衛星劇場で押井監督の『御先祖様万々歳』放送 [アニメ周辺・時事]
CSの衛星劇場で5月、押井守監督の『御先祖様万々歳』が放送される。
「俺たちのOVA特集」の中の1つ。
昨年末、旧ツイッターで「『御先祖様万々歳』はどこでも配信されていない」という呟きを見かけたので、今回の放送は貴重と言えるかもしれない。
たしかにぼくが契約しているAmazonプライム・ネットフリックス・U-NEXTでも配信されていない。
『舞台「鉄人28号」』や『ガルム・ウォーズ』なら未配信もありえるが、『御先祖様万々歳』は配信されていると思い込んでいたので、意外だった。
『御先祖様万々歳』は、通常の「アニメ作品」として見ると肩透かしを食らうかもしれない。
「やや先鋭的な舞台作品をアニメ化した」と思って見始めたら、すんなり消化できるだろう。
特長(「特徴」ではない)は、饒舌すぎるセリフ回しと、それに負けない古川さん・勝生さんをはじめとする声優陣の演技合戦にある。
キャラクターの動きを見ながら、長いセリフを存分に楽しむ。
押井作品特有のテーマ性もあるが、個人的にはあまり意識しない方が良い。
『御先祖様万々歳』には、全6巻をまとめた劇場版『MAROKO 麿子』もあるが、冗長さこそが魅力の1つなのだから、やはり『御先祖様万々歳』の方が楽しめる。
本作の最大の見どころは、主人公が雪の中を進むラストシーンだ。
押井作品のモチーフの1つである飛行船が飛び、その飛行船はセイダカアワダチソウと同じ黄色をしている。
主人公とその飛行船の関係性が、そのまま主人公とヒロインの暗喩なのだが、そこは見てのお楽しみ。
押井監督の盟友とも言うべき、川井憲次さんの音楽がこのラストシーンを盛り上げる。
数々の押井作品を彩ってきた川井さんの劇伴だが、ぼくはここで流れる「胡蝶の夢」(このタイトル! 第6話のタイトルでもある)が一番好きだ。
※最初「です・ます調」で書き始めたが・調子出なかったので、エラソーな文体にした。
悩むも楽しい「80年代アニメソング総選挙」ベスト10選び [アニメ周辺・時事]
今現在、Re:minderさんでは「80年代アニメソング総選挙」を行っています(3月10日まで)。
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— Re:minder - リマインダー (@reminder_top) February 18, 2024
投票受付中!#80年代アニメソング総選挙
ザ・ベスト100
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200曲のノミネート楽曲から、あなたの大好きな80年代アニメソングを 【10曲選んで順位を付けて】投票してください。
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選ぶ時間は至福のとき
メッチャ楽しいですよhttps://t.co/f5YnhiKibi
リストに上がっているのは、もちろん80年代のアニソン全部ではないけれど。
でもリストを見ていると面白くて。
ホントはTwitter(現X)で10曲選ぶだけで良いんだけれど、ひと言添えたい! という欲求に抗えず。
ブログに書くことにしました。
ここから10曲選ぶの、難しいけれど楽しい。
『愛・おぼえていますか』は最初、飯島さんのアルバムを集めていた身としては、
「愛おぼより、飯島さんの曲で好きな曲いっぱいあるからな」と思ったので除外していた(『Angel Night~天使のいる場所~』を入れなかったのも同様の理由)。
でも「アニソン」として考えた時、「映画のコントラプンクトの代表例は、ぼくたちの世代では黒澤の『野良犬』ではなく、マクロス愛おぼだよな」と思い返していれました。
甘いラブソングと激しい戦闘シーンの対比!
良い曲ですよねー。
TVの前でラジカセを置いて、録音したおじさん・おばさん「あるある」の思い出が。
某音楽番組ではお馴染み、サビが「ミファミレド」の代表曲の1つ。
この曲も、杏里さんの『CAT'S EYE』も1983年発売。
「アニソンだけれど、歌謡曲としてもヒットした」現象は、この年が元年なのかなー、と個人的には(もちろんジュリーの劇場版ヤマトの曲とか、83年以前にもあるけれど)。
作品にマッチして、暗い内容の歌ですよね(笑)。
でも諦念だけではなく、そこが良い。作品観を体現しているような、理想的なOPだと思います。
あの内容だけれど、主題歌は王道というか、ラブコメに合った内容というか…本当に変な作品ですよね。うる星BDって。
この曲はオリジナルもいいけれど、『えびてん』(懐かしいな)で披露された阿澄さんバージョンも好き。
個人的に80年代と言えば『めぞん一刻』、『めぞん一刻』の曲と言えば斉藤さん…ではなく、ピカソなんですよね。
かなり後年、ピカソの森さんと森雪之丞さんが兄弟と知った時はビックリした。
今回の投票リストに入っていない『ファンタジー』も『サヨナラの素描』も良いけれど、当時、『シ・ネ・マ』が一番リピートしたかな…
あ、『ファンタジー』のカップリングだった『濡れた瞳のピクチャー』も好きです!(ピカソのベストアルバムで聞いていたので、『ファンタジー』のCWとは長年知らなかった)
中原めいこさん、wikiによると現在歌手活動は休止中らしいけれど、ある年代のアニメファンにとっては、この2曲で(他にもあるけれど)特別な存在になっていると思います。
アニソンが現在のような位置ではなかったので・いまさら言っても詮無いことだけれど、今でも活動を続けていらしたら、アニソンシーンを語る際に外せないような存在になっていたかも、と夢想してしまいます。
どちらも好きですが、曲のイントロと・ケイのシルエットの早いカットがビッタリと合っているロシアンルーレットを上位に。
ATXで1話目無料放送していたので見た。やっぱりこのopにはノスタルジーそそられるなー。 pic.twitter.com/HdwEyB8Go5
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) May 13, 2015
前に長嶋有さんが(この場合はブルボンさんと書くべきか)、ラジオで「有名じゃない方の主題歌」を紹介していて。
『セクシーアドベンチャー』とか『走れ正直者』とか。
その中で、『デリンジャー』も紹介されていて。
で、です。
作品の感想って、もちろん個人の視聴体験に拠りますよね。
北海道では何故か、キャッツ・アイって2期→1期の順で再放送されたことがあって、ぼくその順番で見ているんですよね。
別に1期とか2期とか作品中にクレジットされている訳ではないから、長い間デリンジャーを「最初のシリーズOP」と勘違いしていたんですよ。
だから、もちろん杏里さんの『CAT'S EYE』はヒット曲として知っていたけれど、キャッツ・アイのOPとしては『デリンジャー』が先で、より印象深いという個人的現象が。
ちょっと…30年以上振りに・自分の間違いを知ったんだけれど、デリンジャー(キャッツ・アイ2期OP)の歌詞、「それはもう一人の誰か」の時のコーラス、ずっと「あいつと」だと思ってた。I need you moreだったのか!
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) December 18, 2020
まだ西川貴教さんが今ほどメジャーじゃない頃、オールナイトニッポンを始めたばかりの頃。
アニソン(というかロボットアニメの曲限定だっけ)を紹介するコーナーがあって、この曲をかけ終えた後、第一声で「これなんてアイドルの曲?」って笑いながら言ったんだよね(笑)。
分かる。
なんかアイドルソングのニュアンスある。
まあ、そこを含めて好きなんだよなあ。
作詞はお馴染み秋元康さん。
作曲は『違う、そうじゃない』の中崎英也さん(奥井雅美さんの『I WAS BORN TO FALL IN LOVE』好きです)。
『メロスのように』が1位になった…我ながら意外。
入れたかったけれど・10曲に入れられなかった曲がたくさんあるな…
富野作品が1曲も入っていないのは、これはもう、正常に判断できないので…
他の曲にはない、「聞きすぎて飽きがきている」というのもあるし。
何より富野作品を入れたら、それだけで10枠埋まってしまう。
選ぶのやっぱり悩みつつ楽しかった。
皆さんもどうですか。
『古見さんは、コミュ症です。』と、『コミュニケーション不全症候群』 [アニメ周辺・時事]
『古見さんは、コミュ症です。』のTVアニメが始まりました。
漫画をほとんど読まない私には珍しく、全巻買い揃えている作品です。
アニメに先行して放送されていた実写ドラマ版は、ちょっと見ていられず、10分もたたずにギブしてしまいました。
でもアニメ版の1話は、面白かったです。安心しました。
今後、原作の特長の1つであるオノマトペ(と言っていいのか)も活かしてくれそうな演出で、そこも期待が持てます。
さて、原作全巻持っているのに・今更なのですが、ぼくはアニメの1話目を見て、作品タイトルに含まれている「コミュ症」が、「コミュニケーションが苦手な症状」の略称であると再認識しました(表紙の折り込みに書かれているだろ)。
「コミュ症」だけだと、得手にも不得手にもとれるので、考えてみるとちょっと変な略称ですが……
でも個人的には全く違和感がない理由の1つは、「コミュ障」という言葉があるからでしょう。
「コミュ障」とは、
ネットスラングとして使われている「コミュ障」は、他者とうまくコミュニケーションがとれないこと、コミュニケーションが苦手なことを意味しています。(コミュニケーション障がいは日本の国民病?!仕事における上手な付き合い方とは)
とあります。まあ、古見さんの「コミュ症」はこれですよね。
この作品においては、コミュ症=コミュ障と考えて問題なさそうです。
ぼくがもう1つ、「コミュ症」という言葉に違和感を持たなかったのは、大昔に、『コミュニケーション不全症候群』を読んでいたからです。
作者は中島梓(敬称略にします)。栗本薫名義で、『グイン・サーガ』や『魔界水滸伝』などの人気作も書いていた作家です。
ぼくが持っているのは文庫版ですが、『コミュニケーション不全症候群』が最初に発売されたのは1991年。もう30年前か……
『コミュニケーション不全症候群』を略すと、「コミュ症」でしょうから、それでぼくは『古見さんは、コミュ症です。』の「コミュ症」にも引っかからなかった。
中島は、第1章の最初の文章で、「現代に生きている私たちは全員、『コミュニケーション不全症候群』である」と指摘しています。
あ、ちなみに「コミュニケーション不全症候群」は中島の命名です。
中島は私たち全員が「コミュニケーション不全症候群である」と断じた上で、その特徴を次の3点にまとめています。
1、他人のことが考えられない、つまり想像力の欠如。
2、知合いになるとそれが全く変わってしまう。つまり自分の視野に入ってくる人間しか「人間」として認められない。
3、さまざまな不適応の形があるが、基本的にそれはすべて人間関係に対する過剰反応ないし適応不能、つまり岸田秀のいうところの対人知覚障害として発現する。
最近のSNSの話かな? とも錯覚しますが、これが書かれたのは30年前、Twitterどころかネットすら…の頃に書かれたものです。
中島は具体例の1つとして、林・アグネス論争をあげていますが、そんなもの・もう誰も内容を覚えていないでしょう。
でも、この特徴は最近の出来事にも当てはまります。
ツイッターでは毎日のように、誰かが誰かを叩いているしね。死ねとも言うし。
もちろん、中島が指摘するコミュニケーション不全症候群の特徴は、古見さんの「コミュ症」には当てはまりません。
むしろ古見さんは、想像力が働く=相手の気持ちをあれこれ考えてしまう、故に他人とのコミュニケーションが取れなくなっているキャラなので。
数日前、TLで「ヒロインの男性恐怖症は惚れる前振り」みたいなツイート見かけたけれど、まあ古見さんのコミュ症話も「克服して友達(ついでに彼氏)を作る」ものだしね…
それでも『コミュニケーション不全症候群』を出して、一銭にもなんねー記事を書こうとしたのには、理由があります。
『コミュニケーション不全症候群』の第2章・第3章は「おタクについて」であり、その中で以下のような記述があります。ちょっと長いですが引用しましょう。
(従来の「人嫌い」や「社交下手は)それはどういうタイプの社会にもいたような、適用の形のひとつにすぎないのであって、じっさいには必ずどういう形で適応しなくてはいけないということはまったくないから、たくさんの友達は持たないがごく少数の親しい友人ときわめて親しい交友をもつとか、極端に言えばまったく友達はいないがそれで別段本人も困難を感じていなくて平和に自分の世界に閉じこもって暮らしている、というような場合には、なにも社会のほうが「友達百人できるかな」の世界だけが正常であるというような思い込みでもってそういうタイプの人間を圧迫したり切ったりすることがなければ、そういう個体でもまったく問題なくごく平和に暮らしてゆけるのである。
もっとも今の日本の社会では、そういう「やや適応していないが一応適用している」個体を、あまり好意的な目で見なかったり、あるいはもっと積極的にからかいの対象としたりすることがよくあるので、その結果として、「友達百人」タイプのみが正常であってそれ以外のものは異常、ないし異常予備軍、という構造が大変に出来上がりやすい。(カッコ内はブログ主)
最後の「異常」あたりは、ひょっとしたら・若い人には実感しづらい部分があるかもしれないけれど、まあ当時はオタクがものすごい迫害されていたんだと、ぼんやりお考えください。この文章を引用した第2章は、この後宮﨑勤の話になっていくので。
この文章での「友達百人できるかな」は当然、 まど・みちおさん作詞の童謡『一年生になったら』を念頭に置いているものと思われます。
TVCMに使われていたこともあり、ある一定より上の年齢層には呪詛のように頭に残っている童謡でしょう。
面白いことに、作者は意図しておらず偶然でしょうが・『古見さんは、コミュ症です。』は、中島のこの文章と真逆のようにキャラ設定がなされています。
古見さんは友達が数人でもいい、なんなら友達ゼロでもいいから快適に過ごしたい、ではなく「友達100人作りたい」フンフン! と思っているのです。
本来、ヒロインがコミュ症の場合、「それでも心の通じ合う少人数の親友・あるいは恋人ができる」というストーリー分岐が一番あるのかな、と思います。
しかし古見さんは友達100人作りたい。
そこが、『古見さんは、コミュ症です。』の魅力の1つであり、軸の1本となります。
古見さんは人付き合いが苦手なキャラですが、それでも「好意的な目で見られなかったり」「からかいの対象となったり」とはなっていません(むしろ崇められている)。
これは、『コミュニケーション不全症候群』発刊から30年経って、社会が変わったからでしょうか?
