20年ぶりくらいにVガンダムの『いつかまた生まれた時のために』を聞こうとしたら、イントロだけで(何故か)泣きそうになった
どうも。
最近ネットにアップされた、「日本アニメ界の半世紀 『ガンダム』安彦良和が語る、アニメの未来」って記事。
『ハイジ』と『母をたずねて三千里』はクオリティーがすごい、という安彦さんに対して、「クオリティーが違うというのは、画質のことですか」というインタビュアーの質問には度肝を抜かれたが。まじかよ。この記者さん、例の片渕監督のインタビューと同じ人でしょ。
それと途中で入っている、「リミテッドとフル・アニメーション」の説明ね。
「フル・アニメーションは、1秒間24枚の画を使う」も引っかかるだけれど(12枚もだよね?)、「リミテッドは1秒8枚の画で表現する」のみなのは、どうなんですかね。
いや、これは。この記事だけがどうこうじゃなく、ネットで検索すると・こう説明しているところが多いんですよね。
でもリミテッドって、例えばモブは全く動かないとか、口だけ動いているとか、それらも含めているんじゃないのかな。
ぼくみたいなクソ素人おじさんではなく、だれか権威が説明してほしい。
ま、ネット探すと、ぼくが望む解説をしている業界の方も見つけられるけれど。
それともう1つ。
前に当ブログでも紹介した(春日さんの「『ガンダム』は立派な剣劇アクションだ!」を聞いて、『Gレコ』のデレンセン撃墜シーンを思い出す)、富野監督へのインタビューが載っている・春日太一さんの本が発売されましたね。
帯にもしっかりと「富野由悠季監督が語るチャンバラ演出の極意」とありますね。
これは読まねば。
さて本題。
前回、「Amazon会員なら聞き放題。PrimeMusicで聞けるガンダム音楽135曲を、作品別にまとめた。」という記事を書きまして。
ぼく自身もそのリストから、色々再生して聞いていたんですよ。
「サイレント・ヴォイスはやっぱり良いなー」とか、「TV版のORIGIN(見てない・興味ない)では、BEYOND THE TIMEをLUNA SEAが歌っているのか」とか思いながら。
で、『いつかまた生まれた時のために』も聞こうと。当時この歌が好きで、収録されているCD「機動戦士Vガンダム・SCORE II」も買ったのですが。
もう20年くらい? 聞いてなかったんですよ。
で、イントロが流れ始めて。
そしたらさー。自分でもビックリすることが起きまして。
涙腺が刺激されたんですよ。仕事しながら…原稿書きながら、イヤホンで聞いていたんですけれど。
涙こぼれる、まではいきませんでしたけれど。あれっ、やばい、泣きそう。くらいには、涙腺を刺激されて。
どうしたんだ俺は。まだ宇宙の散骨シーンも思い出す前ですよ。なんか反射的に、涙がにじんできた。
メロディーもいいし、また歌詞がなー。
「この歌って作詞、富野監督だっけ? 当時、精神的に絶不調だった富野監督が、こんな優しい歌詞を……」
と思って調べたら、作詞「小峰公子 井荻麟」。
そうだそうだ、富野監督が作詞した曲の中で、唯一連名の後ろにクレジットされている曲だったんだ。
で、この小峰公子さんってどんな方なんだろうと調べたら。
小峰さん=『いつかまた生まれた時のために』を歌っているKARAKのボーカル、しかもZABADAKのメンバーだったのか!
