最初の『ゴジラ』とハリウッド版の『GODZILLAゴジラ』しか見たことのないぼくが、『シン・ゴジラ』を見たのだが [映画感想・実況]
さて、『シン・ゴジラ』見てきました。
ゴジラシリーズは、最初の作品をまあ基礎知識のためというか・必須な作品だろうということで(全話視聴を目指している小林信彦さんの邦画ベスト100にも入っていたし)リバイバル上映で見たのが2年前。
その2ヵ月後に、ちょうど『GODZILLA ゴジラ』が公開されたのでそれも見て。
まあ、どのくらいぼくが、ゴジラシリーズの知識が無いかと言うと。
当時のツイート。
まあ、こんな知識ですよね。
でも『シン・ゴジラ』は見るつもりでした。
庵野作品として。
『アオイホノオ』で紹介されて、あと『監督不行届』にもあったっけ? 大学時代の庵野監督が、ウルトラマンになる自主映画。
その特撮を愛する監督が、お金と立派な場所を与えられて、どんな作品をつくるか興味あった。ゴジラには思い入れ強いだろうし。
で、あでのいさんも「シン・ゴジラ感想(ネタバレ極力無し) 昭和29年と2016年の『今この瞬間』」で「フィクションの魅力の大部分というのは『文脈』に依存する。作られた時の時代背景、既存のフィクションの文法、先行作品の量と質、視聴する観客の言語圏に文化圏、そして歩んできた人生」と指摘しているけれども、そもそもぼくにとって・初代ゴジラからして、原爆や核の象徴じゃないんだよね。
ゴジラに逃げ惑う人々を、戦火のその光景と重ねているのも、先述した小林さんの文章を読んで知っているけれど。
でもぼく、初代ゴジラを3.11の後に初見しているんだよ。
ぼくにとってはゴジラって、最初から「避けえない災害」の象徴なの。
だから今回のゴジラって、すんなり入ってこれた。もっと具体的に福島を出してほしいって感想も見たけれど、ゴジラが破壊した瓦礫の街並、放射能、そんなの舞台がどこだろうが連想するでしょ。
充分。
むしろ、場所を福島以外=東京にしたからこそ、「どこにでも起こりうる人智を超越した災害」としてのゴジラが映えたんじゃないかな。
地震も事故も怪獣も神も、場所なんか選ばない。
シン・ゴジラには素直に、畏怖や「荒ぶる神」を感じられるほど威圧感があったし、その圧倒的な存在という意味で造詣も成功していた思う。
だからこそ、少なくともぼくは物語全体に寓話性や神話性を感じられたし。神話性という意味では、ほぼ同時期に同じ狙いを持っていた(だろう)押井監督の『GARMWARS ガルム・ウォーズ』より、『シン・ゴジラ』に軍配上げたいね。
それにしても、庵野監督のオタク趣味がもっと出る作品――それは細部ではなく全体的――になると思っていたけれど、ちょっと違ったな。
オタク的視点はそもそもの舞台設定・つまりは政治家や役人、軍人が物語を進めることでそこに一任させて詰め込んで、テーマには「日本へのエール」を据えるという、こんなストレートなものになるとは思ってなかったわ。
テーマも「ゴジラカッコいい」のみになると思っていたので。
最後、ゴジラがどこにも行かずに東京に残っているのもメッセージは明白で、しかも「これからはゴジラといっしょに暮していかなきゃ」みたいなセリフもあって、あ・ここまでテーマを明白にするんだって驚きすらあった。
あとねー。
『ナディア』の頃から庵野作品を見ていて、『エヴァ』も本放送初回から「庵野の新しい作品が始まるぞ!」って見ていたけれど。
今回初めて、「庵野監督の得意なシチュエーション」を認識した気がする。
例えば、このブログらしく富野監督ならラストの三つ巴戦。押井なら「東京に戦場を出現させる」作品。
庵野監督って、「巨大な困難に立ち向かうために、いろいろな場所から力を一点に集中させる」ってシチュエーションでこれだけ見せてくれるんだ、エヴァのワンエピソードで終りじゃないんだ、と認識しました。
正直、かなり気持ちよかったので、もう1回同じパターンの映画作ってくれてもいい。見る。
アメリカのデキるお嬢さんの発音が「ゴッズィーラ」から「ゴジラ」になるのは、ファンなら思うところがあるでしょうなあ。
ぼくはゴジラシリーズに思い入れが全くないんで、アレだけれども。
そういや最後に。
自衛隊が一瞬に壊滅するシーンあるでしょ、すごい淡白な描写で人がたくさん死ぬところ。
あのシーンで、ラピュタの・時折批判の対象になる、あのポロポロ人が落ちるシーン思い出したのぼくだけ?
