名前。灰であり零だ、と。
バスケットボールに「Ash」って書いてあるのを見た時は、どこかに「Diamond」も書いているかなーとか思ったけれど。
上では照れて書かなかったけれど、ありていに言っちゃうと、灰原って「戦争」の象徴だよ。
途中で判明する・彼女が偽名で正体は謎だという設定は、物語上は不必要なものであり、でもそうしたってことは・つまりはテーマ上には必要だということ。
だから、「特車二課の遺産」と同じありようだ、と書いたのです。
つまりは「いないからこそ存在感がある、」と。逆説的な存在。どちらも。
リンクしていると思うのです、この両者は。
それとビックリしたのは、『二課の一番長い日』もパト2も、「ほぼ戦闘なしに戦争状況を東京に出現させた」のに、今回はバリバリ戦闘させたってこと。
本当に東京を戦場にしたことだよね。
もちろん、実写だし観客サービスとしての戦闘シーン、ってこともあるかもしれないけれど。
でも発砲できずに部隊を全滅させた柘植と違い・結局はミサイル一発を打っただけだったパト2と違い、今回はヘリも高島さんも特車二課の面々も撃つわ撃つわ。
この違いってたぶん、押井監督の考え・心境の変化だと思うんだよね。
映画2と似て非なる点だよ、ここは。
そしてもう1つ、映画2との違いを感じたのは。
特車二課の連中が最終作戦に参加するか否か、逡巡があったこと。
野明や遊馬は、あの場面では迷わないじゃない? でも迷う、3代目の彼らは。
そして参加するのにも、明確な動機がない。ここに「参加に至る描写がない!」って指摘はごもっともなんだけれど、「それが彼らなんだよね」とも思う。
それが彼らのあり様ではないか、と。
だから今後のディレクターズカット版でも、灰原の背景などが描写されることは無いと思うし(それが故の存在だから)、特車二課の描写も深堀されるかなー、どうかなー、と半信半疑です、ぼくは。
でね。
そんな物語の無い敵味方のヒロインが、最後に。
一方は自分の不利を無視して・一方は相棒の的確な判断を否定して。正面から撃ち合う。
バスケですら背面でシュートをしていた灰原が、正面から突っ込んでくる。
正直ぼくは、ここにカタルシスを覚えましたよ。
ここまで物語にノッてないと、「何だよ最後だけ」って思うだろうけれど。
ぼくはのめり込めたので、純粋にイケました。
いやー、ディレクターズカット版の存在を知った時は、「じゃあ今回はスルーでいいか?」とも思ったのですが、見て良かったです。
押井実写であんなに興奮するとはね。
見終わった後、高いビールと日本酒買って呷っちゃったよ。
まあ強いて悪い点をあげればアレだな、クレジットにあった押井なんとか(片仮名)ってアレだろ、自分の犬の名前だろ(違ったらすまん)。
自分の子どもへの溺愛をまき散らすのはみっともないね。
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CGWORLD (シージーワールド) 2015年 05月号 vol.201 (特集:映画『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』、春の人体モデリング)
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2014年の映画視聴歴 [映画感想・実況]
が、昨年映画館で見た映画はごく僅か。毎年言っているな。
自宅で見た分と合わせて、ようやく50本超えか…全然ですね。
一応、昨年見た作品は防備録として残しておきます。
以下、映画館で見た作品。
『鑑定士と顔のない依頼人』
ぼくは、鑑定士にとって不幸なラストだとは思いませんでした。
『ゼロ・グラビティ』
ガンダム思い出しながら見ていた。面白かった。
『あかぼし』
富野ファンにはお馴染み朴さん主演。ぼくが見た映画館が出している小冊子には、「大島渚の『少年』に比肩する作品が現れた」みたいなことが書かれていた。
『海と大陸』
『リブ&イングマール ある愛の風景』
リヴ・ウルマンとイングマール・ベルイマンの関係を追ったドキュメンタリー。「複数の関係者の証言」をとる形式を廃し、リヴ・ウルマンの視点からのみ描いている。