知っている人には、今更……って感じだろうけれども。無知ですみません。
そんなわけで、今回の記事をツイートした際に出る「ツイッターカード」は、家にあったZABADAKのベストアルバム「Decade」と、「機動戦士Vガンダム・SCORE II」を重ねたものにする。
さてこの歌詞、小峰さんの名前が先に来ているので、作詞の大きな部分は小峰さんが担当している、と考えた方が妥当でしょう。
おそらく詞先だと思うけれど(『月の繭』のように曲先の可能性もなくはないけれど)、富野監督の歌詞をメロディーに合わせるのに大幅に変えたか、それとも小峰さんの歌詞に、作品のイメージを付加するために富野監督がちょっとだけ手を加えたか。
それか、いくつかのフレーズだけ富野監督が提示したとか。
どちらにしろ、メインは小峰さんなんだろうな…と思いつつ、小峰さんはツイッターをなさっているので、何か呟いていないか、過去のツイートを掘ってみたら。
「歌詞も素敵だ」というファンからのリプに、「メルシー,いい詩だろう?」と答えていらっしゃるので。
手直ししたくらいなら、この返事にはならないと思うので、やはり大部分は小峰さんのお仕事なのだろう。
ちなみに過去ツイにはあと2つ、面白いことがあって。
1つは、発売から10年以上経って、歌詞の誤植を発見したというもの。
実はこれ、「機動戦士Vガンダム・SCORE II」のライナーだけではなく、ネット上の歌詞サービスでもみんな、間違えている(当然だけれど、やっぱり歌詞サービスってライナーを参考にしているんだな)。
これは、どこでもいいから……例えばこちらの歌詞サービスサイトを見たら、好きな方ならイッパツで分かると思います。
曲では思いっきり・ちゃんと・ハッキリと、「た」と歌っているので。
もう1つ、引っかかったツイート。
小峰さんご自身が、上記の誤植の正解をツイートしていらっしゃるのですが、その中で「菅野よう子ちゃんと溝口さんとkarakでやったのを思い出しまして」とツイートなさっているんですよ。
うん?
このブログの読者さんには説明不要だろうが、菅野さんと言えば・富野作品では『ブレンパワード』『∀』で有名な方。
でもその遥か前に、ミュージシャンとして『V』に参加していたの?
と思って「機動戦士Vガンダム・SCORE II」のライナー見てみたら、キーボードで参加していた…(ツイートにある「溝口さん」はおそらく、菅野さんのパートナーだった溝口肇さんのことだと思うが、溝口さんの名前は無し)
そうか、菅野さんはブレン前から、富野作品に関わっていたんだ、とぼくにとっては新たな発見もあったところで。
はじめに戻り。
なんで俺、『いつかまた生まれた時のために』のイントロだけで、涙腺刺激されたんだろうな?
当時、いわゆるモラトリアム時代だったからかな(今も社会に積極的に参加している、とは言えないが)。
イントロを聞いた瞬間に、戻らない時代への憧憬がうんたらかんたらとか? 知らんけれど。当時になんか戻りたくもないけれど。別に今も良くないけれど。
※この記事、深夜に書き上げたんだけれど。朝になって『ブレンパワード スパイラルブック』読み返してみたら、菅野さんが・Vガンダムのアルバムにピアノで参加してて、ワルシャワを富野監督と歩いたとか、普通に答えていたわ。
全く忘れていた……
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大動脈解離になった話
sakaitetsubetua病院のベッドの上で、日本シリーズをラジオで聞きながら・救急車で担ぎ込まれた話などを。 2週間前、10月14日。夜11時頃かな。仕事の原稿を書こうかとパソコンの電源をつけて起動を待っていたら、両肩が痛くなってきた。10/27 10:12 sakaitetsubetuaそれが今まで感じたことのない痛さ。かなり痛い。 肩を回してみたり、背中を伸ばしてみたりしても痛い。カミさんに少し揉んでもらったが、全く解消されない。痛くて一ヵ所にいられない。立ったり座ったり。10/27 10:16 sakaitetsubetuaとても仕事ができる感じではないので、テレビをつけて録画しておいたマスカットナイトを再生した。 「あの」辻本さんが歌っているところでケラケラ笑ったが、それでも痛い。違う。テレビなんか見てられない。消した。 肩甲骨のあたりの筋肉が、ギュッと収縮するような。10/27 10:22 sakaitetsubetua痛い痛い。もう家の中をウロウロするほど痛い。病院嫌いな俺でも、救急車を呼ぼうか考える。 でも札幌って確か、人口200万都市なのに数十台しか救急車ないんだよな…俺がこの肩の痛みで使っていいものか躊躇する。