そうではなく、『古見さんは、コミュ症です。』の世界観が特殊なのでしょう。
クラスメートはほぼ全員がヘンであり、だからこそ古見さんも「好意的な目で見られなかったり」「からかいの対象となったり」はしません。
あと美人なので崇められている。
奇異なメイクで浮いていた留美子ちゃんもクラスになじみ(キャラの「なじみ」ではない)、サンデーうぇぶりの最新回では『久保さんは僕を許さない』の主人公みたいな特性を持つクラスメートも、見つけられてアッサリ受け入れられます。
違う…俺が大昔に知った「コミュ症」って、こういうことじゃないんだ(笑)
『コミュニケーション不全症候群』自体は、結構重い内容の本で、中島自身は「陰鬱なカルテ」と評しています。30年後、同じ名前の「コミュ症」を冠したコメディ漫画が現れるとはね。
アマゾンから、『コミュニケーション不全症候群』(Kindle版)の説明を抜いてみましょう。
おタク、ダイエット、女性による男性同性愛への関心などを扱い、変容する社会において危機的な状況におかれた自我のあり方を、自身も拒食症・過食症に陥り、また「真夜中の天使」を嚆矢としてやおいと呼ばれるジャンルを拓いた体験を踏まえつつ描いた問題作。刊行当時若者の共感と批評家からの絶賛を浴びたものの長らく絶版となっていたが、いま電子版として復刊される。
古見さん、コミュ症だけれど、だからといって何かにのめり込んでもいないしな…
しかし現在は、もはや「友達100人作らなくてもよい」はかなり広まっている認識だと思うんだけれど、どうしてこの設定にしたんだろ。
そこが「面白い」と引っかかるところなんですよね。只野くんと心通わせるだけでいいはずなのに、と。
まあこの設定が、物語の推進力になっていることも確かなので…
長くなってしまった。同じ「コミュ症」を冠した、2つの作品のご紹介でした。
周回遅れで『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を見た、ファンサの行き届いた終幕だった(ネタバレあり) [アニメ周辺・時事]
昨日、遅ればせながら『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を見てきました。
この時期に見るくらいだから、当然熱心なファンではありません。
友達と「『ナディア』の庵野の新作が始まるらしいぜ」とTVの前に座った、本放送の1話目。面白かったなー。
「なんかスゴイの始まったぞ」感。
録画しておいたビデオテープを、何回再生したことか。
でもぼくは、TVシリーズの後半にはもう、熱が冷めていたように記憶しています。
この前なにかのTVで、あの「長い時間・キャラクターが動かない演出」をプラスな面として紹介していて、ビックリしちゃったよ。
そうか、あれは特「長」ということになっているのか。特「徴」ではあるけれども…
TVで最初に見た時は、「これキツキツなのかな」って想像していたけれど(笑)。
その後も、劇場版は一応全て映画館で見ているけれど、1回きり。内容もほぼ覚えていない。
だから『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は、新型コロナもあることだし、見ても見なくても良いな、くらいの気持ちでした。
でもこれまでずっと映画館で見ていたのだから、最後も見ようか、と重い腰を上げたのが昨日。
結論から言うと、見て良かったです。
まあ、ぼくのTLでは、ネタバレをした人はどなたもいなかったけれど、ツイートの端々から、たぶん最後は『Air/まごころを、君に』でやったことを、もう1回ドレスチェンジして描くんだろうな、とは思っていたので。
終盤パートは「やっぱりこうきたか」と思いました(マリエンドなのはツイッターで見かけていた)。
レイのラストシーンでは、カメラやセットがあったせいか、エヴァの旧劇版より・今村昌平の『人間蒸発』を思い出したけれども。あれ、意識しているんじゃないのかな。
映画冒頭、まず艦を有線ファンネルのように使うオープニングの戦闘シーンで・「そうだそうだ、エヴァってこういうSF的なアイディアも魅力の1つだったよな」と思い。
その後延々と続く農業シーンでは。
「ああ……MAGIへの侵入回とか、TVアニメでSF的センスオブワンダーに触れた気がしてから25年以上経ち、農業シーンを長々と見ることになるとはなあ…」と。これは、
嫌味や皮肉ではなく、本当にちょっと感慨深いものがありました。
庵野監督の興味が移ったのかな、とまで考えました。庵野監督、サッポロポテトバーべーQ味やベビースターラーメンが主食のままだったら、あの農業シーンにはいかないと思うんだけれど(笑)。
観客もスタッフも年をとった。上映前のCMでは、『シン・仮面ライダー』と『シン・ウルトラマン』が流れているんだもの。どういうことだ。
あの村パートは「シンジの回復」と「レイの人間性の獲得」の2つを描くので、長い尺がいるのは当然。いいんです。
「シンジを描くの辛そうだな、逆に綾波の描写は『筆がノッているな』」と思って見ていたけれど……村の序盤、世界観説明のためだけしか主人公が効いてないの・ちょっと辛いよな……
それより、懐かしい面々が出てきたり、「トウジと委員長なんて意外やろ?」みたいなツッコミ待ちセリフがあったり、何より(物語的には全く必要のない)レイの制服姿も出てきて。
「ああ、俺みたいな『TVシリーズを見ていたくらいの軽い視聴者層』もしっかりフォローしているんだな」と、制作陣のおもてなし・ファンザ―ビスを感じましたよ。
念のために書いておくけれど、制服が好きってことじゃないよ。作品へのノスタルジーってこと。
レイってさあ、TV放映当時、人気のあるキャラクターだったんだよね。
泥酔した俺の友達が、「綾波好きだー!」と叫んでいたのを思い出してしまった。なんて不毛なんだ……
俺はあんな人形のようなキャラクターより、断然アスカの方が好きだったけれど。
でも人気あるから、最初のレイが死んだ時、色んな意味で理解できなかったもんね。
だって、「次の綾波」なんか来ても、そこに感情移入できないじゃん。だから「あれ、これなんだ?」ってのと、「ホントに殺したの?」とか、当時色んな思いがね。
だからさー。
今回のシン・エヴァ見た時に、「あ、綾波がもう1回ヒロインやっている」と思って。
それもちょっと、ファンサービスに思えたんだよね。
ラスト、あったじゃん。なんかエヴァが次々といなくなるシーン。
俺のような熱心ではない視聴者には、ちょっと覚えていないエヴァまで。丁寧に1体ずつ消滅させていく。
もう復活しないように。
アナザーストーリーでも、
リブートでも、
外伝でも、
スピンオフでも、
20××でも復活しないように、丁寧に殺していく。エヴァを。
見ている途中で、「これ、分散しているガイナックスも含みたかったのかなあ」と邪推したけれど(笑)。
あのシーン、「子殺し」とも言えるけれど、長い年月が過ぎたせいか、そんな悲惨さはなく。
念入りに幕を閉じているな、復活しないように細心の注意を払っているな、と。
それに、キャラクター4人それぞれに、ちゃんとエピローグを描いてあげたところも、クリエイターとして真摯な態度だな、と思ったし。
だからどういう結果でも満足できるんだよね。
カオルくんが「渚司令」だったとか、本来ならけっこうなギミックだったはずなのに、「もうどうでもいいや」感あったもん。
「ああ、そうなの。でもいいんだ、よく頑張ったね。お疲れ様、ご苦労様」って感じ(笑)。
改めて考えると、ヘンな見方だなー。手塚スターシステムの役者を見ている、ような。
それこそ・ここら辺から、映画的にはメタ的な視点を導入して、作品世界と現実世界のミックスを始めていたので。
その意味では俺、素直な観客だったと思うよ。スタッフというより、キャラクターに向けて「ご苦労様」と思っていたんだもん。
TV放映当時、エヴァの最大の魅力は「大風呂敷を広げておいて・閉じない」だと思っていたので。
なんとか形付けて終らせようとすると、やっぱ敵ボスが割食うよね。
もう動機が弱い。ユイユイ言っているけれど、今回の世界設定では、赤木親子に手出してないの? とも思うし。
あんなに精巧なクローン作れるなら、それでユイを作って慰めてもらえばいいでしょ、とも。
かと言って、細田監督みたいに「親子」を描きたいわけじゃないだろうから。もう、ちょっと辛いなって。
衒学的味付けが『エヴァ』の持ち味だったんだから、行動の理由なんて謎のままでいいのに。
まあ今回の映画の難点は、ここだけかな。
他のエヴァ映画と同じく、もう1回見ることはないだろうけれど、劇場で見て良かった。確かに終幕だった。
お疲れ様。
レインボーだったろ!
あとシンエヴァでもう一つだけ。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) June 28, 2021
さすがパチンコマネーを吸い上げただけあって、「おお確確じゃん」と思わせるシーンが2回(笑)。
『カノジョも彼女』が面白い理由・無視する「関係の唯一性」 [アニメ周辺・時事]
ぼくはあまり漫画を読まないんだが、TLでオススメされていたので、『カノジョも彼女』をちょっと読んでみたのが昨年の7月。
その後、数か月経ってからの感想だけど。下のぼくのツイート。
久しぶりにカノジョも彼女読んだ。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) October 22, 2020
大昔に某社会学者が書いていた「パートナーの唯一性」とか、談志師の「業の肯定」みたいな言葉が頭をよぎるんだが、「2人の彼女を大切にしたい」というパワーワードにどうでも良くなってしまうな(笑)
この時、本当に「ちょっとブログで『カノジョも彼女』の記事書こうかな」と思っていたんだけれど。
しつこいようだが漫画に疎いので、初読の時には気づかなかったんだが、再読した時に。
あ、この作者さん『アホガール』や『マンガ家さんとアシスタントさんと』の人だ、と気づいたので。
じゃあギャグというかコメディ成分多くなるだろうし、おじさんが真面目に語るのも野暮か、と思ってやめていました。でも。
マガジン史上最速でアニメ化されることが、昨年発表され。アニメ化するなら、やっぱり書いておこうかなと思い直しました。仕事もちょっと空いて、時間に余裕できたし(確定申告の準備しろ)。
さて、『カノジョも彼女』がどんな漫画かは、皆さん知っている前提で進めます。
知らない方は、主人公・高校生の直也が、可愛い2人の女の子「咲」と「渚」どちらかを彼女として選べず、合意の上で2人とも「彼女」として交際を始めるラブコメディだと考えてください。
あと、Kindle版が1巻無料になっているので、興味あれば(専用デバイスなくても、パソコンで読めるよ)
『カノジョも彼女』の設定は無論、漫画少年誌に一定数存在している「ヒロイン選択系ラブコメ漫画」へのアンチテーゼ…は大袈裟か、パロディーなのは明白です。
公式のポスターでは「ネオラブコメ」なるキャッチが使われていますが、「誰か1人を選ばないで・どちらも選ぶ」設定が、「ネオ」なのでしょう(たぶん)。
思えば「ヒロイン選択系ラブコメ漫画」は、少年誌では・大昔はあまり見かけなかったように思います。
「南ちゃんと由加どっちを選ぶだろう?」とか、「まどかとひかる、どっちエンド?」なんてことを考えている読者はいなかったでしょう(どっちのみゆき、はあったかも知れないけれど…)。
少年誌における「ヒロイン選択系ラブコメ漫画」の走りは、個人的には『魔法先生ネギま!』(2003-2012年)とか、『いちご100%』(2002-2005年)とか、そこら辺からかなとは思うんだけれど。異議があればご自由に。
まあ多分、ラノベとか、ゲームのマルチエンドとか、もちろん青年漫画とか、色んなジャンルの影響を受けながら、現在まで続く少年誌の「ヒロイン選択系ラブコメ漫画」が成立していった、という流れではないでしょうか。
さて、少年誌における「ヒロイン選択系ラブコメ漫画」において、主人公の少年は「誰を選ぶか」については悩んでも、「なぜ1人だけを選ばないといけないか」について、本格的には悩みません。
勉強ができる成幸くんも、同じく勉強ができるフータローくんも、ヒロインの間で揺れ動いたりしても、根本的な問題である「なぜ1人だけを選ばないといけないか」=「関係の唯一性」については考えません。自明の理となっています。
『カノジョも彼女』が秀逸なのは、秀才の2人が悩まなかった「関係の唯一性」について、主人公の直也くんは真摯に悩み、真摯な結果として「二股状態」を作りだした点です。
そして、「二股」をギャグの必殺武器にして・読者を笑わせにきます。
ところで男女間における「関係の唯一性」への疑問は、少年誌の「ヒロイン選択系ラブコメ漫画」以外では、当然のように大昔からテーマになってきました。
小説では掃いて捨てるほどあるでしょうし、映画でも同様です(愛の不毛、アントニオーニ!)。
そして勿論、漫画にもたくさん、そして昔からあります。読まないから知らんけれど、おそらくエロ漫画でも・ハーレムエンドの作品なんて山のようにあるでしょう。
さて昔のある漫画について、社会学者さんが書いた『まぼろしの郊外』という本の一部を以下に引用します。
ちょっと長くて、難しい言葉もあるかもしれませんが、『カノジョも彼女』ファンは、是非読んでみてください。
『カノジョも彼女』の面白さが、より深まるはずです。
翌七八年には、「関係性モデル」としての恋愛マンガが、少年誌に取り込まれる。先鞭をつけたのが、少女マンガを書いていた柳沢きみおの『翔んだカップル』だった。
当初は「乙女ちっく」的な「思いは通じない」モチーフ、ないしは「乙女ちっく」以前的な「誤解ドタバタ」モチーフが中心だったが、連載開始数カ月たつと、ディスコミュニケーションの中身が徹底して深められ、シリアスドラマに変じる。