ニュースでもドキュメンタリーでも、公正中立などありえない。取材対象に迫っていくのがドキュメンタリーの本質だと思っており、この映画の場合は単一の視点がプラスに作用している。
単純に言うと、最後泣いた。ベルイマンの映画を見たことがなくても、イケます。
『モーレツ宇宙海賊 亜空の深遠』
サービス精神の塊みたいな映画だった。限られた時間の中であれだけのキャラを動かし、戦闘シーンも種類豊富、コンピューターウイルス戦の見せ方も面白い。SFは門外漢だけど、今まで見てきたアニメの中で一番SFマインドを感じたかもしれない。

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『スタンリーのお弁当箱』
『無法松の一生』
富野がベスト10に選んでいる。
1943年阪妻版、つまりは戦争中に作られた映画。
阪妻が未亡人に自分の思いを打ち明け、「わしの心は汚い」と言って去る10分ほどのシーンが検閲でカットされている。「軍人未亡人に身分の低い男が言い寄るとは」という判断だったらしい。
また未亡人役の女優さんは、広島で被爆して亡くなった(いずれも映画館冊子より)。
当たり前のことだが、「戦争」という圧倒的現実の前には、映画も無縁ではいられないとスクリーンを見ながら思った。
『仁義なき戦い』
『たまこラブストーリー』
以下、見た直後のぼくのツイート。
たまこラブストーリー、完璧に近い。まず「告白されて、返事をする」、ただそれだけの内容で1時間半、飽きさせない内容にしたのがスゴい。やや(性格的に)ディフォルメされているキャラで心情を描くのは、普通のアニメより難しかったと思うけれど、ハンディを感じさせなかった。
そして見せ方も面白かった。たまことみどりが体育館で話している時の・余白を大胆に使ったレイアウト、カメラのピントを極端に描く廊下のシーンなど、飽きずに楽しめた。こういう表現に関しては、やっぱり今のアニメは楽しい。
難癖を付けようと思えば、ブラックコーヒー=大人の階段ってダサくね? とか、男の子の女親があんなに物分かりいいか? とか、何より親の恋愛なんて気持ち悪ぃよ! とかあるんだけれど、まあ・それでも満点でOK。
『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』
【ジャック・タチ映画祭】
『プレイタイム』
『家族の味見』(短編)
『ぼくの伯父さん』
『17歳』(フランソワ・オゾン)。
主演のマリーヌ・ヴァクトの脱ぎっぷりが良かったので、良い映画だった。
まあ真面目に言うと、(制作者にとって)過ぎ去った思春期を「特別な時期」として捉えすぎている気がするけれども、それを言ったら作品の根幹に関わるか。佳品。しかし外国では、中学生が参加できるあんな破廉恥なパーティーが開かれているのか…
『ゴジラ』(1954年版)
よく「空襲を連想させる」と言われるが、戦争を知らないぼくは当然3.11の震災と、その後の福島を連想して見ていた。
『次元大介の墓標』
個人的に『不二子』は駄目だったけれど、コレは良かった。「大人」であることを捨ててまで最後にあんなキャラを出したんだから、続編ちゃんと作って欲しい。
『クジラのいた夏』
真っ当な青春邦画。フェリーニの『青春群像』を彷彿とさせる要素あり。「冴えない男子の青春映画」との共通点で言うと、『桐島』と同じくらい話題になってもよかった気がするんだがなあ。
『坑道の記憶~炭坑絵師・山本作兵衛~』
炭鉱労働・生活の様子を、65歳を過ぎてから絵に描き始め、その作品(以前からの日記含む)が日本初となるユネスコ「世界記憶遺産」に登録された男性のドキュメンタリー。
権威付けるようであまり書きたくないが、他に登録されている「遺産」はアンネの日記やベートヴェン第9の自筆原稿など。
普通の人にとっては落涙する作品ではないかもしれないが、ぼくのように表現で挫けた人間にとっては、涙なしでは見られなかった。金も自己顕示欲からも遠くに位置する創作活動に、やっぱり胸打たれる。「孫や、またその孫達に、こんな悲惨な生活があったんだと思ってもらえれば良い」は、未来への期待感も込めた懐の深い言葉。
泣くわ、そりゃ。
