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6月にトゥエルビ(BS12)で放送される『ザブングルグラフィティ』を語る [富野監督関係]

 6月13日にトゥエルビ(BS12)で『ザブングルグラフィティ』が放送されるので、それを機に初見の人向け・また視聴済みの人にも読んでもらえるような一文を、残しておきたいと思います。



 これだけ長年ブログ書いていて、あんまり『ザブングルグラフィティ』に触れたことなかったな…

 『ザブングルグラフィティ』は1983年公開。TVシリーズ終了からおよそ半年後に公開されました。
 『ドキュメント 太陽の牙ダグラム』『チョロQダグラム』との同時公開です。

 作品自体もそうだけれど、「チョロQ」って時代を感じさせるね…10円玉でウィリーさせようか……


 TVシリーズ全50話を84分にまとめた…と言っても、いくら富野監督の編集が巧みでも・そんなことできるはずもなく、キャラクターの「躍動感を追った」ような作りになっています。

 ですから初見の人は「ストーリーを理解しよう」などとはせず、ただただ「キャラクターの行動を楽しむ」見方がおススメです。

 富野監督自身、『戦闘メカザブングル大全』における大塚英志さんとの対談で、


1年分のテレビバージョンをまとめて見せようと走ったら、『~グラフティ』はまさしく「Just Runnning!」だったんだから……。


 と、この映画の核心をひと言で語っております。

 そう、『ザブングル』では「走る」がテーマです。

 『ザブングル記録全集』4巻では、富野監督は以下のように記しています。


ジロンもラグもエルチも走ったが、僕も走り、結局、それにつられて2スタも走りまわって、終わった


 2スタとはサンライズ第2スタジオのことで、『ザブングル』以前には『ボルテスⅤ』や『ダイモス』を、『ザブングル』後には引き続き『ダンバイン』『エルガイム』などの富野作品を制作しました。

 この、制作陣を振り回すくらいに走ったキャラクターたちに焦点を当てたグラフィティ=直訳じゃ「落書き」になっちゃうな…なんだグラフィティって……
 回想集? 名シーン集? まあそんな『アメリカン・グラフィティ』的な作品が(ホントにそうか)『ザブングルグラフィティ』です。 

 もっとも当時の製作発表懇談会では、富野監督は「シリーズの後半をメインに、ストーリーが一応わかるようにした上で(中略)キャラクターにスポットを当てます」とおっしゃってはいますが。

 まあでも、普通の映画のように・ストーリーを追うことを、あまり重視しない方が楽しめると思います。

 劇場版に限らず、『ザブングル』は走る・動くキャラクターたちの生命力がウリですから…

 
 最近では少なくなりましたが、自作に厳しい評価を下すことが多い富野監督も、『ザブングルグラフィティ』には好意的な発言をしています。

 上記の大塚さんとの対談では、「本当にね、『ザブングルグラフィティ』は上手くまとまってましたね」と言っていますし、

 『ロマンアルバム・エクストラ 戦闘メカザブングル』では下記のような言葉が並んでいます。


あんなにイモっぽい作品だったけど、そのいいところをこうやってすくいあげると、かくもグラフィティになっていくのか、という感動すらあります。「グラフィティ」の話はメチャクチャとんでるし、絵も、アニメーターには申しわけないけど、あまりうまいとはいえない。でも、多少崩れていようがへただろうが気にならない。気にさせないくらい、作品自体にパワーがある。圧倒的なパワーがね。


これはもう、うぬぼれです。笑ってくれていいんですけど、ホント、この上なき愛すべき作品だ、ただのダイジェスト版とはちょっと違う。このやり方ってのはまねされるだろうっていう自信があるんです。最近フィルムに接すれば接するほど、この思いは強くなっていく。もう、圧倒的に大好き。我ながら、よくぞここまで惚れぬいたって感じです。