『翔んだカップル』が興味深いのは、「ロマンチック・ラブ」にまつわる根源的弱点が、極めて深いレベルまで探求されていることだ。
弱点というのは「関係の唯一性」の問題である。
ロマンチック・ラブにおいては、相手に恋する理由は完全に「主観的」である。理想的属性も、愛する本人にとってしか意味を持たない。
この主観性がロマン主義的と呼ばれるゆえんだが、主観性は「根拠のなさ」に一直線に通じる。
「恋愛」は偶然の出会いによって情熱をかき立てられるが、問題は、情熱がかき立てられてしまう理由にある。
「かわいいと思うから」「自分に似合いだと思うから」「センスがいいから」「一緒にいると疲れない」……。
相手を好きになる理由はいろいろあろう。
でもこうした理由は相手が「唯一の相手」であることを少しも証明しない。
かわいいと思う相手はいくらだっている。自分に似合いだと思う相手だって、センスがいいと思う相手だって、疲れないと思う相手だって、広い世の中にはたくさんいるに違いない。
だからそんな理由で相手を愛するのは、むしろ相手がその人でなくてもいいことを証明していることになる。
『翔んだカップル』『新・翔んだカップル』『続・翔んだカップル』と長きにわたる連載(『続・翔んだカップル』は書き下ろし)を通じて、主人公・勇介は「関係の唯一性」を追求し、それを確証できずに苦しむ。
唯一性を確証しようと多くの異性と関係すればするほど、どの異性も例外なく相対化されてしまう。そんな相対的な相手に「命がけの恋」はできないが、「命がけの恋」への憧れはそれこそ身も世も焦がすほど…(宮台真司著『まぼろしの郊外 成熟社会を生きる若者たちの行方』朝日新聞社、196-197ページ)
引用文のあとは、「こうしたマンガが登場した背景には、性愛コミュニケーションの自由化がある」と続きますが、それは置いておいて。
『カノジョも彼女』に興味があって、この文章を読んでくれている若い皆さんは、『翔んだカップル』なんて読んだことないと思います。
実はおじさんのぼくでも、世代ではないので未読です。
柳沢きみおさんというと、『青き炎』だったり『DINO』だったり、ドラマが放送されていた『特命係長 只野仁』だったり。
正直、「え、あの絵柄でラブコメ?」と思いますが…
『翔んだカップル』の掲載紙は、偶然にも『カノジョも彼女』と同じ週刊少年マガジンです。
『カノジョも彼女』のもう1つユニークなところは、「関係の唯一性」は無視して二股をしている直也が、「関係の唯『二』性」は守ろうとする点です。どうしてだオマエ。
まあ、「二股はするけれど真摯」「三股は拒む」というのが、この漫画の(特にセリフにおける)ギャグ部分の最大の武器になっているのも理由だと思いますが…
おそらく、『カノジョも彼女』創作の着想は、「ヒロイン選択系ラブコメ漫画」ジャンル自体のパロディーだったと推測します。
しかし偶然にも、同じマガジン誌上で、30年以上の時を経て・男女の「関係の唯一性」を疑う漫画が登場しているのは、面白い現象ではないでしょうか。
『カノジョも彼女』では、すでに次のヒロインも出てきています。
しかし直也は、積極的にアプローチされ続けても、(今のところ)その娘に対しては・彼女にすることを拒絶しています。
「二股している2人に悪いから」です。どうして二股は良くて、三股はダメなんだ…
物語冒頭で「関係の唯一性」を否定した『カノジョも彼女』は、「相手の気持ち」を根拠にして関係性を守ろうとしています(今のところ)。
この漫画の笑いの根本には、男女間の「関係の唯一性」の拒否があるのですが、
まあ逆説的になりますが、「関係の唯一性」が笑いになるってことは、読者がまだ「関係の唯一性」を信じているからこそ笑える、ってことでもあるんですけれどね。
さて「関係の唯一性」を求めている・現在進行形の少年漫画として、『目黒さんは初めてじゃない』を紹介しましょう。
分冊版だから序盤少しだけれど、これも無料で読めますね。
目黒さんは初めてじゃない 分冊版(1) (パルシィコミックス)
- 作者: 9℃
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/11/28
- メディア: Kindle版
『目黒さんは初めてじゃない』はまんがアプリ『Palcy』で連載されています。
アマゾンの紹介欄では「非処女JKと童貞高校生のピュア少年漫画ラブコメ」と書かれています。
数多くの男性と付き合ってきた(まだ高校生なのに、ぱっと人数が出てこないくらいの男性と付き合っている)ヒロイン・目黒さんが、回を重ねるにつれ、主人公である「古賀くんでなければいけない理由」を見出し始めています。
この『目黒さんは初めてじゃない』には、複数の彼女がいる(彼女たちに納得させている)サブキャラ・国見佑真くんも登場します。
ヒロインの造形といい、国見くんの存在といい、「関係の唯一性」にかなり自覚的な漫画と言えるでしょう。
『カノジョと彼女』がギャグで「関係の唯一性」に迫るなら、『目黒さんは初めてじゃない』は割と真面目に「関係の唯一性」を描いている漫画と言えるのではないでしょうか。
もう1つ、ヤンジャン連載なので「少年向け漫画」とは言えないかもしれませんが、『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』にも触れておきましょう。
君のことが大大大大大好きな100人の彼女 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
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ぼくはこの漫画もTLで知りました。ありがたい。
『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』は、『彼女もカノジョ』と同じように、ギャグテイストで男女間における「関係の唯一性」を否定しています。
なにせ100人の「運命の彼女」が出てくるので。
しかも宮台さんが上記の著作で指摘している、「唯一の相手である証明」も解決しています(「唯一」ではなく「唯百」だけれど…)
何故なら神様が、100人の女性を「運命の相手」だと決めているからです。
そんな訳で、『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』は「関係の唯一性」も「唯一の相手である証明」もやすやすと乗り越えて、連載を続けています。
内容上、悪い意味で「キャラクターがキャラクター化していっている」のが玉に瑕ですが……
あと、『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』には原作と作画がそれぞれいらっしゃるのですが。
読んでいると、大昔に何かに書いてあった「小説は『宇宙を埋め尽くすような大艦隊』と1行で済むけれど、作画は大変なんだぞ」みたいな一文を思い出すんだよね(笑)。
100人揃ったらどうなるんだ。
彼女たちがみんな仲良いので、そのうち、『桐島、部活やめるってよ』や小説版『幻魔大戦』みたいに、主人公いなくても話進んでいったりしないかな。
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TVアニメ『虚構推理』が面白過ぎる理由(ややネタバレあり) [アニメ周辺・時事]
どうも。
えー、ひと時お付き合いのほどを。
自由時間とTVアニメの放送本数が釣り合わないので、積読ならぬ積アニメ状態が10数年以上続いているわけですが。
そんな中、先日『虚構推理』を見始めました。
原作小説を読んだこともなく、コミカライズ版にも触れたことなく、事前知識ゼロで。
いやー、面白い。
まず、後にヒロイン・岩永琴子自身が同じようなことを言っちゃうのですが、「この世に住みづらい・居場所のない」者同士が、バディになる基本設定が良い。
ボニー&クライド、ブッチ&サンダンス、湧太と真魚……そんな前例を出すまでもなく、こういう組み合わせには無条件で「良い…」と降伏してしまいます。
さらに、そこに幽霊や妖怪など、怪異を組み合わせた設定にも興味をそそられました。
怪異×謎解きテイストって、たぶん先例がたくさんあると思うのですが、どうも1話を見る限り、作風的には本格推理っぽい。怪異×本格推理となると、これはどんな化学反応…いやドラマ反応? なんでも良いけれど、それを巻き起こすのか興味を持ちました。
ちなみに1話目のラストで、男性主人公の桜川九郎が不死身であることが明かされ、「あ、これ人魚の肉食ったな! 湧太だ、湧太」と思ったのも、個人的にはちょっと興奮しました。まあ勿論、人魚の肉の伝説は昔からある伝承だけれども…
ぼくが・更におおっと思ったのは2話目、本格的な第1の事件である「ヌシの大蛇は聞いていた」を見た時でした(図書館の事件は「顔見せ」のようなものなのでノーカン)。
この2話目「ヌシの大蛇は聞いていた」は。
ある事件に関して、怪異の大蛇を納得させるため、ヒロインの岩永琴子が様々な推理を開陳するストーリーです。
はじめは、この作品の最大の特長が分からなかったので。
名探偵役を務める岩永琴子が、延々と披露した謎解きを自身で「この説はないですね」とあっさり否定した時は、「こんなに長く説明しておいて、違うのかい!」と思ってしまいました。
しかし話が進むにつれ、「あ、これ多重解決型ミステリーだ。『毒入りチョコレート事件』だ」と興奮してきました。
多重ミステリーは、hontoの説明から引用しましょう。
考えられる可能性のなかから、ただ一つの真実を導き出すのがミステリー小説。そのなかでも、複数の「真実に見える仮説」を提示するストーリーを多重解決型といいます。
そして『毒入りチョコレート事件』はアントニイ・バークリーによる有名な推理小説です。
先ほどはhontoから引用したので、今度はAmazonから『毒入りチョコレート事件』の内容紹介を引用しましょう。
ロジャー・シェリンガムが創設した「犯罪研究会」の面々は、迷宮入り寸前の難事件に挑むことになった。被害者は、新製品という触れ込みのチョコレートを試食した夫妻。チョコレートには毒物が仕込まれており、夫は一命を取り留めたが、夫人は死亡する。だが、そのチョコレートは夫妻ではなく他人へ送られたものだった。会員たちは独自に調査を重ね、自慢の頭脳を駆使した推理を、一晩ずつ披露する――。誰がこの推理合戦に勝利するのか。本格ミステリ史上に燦然と輝く、傑作長編。
『毒入りチョコレート事件』は有名な作品ですが、ぼくはミステリーマニアでもなんでもないので、読んだのは数年前。
しかし
「事件はどのようにでも推理しうる」
「どの推理にも反論はなしうる」
そして、
「『真実』を明示しない」
という、アンチミステリーと呼びたくなるような内容に、大きな衝撃を受けたものでした。
そして『虚構推理』の2話目で行われていたことは、まさにそれでした。無事に事件解決と思いきや、最後にもう一捻りもあります。
さすがに「真実」については岩永琴子が述べますが、実はそれですら推測でしかありません。
2話目視聴時点で、ぼくはまだ『虚構推理』という作品のメインが分かっていませんでした。
なので、
「視聴者はおそらくスカっとした解決を望んでいるだろうに(真実はいつもひとつ!)、『毒入りチョコレート事件』のような構造を・実質的な第1の事件に持ってくるとは、なんてチャレンジングな試みなんだ!」と感動しました。
しかし見続けるにつれ、チャレンジではないことが分かりました。
この2話目は、以後の・最終話まで続くであろう(まだ8話目までしか見ていないんです)本題の事件「鋼人七瀬編」への慣らしでした。
『毒入りチョコレート事件』では1つの部屋で行っていたことを、
『虚構推理』2話目「ヌシの大蛇は聞いていた」では怪異である大蛇相手に行っていたことを、
3話目以降の「鋼人七瀬編」ではネットの声相手に行っていくことになるのです。
『虚構推理』には『毒入りチョコレート事件』とも、そして普通のミステリーとも大きく違う特徴があります。
それは、「犯人捜し・推理」がない点です(その意味では、ぼくが初見に感じた「本格推理」は間違えていた)。
「怪異たちの知恵の神」である岩永琴子は、事件現場にいた怪異に聞いて、真実を即知ることができてしまうのです。
ぼくはこのシーンを見た時、星さんか筒井さんか平井さんがエッセイに書いていた(忘れた)・一番短い推理小説、
超能力探偵「犯人はお前だ」
を思い出しちゃったよ。
同じような解決法を、実際にアニメで見ることになるとは(笑)。
さて3話目からの「鋼人七瀬編」では、「ネットの声」という不特定多数を相手に、嘘を承知で「真実を構築していく」という対決が始まります。
ここで初めて、作品名『虚構推理』の真意も分かります。
ダグラムだと「Not even justice, I want to get truth」ですが、『虚構推理』だとjusticeとtruthが逆のような…そして正義じゃなくて「それらしい真実」になるのかな。
「鋼人七瀬編」は大蛇ではなく、ネットで意見する人たちが相手になるわけです。
そこにアンチミステリーの枠を飛び越えて、現代性を孕む訳ですが、そこを云々言うのは趣味じゃないしツマラナイので、スルーします。
岩永琴子が推論を出し、それをネットの人たちが反論していく構造は、(1人対多数という構造すらも)『毒入りチョコレート事件』と同じで、やはり『毒入りチョコレート事件』好きとしては興奮します。
さらには『毒入りチョコレート事件』と違う点もあります。
それは、「大人数が納得するストーリーを提示する」という行為は、実はミステリー作家のそれと全く同一です。
ここにきて、「怪異によって真実はアッサリ判明する」作品である『虚構推理』は、アンチミステリーの枠さえ超えて、ミステリー作家のメタ小説的要素さえ帯びてくるでのです。
『虚構推理』は、BS日テレでは今週が最終回ですが、huluやアマブラで配信されています。興味を持った方は、ぜひ見てみては?