『ガンダム Gのレコンギスタ 特別先行版』
『GODZILLA ゴジラ』
ゴジラの咆哮聞いて、映画館で見て良かったと思った。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
ついでに自宅で見た映画も。
『天のしずく辰巳芳子"いのちのスープ"』
『十三人の刺客』
2010年版ではなく、オリジナルのほう。必殺好きとしては、工藤栄一監督ということでワクワクした。
日頃利用している名画座でリメイク版が公開された時、映画館独自のパンフには「今更誰も見ないオリジナルについて話しても仕方ない」みたいなことが書かれていたけれど、小林信彦さんが邦画ベスト100に選んでいるので見た。
『縄張はもらった』
上記の作品と同じく、小林信彦さんが邦画ベスト100に選んでいたので見た。
『スカイフォール』
スーパーマンを描き続けた007シリーズで、加齢や過去作の否定を描くとはなあ。しかもそれを、楽しんで見る事ができた。
『THE NEXT GENERATION パトレイバー 1』
『THE NEXT GENERATION パトレイバー 2』
『THE NEXT GENERATION パトレイバー 3』
『THE NEXT GENERATION パトレイバー 4』
『THE NEXT GENERATION パトレイバー 5』
押井監督の担当作品以外は楽しめる、という事実。しかし初期OVAと同じ道のり「あれ、こんな程度?」を辿っているので、最後にはまだ希望を持っている。
『モンティ・パイソン 人生狂騒曲』
『エクスペンタブルズ』
スタローンとシュワちゃんとブルース・ウィリスが並んで銃をぶっ放すと思っていたのに…
『大いなる西部』(ウィリアム・ワイラー監督)
『日本の熱い日々 謀殺! 下山事件』
『パシフィック・リム』
『風雲児 織田信長』
『大人の見る絵本 生れてはみたけれど』(小津)
号泣した。傑作。
『マシンガン・パニック』
スター・チャンネルでやっていた、押井守がオススメする5本のうちの1本。原題は「THE LAUGHING POLICEMAN」だが、この邦題はどうよ。
『ウルヴァリン:SAMURAI』
日本の象徴の1つとして、ラブホテルが紹介されていたのは良かった。
『第3の男』
20数年ぶりに見たが、覚えてないものだな。
この映画が「名画」であるのは、リアルタイムの人間にしか本当には理解できないのではないかと思う(ツマリぼくにはワカラナイ)。
黒白の対比を鮮明に強調した画面とか、印象的なライティングとか、つまりはそういうことだとは理解しているんだけれど。
『フォロー・ミー』
ミア・ファローが「バイブス」って言ってた! バイブスって言葉、なんか現在のチャラい娘が生み出して言っている言葉じゃないんだ。
『のんちゃんのり弁』
映画館で見ているのだが、ちょうど深夜にTV放映したので、妻に見せたいため一緒に見た。子持ちは、最後泣けるよなー。
『悪魔の手毬唄』 (1977年)
ひっさしぶりに見た。さすがに大部分覚えていた。
『フレンチ・コネクション』
『華氏451』(トリュフォー)
『チャップリンのニューヨークの王様』
【吹替で蘇る!チャップリン笑劇場】
(サイレントのチャップリン映画に、著名な声優さんが声をアテたスターチャンネルの企画。面白いけれど、やっぱり故・広川太一郎さんが欲しかったなんて無い物ねだりをしちゃったりして)
『チャップリンの駆落』(かけおち)
『チャップリンの消防士』
『チャップリンのスケート』
『成功争ひ』
『雨に降られて』
『キューティーハニー 』(庵野版)
『エクスペンダブルズ2』
1より面白かった。終盤で、スターロンがヴァン・ダムに「立て」というセリフ、もう別な意味が生じるよなあ。
『私の優しくない先輩』
ヤマカン監督の実写。
以上です。
さて昨年は、年末にぼく個人にとっては大きなニュースが飛び込んできた。
ぼくが映画を見る際の頼りにしていた札幌の名画座「蠍座」が閉館したことです。
蠍座は2本立てでも安かったし、「ついでに見た映画が案外面白い」という体験を何回もさせてくれた。特に『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』と、『私の叔父さん』。