 とまで語っています。よほど愛着がある作品なのでしょう。

 TV版を見ている人には、TVシリーズとの相違や、「トロン・ミランが!」(逆に未見だと、「幻のトロン・ミラン(関西地区で)」ってなんだ? となるわけですが…)を楽しむことができますが、まあ「記憶の確認」みたいな見方になっちゃいますよね。

 未見の人には「ストーリーはよく分からなくて、あっという間に終わっちゃったけれど、なんか元気出てきた!」と視聴後に思ってもらえたら、富野監督ファンとしては嬉しいかな。


 ちなみに富野監督の自著『だから僕は…』では、『ザブングルグラフィティ』について、


映画にする上で、新たに描き加え、描き込んだ画面もないし(角川スニーカー文庫版320ページ)


 とか書いていますが、もちろん新作カットはあります。だから富野監督ファンほど、富野監督の言葉を信じられなくなるんだ(笑)。


 それと無責任な視聴者である私は、「キャラの動きを追った編集を楽しめば良いでしょう」とおススメしていますが、制作側は当然それ以上のことを狙っています。

 当時のプレスシートには、


「人気に後乗りして、興行成績の安定のみをはかるような企画者たちの体質に対しての反逆」
「映画は重く、もっともらしいものであるという、過去のタテ思考の人々への反逆」

 などの言葉が並んでいました(DVD『ザブングルグラフィティ』ライナーより)



 また、メタ的な発言も(「そう簡単に死ぬかよ! アニメでさ!」)含めてユーモラスなシーンがあった『ザブングル』。
 『ザブングルグラフィティ』にもそのテイストは当然あって、一番視聴者にインパクトを残したのは、おそらく着色がされていない「これが動撮だ!!」でしょう(未見の方は、ぜひ今回の放送でご確認ください)。

 このシーンは後年、2013年のTVアニメ『帰宅部活動記録』1話目で、「これが原撮だ!!」とパロディで再現されています。


※AmazonPrime会員なら1話目無料で見られます。該当シーンは23分過ぎ。


 しかしトゥエルビは最近、長井龍雪作品やサンライズロボット系OVAを放映したりと、アニメに力を入れてきていますね。

 ボトムズの総集編OVAなんて、今回放送されなかったら見返すことなかったかも。OP・EDがプラモだったの、すっかり忘れてた。


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ザブングルグラフィティ.jpg


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WOWOWプラス『伝説巨神イデオン 接触篇/発動篇 【アニメ術】』の富野監督インタビュー内容要旨 [富野監督関係]

 スカパーのWOWOWプラスで、2月に放送された『伝説巨神イデオン 接触篇/発動篇 』。合わせて、富野監督がインタビューに答える『アニメ術』も併映されました。

 その富野インタビューの要旨です。
 有料チャンネルだし、5月にも再放送予定なので、そのままの内容は載せません。

 全部見たいファンは、契約してください、ってことで。




 では以下要旨です。どうぞ。


 「公開されてから少なくともこの40年の間にイデオンのファンっていうのもいるわけです。そういう人たちに向かって今更何かを言う、言う必要がないくらいにファンの方は理解してくれている」

 「(『イデオン』の仕事が来た時は)次の仕事が来て良かった、それだけです。企画書っていうのは既にあったわけですけれども、そういうものが気に入る気に入らない一切関係ないんですもん。
そうなったらこういう嫌な言い方をします、巨大ロボットものを2本ぐらい重ねてできなかったらプロじゃないだろう、それだけです」

 「1クール目は本当に苦労もしたけれども、やはり新しい方向性のものができるかもしれないとは思った」

 「メカを作画するというスタッフが、ガンダム以上に定着した時期。メカだから嫌だよっていうのは、ガンダム時代はまだアニメーターにあったんです。というのがほとんどなくなってしまって、億劫がらずに作画してくれた。
 と同時にもう1つイデオンの時に褒められるのは、メカデザインっていうのがガンダムほど複雑じゃなかったので作画がしやすかったというのもあります」