蛇足。
岩永琴子のCV鬼頭さんなんだけれど、キンゲのアナ姫演じていた方と混同していた。鬼頭さんお2人いるのか……
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NHKの特集ドラマ『 黒蜥蜴(くろとかげ)-BLACK LIZARD-』、案外悪くなかった [アニメ周辺・時事]
あの内容自体は、富野監督自身がインタビューで何回か言及しているので、目新しいものじゃない。
例えばこのインタビューとか。これとか。
でも4000RTされているってことは、それだけの人が「そういうことか」って思ったってことでしょ(勿論そうじゃない人もいるだろうけれど)。
なんか、このブログが・良くても1日2000PVが限界の理由を垣間見た気がして(笑)。
えー……。
この前の休日、午前中に清張原作の『ゼロの焦点』(1961年版)を見まして。監督野村芳太郎、脚本橋本忍・山田洋二なので、安心して見始めたのですが。
「おお、これが後に定番となる『崖の上での謎解き』か」などと思いながら。楽しめました。
で、その後。午後からNHKBSで、『 黒蜥蜴(くろとかげ)-BLACK LIZARD-』が再放送されてましてね。
なんだろコレと思って、見てみたのですが。
少年探偵団生まれ・天知版明智育ちのぼくにとっては、乱歩原作の映像化って「真面目にバカバカしいことをやる」が肝要だと思っているので。
その意味で良かったー。
「どうやって潜水艦(原作では小汽船)に乗り込んだんだろう?」とか、「人間椅子に閉じ込められたはずなのに、どうやって?」みたいな疑問にいっさい答えない潔さとかね(皮肉じゃなくて、マジで良かったと思っています)。
近未来の設定で。
「なんか近未来にする意味があるのかな?」と思っていたんですが、その設定によって、「変装」の仕様が変わる。黒蜥蜴のマークにも意味が出てくる。
お、いいじゃん! と。近未来設定が生かされている。
桜山陽子(原作明智いわく「親も身寄りもない孤児なんだよ。しかも少々不良性をおびたモダン・ガール」)のキャラ造形に、SF設定を一捻り加えたのも良い。
正直、自殺を考えていた失業娘を替え玉に仕立てる原作明智より、この設定のおかげで・今回の明智は随分とマトモな人間になった気もする(笑)。
ちょっと残念なのは終盤の、原作ではあるのに・今回のドラマではカットされたシーン。
「NHKでどこまで映像化できるんだろう?」と楽しみにしていた「恐怖美術館」(美しい男女の人間剥製展示)と、その人間剥製に化けて待機していた警察官たち、というバカバカしさをそのままやってくれるかな、という期待が裏切られたこと。
「賊のアジトに潜入した刑事たちが、なぜ人間剥製のフリをして待機しているのか…」と大半の読者は疑問に思うクライマックスシーンであろうが、むろん大乱歩は答えを用意している。
この捕物を充分効果的にするための、明智の指図であった。刑事とて、洒落を解せぬ朴念仁(ぼくねんじん)ばかりではないのである。
朴念仁ではないのだ! ここも是非、映像で見たかったな…
※文中の引用部分は、全て青空文庫版からのものです。
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リスアニ「ガンダムシリーズ」音楽大全発売日決定と、『この世界の片隅に』の絵コンテなどがunlimitedで読める。 [アニメ周辺・時事]
前から情報は出ていた、
『リスアニ! Vol.40.1「ガンダムシリーズ」音楽大全 -Universal Century-』
『リスアニ! Vol.40.2「ガンダムシリーズ」音楽大全 -Other Centuries-』の発売日が3月26日に決定しました。
まあぼくは、『音楽大全 -Universal Century-』の方にしか興味がありませんが…
こちらの方では、富野監督と森口さんの対談も気になりますが、もっと気になるのは川添智久さんのインタビュー。
「富野監督が書いてきた『STAND UP TO THE VICTORY』の歌詞が子ども向けだったため、書き直した」と、遥か昔に読んだ記憶がある・川添さんのインタビュー。その記憶が事実なのか、ぼくの勝手に作り出した偽の記憶なのか……それが数十年ぶりに明らかになればなあ。
「いけいけガンダムみたいな歌詞だった」とおっしゃっていた記憶まであるんだけれど。
さらには。その前にアルバムを出していて、それにアニソンっぽい曲もあったので、オファーが来るよ・来るよと言ったらホントに来た、というエピソードも読んだ記憶があるのですが。
後年、調べてみたんですけれど、時期的に合うようなアルバムが見当たらないんですよね…
俺の偽記憶だったらどうしよう……(なんのために作り出された記憶なのか)
リスアニ! Vol.40.1(M-ON! ANNEX 644号)「ガンダムシリーズ」音楽大全 -Universal Century-
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さて富野監督とは関係ないが、もう1つ書いておこう。
この前知ってちょっと驚いたのだが、
『「この世界の片隅に」 劇場アニメ原画集』
『この世界の片隅に 劇場アニメ公式ガイドブック』
『この世界の片隅に 劇場アニメ絵コンテ集』
ってAmazonKindleunlimitedで読めるんだね。
どれもまあまあの値段するのに…。ついでにといっちゃなんだが、のんさんが呉に行っている本もラインナップにある。
アンリミテッド、ラインナップが随時入れ替わるので、いつまで読めるか分からんけれど。
ちなみにぼくは、とびとび・トータルで1年くらいKindleunlimitedを利用しているけれど、定価で利用したのって1か月しかないな……
しょっちゅう割引しているし。利用してから、アニメージュの「富野に訊け!!」も毎号読むようになった。
ま、Kindleunlimitedをすでに利用して、『この世界の片隅に』が好きな方への情報でした。
(しかし富野作品のコンテは、パッケージ商品の特典扱いにされているのに…『この世界の片隅に』はちゃんとコンテ集が発売されて…ブツブツ……)
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押井監督・小黒さん・上坂さんによる『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』のコメンタリーを見て、例の定説は怪しいのでは? と。 [アニメ周辺・時事]
録画しておいた、オーディオコメンタリー付き『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(シネフィルWOWOW放送)を見ました。
うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー [デジタルリマスター版] [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2015/01/21
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出演は押井監督、上坂すみれさん、小黒祐一郎さんの3人。
すみぺさんの「なんか長らくBlu-rayが出なかった幻のすごい面白い『うる星やつら』があるらしい」という・知ってか知らずかの先制ジャブから始まったコメンタリーは面白かったです。
内容の詳細は、視聴できた契約者のみの特権で書かないとして。
しかし出だしは良かった上坂さん、その後は不調目立ったなー。上坂さん好きなんだけれど(年は大きく違えど・誕生日が同じなだけで応援したくなる)。
「しのぶのパジャマは誰のものか」(これ、何回も見ているのに考えたことなかった…)といい、
「しのぶを見ている例の男」の正体といい、
陽炎の中を戦車同士がすれ違うシーンといい、
押井監督の言っていることを聞いてなかったり、少しピントのズレた反応だったり。
しのぶのパジャマに関しては、すみぺさんが「しのぶちゃんが来る時用にあったかもしれない」とか言うので、押井監督は「いやー……許嫁って設定が最初あったんだけどね」と答えてたな(笑)。
『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』のほかに、上坂さんと押井監督は同局で『空軍大戦略』『ミッドウェイ』のコメンタリーもしていて、それは普通に楽しめたのですが。この時は不調だったな。小黒さんいて良かった…
押井監督自身は、けっこうサービス満点に解説してくれた。
冒頭の戦車シーンでは、小黒さんが話を戻したけれど。
全編掘るところだらけの映画なのでね。
少なくともぼくは、正直戦車の話は別な機会に、と思ったので(笑)。
さて『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』好きなら、ラストについてある説を聞いたことがあると思います。
それは、本編では本来3階だった学校が(冒頭では2階)、4階になっていた。
夢から覚めたと思ったラストの世界でも、学校は3階のはずなのに・2階になっている。これは実は、まだ夢は続いているのだ…という解釈ですね。
ラストに夢邪気出てくるしね。まだ夢の世界をループしている……
解釈としては嫌いじゃないし、例え監督の意図とは違っても、その解釈は「アリ」だと思います。
そもそも感想や解釈って、「正解探し」じゃないしね。
で、その上で。この解釈の根拠の1つって、劇中でサクラによる「築60年。モルタル木造3階建ての時計塔校舎、いつから4階建てになったのかの」ですよね。
ところが今回のコメンタリーで、ここが白眉だとも言えるのですが。
小黒さんがこのシーンで、「サクラさんがもともと『木造モルタル3階建て』って言ってるのが間違いなんですね?」と念押ししてくれたんですよ。
でかい! これはでかい!
その質問に、押井監督は「もともと2階建てだったりするからさ」「(サクラは)一見冷静そうに見えるけれど、じつはやっぱり夢の中の登場人物として冷静な存在じゃないっていうかね」と答えています。
小黒さん、さらに「ふだん2階建てである校舎に対して、3階建てだっていっているのは夢の中に入っちゃっているからだ、という解釈でよろしいですね?」と念押ししています。
そこからは、TVシリーズでは適当で、2階になったり3階になったり、って話に(笑)。
ただこの会話で、少なくとも押井監督の中では、あのラストは現実に戻っているんじゃないのかな。2階が正解なんだからね。
そうなると、夢邪気が邪魔なんだけれど。
とにかく、(押井監督の中で)「2階が正解」と分かったのは大きかった。
さらに、今回のコメンタリーで、ラストについて押井監督は「シリーズ自体、この作品自体も終わらせようと思ってやった。だから鐘を鳴らした」(このコメントも小黒さんからの質問)とまで言っているのでね。
ただ今回のコメンタリーを踏まえると、作品を終らせようとしているのに、最後キスはさせないんだよね。ラムとあたるに。
押井監督は「キスさせたら(2人の関係は)終り」だと考えていて、だから「シリーズ自体、この作品自体も終わらせようと思った」のなら、最後キスさせりゃいいのに。「チューだけは避けた」。
ここらへん、もうちょっと説明してもらえれば…
校舎は2階に戻って正解。夢邪気は出てくる。キス=終りにはさせない。だからたぶん、俗に言う高橋留美子作品の「終りのない日常」に戻った、と考えるのが素直なのかな。そして完結を知らせる鐘がなった、と。
原作におけるラストシーン「今わの際に言ってやる」=終らないが、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』における「キスはしない2人」=終らない、なんじゃないかな。
某SF作家は、原作『うる星やつら』と『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の関係を、「軒を貸して母屋を取られる」と言ったけれど(笑)。
でも今回のコメンタリーを見てラストシーンを考えると、いや、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』って高橋留美子スピリットに沿っているなって気もしてきたよ。
今回のコメンタリー、これ見るためだけにシネフィルWOWOWと契約して良かった。
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大塚康生さんのドキュメンタリー 映画『飄々~拝啓、大塚康生様~』を見た [アニメ周辺・時事]
どうも。ひと時お付き合いのほどを。
前回のブログ記事「『忘れじのカルチャー倶楽部 クラッキクロニクル 〜タイムマシンに気をつけろ!〜』のテーマ「ガンダム」回で、吉田健一さん登場」で、シネフィルWOWOWと契約したことを書きました。
そのシネフィルWOWOWで先日、大塚康生さんのドキュメンタリー 『飄々~拝啓、大塚康生様~』
が放映されていました。
当ブログを読んでいただいているような方には、大塚さんは説明不要ですよね。
ぼくは不勉強で、この『飄々~拝啓、大塚康生様~』を知らなかったのですが。
トムス・エンタテインメントが制作した映画で、2015年にイベントで1回、さらに杉並区の映画館1館で1週間だけ上映されたようです。
これが、かなり面白くて。72分間のドキュメンタリー。
おおすみ正秋さん、小田部羊一さん、高畑勲さん、田中敦子さん(少佐ではない)、月岡貞夫さん、富沢信雄さん、友永和秀さんなどなど、そうそうたるメンバーがインタビューに答えているのですが。
最初は組合の話が多くて(笑)。一緒に見ていたけれど・東映動画の例の騒動を知らないぼくのカミさんが、「組合ってなんの組合?」と聞いてくるほど、そのテの話多いの。
高畑さんや大塚さんが作っていた、社内啓発用の新聞(ガリ版)なんかも映し出されていた。ちょうどその紙面のレイアウトが「飛び降り」していて、仕事柄ちょっと気になっちゃったんだけれど(笑)。
その新聞では、高畑さんが「副委員長」として囲み記事で紹介されていた。
あと、おおすみさんが『太陽の王子 ホルスの大冒険』をこき下ろしているところも良かった。
「(大塚さんは仲間意識があるから作品を)悪く言えない」
「支持しなった大衆の方が悪いとか(中略)はっきり言って全然面白くなかったよ」
「あれは組合万歳で(中略)この世にヒーローはいりませんと(中略)どこが面白いんだよ」
と散々なの(笑)。
まあぼくは、そこまでツマらないとは思わなかったけれど。冒頭の戦闘シーンの作画とか、素人のぼくでも「スゲー」と思うしね。
それと、意外だったのが、高畑さんが日本アニメ特有のリミテッドアニメについて、肯定的に言及しているところ。
しかも流石の・うなる指摘でもありました。
日本のアニメは全然動かない、口パクとあとはポーズで決めていくっていう段階から入っていって、そこから段々動きに目覚めていくんですね、逆に。(中略)
大塚さんが主張する動きで、というだけでは日本のアニメは発達しなかったんだということを、ちゃんと言っておくのが公平だと思うね。ぼく自身は動かすものをできるだけやろうとしてきた方なんですよ。(中略)動かさないでも表現できる、ということを開発したところに日本のアニメの新しい特長があったんだよね。
どうですか。これを、あの『かぐや姫の物語 』の監督が言ったのかと思うと(笑)。
この話の後に、おおすみさんが『巨人の星』の絵について話すのを持ってくる構成も面白かった。1話で一球しか投げないとか。
あと大塚さん、全般的に饒舌気味だったのに、『リトル・ニモ』あたりから口数少なくなってきた印象あって。
最後の「まだ描きたいですか」の質問で。あれ、やんわりとだけれどインタビュー切り上げたよね。
そこらへん、突如訪れた緊張感も良かったです。あのインタビュアーさん、わざとなのか鈍感なのか。
さてちょっと関連している話で、もう1つ違う話題も書いておこう。
『飄々~拝啓、大塚康生様~』では、大塚さんが監修を務めた『ルパン三世 風魔一族の陰謀』については、触れられていなかった。この作品には「監督」がいないので、大塚さんはけっこう重要な役割を果たしていたと思うのだが……
『風魔一族の陰謀』は、山田康雄さん存命中に、山田さんはじめキャストが一新された唯一の作品。
しかし批判が多く、この一作だけで元のキャストに戻ったらしい。
詳しくは小黒さんのWEBアニメスタイルなどを。
さて先日、Abemaの番組『声優と夜あそび』のゲストが、その1作だけのルパンこと古川登志夫さんで、この時の心境・そして現在の心境について語っています。
このYouTube動画は公式です。
よくこの話題をぶっこんだな、と思うけれども(笑)。古川さんは「(声優の)仕事を辞めたくなっちゃうくらい」だった、と当時を振り返っております。興味のある方は見てみては。
ちなみにこの動画には含まれていない本放送では、衝撃の事実? も。
某アニメの主人公、実はCV古川さんで決まっていたそうです。
それが古川さんを推していたPが諸事情で抜けたことで、別な方に決まったそう。
古川さん、その作品名を明らかには言わなかったけれども。
古川さん「昨年、何周年とかで話題になった……」
谷山さん「あっ。街を…」「掲示板にメッセージを」
とか、もう作品名を明言するかしないかだけで、視聴者にもはっきり分かったけれども。
最終的には古川さん、「でも結果的に良かったと思います。彼は事務所名を『冴羽商事』にするくらい、思い入れているわけだし…」みたいなことまで言っていたので(笑)。
そうかあ。どうなっていたのかな、古川獠だったら。
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BS11「Anison Days(アニソンデイズ)」の笠原弘子さん回文字起こし [アニメ周辺・時事]
カサハラー!
