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『伝説巨神イデオン』の音楽に関する発言を振り返る ※12月11日TV番組「この道わが旅~すぎやまこういち音楽の旅路~」富野監督コメント文字起こし追加 [富野監督関係]

 すぎやま先生が相変わらず愛想よく入っていらっしゃる。  
 「ああ、先生。井荻(麟)がよろしくって……」
 「なんだ? きょう来れないの? 駄目だねぇ。プロになりたくないってのわからんでもないが、それじゃあいいものなんて書けませんよ。あなた(富野監督)からもいっといてあげなさい。ファンに対して失礼のきわみです」
(徳間書店『「イデオン」ライナー・ノート―アニメの作り方教えます』から引用、カッコ内はブログ主)


 イデオンは色々と魅力のある作品ですが、OP・EDも含めて「音楽」もその魅力の1つだと思います。


 伝説巨神イデオンの音楽を書くに当たって、一番考えたことは、単に子供のためだけの音楽にはしたくない、ということでした。
(中略)
 イデオンの音楽は、バースのついたジャズのスタンダードナンバーの古い手法を取り入れたり、アメリカン・ポップス調のフィーリングで考えたりと、今までのアニメ音楽とは一風違った音楽作りをしたので、シンフォニックな面を強調した作品となりました。
(後略)
(株式会社日本サンライズ『伝説巨神イデオン記録全集1』から引用)

 サントラを聞くくらいのファンなら、このすぎやまさんのコメントには共感できるのではないでしょうか。


 富野監督がかつて語ったところによると、イデオンの音楽は『カルミナ・ブラーナ』をモチーフにしてほしいと依頼ししたそうです。


 音楽については、音響監督の浦上(靖夫)監督から、イデオンの曲はこれしかないということで、LPを1枚渡されました。それはカルミナ・ブラーナという曲です。それを、すぎやま(こういち)先生が受けて「あ、だったら全部分かった」と言ってくれた。ということで、全部決まった。テレビの時からそうです。プロは凄いなと思いました。それがあれば、そりゃがんばりますよというのが僕の立場でした。そういう意味で、しまったと思ったのは、「風呂敷広げすぎてしまってやばい」と(笑)。
(ASCII.jp『アツ過ぎる! サンフェスの開催前夜祭「イデオンナイト!」』から引用)


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 イデオンは『弦がとぶ』などのBGMも良いですが、EDの『コスモスに君と』も名曲です。
 すぎやまさんの訃報で、戸田恵子さんもブログをアップされていましたね(「こすもすにきみと。」)。

 富野監督・すぎやまさん・音響監督浦上さんの座談会では、すぎやまさんは真っ先に『コスモスに君と』について触れています。

(前略)あの人が書いてきた、「コスモスに君と」という主題歌の言葉ね、あの詞を見てね、のったの。とてもいい言葉。

 それに答えるように、富野監督は次のようなことを言っています。

 「コスモスに君と」の曲をここで初めて聴かせていただいた時に、「あ、すぎやま先生っていう方はこういう風に、これで間違いなく全部がわかちゃったから後は何も言わなくていいや」っていうのがこちらにわかるわけですよ。
(株式会社日本サンライズ『伝説巨神イデオン記録全集4』から引用)


 この座談会でほかに興味深かった点は、

すぎやまさん曰く、富野監督は「わりと哲学的に物事を考える部分のある人」。

イデオンの音楽の基本に置いたのは、現代音楽寄りのクラシック。一番最初の時点で、オーケストラ音楽をもとにするということで2人の意見が一致した。

音楽自体が物語っているので、BGMとしては使いづらい面もあった。


 というところでしょうか。
 余談だけれど、この座談会読んでいたら、この年(1981年)に井荻=富野監督、をオープンにしたみたいだね。


 上の最後の「音楽自体が物語っている」については、CD『伝説巨神イデオン』のライナーノートでもう少し詳しく書かれています。


 富野監督いわく、「(すぎやま氏に依頼した)理由は明白であった。私たちは、明確に音楽を欲しいと考えたからだ。無論、自己主張だけがたつものでも困るが、かといって、BGM的な単なる雰囲気を創るだけのものは、必要としないと考えたのだ」