尋常じゃない痛みだが…10/27 10:27 sakaitetsubetuaするとカミさんが、スマホで「肩甲骨 痛い」とか検索を始めた。 人間、他人が慌てふためいている様子を見ていると自分は冷静になるようで、「俺、今この症状何? とか調べている段階じゃないな」と判断できた。10/27 10:33 sakaitetsubetua「病院行く」 「タクシー? 救急車?」 「救急車呼んでくれ」 「子どもは?」 「起こして連れて行くしかないだろう」 長い間トイレに行けなくなる気がして、カミさんがなんだかんだしてくれている間に用をたした。10/27 10:38 sakaitetsubetua今思えば、この時力んでいたら危なかったかもしれない(力んだ瞬間に動脈がダメージを受けるから)。 しかし汚い話ですまんが、この時に尿と一緒に便もスルッと出たのは良かった。なぜならこの後ICUに数日入ったが、絶対安静=ベッド上で大便をする恥ずかしさは回避できたからである。我慢できた。10/27 10:45 sakaitetsubetuaカミさんも子どもも着替えた。財布とスマホをカミさんに渡して、外に出る。もう待ってられないほど痛かったのだ。 救急車には自分で乗り込んだが、ここらへんでもう「痛い痛い」という言葉が口から出て止まらなくなっていた。記憶も飛び飛びになっている。10/27 10:52 sakaitetsubetuaただ、症状は「肩甲骨が凄く痛い」なので、当然「整形外科に行きますか?」って話になる。 絶対違う。総合病院に連れていってもらう。この後の記憶がいよいよ曖昧なのだが、検査を受けて、担架の上で「大動脈解離という大変な病気ですよ」と告げられた。10/27 10:58 sakaitetsubetuaあれ・大動脈解離って、仕事を通じた健康講座で聞いたことあるな…どんな手術するんだっけ…血管に管通すやつだっけ…10/27 11:02 sakaitetsubetuaところで遥か前からこのブログを読んでいただいている奇特な方はご存じかもしれないが、ぼくは「生きること」にたいしてあまり執心がない。自分から死のうとは思わないが…10/27 11:07 sakaitetsubetua大動脈解離と聞いて真っ先に思ったのは、「痛い、ものすごく痛いけれども、このくらいの痛さで死ぬのか」というのと、手術なら麻酔をしてくれるはずで、「死ぬには楽かも」だった。 後から分かったことだが、ぼくは大動脈解離の中でも手術を要するA型だった。10/27 11:15 sakaitetsubetuaさて、書きたいことは大抵書いた。 ぼくはとてもラッキーな展開で(だったらそもそも動脈破れないで欲しかったんだけど…)手術はしないですんだ。 血が凝固して、血管の破れた部分をふさいでくれたからである。10/27 11:24 sakaitetsubetua後は愚痴だから…尿道に管通らなくて尿瓶の世話になったとか。病室で見た『荒野のガンマン』があまり面白くなかったとか。 原因はまだ先生に聞いてないけれど、遺伝に心当たりがないので、たぶん高血圧だろう。問題起きなければ、近々退院予定。10/27 11:29 sakaitetsubetuaこの病気をした人の5年生存率、10年生存率をネットで調べて見たけれど、それが高いのか低くのか良く分からない。 現在健康な人の生存率を知らないので、比較できないし。 それに、残り1枚の当たり牌をツモることだってあるし、継続70%だってすぐ転落するしな(笑)10/27 11:39 sakaitetsubetuaまあ、もうちょっとは遊べそう。 皆さま、またよろしく。10/27 11:41
富野を知るにはこれを買え
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NHKラジオ 渋谷アニメランド「今、ガンダムから送るメッセージ」 富野発言部分全文字起こし(宇野さん編・2)ラスト
富野
あのー、この曲はホント、7、8年に1回発作的に聞きたく
ステージ上
発作的に(笑)
富野
なる曲で、好きですねえ。で、なかなかこういう気分になれない。
宇野
なれないですか。
富野
うん、なれない。
司会が、富野にとっての『イデオン』の位置づけを聞く。
富野
自分の能力がないことを証明した作品です。
(ちょっとの間)
皆殺しというのは要するにタブーなんですよ、禁じ手なんですよ。
結局、ガンダムの後に作るものに、その手法しか、自分が出せなかったっていう意味で敗北感がものすごく深かったですね。
司会が「監督のストーリーつくりが引っ張られていったということですか?」
富野