ブログのほか、最近はこんな公式サイトも。
これまででぼくが唯一、部屋にポスターを貼った声優さん。今からウン10年前…
ビデオ(!)も持ってたなー。
今回の出演は、「どうせ『空へ…』だけでしょ」と思っていたのが、パトレイバーの主題歌も歌ってくれたので満足。
ホントは・多くのファンがおそらくそうであるように、松宮恭子さんとの作品群が一番だけれども…
ほかに『You & Me』とか、初期の軽いポップスも好き。
あと、『ヒ・ロ・イ・ン』もいいなー。この曲、ロードスOVAの歌をてがけた伊藤薫さん(加藤いずみさんが別名で歌っていた曲)と、金妻=恋に落ちての小林明子さんがてがけているんだよね。
それとカバーもよかった。正直白状すると、『白いページの中に』は長年カバーだとは知らなかった…
だめだ、おわらん。そんなわけで、はしゃいだついでに文字起こしです。
ガバガバ文字起こしです。発言は笠原さんのみ。
(芸歴40年について)
そうなんです。もうビックリなんですけど。自分でも。
(その当時・5歳のことは覚えてる?)
全然覚えてないんですよ。
(動画サイトで見れちゃうとかは?)
いやー分かんないです。全然見ないんですよ自分のを。そうなんです。なんか怖くて。
(森口さん・「ひろこっていい名前じゃない?」)
そうですよね。
(どんなアニソンに影響を受けてきた?)
私やっぱりちっちゃい頃から魔女っ娘が大好きで、『魔女っ子メクちゃん』がやっぱり大好きだったんで、今YouTubeでそういうのを見たりすると、歌えて、歌詞とかもやっぱり覚えてて、小さい頃見ていたアニメってやっぱり覚えてるんですよね。
本当に魔女っ子になりたいっていうのがあったので、歌をうたわせてもらって、二十歳くらいのころだったんですけど、スイートミント(注・『不思議の国のスイートミント』)で魔女っ子の役をやらせていただいて、すごく思い入れがありますね。
(アーティスト人生で欠かせない楽曲は?)
やっぱり大好き、今でも大好きなのはパッと浮かんだのが、『もういちどLove you』という、マクロスの曲ですね。当時、小さい頃から、役者として活動させてもらいつつ、歌もなんかうたわせてもらうようになるきっかけというか、声優さんがうたうとかっていう歌ではないような、本当に自分の人生経験だったり、なんかそういうものが見透かされるような曲だなっていうのが、なんか(森口さん「ごまかしが効かないぞ」って)というのがあったので、すごくそこが、なんだろうな、歌えて良かったし、勉強にもなったし、その曲で本当変わりました。もっともっと歌いたいと思いましたし、もっとこの曲を伝えられるように、歌えられるようになりたいなと思いました。その時に。
今の私があるのは、大袈裟ではなく『もういちどLove you』を歌わせていただいたことが、なんかきっかけにホントなってて。純粋に今、自分が好きな曲としてもあげれるし、自分が歌っている曲としてもあげれると言うか。
(『コンディション・グリーン~緊急発進~』について)
オリジナルの歌とかも、なんかファンタジーな感じの歌が多かったんですね。だけどパトレイバーのコンディション・グリーンは元気でパワー貰えてみたいな、元気な曲をいただいたことによって、笠原弘子=元気のイメージがついてくれてというか。 元気な感じの歌もいただけるようになったと言うか(注・初期に『DoDoドピンク・パワー』という元気…いや、なんでもない)。そこがすごく転機でしたね。(森口さん「幅が広がった」)そうですね、幅が広がりました。
酒井さんによる『コンディション・グリーン』の解説、編集の根岸さんの話など。そして歌唱。
リアルロボットのアニソン特集。
フリップ、「番組が選んだリアルロボットのアニメ楽曲たち」。当ブログは富野作品好きブログなので、一応、富野アニメからは『めぐりあい』『乾いた大地』『エルガイム-Time for L.GAIM-』が入っていました。
(フリップの中で弘子ちゃんは気になるのありますか?)
『銀河漂流バイファム』ですかね。私が中学2年生の時に、初めて声優さんとしてお仕事をいただいて。(なんか覚えてます?)野沢雅子さんと初めてのアニメの作品でご一緒させていただいて。なのでベテランの方に囲まれながら、でウチの劇団から4人くらいお世話になって(注・冨永さん、難波さん、菊池さん)学校のようにちょっとそこでお仕事させていただいたんですけど、必ずやっぱり初めての経験だったので、皆さん大人の方が終ったあと収録ちょっと残されて、子どもたちの部分だけやったりとか…
あとその当時、初めてサインをくださいとかって言われて、用意してなくて、最初普通に名前を書いて(笑)。いろんな「初めて」の記憶がありますね。
(歌手としても活動したことにはどんな影響あった?)
役者もやらせてもらってて、歌もうたわせてもらっていることが両方とも、どっちにも影響があって、役者をやってたことによって小さい頃から、ふっとその中の世界に入っていける。ので、笠原弘子として歌っている曲でも、その世界観に入って歌うと楽しくなるというか。
(「オハナシカ。」の説明)
歌をうたったりすることはライブ活動などでやらさせていただいたりできるんですけども、役者の部分ではやっぱりなかなか、自分から発信ってなかなかやってこなかったので。それをちょっと模索していた時に、ちょうどなんか「オハナシカ。」って言葉が降りてきて。
(お告げみたいな)
そうなんです。お友だちがカフェやっていたりして、そこに私がちょっとお借りして、お一人お一人に本を読むとか、っていう活動をしたいな、と思って。歌とか全くなしで。それを4年前くらいにやり始めたんですね。
今でも場所は変わったんですけれども、 毎月やらせてもらっていて。それが皆さんにとっても月一の楽しみな時間になってくださっていて、そういういわゆる「オハナシカ。」っていうのが屋号になってて。 それが今すごい大事と言うか、笠原弘子ともう一つ「オハナシカ。」というのが増えたと言うか。
(ライフワークみたいな)
はい。
(笠原さんにとってアニソンとは)
小さい頃から夢や勇気をもらっているのがアニソンなんですけれども、今になってからはパワーをもらっていますね。自分が歌うこともそうなんですけれども、小さい頃のアニメソングを聞くこともすごくパワーの源になっているので、やっぱりこう、勇気づけてくれるエネルギーの源ですね。私にとって。
(『空へ…』について)
この曲も自分の中で宝物一つなんですけれども、いろんな曲の中でもやっぱり若い方々がお会いした時に言ってくださるんです。大体必ず『空へ…』を聞いてましたとか、好きでしたとか。なので知っていただくっていう時には、やっぱりこの曲が1番喜んでくださるかなと思って選びました。
以上です。
しかし、森口さんの「アーティスト人生で欠かせない楽曲は?」に、『もういちどLove you』をあげたのは、意外だったな。
『アッセンブル・インサート』から『あ~る』『パトレイバー』と続いた、ゆうき作品のどれかじゃないんだ…まあその後、みっちり『コンディション・グリーンの話したからね。
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ぼくたちが好きな「世紀末(ハルマゲドン)と世紀末後」の世界 [アニメ周辺・時事]
仲良くしてください。
常連の方は今回もよろしくお願いいたします。
さて今回はいきなり、著名な3人が語る「世紀末」に関連した文章を引用して、記事は始まることになります。
(前略)だがこの滅亡のイメージは、思い返しても「恐怖」の言葉とは裏腹に、どこか甘美さを漂わせていたのだった。ただ、それに気づかなかっただけなのだ。
自分ではない絶対的な他者に原因があって滅亡「させられて」「しまった」という他責的世界観だったわけだ。
ところが、いざ本当に世紀末を迎えたときに、このイメージの「他責的な部分」が、改めてどうしても引っかかってしまうのである。
「世界なんて滅びてしまえ」
「会社なんてなくなってしまえ」。
こうした「リセットわざ」は、困難にめぐりあったときに、だれでも夢想する類のことである。
リセットは何の解決にもならない。いつかはそれに気づく。
(『世紀末アニメ熱論』170-171P。氷川竜介、キネマ旬報社)
(前略)なにゆえに、八十年代後半という時期に、一部の若者たちが「ハルマゲドン後の共同性」というイメージを生きざるをえなかったのかを、とっくりと考えることこそが必要だということだ。そのことによって私たちはようやく「ひかれ者の小唄」を歌うのをやめにできるだろう。
(中見出し略)
「核戦争後の共同性」というファンタジーが単なる絵空事でないことは、震災後のボランティアブームによって証明されている――といった発言を震災ボランティア関連のラジオ番組の収録で語ったところ、不謹慎だとしてオンエアされずに終わってしまったことがある。
(『終わりなき日常を生きろ』94-95P。宮台真司、ちくま文庫)
終わりなき日常を生きろ ──オウム完全克服マニュアル (ちくま文庫)
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今世紀ももうすぐ終わりますが、20世紀末というのは千年単位のいわば千年紀末なんですね。だけどキリスト教歴とは何の関係もなく「世紀末」という思想は今や蔓延しています。一つの時代の混迷、未来の見えなさとして。これが単に世紀が変わったからといってすっきり解決するとは思えない。しかし「世紀末」の思想にとどまることはやはり怠惰だと思う。
もはや「新世紀」は始まっているのですよ。見ようと思えば誰にだってはっきりと見える、「新世紀のリアル」は。
(『新世紀のリアル』229-230P。宮台真司・藤井良樹・中森明夫、1997年飛鳥新社。引用部分は中森さん)
さて次に、作品列記。アニメ・漫画が基本で、しかも漫画はアニメ化されたものがメインですね。ぼくあまり、漫画読みではないので…
1967年
『幻魔大戦』漫画連載開始。
原作の平井さんによる小説版は1979年連載開始、「ハルマゲドン接近!」のアニメ映画は1983年公開。ちなみにワタシ、音楽と作画が良くても・アニメ映画版は全く認められない人間です。あのキャラデザ、あのツマラナイストーリー! アニメ様が「超能力少女のタオが「レッスン1、終了!」などと言う。これは本当に好き嫌いの話になってしまうが、おどけ過ぎていて嫌だった」と書かれているが、全面賛同。さむっ。
本来の世紀末がとうの昔になり、平井さんが鬼籍に入った今でも、別作家さんが描き続けて「幻魔宇宙」は広がり続けております。
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1970年代以降、「新新宗教」の乱立などの宗教ブーム。
1972年
『デビルマン』漫画連載開始。
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1973年
『ノストラダムスの大予言』発売。エポック・メイキング作品。悪影響はともかく、ぼくは仕事柄か・強引とも言える筆力がスゴイと思います。しかしそれよりさらにスゴイのは、『ノストラダムスの大予言』より先だっていた平井さん、デビルマンを描き始めていた永井豪さんよ。
『日本沈没』出版。
1974年
『宇宙戦艦ヤマト』TV放送。
『ヤマト』の地球は壊滅的な状態だったが、やはり「世紀末後」ではなく、「破滅を止める」ストーリーと見るべきでしょうね。
1976年
『サバイバル』連載開始。人類(ほぼ)滅亡の原因が「地震」は、珍しいのでは。
1978年
『未来少年コナン』TV放送。
大陸を変形させるほどの大戦争から20年後が舞台で、おそらく科学技術なども著しく衰退している世界が舞台。「ハルマゲドン」そのものではなく、「その後」を描いたTVアニメとしては、最初期ではないでしょうか。
1979年
雑誌『ムー』創刊。
1982年
『風の谷のナウシカ』漫画連載開始。最終戦争「火の7日間」から千年後。
『AKIRA』漫画連載開始。入れないわけにはいかないから書いたけれど、個人的にはあんまり「崩壊後の世界」のイメージがないです。
1983年
『北斗の拳』漫画連載開始。
西暦199X年に核戦争が起きた設定だから、「世紀末」に間違いない。そしてwikiで「世紀末」を調べると、
日本およびSF作品等フィクションの一部では「世の終わり」と混同されることがあり、特に映画『マッドマックス』や漫画『北斗の拳』等の影響か、本来の西暦の節目という意味ではなく、「世紀末=人類が死に絶えて、荒廃した世界」というイメージが少なからず存在している。
とある。もちろん今回の記事では、wikiが指摘している通り「世紀末=世の終わり」と意図的に混同して書いています。
それはともかく、あくまで個人的なイメージですが、ぼくは『北斗の拳』直撃世代にも関わらず、今から見ると北斗の拳の世界は「世紀末後」です。
この感じ、分かってもらえるでしょうか。
「世紀末救世主伝説」ではなく、「世紀末『後』救世主伝説」なのです。
この感じはおそらく後年、「ハルマゲドン後の世界」を舞台にした作品に慣れ親しんだせいではないか、と勝手に自己分析しています。
1994年
『ヨコハマ買い出し紀行』漫画連載開始。「夕凪の時代」のイメージは、個人的に宮台さんいうところの「終りなき日常」に重なる部分があります。
1995年
阪神・淡路大震災発生。
地下鉄サリン事件発生。
『新世紀エヴァンゲリオン』TV放送開始。
世界の人口の半数が死んだ「セカンドインパクト」は2000年に起きた設定でした。世紀末は「~99年」ではなく「~00」年を指すので、まさにセカンドインパクトは・世紀末に起きたハルマゲドン、なのです。
雑誌『クイック・ジャパン vol.03』の特集が「ぼくたちのハルマゲドン マンガで読む、“最終戦争”完全カタログ」
1999年
(当然のように)恐怖の大王なんて降臨しなかったし、地球滅亡もなかった!
