未見の人、そして見た人への『TNGパトレイバー首都決戦』のススメ [映画感想・実況]
どうも、こんばんは。
先週木曜、実写のTNGパトレイバーを見てきまして。
本当は記憶が鮮明なうちに、この記事を書きたかったのですが。
仕事・酒・睡眠・怠惰などの理由で、今日までズレこんでしまいました。
で、『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』の感想と見どころですが。
はじめに未見の方のためにネタバレなしでいくと。
あ、まずぼく自身はパトレイバーの映画もTVも全部見ていますし、今回のTNGも7章までスターチャンネルを契約して見ました。
第7章までの感想は、「押井監督担当の回はいただけないけれど、他の監督の回は普通に楽しいな」。
それで首都決戦は。
単純な感想では、ぼくは充分に楽しめました。
実写の押井作品はたぶん、『ケルベロス』以外は全部見ていると思うのですが、初めてアニメの押井作品と同等の興奮を味わえました。
まあ狭い観測範囲ですが、ツイッターでの反応・感想を見ると、ぼくみたいに全肯定している方はいないようですが…
もちろん不備を突こうと思えば、指摘できる点はあります。
一番は引っ掛かるのはたぶん、「なんで特車二課があんなことを」ってトコロだと思うのですが。
アレはたぶんねー。カーシャがスナイプした回を、伏線にしていると思うんですよ。
あの回で、おそらく特車二課は高島さん(役者名)の子飼い…じゃないけれど、手駒として使われるようになったんじゃないのかな。
そんな些細? なことより、ですよ。
この映画を見る上での、ポイントだと思うのは。
押井監督は、今回の映画について次のように語っていたわけです。この記事から引用。
個性的な初代。無個性な2代目。そして、無能で、物語をもっていない3代目。それを描くことによって、同時代的なテーマに辿り着くのではないか。今という時代をどういう物語として背負っていくのか、それがシリーズのテーマ。
実のところ、この「3代目」ってテーマがぼくにはピンとこなかったんだけれど。
首都決戦では、この構図が敵側にも適用されているんだよね。
で、ぼくが目にした感想では、テロリスト・敵の主人公の目的がハッキリしない、ってのもあった。でもそれは当然、ハッキリしないよ。
物語を持っていないんだからね。
見る上で把握したい1つ目は、敵側も「3代目」だということ。
2つ目はさらに、まあー、これを書くと野暮なんだけれど、ぼくには敵の主人公は「あるものの象徴」だと思うんだよね。
そして、敵の主人公イコール(6章・7章で出てきて・今回の映画で判明する)「特車二課の遺産」だということ。
あり様が同じなんだよ、敵の主人公と「特車二課の遺産」って。
それを踏まえると、この映画は楽しめるのではないか、と。
今後、尺が長いディレクターズカット版が公開されるようだけれど、どこが詳しく説明されるのかなー。
みんなが期待しているような箇所ではない気がする。
それと、映画2を見ていることは必須です。監督は大丈夫、と言っているらしいですが。で、見に行ったら値段分は楽しめると思います。
ではここで、ネタバレ嫌な方とはお別れです。また遊びに来てください。
ネタバレOKな方はスクロールを。
さあ、じゃあネタバレ気にせずに話すぞー。
まずさあ、ファーストカットでけっこうヤラれたんだよね、ぼく。
逆光や陰陽のコントラストが強い場面から始まって、「え、なんでこんな導入なんだ?」と思ったんだよね。
そうしたら・最初からしのぶさん出てきてさ。そうか、「このための・顔隠すための前フリで逆光か」と得心してさ。
内容のミソはやっぱり、特車二課とテロリスト側の構図が同じだったことだね。繰り返しになるけれど。
柘植の直属だったテロリスト(2代目)、そして思想もポリシーもない灰原(3代目)。
そして、「灰原零」という象徴的な名前。灰であり零だ、と。
バスケットボールに「Ash」って書いてあるのを見た時は、どこかに「Diamond」も書いているかなーとか思ったけれど。
上では照れて書かなかったけれど、ありていに言っちゃうと、灰原って「戦争」の象徴だよ。
途中で判明する・彼女が偽名で正体は謎だという設定は、物語上は不必要なものであり、でもそうしたってことは・つまりはテーマ上には必要だということ。
だから、「特車二課の遺産」と同じありようだ、と書いたのです。
つまりは「いないからこそ存在感がある、」と。逆説的な存在。どちらも。
リンクしていると思うのです、この両者は。
それとビックリしたのは、『二課の一番長い日』もパト2も、「ほぼ戦闘なしに戦争状況を東京に出現させた」のに、今回はバリバリ戦闘させたってこと。
本当に東京を戦場にしたことだよね。
もちろん、実写だし観客サービスとしての戦闘シーン、ってこともあるかもしれないけれど。
でも発砲できずに部隊を全滅させた柘植と違い・結局はミサイル一発を打っただけだったパト2と違い、今回はヘリも高島さんも特車二課の面々も撃つわ撃つわ。
この違いってたぶん、押井監督の考え・心境の変化だと思うんだよね。
映画2と似て非なる点だよ、ここは。
そしてもう1つ、映画2との違いを感じたのは。
特車二課の連中が最終作戦に参加するか否か、逡巡があったこと。
野明や遊馬は、あの場面では迷わないじゃない? でも迷う、3代目の彼らは。
そして参加するのにも、明確な動機がない。ここに「参加に至る描写がない!」って指摘はごもっともなんだけれど、「それが彼らなんだよね」とも思う。
それが彼らのあり様ではないか、と。
だから今後のディレクターズカット版でも、灰原の背景などが描写されることは無いと思うし(それが故の存在だから)、特車二課の描写も深堀されるかなー、どうかなー、と半信半疑です、ぼくは。
でね。
そんな物語の無い敵味方のヒロインが、最後に。
一方は自分の不利を無視して・一方は相棒の的確な判断を否定して。正面から撃ち合う。
バスケですら背面でシュートをしていた灰原が、正面から突っ込んでくる。
正直ぼくは、ここにカタルシスを覚えましたよ。
ここまで物語にノッてないと、「何だよ最後だけ」って思うだろうけれど。
ぼくはのめり込めたので、純粋にイケました。
いやー、ディレクターズカット版の存在を知った時は、「じゃあ今回はスルーでいいか?」とも思ったのですが、見て良かったです。
押井実写であんなに興奮するとはね。
見終わった後、高いビールと日本酒買って呷っちゃったよ。
まあ強いて悪い点をあげればアレだな、クレジットにあった押井なんとか(片仮名)ってアレだろ、自分の犬の名前だろ(違ったらすまん)。
自分の子どもへの溺愛をまき散らすのはみっともないね。
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