違う違う。要するに、アイデアが、他のものが、アイデアを思いつけなかった。作家っていうのはもう少し、バラエティーに富んで、うん、しぶとく色んなジャンルの物語が書けなくちゃいけないのが、皆殺ししかできなかったっていう意味では本当にむ、無残だったなっていう記憶がいまだに、これはえーちょっとぬぐ、拭えませんね。
あの頃は本当に作家になりたかったから。
悔しいですね。ただうん(笑いながら)とても好きな作品です。
司会
1曲今日は富野さんにも曲を選んでいただいているんですが。
富野
はい。
司会
どんな曲ですか。
富野
だからそれが覚悟しまして、
司会
はい。
富野
えー、手持ちのものだと、ちょっとマズいんで、この曲にしました。どうぞ。です。ふふふふ。
「あまちゃん」の曲。会場爆笑。
司会がなぜこの曲かたずねる。
富野
あのー、別に(自分で笑いながら)この番組がNHKだから、あまちゃんを持ってきただけではなくて、この1、2ヵ月ぼくにとってそれこそ今ここで話しをした、ようなことを、そのー考えている年寄りにとってとにかく息をつかせる、お話だから。
それで、お話だけじゃなくってこのテーマ曲も、あーそういう意味で、なるほどツボにはまった時にはこれかよー作り手は怖いところにくるよねーってくらい見事にハマっているという意味で。要するにものを作る、つまり作品を作るっていった時に1番憧れる、ところに今あるのが『あまちゃん』。…の
司会
もう少しこう教えていただければ…どういう形に憧れる?
富野
いやだから、まさにツボにはまったもので、公共に向けて語られる・表現すべきものっていうのはこう、こうでなくっちゃいけないということです。どういうことかと言うと、だって翳らない(限らない?)でしょ『あまちゃん』見ててって(ママ)。えーとこれはあのー宮藤あ、宮藤官九郎さんの、おそらく作劇…論が、優れている、というように思えます。
それでどういうことかというと、あ、言ってしまえば360度からの視点を1つの劇、に集中させているっていう作り方をしている。で、その上で今度は演出陣もスゴイんで、えー4人の方がやっているにも関わらずまあ始めのうちはちょっとドタバタしていたんだけれども揃わなくて、特にこのー、えー暑くなってから見ているところではかなり皆さん揃ってきて、それで見事だなと思っているのは、見事だなと思っているし(語調強めて)、逆にNHKだからこいつらホントに図に乗ってるんじゃないのかって思ってムカッとくることも(会場笑)ある…あの、方法があります。
たった3秒1カットのためにエキストラ20人動員してばし、違う場所でロケセットくんで撮るなよっていうくらい、贅沢な撮り方もして、たりするんだけれども、その2・3秒の別カット、の入り方も含めて巧妙なんです。とうことはどういうことかと言うと、1つの目線での物語論じゃなくって、要するに何人もの人の目線がありながら、なおかつあまちゃんの話をどーんとやっている作りはかなり見事ですね。
一同
うん。
司会
宇野さんも『あまちゃん』相当好きですよね。
(以降、宇野さんの話には興味ないので、正確に文字起こすのは勘弁して下さい。趣旨です)
宇野
デビュー作は、ゼロ年代の前の10年の最強の作家はクドカン、みたいな内容。
富野
うん。
宇野
『あまちゃん』は富野がブレンやターンエーでやりたかったことに近い気もする。ガンダムは宇宙に飛ぶけどあまちゃんは潜る。
富野
うん。
宇野
………………(沢山しゃっべている。富野「うん」と何回も頷く)。実際にある南三陸のね、北三陸だっけ。
富野
北三陸。
宇野
北三陸の…(沢山しゃっべている)。あまちゃんの世界は現実と地続き。ガンダムは完全に作り上げた1つの虚構。で、ガンダムは宇宙になんだかんだ飛んでいく話で、あまちゃんって潜る話なんですよね。だからそういう違いはあるかな
富野
(くい気味に)
いや潜る、いやその潜る話のところじゃないと思う。現実との接点、を持ちながらフィクションもやっている、っていう見事さ。
宇野
うん
富野
それで東京に出てきてからいやーもう作品自体が堕落するかもしれないなって恐れてたんだけれども
宇野
いやぼく東京に行ってからの方が好きですよ。
富野
いや、いやだからそうなの。あーこうくるかっていう意味でのその作りの巧妙さ、
宇野
過去編の行き方とかね。
富野
二・三重のその作りこみ。っていうのが、そりゃー見てて気持ちいいですね。
だからこい、何故あれがその今その10…14…正味10、13分半くらいかな、入るんだろうかっていうくらい、ちょっとあの時々寒気がするくらい。
司会
密の濃い…作り方
富野
えーあの、
宇野
密度濃いですね。
富野
情報が、俗に言う情報が入っている。
で、それはやっぱりその役者さん達のコスチューム論にしても、夏ばっぱをやっているえーと宮本信子さんの、あの昼のトーク番組で、どういうつくりをやっているかっていうことで衣装論・をちょっと聞いて、やっぱり舌巻きました。