せめて、ギャグ漫画日和の巨大隕石衝突回「終末」みたいに、誰かTVでやらかしてくれたら面白かったのに…
2000年
『最終兵器彼女』漫画連載開始。
2006年
『ゼーガペイン』放送。
2007年
『キスダム KISSDUM -ENGAGE planet-』放送。
2009年
『地球の放課後』連載開始。
2012年
『がっこうぐらし!』漫画連載開始。まあ、どちらかと言えば世紀末イメージより、ゾンビ+萌え系の化学反応なんでしょうけれど。
2014年
『少女終末旅行』漫画連載開始。
2015年
『あげくの果てのカノン』連載開始。作者のインタビューによると、世紀末感より「不倫」が先にテーマにあったようですね。
2016年
アニメ映画『planetarian 〜星の人〜』上映(原作ゲーム発売は2004年)
2017年
『けものフレンズ』(ゲーム、漫画は2015年)
2018年
『僕は君を太らせたい』連載開始。全く事前知識なく1巻を手に取った時、流行りのグルメ漫画の一種だと思っていた。いや、確かにそうなんだけれど…
未見・未読なのも若干含めて、「世紀末」で思いつく作品を羅列してみました。ま、今では「アポカリプスもの」とかに類別される作品も含まれるでしょうが…
「あの作品が入ってない」とかは、まあ、できればご遠慮ください。
ぼくの知識なんて、たかが知れているので…
例えば全く少女漫画に縁がないのに、『7SEEDS』とか書けないすよ。
あと、富野作品ブログなのに『ザブングル』入れてないのは、トリックみたいに使っている面が大きいからです。
さて、ホントに意図的なことはいっさいせず、思うままに羅列してみましたが、「世紀末ブーム」なんてものがあったとして、そのただ中であったはずの1980年代後半~1990年代前半にかけて、意外と作品が思い浮かばない。
ギャグマンガであるところの『MMR』が、90年に颯爽と登場していますが。
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なんかぼくの記憶から抜けている作品あったかな…
ちょうどバブル時期とも重なるのが関係しているのかな。
浮かれている時代に、ハルマゲドンとか言ってもなあ、という空気はあったかもしれないですね。
阪神・淡路とサリン事件が起きた95年以降に、「ハルマゲドン後」の世界が描かれる作品ばかり出るのは、よく分かる気がします。
もう4年後に、恐怖の大王なんか来ないのは証明されちゃう。煽っていた人たちも、逃げ支度の準備ですよね(もっとも中心人物である五島さんは98年に2冊、続いて2000年にも本を出しているから、全く逃げてないんだけれど…)。
だからその時期に、2000年に始めた『最終兵器彼女』って、ちょっとスゴイと思う。
「え、今?」感が。それとは別に、高橋さんは『いいひと。』の印象だったので、作風が代わったことにも驚いたけれども。
だけど他は、あんまり見当たらない。
その後の作品を見ると、『ゼーガペイン』は作品単体としては素晴らしいけれども、「破滅後の世界」ものとしては過渡期で、近年の作品はもうちょっと色合いが違うもんなあ。
近年の作品って、「終りなき日常」と「ハルマゲドン後の世界」って、本質的にほぼイコールで描かれているし。あとはちょっと、作品へのメインに置かれていない感もあるし。スパイスとまでは言わないけれども。
さてじゃあそこで、自分は恋愛をするのか、自分を探す旅をするのか、料理をするのか、作品ごとに違う。
恐怖の大王も現れず、ハルマゲドンも起きなかった世紀末は終り、あ、映画の『アルマゲドン』は1998年公開ね。
もう20年過ぎようとしている。ぼくたちはどんな「世紀末」作品を、これからも美味しい美味しいと消費していくのだろう。
かつて、うまくいかない日常をドンガラガッシャンできる舞台装置として魅力的だった世紀末やハルマゲドンの効能は、令和となった今でも有効かもしれない。
結局、ぼくには現実世界の「新世紀のリアル」なんてよく分からないまま時は過ぎたけれど、フィクションの世界ではどうやら、形を変えて世紀末もハルマゲドンも健在みたいだ。
現在の世紀末作品は、「リセット後」の世界が主流になっている。「リセットは解決にならない」と考える必要もない。そもそも、リセット後の世界が設定なのだから。
異世界へのチート転生で個人の妄想を充実させるのもいい、でもちょっと食傷気味だから、もっとハルマゲドン起こしてくれていいんだよ。
先達に感謝しつつ、享受しようじゃないか。
ところで、最後に蛇足。冒頭に掲げた宮台さんの「ハルマゲドン後の共同性」だが、富野作品好きは、『∀』を思い出すことも可能だと思う。
ハルマゲドン後(黒歴史後)に、瓦礫が散在する世界ではなく・牧歌的な世界を創出させた『∀』はやはり特異な作品だったのではないか、と。
『コナン』に源流を見ることも可能だろうけれども。
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『さらざんまい』1話目を見て、河童と尻子玉。 [アニメ周辺・時事]
「イクニ監督である」こと以外の予備知識は一切なく、『さらざんまい』の1話目を見ました。
幾原さんの作品はウテナもピンドラもユリ熊も、ぼくには全くピンとこなかったので、今回も肌に合わないんだろうなと思いつつ。
1話目を見ていたのですが。
終盤までは・いつも通りの意味ありげなシーンの数々がどうにも好きになれず、今回もぼくには……と感じながら見ていました。
しかし最後の展開で、おっ。と。
かなり興味を惹かれました。
映画『ムカデ人間』のように繋がった人たちが(違う)、
記憶を共有できる。そして主人公の秘密が、おお、エラリー・クイーンの『××の×』を彷彿させる展開とは(ミステリー小説のネタバレなのでタイトル伏字)。
俄然興味が湧きました。
で、あらためて。
劇中には「しりこだま」が出てくるけれど、ぼく・長いこと「しりこだま」という言葉を知らなかった。
たぶん、初めて知ったのは西原理恵子さんの漫画(『まあじゃんほうろうき』かな?)で出てきた、「尻子玉抜かれたような連中が…」みたいな言葉だったと思う。
そこからさらに、「河童が尻子玉を抜く」ってことを知るまでには、もう少し間があったはず。
なんだよ尻子玉って……
ちなみに三省堂『大辞林』には、
肛門にあると想像された玉。俗信に、河童(かつぱ)が抜くというもの。
とあります。
さてぼくは札幌に住んでいるので、「河童」と聞くと定山渓を思い出します。
札幌の奥座敷・定山渓にも、河童伝説はあるのですよ……
それはさておき、まあ河童と言えば柳田国男の『遠野物語』ですよね。
ところが『遠野物語』には、尻子玉に関する言及はありません。
河童(「川童」表記)の話としては、
「二代まで続けて川童の子を孕みたる者あり」
「川の岸の砂の上には川童の足跡というものを見ること決して珍しからず」
「(捕まえた河童を)村中のもの集まりて殺さんか宥るさんかと評議せしが、結局今後は村中の馬に悪戯をせぬという堅き約束をさせてこれを放したり」
などとあります。
けっこう人間世界に溶け込んでいるな、河童……
さて、ではではと同じく民俗学者・折口信夫『河童の話』を読むと。
お。そうだ。参考までに、折口は河童の特徴について、
「毎日海から出て来る事、家の富みに関係ある事、ある家主に使はれる事、主の失策を怨んで来なくなること、女姿の、子どもでないのもある事などが知れる」
と書いています。
で、「しりこだま」も出てくる。
「雪隠(ブログ主注・せっちん。念のため、トイレのことです)の下の河童の覘(ねら)ふものは、しりこだまであつた」
と出てきます。
河童、トイレの中に潜んでいるとは…福島で起きた・有名な怪死事件みたいじゃないですか…
上記の文章は、次のように続きます。
「何月何日、水で死ぬと予言せられた人が、厳重に水を忌んだが、思ひも設けぬ水に縁ある物の為に、命を失ふ話の型の中に、其日雪隠に入つて、河童にしりこを抜かれた話もある。厠の中を不似合として、手水鉢の中から出たことにしてゐる例は、筑前三井郡出身の本山三男さんから報告せられた。」
違うぞォォォ! トイレの中じゃあないッ! 手水鉢の方だッ!!
なんとなく。
尻子玉を抜かれると、死んじゃうようですね。
『さらざんまい』では、矢逆一稀、久慈悠、陣内燕太の3人は、尻子玉を抜かれて河童になっていました。
ゾンビは、尻子玉を抜かれる=秘密をバラされて爆散していましたけれど……
なお幾原監督自身は、「カッパ伝説といえば、尻子玉が有名ですが、本作では重要なモチーフとして取り入れています」と言及しています。
幾原作品は、暗喩(らしきもの)がこれ見よがしに散りばめられているので、へそ曲がりのぼくとしては、視聴者が楽しむべきそこらへんの意味づけ・謎解きには、全く食指が動きません。
しかし「尻子玉」がどう扱われるのかは、非常に興味を持って今後も見ていきたいと思います。
ちなみに今回言及した『遠野物語』も『河童の話』も、文中でリンク貼っているように・青空文庫で無料で読めます。
『さらざんまい』の副読本として、いかーすか。
さらざんまい1話目見た。かっぱの話なのにさちかっぱさんがキャスティングされてないとは……
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2019年4月16日
※引用は全て青空文庫版『遠野物語』『河童の話』からです。
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ネトフリで見た『きまぐれオレンジ☆ロード あの日にかえりたい』がなかなかに意欲的な作品だった [アニメ周辺・時事]
定期のお立ち寄りありがとうございます。初めての方もお見知りおきを。
今回もひと時お付き合いのほど。を。
えー。
先日、Netflixに『きまぐれオレンジ☆ロード あの日にかえりたい』があったので、見てみたんですよ。
きまオレは原作読んでいるし、TVシリーズは全話見ているはずだし、でもこの映画は見ていないし、あと望月監督に興味あるし。
望月さんと言えばなんと言っても『海がきこえる』。
あと、めぞんの完結編が思い浮かぶ。ダーティFLASHもそうか。Gレコにも参加した!
でも見てない作品も多いので、ちょっと見ようと。
『あの日にかえりたい』、評判はネットで見たことあったんですよ。
原作とかなり違うとか、原作者さんが怒ったとか、原作ファンからの反応もあまり良くなかったとか。
で、実際に見て。変わった映画だなーと。かなり意欲的というか。
望月さんに興味あるので、ネトフリにあった・きまぐれの『あの日にかえりたい』見たけれど、いやーヘンなアニメだなー!
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2018年8月16日
ちょっと語れるくらいに変。作品の立ち位置的には、うる星BDと同じく、原作批判というか……この作品の場合は(男向け)ラブコメ否定あるよね?
まず、話のメインがね、まどかと恭介が心置きなく付き合うために。
「ひかるちゃんを諦めさせる」なんですよ。
少年向けのラブコメって、複数の可愛い女の子が都合良く主人公の男の子を好きになって、そしてヒロイン以外のサブヒロインはなんだかんだあっても・結局は物分かりよく別れていくじゃないですか。
でもこの作品のひかるは、全然恭介と別れてくれないんですよ。
ひかるちゃんがストーカーっぽくなっとる……(笑)
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2018年8月16日
実際に付き合った? 女の子と別れるって、こうまで面倒くさいんだ、ってところを見せるの。
それを、少年向けラブコメの『きまぐれオレンジ☆ロード』で。
高橋・あだちの両巨頭がいるサンデーに比べて、ちょっとラブコメが苦手な感があった80年代ジャンプにおいて現れた、王道ラブコメの『きまぐれオレンジ☆ロード』を「使って」、別れるって面倒くさいよ、思い切り冷酷になる必要あるよ、かわいい女の子を傷つけるよ、ってのを見せているんですよね。
『きまぐれオレンジ☆ロード』って、まつもとさんご本人曰く、桂正和さんは変身美少女マンガ、江口さんも美少女描くけれどギャグ、当時ジャンプでラブコメやっているのはちば拓さん(キックオフ!)しかいなかった、って状態の時に登場した作品ですからね。
その『きまぐれオレンジ☆ロード』を使って、ある種のラブコメ否定。
ここらへんの作品の立ち位置が、押井作品『うる星やつらビューティフル・ドリーマー』に似ているな、と思って。
うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー [デジタルリマスター版] [Blu-ray]
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意図的に「閉じた世界」を作り出している高橋作品の・『うる星やつら』なのに、そこを浮き彫りにさせた『ビューティフル・ドリーマー』と狙っているところは似ているな、と。
そのせいなのか、どちらも原作者には好意的に受け取られていないようだし。
望月監督のブログによると、まつもとさんの意向でフィルムコミックも発売中止、DVD-BOXにも入らなかったらしいから、この作品。
『きまぐれオレンジ☆ロード』というより、ジャンル自体への「異議申し立て」みたいな作品なので、面白いと思うんだけれどね。
だって、まどかがひかるに「私たち、もう3人ではいられないんだね」と告げた直後のシーンで、まどかと恭介が『タッチ 背番号のないエース』を見るんだよ。
その中の、南ちゃんが「南はかっちゃんもたっちゃんも好き。小さい時から、いつだって3人一緒だったじゃない。これからだってずっと一緒。それでいいじゃない」って言っているシーンを二次使用しているんだよ。
もう、ひどいな。悪意(笑)。
ジャンルそのものへの異議だよ。
それともう1つ、これもたぶんかなり意図的に、性について盛り込んでいるんだよね。
恭介が悪友とオナニーの話をするシーンとか、その最たるもので。
話の本筋には関係ないけれど、けっこうな尺を使っているの。
それって、制作側が「これを訴えたい」「どうしても入れたい」ってことだよね。
少年誌に載っているラブコメって、それこそ『きまぐれオレンジ☆ロード』がそうだったように、女の子の下着見てどきっとか、そんな感じでしょ。
でも、現実では・盲目的に好いてくれてキスまでした女の子が、物分かり良く別れてくれないのと同じように、青少年男子のエロはどきっばかりじゃないだろという異議申し立てでしょ。
まあここらへんはさ、『じゃじゃ馬グルーミン UP!』が……じゃじゃ馬をラブコメ作品として扱っていいのかはひとまず横に置いといて、
ひびきちゃんが妊娠したことで、1つの解答が出たって感じもするけれど。
じゃじゃ馬グルーミン★UP!(26) (少年サンデーコミックス)
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ここまできて。
持ち上げてばかりいるのもアレなので。
もちろん今見ると、ちょっと辛いところもあった。
特にセリフとか(「ラッピー」は当時でもキツイよなあ……)、仕草とか。
あとこれは不思議なところなんだけれど、鳥の群が画面に入ってくるシーンあるんだよね。
結構動いて、キャラクターの背後を飛び去って行くの。作画の手間も余計にかかるだろうに、あそこ、なんか意図があったのかなあ。
そうだ、もう1つ。良かったシーン。
予備校でまどかと恭介が喋るシーンがあるんだけれど、音声。というか、声の聞こえ方。
教室で2人で喋ったら、やっぱりこうだよな、っていう。
と言うのも、アニメの高木さんで、かなり違和感あったんだよね。
からかい上手の高木さん 山本崇一朗イラスト集: ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル
- 作者: 山本 崇一朗
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- メディア: 単行本
漫画だとたいして気にならなかったのに、大勢いる教室で・授業中にコソコソ喋っているはずなのに、全然そんな感じがしない。
そこだけ異空間で切り取られているのかな? と揶揄りたくなってしまうような。
で、この作品見たら。
そうそう、こうなるはずだよな、と。まあ仕方ないんだろうけれどねー、高木さん。ああしないと難しいんだろうな。フィクションの綻びが見えてしまう、アキレスの腱みたいなポイントだったのかな。
で、『 あの日にかえりたい』に話を戻して、最後のシーンですよ。
ひかるの「バーン!」ですよ。
あれ、視聴者に向けてでしょ?