ベルイマン特集も印象深かったな。
2本立てを見る機会が無くなるということは、「興味が全くなかったけれど見てみたら良い映画」に出会う機会を失ったのと同義なので、これは寂しいです。
まあ蠍座で映画を見るって、信頼する料理人に任せてオススメのメニューを食べる、みたいなことだったんですよね。
蠍座閉館で、もう自分の幅が狭くなるのは仕方ない。来年からどうしよ。

年末は体調崩したし、咳が止まらなかったので・他の観客に迷惑になるしで、結局無料券使えなかったな。2枚も。
今まで、良い思いさせてもらいました。ありがとう。
映画視聴実況 『パシフィック・リム』 [映画感想・実況]
sakaitetsubetuaパシフィック・リム見始めた時に、新しい試みを思い付いたので早速やってみる。06/21 03:37
sakaitetsubetuaあ、実況なんで当然ネタばれアリです。あとパシフィック・リム初見。06/21 03:39
sakaitetsubetua最初から日本語出てきてビックリした。そして海底に眠っていた「怪獣」。ゴジラやんけ!06/21 03:44
sakaitetsubetua兄弟出てきて、操縦席が落下してフェードイン、この「落下(移動)する」無駄な行為にロボットアニメ魂を感じる。06/21 03:49
sakaitetsubetua「ドリフト」の設定は萌え系アニメに転用できそう。06/21 04:00
sakaitetsubetuaおお怪獣を災害に例えている。まさしく。06/21 04:02
sakaitetsubetuaこのフラグは俺にもみえたから、女の子ばっかりの下宿に住まわせてくれ。06/21 04:11
sakaitetsubetuaうーん面白いな。06/21 04:19
sakaitetsubetuaマーク3で古い機体か。違和感あるな。とか思っていたらメカニックが日本女性!06/21 04:21
sakaitetsubetua主人公も日本語喋った?! そしてオタクくさい奴きた。お前もメカニックだろ?06/21 04:24
sakaitetsubetuaこの娘最終的に乗るのかな?06/21 04:38
sakaitetsubetua鼻血?!06/21 04:43
sakaitetsubetuaキガエルンダ。06/21 04:46
sakaitetsubetuaしかし、富野小説を読んだ者としては「コー・パイロット」って字幕が気なる。コ・パイロットじゃないの?06/21 04:47
sakaitetsubetua芦田まな…だよな?06/21 04:57
sakaitetsubetua見たことないけれど、ゴーダンナーってこういうシステムなのかな。06/21 05:10
sakaitetsubetua3つ子がやられたー!06/21 05:19
sakaitetsubetuaやっぱ劇場で見たかったなコレ…06/21 05:25
sakaitetsubetuaオタクピンチ。06/21 05:32
sakaitetsubetuaこの怪獣、空を飛ぶ!06/21 05:37
sakaitetsubetuaロボット大戦に参加希望。06/21 05:38
sakaitetsubetua蛇腹剣! ガリアンソード!06/21 05:40
sakaitetsubetua喰われたぁぁァァ06/21 05:50
sakaitetsubetua3体目の予測外れは、伏線だろうな…06/21 05:54
sakaitetsubetua文系戦士頑張る。06/21 05:56
sakaitetsubetuaやばい。思わず泣きそうだ。06/21 06:01
sakaitetsubetuaセンセイ、アイシテイマス。なぜ日本人の日本語が片言なんだ。06/21 06:11
sakaitetsubetuaふぅ…面白かった。06/21 06:21
sakaitetsubetua腹からなんか出てきた(笑)06/21 06:31
sakaitetsubetuaスペシャルサンクスにキャメロンやクローネンバーグの名前あるなーと思ったら最後に(笑)。06/21 06:33