皆さん方が考えていることがやっぱりなまじでないくらいで、おとうちゃんがいない時にねって、私はねって、夏ばっぱだったらこういうもの着て寝るだろってんでお父ちゃんが下着を着て寝てるとかってんで
宇野
うわー素晴らしいですね
富野
ふわあーってやっぱりね、舌巻くよ。
…すいません、これガンダムの話ですから(会場笑)。
司会
ああいうものに刺激を受けて、富野さんのアニメ作りって何か変わるってことはあるんですか。
富野
それはあのー、ああ、これくらい好きな場合っていうのは絶対に影響されますね。イヤでも影響されます。
宇野
ガンダムダイバーとかなるんですか(会場笑)
富野
そういうことではなくって(しばらく笑い続く)例えばね、面倒くさく言えばリアリズムとフィクションの間での女性性ってのはどういうものなのかなー、えーとこれはアキちゃんだったらこうなんだけれどもーぼくはやっぱり本当はどこかでユイちゃんが好きだからこういうふうに作ろうかな、とか嘘です。
司会
決してガンダム48とか出てくるわけじゃない。
富野
うるせえんだよー!(笑)
宇野
ガンダム総選挙とかやりましょうよ。
富野
(笑)
ここから事前に寄せられていた質問コーナー(質問は内容・主旨だけ書きます)。
43歳男性。
「ガンダム制作当時に、視聴者に伝えたいと考えていた内容は、34年たった今変わった部分はありますか?」
富野
あのー、変わった部分はありません。それで、そういう意味では、あのー当初の勘が良かったなという風に思っていますし、その36、7年前の気分で言えば、あーやっぱりその元気だった時っていうかな、勢いがあった時っていうのは、は・あるものだし、そういうものに対して自分自身もやっぱりあの寄り添っていきたいと思っていますが、やっぱり37年たつとこれだけ劣化しますということで、ちょっと残念だなと思っています。
…次。
質問者2.
仕事のモチベーションが保てません。志を高く持ち続けるには?
富野
えーと、志そのものを高く持つっていうことは、そのーおそらくあの観念的に大変難しいと思います。だから、それを持つことはあまり考えない方がいいと思います。
ただ、持つべきです。志は。が、えーと日常の雑務に追われていますという部分を、が実言うととても重要な部分で、雑務と思わずに今日自分がなすべきものなんだ、義務でもあるしこれをえーこの実務をなし終えたら自分っていうのは絶対に意味があるんだ、っていうふうに思い続けて下さい。
で、そういうふうにあのー、微かにでもですけれどもそのつまらない雑務に対して前向きな姿勢を持てればおそらくね、えお幾つだっけその人(司会が年齢を言ってなかった)。
司会
えー37
富野
はい。
司会
歳の方ですね。
富野
そのくらいの年齢でしたらね、は、1年だな。1年それ続けときゃぜっったいに次のステップにいける。
ぼく自身がその仕事がなかったりした時に、何をしたかっていう時に結局今言ったことをやりました。
極端な言い方、極端でもないんです、スタジオのあの便所掃除まであの、シリーズの総監督をやっても便所の掃除から始めました。で、そういうことそういうことを周りの人が気が付いてくれなくてもいい、だけどそれが、それができなくって、なんでそのTVシリーズ、を仕切っていけるのかっていうことを、自分に言い聞かせて、本当に何本かのシリーズをやりました。
でそれは、やってみた時に気が付いてくれた人が何人いたか分からないんですが、やった本人は気持ち良かった。それだけで宝です。
最後の質問。48歳女性。
「自分の中のクリエイティビティが失われたと感じる時がありますか? あったらどう対処されますか?」
富野
ぼくは基本的に自分にそのクリエイティビティがあると思ってないので、ずっと失われっぱなしです・したというふうに、に言える部分があります。
でそうは言ってもこれだけ仕事やってきてるんだったら全く皆無じゃないだろうというふうには思ってます。そして、だから皆無じゃないかもしれない時があるんで時々その、まさにアイディアが全然出てこないっていう、微かに意識する時はある。
でそういうことやっぱり今日までで言うと何度かあったはずです。
対処の方法はただ1つです。勉強するしかありません。そして自分の、出来ることならばです、ぼくは出来なかったからこの程度なんです。出来ることならば、1番苦手な学問をする、勉強をするっていうのは、かなりぼくは有効なことだっていうふうに思います。ただ、他の勉強をすることが有効でない場合が1つだけあります。博識になることで、えーと安心してしまうという知識の付き方、勉強ではありませんので、それはお気をつけいただきたい。だから博識である、それからつまりえー、もう1つ分かりやすい例がありました。