劇場版『エヴァ』の、観客映し出すのと一緒。
あ、最後にご丁寧にここまでするんだ、と(笑)。
都合良く別れないひかるが、『きまぐれ』見ている視聴者に指の銃口を構えるわけですよ。しかも正直、このポーズ自体がラブコメあるあるですよ。
いやーほんとにね。
意欲溢れた、不思議な、変な作品ですよ。
途中で書いたように、ノスタルジー無しだとちょっと厳しいかもしれない箇所もあるので。
かつてきまぐれORを読んだり見たりしていた人で、ネトフリに加入していて、『あの日にかえりたい』未見の方は、見ても損しないんじゃないかと思います。
鮎川って1969年生まれ設定なんだ……もう50歳だ(笑)
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2018年8月16日
昨日の呟き 2018/07/06 [アニメ周辺・時事]
本当だ……新井さんのTシャツ、「TOMATO」って書いてあるのに、絵はイチゴだぞ(笑)
— 坂井哲也 映画実況用 (@sakaitetsubetua) 2018年7月5日
7月2日(月)のゲストは、山田邦子さんでした! https://t.co/dlKeWfFVy8
機動戦士ガンダムF91:ラフレシアが食玩に 巡航形態、展開形態に変形も https://t.co/9ipxpCOxXC @mantanwebさんから
— 坂井哲也 映画実況用 (@sakaitetsubetua) 2018年7月5日
爆問・太田、歌丸さん訃報への報ステアナ発言に「そんな軽く言うなよ」 - SANSPO.COM https://t.co/YIny6mTPUb @sanspocomさんから
— 坂井哲也 映画実況用 (@sakaitetsubetua) 2018年7月5日
このニュース読んで、カーボーイのフリートーク部分聞いてみたけれど(普段はラジオクラウドで済ませている)、太田さんも大概だな。
— 坂井哲也 映画実況用 (@sakaitetsubetua) 2018年7月5日
アナの悪口言うのは自由だけれど、自分がさんざん故人の芸を貶していたことにはスルーか。
結局、早々とお得意の談志師の話に移行していたので(長々と芝浜のあらすじまで説明して)、つまりはそういうことなんだろうけれど、それでも今まで散々ネタにしてきたんだから、少しはそれに触れなきゃ真摯じゃねーんじゃねーの?
— 坂井哲也 映画実況用 (@sakaitetsubetua) 2018年7月5日
おお、深夜に「ヨーロッパ食材紀行」の再放送やるのか。もう20年近く前なのか……BS視聴可能の環境になった頃、よく見てたな。特に不味そうなウナギが印象深い。
— 坂井哲也 映画実況用 (@sakaitetsubetua) 2018年7月5日
日本にディオゲネス・クラブ的なものが実在するのか……
— 坂井哲也 映画実況用 (@sakaitetsubetua) 2018年7月5日
アメトーークの草野球芸人、ほとんど芸人リーグに参加している方達だね(ますおかの岡田さんだけ知らない)。ぶっちゃあさんの話になるかな。
— 坂井哲也 映画実況用 (@sakaitetsubetua) 2018年7月5日
死霊狩り【ゾンビー・ハンター】〔全〕 (ハヤカワ文庫JA) 早川書房 https://t.co/XATDelJNyU @amazonJPから
— 坂井哲也 映画実況用 (@sakaitetsubetua) 2018年7月5日
この新装版ゾンビー・ハンターを読んだ(おそらく)若い子が、「今年読んだ中で一番面白かったかも」みたいなツイートしたら、オールドファンが喜んで引用RTしては・次はアレ読めコレに進めなどやっていたが。
— 坂井哲也 映画実況用 (@sakaitetsubetua) 2018年7月5日
肝心のツイート元の子、鍵かけたぞ。原因、あなた方じゃないだろうな(笑)
— 坂井哲也 映画実況用 (@sakaitetsubetua) 2018年7月5日
「富野作品の惹句の世界」ってアイディアを無償で提供するので、誰か骨折ってくれ(次週予告のは惹句ではない)
— 坂井哲也 映画実況用 (@sakaitetsubetua) 2018年7月5日
昨日の呟き 2018/07/05 [アニメ周辺・時事]
sakaitetsubetua唯一やっているスマホゲームなので、信長の忍びとのコラボ嬉しい。しかし信長の忍び、一期からずっと面白いと思うけれど ぼくのTLでは話題にあげる方を見かけないんだよな……07/04 20:00 sakaitetsubetua出演依頼が減少:「ガンダム」ガルマ役・森功至氏の声優事務所が破産 - ITmedia ビジネスオンライン https://t.co/l5SkhhpDUW07/04 20:05 sakaitetsubetua「逆襲のシャア」のやられ役! ジェガンが安定感のある姿でMG化 - 価格.comマガジン https://t.co/0g9U0k3bz907/04 20:06 sakaitetsubetua広報のイラスト「ベルばら」そっくり 著作権侵害か、札幌市謝罪:どうしん電子版(北海道新聞) https://t.co/pF0Qd8B4tV07/04 20:07 sakaitetsubetua広報さっぽろ、4月からリニューアルしたんだよね。デザイナーは公募もしていたはずだけれど。07/04 20:09 sakaitetsubetuaしかし「そっくり」とあって、実際にヤフコメ欄では「ベルばらだと思っていた」みたいなコメントもあったけれど、間違えるか? 原作読んだことないけれど、広報見たとき=ベルばら作者が描いてるなんて思わなかったけれど。07/04 20:13 sakaitetsubetua「パロディはどこからネタ元に報告しなければならないのか」ってのはなかなか難しそう。 今回のも、架空のキャラであるオスカル出しちゃったのは脇が甘かったけれど、アントワネットとか実在の人物ばかりだったらもう少し突っ張れたかな。07/04 20:23 sakaitetsubetuaどっちにしろAmazonprimeには加入しているのだから、声優番組はともかくアニマックスとキッズステーション見れて月額700円はお値打ちではあるよね。07/04 22:26 sakaitetsubetua100分de名著の河合隼雄回見たけれど、「投影」ってまさにあれだね、お笑い芸人さんが言う「男はみんな浮気する」だね。07/04 23:49 sakaitetsubetuaひそねとまそたんのまそたんの声、神田松之丞さんなのか!(お名前は前から存じ上げていたが、伊集院好き好きトークをしていると知って先日初めてラジオ聞いた)。 EDちゃんと見てなかったから、終盤になって知ったよ。07/05 00:15 sakaitetsubetuaこんなのもあったのか…… https://t.co/m7ZORrkmQn07/05 00:34 sakaitetsubetuaひそまそ9話面白かった。自身の恋心に気付いて絶叫するとは(笑)。久野さん素晴らしい。07/05 00:59
『多田くんは恋をしない』8話「雨女だったっけ?」が良かった(感想・レビュー) [アニメ周辺・時事]
今回もひと時お付き合いのほどを。
『多田くんは恋をしない』を毎週見ているわけですけれども。
7話目まではまあ、甘酸っぱい話だなと思いながらも・普通に楽しんで見ていたんですけれど。
8話『雨女だったっけ?』で、ちょっと、あっこれは本格的に面白いな、と思いまして。
それは話の内容そのものっていうより(ぼく年寄りなんでね)、カメラワークって言うか、プロの見せ方ってあるんだなーって思いまして。
それを思ったのが、あ。
いつもはキャプチャー使わないんですけれども、今回は画像がないとちょっと説明できないんで・使いますね。
テレサがよろけて多田くんが支えるシーンがあったんですけれども。
そこでなんか、素人の考えだったり…僕のようなね、素人の考えだったり・あとこれまでのアニメだったら、ここでカメラはズームになると思うんですよね。
ところが多田くんのこの回では、多田くんがテレサを支えたところでカメラが引くんですよ。
ドリーアウトって言うんですかね、「カメラがある」と仮定すると、三脚ごと動く感じでカメラがぐっと引くんです。
支えてから
引く
アニメでは・特に京アニの作品に多いと思うんですけれども、カメラがぶれたりすることで心情を表現したり、短いカットでカメラの位置や視点を変えて、結構トリッキーなアングルを使うのは実写よりもアニメに多い特徴だと思うんですよね。
ぼくが昔ブログでちょっと嫌だって言った、(アニメでは無いはずの)カメラに水滴が付くみたいな描写に代表されるように、実写よりアニメの方が「カメラを意識させる」画面って多いと思うんですよ。
で、今回の8話で。
ここでカメラを引くんだって言うね、アップにするんじゃなくて引きにするんだっ、て。
もうちょっと、「おっ」と思いまして。
その後も、Bパートでは引きの構図が結構続くんですよ。
これはまあ、星空を見せたいっていうのもあると思うんですけれども。こんな感じで。
これだけ引きの構図が多いのに、あるシーンだけ・どアップになる画面があるんですよね。
それがこれ。
テレサが多田くんへの恋心をはっきり意識するシーンだけ、目までのアップになるんですよ。
身体的に近づいたときのカメラは引きで、心情的に近づいた時はカメラが超ズームになるんですよ。
この後に印象的な引きの画面を多く使うために、ここだけアップにすることでメリハリが生まれていると思うんですよね。
あの多田くんを意識するシーンでは、もうわざわざ胸(心)のズームも入れて・しかも音楽を流してまで分かりやすく表現するんだって、ちょっとニヤついちゃったんですけれども。
いや、悪い意味じゃなくて。
こうやって素直に見せられるのもいいなって思いました。分かりやすく音楽のせるのも。
あのーちょっと話変わりますけれど、今放送している『信長の忍び』姉川編、短い時間でコメディーとシリアスの部分がすごく入れ替わるんですけれど、音楽が果たしている役割って、ぼくのような素人にも分かるほどデカイですよね。
閑話休題。今回の、テレサが自身の恋心を自覚するシーンにおける音楽の付き方も、視聴者にとっては気持ち良かったなあということです。
そしてそれにも増して、カメラワークが楽しかった回でしたね。
ちなみにもう『多田くん』について書くことはないでしょうから、それと多分若い方が見ている作品だろうなと思うので。
あの、老婆心ながらなんですけれど。
このアニメのコンセプトって、まあ多くの人はね、『ローマの休日』だろうなと思いますよね。
多田くんがカメラ好きなのも、多分『ローマの休日』と無関係ではないと思うし。
そんなわけで、『多田くん』が好きな人はですね、もしよろしければ・名作ですし有名ですし、未見の方は『ローマの休日』も見ていただけたらね、より『多田くん』も楽しめるんじゃないかと思います。
それではまたお会いしましょう。
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これまでのアニメ褐色ヒロインを振り返る。 [アニメ周辺・時事]
僕のTwitterではGレコのファンをフォローしているため、TLにはよく関連のイラストが流れてきます。
先日ラライヤのイラストが流れてきて、改めてラライヤかわいいなと思ったわけですが。
そこでふと、褐色の肌の女性キャラクターっていつ頃から出てきたんだろうな、と思いまして。
ぼくが初めて見たのは、どんなキャラクターだったかなと。
そう言えば褐色の肌じゃなくて黒人キャラクターの話になって、ちょっとそれますけれども。
先日亡くなった高畑勲さんと富野の対談で、富野はリュウ・ホセイを黒人のキャラクターにしたかったと言っていたんですね。
髙畑さんに対しては、テレビ局のコードがあってできなかったと言っていますけれど、実際どうだったんでしょうね。
この富野の言葉をどこまで真に受けていいのかな思っちゃうのは、まず『ジャングル黒べえ』が1973年にTV放送されていて、その後も再放送をしていたという事実があるし。
あと、巨人の星にはオズマが出てきますからね。
ぼくは詳しくないですけれども、オズマはたぶんインド系とかじゃなくて、黒人として描かれていると思うんですが。
で、僕が初めて記憶している褐色の肌の女性キャラクターって、多分そのガンダムのララァだと思うんですよ。
だから富野の言っていることを100%信じると・黒人の肌は難しいけれども、褐色の肌だったらOKってことですよね。
あの、それより前に、知識としては『グレートマジンガー』の炎ジュンが褐色の肌で、そこに悩んでいた描写もあるって言うのは知っているんですけれども、ぼくは見ていないんでやっぱりララァになるんです。
で、ここからはまあ好みの問題になると思うんですけれども、ララァはぼく、そんなに魅力的に思えなかったんですよ。子ども時分も、ある程度の年齢になってからも。
あのアムロとシャアの2人が夢中になるような、魅力的な女性には見えない。
しかし。
アニメ版のORIGIN、僕はORIGINには否定的ですけれども、ただアニメ版を見ていて思ったのは、ララァは単純に可愛くなりましたよね。売春婦じゃなくてカジノで稼いでる女でいいのかっていう話はありますけれども。
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やっぱりファーストの時より可愛くなっていて、これだったら復讐に燃えているシャアでも心惹かれるな、って理解できるくらいに・説得力が生まれるぐらいに可愛くなっていましたね。
その次に思い浮かべるのは、やっぱりナディアですよね。
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ただナディアは、あのー。見た目すごい可愛いんですけど、性格にね。難があるという。
ナディアは黒人として描かれているのか、それとも褐色の肌として描かれているのか、生まれがアレ…今更ネタバレもないでしょうけれど、判断つきかねるのでね。分からないですけれども。
『ナディア』には褐色キャラとして、エレクトラさんもいますよね。
Wikipediaによると、最初はエレクトラさんは黒人設定だったようですね。
エレクトラさん…名前が、そのままですよね。
ぼくはエレクトラコンプレックスはエレクトラさんで、エディプスコンプレックスは筒井康隆さんで覚えた。
閑話休題。
その後はあんまり印象深い、褐色の女性キャラクターってぼくは思い浮かばないんですよね。
ポケモン世代じゃないですし。一応この記事を書くために、ちょっとネットで調べたら青島って書いてるのがあって、アレは日焼けだろうっていうね(笑)。
このブログらしく富野作品で言うと、ダンバインでは意図的にいろんな国のキャラクターを物語に放り込んでいると思うんですけれど、でも褐色の肌のキャラクターは男女ともにいなかったような。男ならジャバ?