意外なところで、庵野さんは宮崎監督の後継者だなあとニヤニヤしてしまいました。
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ゴジラシリーズは、最初の作品をまあ基礎知識のためというか・必須な作品だろうということで(全話視聴を目指している小林信彦さんの邦画ベスト100にも入っていたし)リバイバル上映で見たのが2年前。
その2ヵ月後に、ちょうど『GODZILLA ゴジラ』が公開されたのでそれも見て。
まあ、どのくらいぼくが、ゴジラシリーズの知識が無いかと言うと。
当時のツイート。
劇場で、一番最初のゴジラ見た。シリーズ通しても、見るの初めて。志村喬の役は、思考が不安定すぎる(笑)。そして菅井きんは若い頃から菅井きんだった。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2014年6月20日
ゴジラ見た。俺、最初のゴジラしか見たことなかったんだけれど、シリーズを重ねるごとに何かウルトラマンみたいな役割になったの? ゴジラって。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) 2014年8月27日
まあ、こんな知識ですよね。
でも『シン・ゴジラ』は見るつもりでした。
庵野作品として。
『アオイホノオ』で紹介されて、あと『監督不行届』にもあったっけ? 大学時代の庵野監督が、ウルトラマンになる自主映画。
その特撮を愛する監督が、お金と立派な場所を与えられて、どんな作品をつくるか興味あった。ゴジラには思い入れ強いだろうし。
で、あでのいさんも「シン・ゴジラ感想(ネタバレ極力無し) 昭和29年と2016年の『今この瞬間』」で「フィクションの魅力の大部分というのは『文脈』に依存する。作られた時の時代背景、既存のフィクションの文法、先行作品の量と質、視聴する観客の言語圏に文化圏、そして歩んできた人生」と指摘しているけれども、そもそもぼくにとって・初代ゴジラからして、原爆や核の象徴じゃないんだよね。
ゴジラに逃げ惑う人々を、戦火のその光景と重ねているのも、先述した小林さんの文章を読んで知っているけれど。
でもぼく、初代ゴジラを3.11の後に初見しているんだよ。
ぼくにとってはゴジラって、最初から「避けえない災害」の象徴なの。
だから今回のゴジラって、すんなり入ってこれた。もっと具体的に福島を出してほしいって感想も見たけれど、ゴジラが破壊した瓦礫の街並、放射能、そんなの舞台がどこだろうが連想するでしょ。
充分。
むしろ、場所を福島以外=東京にしたからこそ、「どこにでも起こりうる人智を超越した災害」としてのゴジラが映えたんじゃないかな。
地震も事故も怪獣も神も、場所なんか選ばない。
シン・ゴジラには素直に、畏怖や「荒ぶる神」を感じられるほど威圧感があったし、その圧倒的な存在という意味で造詣も成功していた思う。
だからこそ、少なくともぼくは物語全体に寓話性や神話性を感じられたし。神話性という意味では、ほぼ同時期に同じ狙いを持っていた(だろう)押井監督の『GARMWARS ガルム・ウォーズ』より、『シン・ゴジラ』に軍配上げたいね。
それにしても、庵野監督のオタク趣味がもっと出る作品――それは細部ではなく全体的――になると思っていたけれど、ちょっと違ったな。
オタク的視点はそもそもの舞台設定・つまりは政治家や役人、軍人が物語を進めることでそこに一任させて詰め込んで、テーマには「日本へのエール」を据えるという、こんなストレートなものになるとは思ってなかったわ。
テーマも「ゴジラカッコいい」のみになると思っていたので。
最後、ゴジラがどこにも行かずに東京に残っているのもメッセージは明白で、しかも「これからはゴジラといっしょに暮していかなきゃ」みたいなセリフもあって、あ・ここまでテーマを明白にするんだって驚きすらあった。
あとねー。
『ナディア』の頃から庵野作品を見ていて、『エヴァ』も本放送初回から「庵野の新しい作品が始まるぞ!」って見ていたけれど。
今回初めて、「庵野監督の得意なシチュエーション」を認識した気がする。
例えば、このブログらしく富野監督ならラストの三つ巴戦。押井なら「東京に戦場を出現させる」作品。
庵野監督って、「巨大な困難に立ち向かうために、いろいろな場所から力を一点に集中させる」ってシチュエーションでこれだけ見せてくれるんだ、エヴァのワンエピソードで終りじゃないんだ、と認識しました。
正直、かなり気持ちよかったので、もう1回同じパターンの映画作ってくれてもいい。見る。
アメリカのデキるお嬢さんの発音が「ゴッズィーラ」から「ゴジラ」になるのは、ファンなら思うところがあるでしょうなあ。
ぼくはゴジラシリーズに思い入れが全くないんで、アレだけれども。
そういや最後に。
自衛隊が一瞬に壊滅するシーンあるでしょ、すごい淡白な描写で人がたくさん死ぬところ。
あのシーンで、ラピュタの・時折批判の対象になる、あのポロポロ人が落ちるシーン思い出したのぼくだけ?
意外なところで、庵野さんは宮崎監督の後継者だなあとニヤニヤしてしまいました。
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12/1 東宝の昭和29年の『ゴジラ』をサンフランシスコの日本町の映画館で上映....
http://www.j-pop.com/2017/godzilla/
by サンフランシスコ人 (2016-11-04 07:28)