えーとよく、語学を、つまり外国語をよく喋れるからってことで安心した瞬間に、私の言葉を持てなくなる。っていう人達がケースとしています。日本人にどうもそういうケースが多いような気がしてます。英語が喋れただけで安心してしまってそれでストップする。
だからそういう勉強の仕方ではないんです。億劫がらずに勉強するということが基本的なセオリーです。それで3年続けないと次のアイディアは絶対に出てきません。悔しいけど。ぼくは。
すいません。
そういう意味では、こちらから…
司会
教鞭もとられている宇野さん…
宇野
いや全然ぼく(以下略)
その後、「ものづくり」ということで倉田さんにも話がふられる。倉田さんは「でっかいものを作っていたら小さいものを作る」、動き続けるしかない、と。
富野
だからそれは、あのー勉強することっていうのとそれからあのー雑務でもやるっていう、やっぱりその積み上げでしかないと思う。
司会
とにかく目の前のことを一生懸命やる?
富野
いやだから、学習するってのは目の前のことだけじゃないんですよ。自分の意識(?)が届かないところのものも実を言うと学びに行かなくちゃいけないってことがあるわけで。
で、そうするとやっぱりその学びということは、少なくとも学生時代までは要するに貪欲にやるべきだっていうふうに思うんだ、思います。でそれを貪欲にやるというまさにハングリー精神っていうのを今の日本の社会風土がどこまで、その生徒達学生達に教えているのかってあたりが、大人達、がだらしなくなっているかもしれないなって気がしないでもないな、っていう気がちょっとする。
これで質問コーナー終了。最後に一言ずつ感想。大平さん「(富野は)本質的なことを見抜く力が半端なくて」、倉田さん「(自分に何が起きるかと思っていたが)良く分からなかったので、もう1度」、吉崎さん「歴史上の偉人か何かに会える気持ちでうかがった」。
最後に宇野さんが、富野作品はこれまで「何々ではない」というものばかりだった、今度は「何々である」という作品を見たい、と言うと。
富野
うーん、どうなんだろう。それはちょっと分かんない。やってみないと分かんない。
宇野
いや、もう、あの…
司会
今後の新作を見て、またどう感じるかと。
富野
うん…
司会
では最後に富野さん、ビシッと。会場のみんなにも伝えて貰いたい…
富野
(くい気味に)いや、そうはいかない。
司会
えっ…
富野
だって、うん、今、なんか、そう。ぼくのような年齢からみると今のアニメ状況ってのがどういう状況になってるか全く分からないから、ビシッと決められないのよ。
(『永遠にアムロ』流れ始める)だけどまたアニメもいつかいいことがあるんじゃないのかな、と期待して頑張りますので、皆さん待っててね、ってそういう言い方ああイヤだ(会場笑)。
そんなこと言えるわけないじゃないか。あ、(ふざけた口調で)命ある限りアニメ人生を送りますので、あと、そのあとの骨はうん、皆さんで〓〓(聞き取り不可)拾っていただきたいと思いますのでよろしくどうぞお願いします。っていうのも駄目だ、駄目だね。
一同笑い。
富野
えーと、ていうことであの、アニメランド、渋谷アニメランドという名を騙りましたけれどもアニメの話は殆どしませんでした。
が、えーこういうふうにガンダム世代の人が社会人になって一人前になっている姿を見るとホントに嬉しく思いますので、これ以後まだ、まだまだアニメでやらなくちゃいけないことがいっぱいあると思いますし、アニメを糧にしてまた次の新しい時代を作るべく、みんなで頑張っていこう(拍手)。
司会
富野さん、ゲストの皆さん、長い間本当にありがとうございました。
富野
どうも(再び拍手)
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富野出演のPRIME NEWSシンポジウム、テレビ放映見たよ
PRIME NEWSの1周年記念のシンポジウム、さっき見終わったー。
途中、「アレ、これって富野の独演会だっけ?」っていうくらい、喋ってたねー。
富野の全発言を文字おこししている方もネット上ではいらっしゃって、ご苦労様です。
今回の放送は当然カットされているので、全文を読みたい方はネット上を探してみてください。
例えば濱野さんの「富野さんの感性こそ」みたいなやりとりは放送にはありませんでした。
富野の意見としては、愚民は作品を発表するな! では乱暴すぎるか。
まあ、作品を発表することの「覚悟」の問題なんだろう、と思って聞いていました。
あと、第3者のチェックを経ていない音楽・文章・その他もろもろが、果たして作品と呼べるのか?