ブレンではカナン、キングゲイナーではジャボリ・マリエーラか。
女性キャラクターじゃないんで記事のテーマからずれますけれど、『∀』でついに褐色の肌のキャラクターを主人公に据えたと。
これは当然意図的な…何かの狙いがあったと思います。
月の少年でもあり地球の住民でもあるロランの肌の色(「の」が多い!)をどうするかっていうのは、見た目だけで決めたとは・ちょっと考えづらいですね。
でもこう考えると、あんまり思いつかないですね。褐色の女性キャラ。特に立ち位置的に、ヒロインクラスだと。
たくさん女性キャラが出てくるアニメだと、バリエーションの一つとして褐色の肌キャラというのはいるんでしょうけれども。
たぶん麻帆良学園とかアイマスにはいるんでしょ。あ、麻帆良は龍宮いる。
そういや姫宮アンシーはメイン位置といっていいかもしれませんね。
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あ、思い出した。記憶あやふやだけれど、ガンスリの2期は、トリエラけっこう目立っていたような…?
こう見ると、ヒロインの座に座っている褐色の肌の女性キャラクターってまだまだ少ないんですかね。それが黒人キャラとなると、ますます…というか今のところ存在するの?
Gレコもラライヤはヒロインの1人ではあっても、メインヒロインではないよな。
ナディアみたいにすぐ思い浮かぶような褐色の肌のメインヒロインが、もっとたくさん生まれてくると良いかなと。そこがまた、作品の多様性の1つになるんじゃないかなと思いますね。
※ツイート追記。
すげえシャクティもマーベットさんもすっかり忘れているぞ俺(笑)
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2018年4月12日
声優番組の昔話。 [アニメ周辺・時事]
よろしければひと時お付き合いのほどを。
今日は、資料にあたったりネットで確認をとったりしないで、気の向くままに昔ばなしをしたいと思います。確度のほどはご容赦いただければ。
気の向くままに書いても、読める文章になってしまうのがぼくの素晴らしいところだが……だったら世に出てるわ。
えー、現在はA&G枠なるものがある程に「声優ラジオ群雄割拠の時代」(マルC・ノルソル)なわけだが、しかし声優さんのラジオ番組は昔からあった。
おっさんのぼくより更に上の世代のナチチャコパック(野沢那智さんと白石冬美さん)とまでは言うつもりはないが、90年代にはすでに声優ラジオが溢れていたように思う。
小森まなみさんのラジオを含めるかは微妙だが、例えばアニメトピア…はもう90年代には終っていたか、アニメスクランブルや林原めぐみさんのTBNなど長寿になった番組は多数あった。
近年では・と言っても何年か前だが…おぎやはぎのラジオが聴取率週間にまどマギ特集を放送して、強力な裏番組ナイナイに数字で勝ったことが話題になった。
そういや中村繪里子さんが、この放送きっかけでまどマギ見始めたというエピソードは面白かった。
聴取率週間に声優さんをゲストで呼ぶのは、それこそ90年代にはよくあったように記憶している。今では聴取率週間でも頑なにゲストを呼ばない伊集院光でさえ、当時は林原めぐみさんを招いたりしていたのだ。
だからくだんのおぎやはぎのラジオの時は、「なんだか久々だな」感があった。
これがテレビとなると、ちょっと事情が変わってくる。今でこそ金朋さんのようにテレビに出たり、声優さんが音楽番組に出ることもあるが、昔は特番で見るくらいで、しかも扱いもリスペクトが感じられないようなものだったと思う。
ぼくは、まだ一つの役ならまだしも、「悟空やってください、次は悟飯を。おーすごい。じゃあ鉄郎と鬼太郎もお願いします」という流れが好きではない。
例えば森繁がゲストで来たら、「夫婦善哉の、御茶漬け作るシーンやってくださいよ。それから次郎長三国志の、森の石松が死ぬシーンもお願いします。ぼく大好きなんです」などと言う無礼者がいただろうか。
しかもどの役もほぼ同じ声なのを聞いて、「声同じじゃん。演技下手だな」とかいうバカなネットの書き込みを見てしまったら、ぼくの怒りはどこに向かえば良いのか。
あくまで個人的史観だが(大袈裟だね)、声優のアルバムが売れているらしい・と普通の取り上げ方をテレビでされたのは、林原さんが嚆矢であったように思う。勿論エヴァ前。
無論以前から、いじ・いじ・いじいじいじ意地悪ばあさんのスラップスティック(野島昭生さん、古川登志夫さん、古谷徹さんほか)などがあったけれど、現在の「声優もやっていて歌手もやっています」の本格的勃興は、90年代にあるのではないか。
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番組から発生してアイドル的な人気になる男性声優グループは……NG5もこの時代くらいか…
例えばもう少し時代が前(だよね?)のダンクーガ獣戦機隊のライブを見ると、番組関連の曲以外は声優のオリジナル曲とかではなく・いわゆる普通の歌謡曲などを歌っていて、まあ過渡期だったのだろう。
現在大きなアニソンイベントで歌手が持ち歌以外の曲をカバーするのとは、意味が大きく異なる。
テレビの話に戻そう。
近年では声優の冠番組、例えばBSではLISP(懐かしいな…)、地上波ではスフィアの冠番組があったが、初の声優専門のテレビ番組は・これはもうハッキリしている。
まだBSとかCSがなかった時代の「声・遊倶楽部」(本当はナカグロではなくハートマーク)である。
番組自体が初だと謳っていたから。
実際にはローカル番組で先行した番組があったようだが、これはもう声の大きいものが勝ちなのかも知れない。
例えばぼくが何回か言っているように、日本初のOVAは押井の『ダロス』ではなく、発売日ではタイトルも忘れたロリコン作品が先だと30年ほど前のアニメディアの小さな記事に書かれていた記憶があるが、もう確かめようもない。だから今のところダロスである。どうにかならぬか。
先の「声・遊倶楽部」では、ゲストに声優を招いた他、今で言うガヤというか、ワンギャルのようないやそれは違うし今でもない、まあ・つまりひな壇に声優の卵達がいた。
卵とは言っても実際にはもう売れているか、事務所が売ろうとしている若手だったのだろう。小西寛子さんがいたように思う。覚えているメンバーは、加藤光さんと柳原みわさん。
司会は山寺宏一さんと三石琴乃さんで、この番組は全部見たはずだが、ハッキリ記憶していることは初回で・三石さんのイヤリングが落ちて慌てていたことである。
ぼくは何故そこだけ覚えているのか…
エンディングでは、若い女の子3人が歌っていた。事務所かレコード会社が売り出そうとしていたのかも知れない。
気になって今ちょっと調べたら、3人中2人はアーツ所属だったのか。おいおい1人は、PSのZガンダムでライラの声をあてているぞ。
この番組、ED曲のサビ部分の歌詞は今でも覚えているが、要約すると「21世紀はすごくなりそう」みたいなことを歌っていた。
つまり21世紀直前、まだ20世紀の時代に放送されていた番組だったのだ。
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『デビルマン』は連載が続いていたら、牧村美樹はああなっていなかったかもしれない。それと永井先生による『DEVILMAN crybaby』感想 [アニメ周辺・時事]
どうも。今回もお付き合いのほどを。
文字起こし回ですが。
ラジオ番組『伊集院光とらじおと』2月21日放送回のゲストが永井豪さんでした。
ぼくは過去のTVアニメもそうだし、今話題の『DEVILMAN crybaby』も見ていないのですが。
漫画はもちろん読んでいる。教養として…
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伊集院さんとの話の中で、ちょっと面白いところがあったので文字起こしして残しておこうと思う。
伊集院さんと永井さんが近所同士とは。
当ブログで「さらうアニメ史 日本でのアニメの誕生~2010年」を書いた時に調べて、デビルマンがアニメと漫画の同時進行(アニメありき)でスタートしたことは知っていたんだが、終りもまたアニメが終了したため漫画も終りとは知らなかった。
ファンには常識なのでしょうが。しかし今では信じられんシステムですね。
では、ちょっと長いけれどテキトー文字起こしです。永井さんの発言部分のみ。
あ、一応ネタバレあるけど。有名だよね? まあどうしても嫌な方はスルーを。この記事のタイトルでもう駄目だろうけれど。すまんな。でも話したのは永井先生ですから。
最初に東映動画、当時東映動画と言ったんですけど企画部長からお話しいただいて、当時連載が途中で終わった魔王ダンテって作品があったんですね。
それがあの、雑誌がなくなって終わったんですけども、悪魔ものってテレビでありませんから企画立てませんかって言われて。
当時のアニメって本当に幼い子向けの可愛らしいものが多いので、そんな悪魔ものの番組なんか作れるのかなと半信半疑で、でもせっかく来ていただいたから作ろうと思って。イメージに沿ってキャラクター作ったんですね。
そしたらもうこれ主人公としては怖すぎますのでアメリカンコミックのヒーローみたいなもの作れませんかって言われて、魔王ダンテから二転三転してデビルマンのスタイルを作ったんですね。
(伊集院さんが、〔先方の〕ニーズも入れながら、譲れない個性も入れるじゃないですか、と)
パンツはかしてくれって言われて仕方なくパンツはかせたんですけれど。獣の姿だったんですけれど、仕方がないかということで妥協したんですけども、いざ漫画で描く時になったら少年マガジンという舞台になったので、スーパーマンみたいなパンツはいてるヒーローじゃ無理だなと思って元の狼男みたいな。 下半身毛だらけのキャラクターにして、尻尾まで付けて(笑)。
全然違う大人向けの作品にしますからということでOKをとったんですよね。
(アニメではややソフトにしたのを、漫画になったらハードに行こうという形。マガジンは大人も読んでいたから、もう1度内容をハードにしたと伊集院さん。「原作のストーリーどうかしてますよね?」)
そうですね(笑)。あれはね、本当はもっと長く自分で膨らましてやるつもりで、ストーリーをどんどんどんどんスケールを大きくしていったんですね。
そしたらテレビが予定より早く3クールで終わることになってしまって、そしたらマガジンの方もテレビがやるからってことでやった条件だったので、終らせてほしいっていうふうに言ってきたんですよね。
そしたら今度膨らませたストーリーをまとめることができないなと思って。
どうしようかと思った時に、端折るための、ストーリーを端折るための手法がいるなってことに気がつきまして。突然登場人物の飛鳥了が読者に語りかけるような形で。
(衝撃的だった、と該当のコマを説明する伊集院さん。ところでツイッターで指摘を読んで気付いたのですが、「やあ諸君 とうとうここまで わたくしの話を きいてしまい ましたねえ 」って読者に語り掛けてきているの、了じゃなくて明だよね…)
これから起こることは、一気にすごいことが起こりますよと宣言しようと思って。
どんどんたたみ込むための前振りとして、ただの物語でなくあなた達にもふりかかりますよってことを表明してる回なんです。
(伊集院さんは、素人は制限があるから・もっと自由だったらって思うんですけど、制限がある中で出していることがあとあと凄いことになった、と理解)。
そうですね、どこかでそういった枠をぶち破らなければというのは常に思っていましたから、ダメって言われたことをじゃあやってみようって(笑)、反骨精神というのがありまして。
ことに、最終回直前ぐらいでヒロインが殺されてしまうんですけども、その先に連載続く予定であればできないことだったと思うんですよね。
あそこで終わって、読者の抗議が来た頃はもう終わってるから(笑)
以上です。
つまり、漫画がまだ続いていたら、美樹ちゃんは違う結末を迎えた可能性もあったのかな。
それともちょっと先延びしただけで、結果は同じだったのか。未完になっている可能性もあるけれども。
ついでに、原作者ご自身の『DEVILMAN crybaby』の感想も文字起こししておきます。
伊集院さん
「『DEVILMAN crybaby』との関わり方は?」
永井さん
「過去に描き終えてますので、45年経っていますから好きにやってほしいということでね。現代の空気を知っている人が、今風に作り直してくれれば構わないのでということで。
だからどんな風に書いても納得しますから、ということで全くタッチしないことにしたんです。
でも作ろうと言ってくれる方が、それぞれ自分のオリジナリティを出したい思うんで、それを引き出させてあげた方があれこれ注文つけるよりは情熱をもって作ってくれるだろうということがありまして。
ですからもう本当にあなたの好きでいいんですよってことで湯浅監督にお任せしました。
面白かったですね。表面的に変わっていることがたくさんあるんですけれども、芯の部分というか、伝えたいことはちゃんと伝わっているし、押さえたいところは押さえてくれているので大変納得しました」
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