 ちなみにこのライナーには、すぎやまさんによる短い・各曲解説があって、その中で『コスモスに君と』については

 のって旋律を作ることができた、特に詩の中の「ふと」が心の琴線に触れた、と書かれています。
 また戸田恵子さんの表現力についても「さすがだなという感じがした」とおっしゃっています。


 もう1つ、ピックアップしておきたいところ。
 「デス・ファイト」って曲あるでしょ。戦闘シーンでよく使われている曲。

 あの演奏メンバー、田中清司さん(大野克夫バンド)や羽田健太郎さんなどが参加しているんだね。豪華だ…
 

 さて。
 私がイデオンの音楽で一番好きなのは、やはり「カンタータ・オルビス」です。

 資料を読むと、すぎやまさんに劇場版の音楽を依頼したのは1981年の11月25日(接触篇は82年7月公開)。この日、VTRやコンテを資料として渡しています。


 『イデオン』のテーマは、輪廻という言葉に代表されるように、やや仏教的なものじゃないかと考え、クライマックスのラストシーンでは大々的な生命賛歌をつくりました。「生命賛歌のためのカンタータ、オルビス」というのです。
(中略)
 アニメファンの方々にぜひオーケストラ・サウンドの豊かさ、楽しさを作ってもらいたくて、『イデオン』ではシンフォニーを中心に音楽をつくってみました。
(後略)
(徳間書店『ロマンアルバム・エクストラ51 伝説巨神イデオン』から引用)


 「カンタータ・オルビス」の歌詞はラテン語です。
 「オルビス」はラテン語で円・円運動の意味。 「カンタータ」は声楽曲のことなので、文字通り輪廻転生をイメージした曲名なのでしょう。
 
 スケジュールの話を続けると、年が明けて82年5月3日、BGM映画用総新作の打ち合わせだったそう。
 5月8日、富野監督によるすぎやまさんへのラッシュを見せながらの説明。午後1時から深夜0時まで打ち合わせ。

 8日に会議して、月末までに約130曲の作曲とアレンジだって! プロってすごいな…


 ここからは、2021年12月11日、NHKで放送された番組「この道わが旅~すぎやまこういち音楽の旅路~」での、富野監督コメントの文字起こしです。ざっくり・アバウト。

NA「富野監督はイデオンを作る時、ある注文をすぎやまさんにしたそうです」

富野監督「(イデオンの音楽でイメージしたのは)カルミナ・ブラーナっていう世俗的なカンタータって言い方があります。つまりカンタータってのはどういうことかって言うと、混声コーラスっていう、大コーラスが入る。
宗教的な雰囲気があってすごい。それでイデオンにはぴったりだ。つまり全滅作戦のお話を予定していたので。
それで初めて(すぎやまさんに)会った時に、本当に息をのんだんだけど、「あ、カルミナ・ブラーナね。はい分かりました」って。っていう返事だったの。「それでああいう雰囲気の曲になってるのね。で、それを今回ロボットものでやるのね」っていう部分を、本当にひと言で分かっちゃったの。
プロフェッショナルでやるにはこれだけの幅を持ってなくちゃいけないんだっていうことで、本当にビックリもしました」

NA「すぎやまさんの音楽は物語の結末に大きな影響を与えたそうです」
富野監督「幽霊オンパレードのエンディングシーンはぼくには描けなかった。あの曲(カンタータ・オルビス)がなければ。自分のオリジナルストーリーだけで映画を作れるってほどに自信があったわけじゃないの。そういう意味で言うとやっぱりあの楽曲に背中を本当に押されて、イデオンっていうのが作品として塊になったっていう意味では本当にあの、感謝していますね。
で、こういう話をしていると、今ふと思いましたけど、ここに(上の方)すぎやま先生が出てきて笑ってくれた(笑顔)」

NA「そしてED曲『コスモスに君と』は富野監督が作詞を担当しました」
富野監督「特にEDテーマの曲がものすごくぼくにとって好きだった。メロディーラインをぼくが聞きたいばっかりに書いている部分があったりして(涙ぐんでる?)。
(初めて聞いた時)出だし、ワンフレーズ聞いて涙が出ました」



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