全く他人に叩かれていない個人で作ったものをそのままスルっと出して、果たしてそれが作品と呼べるのか?
呼べるわけない! ってことだと思います。
濱野さんの反論としては、ほとんどの投稿者はそんなに自惚れていない、と。
司会の2人・1人は八木亜希子アナだった・は富野のこと知らなかったみたいで、大分うろたえていたね。
ラリーさんは分からないけれど、ほかの人達は富野の台風っぷり(今、作った言葉)を知っていたようです。
以下、印象に残った発言。
文芸評論家・市川真人さん
ある特権的なクリエイターみたいなものはいていいと思うんですよ。というのは、100メートル走でも例えば10秒をきれるかどうかという時にね、その10秒を誰か1人がきった時にみんながその後を走れるようになる。
つまりやっぱり、ある最初の概念を作るのは、偶然かもしれないし無名の人かもしれないけれどもある特定の仕事だと思います。
で、その時にもちろん一方でね、消費の環境とかニコニコ動画的な環境っていうのはね、ある種の、もうこれはまんま濱野さんの言葉ですけど人工的自然として機能すると思うんですよ。
それはグランドキャニオンとかを雨水とかね風が作ってきたように、ああいうすごいでっかい自然の脅威とかそういうものとして、一方で匿名化された芸術みたいなものはあっていい。
ただ他方で、じゃあ人間の仕事として何があるかというとやっぱりそこには、誰かが未知の場所に向かって主体的に挑んでいかなければいけないような気がします。
上記は、個人的に一番しっくりときた意見です。
まあぼくは、ニコニコ動画に投稿されている作品には、全く興味がわきませんが。
それを見ている時間があったら、匿名ではない、名前がある人の作品を見たいです。
まあこれをあんまり書くとね、テメエがやっているブログの否定にも繋がりかねないんで。やめますけど。
しかし議論の序盤で、ニコニコやYOUTUBEを見ている人は、今のアニメやテレビがツマンナイからネットに流れているのだ、って意見があったけど。
もし本当にそんな人達がいるのなら、あまりにも過去を知らないと思います。
アニメも映画も、希望は過去にこそあります。
ぼくなど、面白そうな・でも見ていない過去の映画や小説が多すぎて、どうしよう時間が足りない、あまりにも面白そうな作品がありすぎる、と思っているのです。
話逸れた。もう1つ、印象深かった発言。
一人ずつ、最後の一言をフリップに書いて発表したところ。
評論家・宇野常寛さん
「作品」と「消費」の間を読め!