 「(タイミングの良い動きなどを)ワンカットの中でポンってやってくれちゃうっていうアニメーターが何人か出てきたわけです。で本当に何人かがやっぱり出始めたということが、それ以後のこの種の作品を作る上で圧倒的戦力になっていったんじゃないのかなという風に思ってます。
 対抗意識を持っていた、宮崎アニメが動き始めたということもやっぱり大きな要因としてはあったということは言い添えておかなければいけないことです」

 「(劇場版は)本当は作りたくはなかったという気分はあります。
 劇というのは起承転結がある、あってお客さんに納得してもらうものなのが劇作として考えたら0点と言うしかないんだよね。という風に思ったから」

 「20年目ぐらいの時に接触篇を見た時に正直ちょっとびっくりしたことがあるのは、そうは言うけれどもカスカス(?)、話は分かるかもしれないっていう見方になっているっていう風に、それは現在でも自惚れています」

 「自分の一生だけを考えれば、アニメの世界にいて良かったなという風に思ってます。というのはアニメの世界にいるおかげで実を言うと自分のエリアっていう部分での本音を吐き出しているのがあるので、言ってしまえば僕が人殺しとかテロをやらないですんでたっていうのはものすごく自覚しています」

 「本当にめんどくさいんだけれども僕の世代なんです、僕の世代と僕のような気質だったんで、だからガンダムでありイデオンを作れたんであって、やっぱり今にして思うんだけど他の人には作れませんね」

 「スポンサーから叩かれるし、局のプロデューサーからてめえ死んじゃえって言われるし…だから時代がかかせたんじゃないの。僕みたいなやつが好きにやらせるとああなるし、好きになってやったにしてもアニメでもイデオン止まりなのよねって」

 「例えばイデオンっていう作品を作った富野さんっていう監督がねって、『未知との遭遇』のスピルバーグと同じぐらいにね、力のある監督なんだよって言えたはずなの。
 そういう言葉が絶対に出てこないっていうのは、そういうことを言う奴はどこにもいない。で、それだけの話なの」

 「褒めるのはガンダムを作った富野という部分でしかない。いやいや俺ガンダム全部やってないんだけれども、20年前に作るのとっくに辞めてるんだけれども、だけどガンダムの富野だもん。未だに」

 「本当に人間ってそのくらいね、趣味の指向性って狭いんですよ。そういう意味ではまさに力不足で、『未知との遭遇』ぐらいにファンを獲得できるように作っておければよかったけれども、悔しいけどそういう風には作れなかった」

 「映画論とか文芸論的な、自分で評価してほしいっていう風に本当にこの40年間思ってましたけれども、そういう風潮は全く出てこないというのはなぜかと言うと、今言った通り巨大ロボットものだからなんです。
 巨大ロボットものにそういうメッセージがあるなんて絶対に思わないわけよ、映画評論家と言われている種族の人たちには。現にトム・クルーズが出てるわけじゃないし。
 トム・クルーズが声当ててればおそらくイデオンはあっという間に違うでしょう。っていうのが映画の世界なのよ」





 「巨大ロボットアニメだって言うレッテルを貼られているからイデオンっていうのはこうやって生き延びてるんで、もうちょっと生々しかったらやっぱり袋叩きになってたろうなと思います。だって徹底的に隙がないんだもん」


 要旨は以上です。

 例えばカマリアの声を倍賞千恵子さんがあてたからと言って、そんなに強い影響を与えたのかな?
箔がついたとは思うけれども…




 ところで全く話題が変わって、余談なんだけれど。
 萩尾望都さんの『一度きりの大泉の話』、ホント面白いよ。




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 大泉サロンについてはもう1つ、作家さんが書いている新書もあるけれど、ぼくはスルーでいいかな。

 あの本、『一度きりの大泉の話』を読むと、書名にしている漫画家の一方には、一切話を聞いていない本ってことになるよね…その件について取材NGにしている漫画家名を・書名に入れてもいいんだな……




 IMG_20200730_015522.jpg


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