(前略)今起こっていることっていうのはやっぱり、ここからここまでが「作品」でここからここまでが「消費」ですよってことが分かんなくなってくる現象なんですよね。
ただこれはやっぱり、ちょっと過去を振り返っても、そもそも日本のサブカルチャー、日本文化のやっぱり強みっていうのはこういったところにむしろあったんじゃないかという議論も充分にたてられるわけですよ。
まさに、横に富野さんがいらっしゃいますが、『ガンダム』がそうであったようにという風にあえて付け加えておきますが、こういった状況の中でじゃあベタになんか身体性が大事だとかなんかこう本質的な作家性があるんだみたいなことを言ったとしても、それを触発するためにこそ、まさにこの消費の力っていうのをどんどん作品に取り込んでいくべきじゃないかっていう風にぼくは考えます。
後半は明らかに富野への揶揄。
まあぼくは、この意見に全面賛成だけど。
そして富野も、根本的には同じことを言っていたと思うんだがな。
特に文士になれなくて良かった、のくだりは、まさに同じことだと思うんだが。
しかし直接攻撃されたので、笑いながらアッカンベーをする富野。
それを、「今、なぜアッカンベーを?」と聞く男司会者。野暮。野暮。野暮。
ちなみに宇野さんはツイッターで、
今回はテレビの難しさと面白さを両方味わうことができたと思います。いい勉強になりました。個人的には、10代の頃からファンだった富野監督とお仕事できたのが嬉しかったです
しかし監督には作品評には手加減しませんと生意気にも宣言してきましたw。ご存知の通り、僕は最近の富野作品、たとえば「劇場版Ζ」などには極めて否定的なので。それはそれで、線を引かないと。
と呟いております。
なお富野がフリップに書いた一言は「公共にむけて」でした。
この「公共にむけて」について話した内容は、まあ、あの。
富野ファンにはおなじみの、たぶんエヴァを評するあたりから言っていることです。
総じてなかなか面白かったです。
富野ファンとしては、どうしてもドキドキして見てしまうのですが。
富野を知るにはこれを買え
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ガンダムFIX FIGURATIONシリーズからクスィーガンダム発進!
このブログは基本、偉そうに言えば「富野作品を読み取る」的なことを書いているのだが、今日は今までにやったことの無い、関連商品の紹介にする。
なぜなら締め切りに追われて昨日午前3時まで自宅で仕事をしていて、今日も頑張って仕事をしてクタクタだからである。
商品紹介なら、楽だから。
さて、久し振りにネットでガンダム関連商品をチェックしていたら、カトキによるFIX FIGURATIONシリーズでクスィーガンダムが出ている!
GUNDAM FIX FIGURATION #0025 クスィーガンダム
- 出版社/メーカー: バンダイ
- メディア: おもちゃ&ホビー
クスィーは富野の小説『閃光のハサウェイ』で、主役のハサゥエイ・ノアが乗る機体である。
映像化はされていないし、スーパーロボット大戦にも未出場なので、どちらかといえばマイナーな機体かな。
大昔、小説を読んだ時には重厚なイメージがあるMSだったけど、こうして形になるのは嬉しいねえ。
ペーネロペーと換装可能らしいけど、フレームが同じとか・機体思想が一だとか・そんな設定、本編には無かったよな。そもそも、同じ工場の機体なのかしら。ペーネロペーは連邦の機体だから、この時代ならまだAE製? クスィーもそうなのかな。
しかし、FIX FIGURATIONシリーズは出来がいいから、発売当初は次々買っていたけど、そのうちアイテム数が増えてやめてしまった。
みんな、置き場所どうしているの?
富野作品関連のフィギュアで言えば、なんと言ってもアナ姫! なのだが、
OVERMAN キングゲイナー アナ・メダイユ&キングゲイナー ( ノンスケール PVC製 塗装済 完成品 )
- 出版社/メーカー: シーエムズコーポレーション
- メディア: おもちゃ&ホビー
それより「おおっ」と唸ったのが最近(と言っても結構前?)オーラバトラーシリーズのフィギュアである。
オーラーバトラーの装甲は、強獣(字、合ってる?)の甲羅を使っている、という設定だった。
だから俺は、TVシリーズを見ながら、「オーラバトラーって本当はこんなに洗練してなくて、もっと禍々しい感じのものじゃないか」と思っていた。
だから、このフィギュアシリーズをはじめて見た時は唸ってしまった。
あと、イデオンの超合金魂。いいけど、高いよなあ。
そう言えば、今日一日遅れで少年マガジン読んだけど(北海道は木曜発売)、福本の連載始まっててびっくりしたよ。最初、ヤングマガジン手にしたかと思った。
次の回で、早くもエスポワール的なところへ連れて行かれそうだな、主人公。ざわざわ…
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