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『新潮』12月号の「手塚治虫のエロティカ」を読んだ、というか見た。 [アニメ周辺・時事]




 こんにちは。前回記事の末尾に告知した通り、今回は『新潮』に掲載された手塚のエロ絵スケッチについて。

 9月下旬に、NHKの『探検バクモン』の「手塚治虫 最後のアトリエ」回を見ていたら。

 番組最後に、手塚の仕事場にあった机の「開かずの引き出し」の中に・こんなものがありました的な展開になりまして。

 おっ、手塚が鍵までかけて隠していたエロいスケッチが・NHKで公開されますか公開されますかと期待したら。

 子ども時分の娘さんからプレゼントされた手紙が紹介されまして。

 そっちかい! 良い話の方かい!

 とガッカリ。

 するとその数週間後、『新潮』が「手塚治虫のエロティカ」と題して、そのグラビアを公開することがネットなどで報道されました。

 これがホントの御開帳ですよ、エロだけに。

 えー…


 手塚の「開かずの引き出し」が開いて、手塚るみ子さんが「田中圭一も真っ青な卑猥なイラスト」とツイートしたのってもう2年前くらい?

田中圭一最低漫画全集 神罰1.1

 ついに日の目を見るとはね。

 ちなみにこの手塚の絵について、実際に『新潮』を見たタレントの伊集院光さんは、11月8日放送のラジオ番組『伊集院光とらじおと』の中で、次のように語っています。


伊集院光(以下伊集院)・これがまあねエロい。

上田まりえ(アシスタント・以下上田)・そうなんですよね。

伊集院・とにかくエ口くて。まあ、芸術性の高さとして判断することもできますけど、俺の中では俺の思った形では、本当に手塚治虫大先生に対して、そういう意識を持つのはおこがましいのは分かりますけど、俺なら公開して欲しくない(笑)。

 あのね、エ口過ぎんのよ。ちょっと、「芸術的過ぎる」が褒め言葉で、俗な言葉で言うと、ちょっとやばい(笑)。あの、嗜好が相当…こういうエ口の、人なんだという感じがすげえ出てて。

上田・そうですね。ちょっと、手塚先生を見る目が変わるかもしれない。

伊集院・と、思うんだけどな。動物とエ口を融合させたりしていたりとか。もう、それこそ、その女性のエッチなところが動物の顔になっていたりとか、そういうやつで。(文字起こしここまで)


 上田さんは「手塚先生を見る目が変わるかもしれない」なんて言っているけれども、手塚作品を少ししか読んでいないぼくでも、「動物から女性へのメタモルフォーゼ要素が多いエロなんだろうな」とは想像できました。
 これは、手塚読者の多くには納得いただけるのではないでしょうか。

 手塚作品に出てくる動物って、妙に人間っぽいというか、艶めかしさを感じさせる場合がある。
 『ブッダ』に出てきたウサギとか。

 まあこのブログ的に富野と絡めると、『海のトリトン』(勿論手塚の漫画ね)のルカーには、全くその要素は感じないけれども…

 「漫画は誰にでも描ける」と唱えた著書『マンガの描き方』に掲載されている動物も、ホントにただの動物なんだが、
マンガの描き方―似顔絵から長編まで (知恵の森文庫)

 しかし実際に手塚漫画に描かれている動物には、「嗜好が相当」滲み出ていた。
 実際、今回掲載されたイラストが発見された当時、手塚るみ子さんがツイッターで少しだけ公開していたものもそんな感じだったしね。

 ぼくはもう小説を読まなくなってから数十年経つし、どうせ手塚イラストは数ページだろうし、貧乏人なので「腹がふくれない物に千円かあ」とも思ったが、資料的価値もあると考えてアマゾン経由で購入した。

新潮 2016年 12 月号 [雑誌]

 いざ『新潮』が届きページをめくってみると、望外にも筒井康隆さんが寄稿していたので、ぼくとしてはそれだけで「買って良かった」と思えた。
 しかも最近の報道では、手塚プロダクションでは今回公表したイラストを出版する予定はないそうだし。

 大筒井は、以前からSF作家の間で・手塚が「あぶな絵」を書いている話が流れていたことや、お好きなベティ・ブープと絡めた話を紹介している。

 

 肝心の手塚のイラストの方は29点掲載。やはりメタモルフォーゼをモチーフにしたイラストばかりであった。

 意外だったのは、動物だけではなく「これはモンスターととらえた方が良いだろうか…」と思えるイラストもあったことですね。
 モンスター系もイケたとは…

 このイラスト群、いたずら描きだったのか、アイディアを描きとめたデッサンだったのか。

 でも鍵かけていたからなあ。チョコレートと娘からの手紙と自分が描いたエロ絵と。ちょっとカオスな引き出しだな。

 ちなみに先日、Eテレで『100分de名著スペシャル「100分de手塚治虫」』が放映されて(司会は伊集院さんだった)、手塚漫画が内包するエロティシズムについて言及がありました。

 その中では、手塚のケモナー要素についても指摘がされていた。
 まあやっぱり、読んでいる人ならそこは感じるよな。
 手塚漫画のエロティシズムと言えば、富野好きとしてはポポーニャを思い出すわけですが。

 それと・この『100分de手塚治虫』では、手塚自身がエロティシズムについて語っている、1986年のインタビュー映像が流れました。

 その中では、動物にエロスを感じること、そのエロスは表面的なものではなく根源的なものであること、また円運動に魅力を感じることを手塚は語っています。


 ちなみに以下の記事によると今回の『新潮』、売れているそうです。重版かかっているそうです。

文芸誌が異例のアマゾン1位 手塚治虫初公開エロス画の魅力(週刊朝日)

<手塚治虫>“エロス特集”で新潮が重版決定 なまめかしいイラストで話題(まんたんウェブ)

 手塚が強いのか、エロが強いのか…

 『手塚治虫エロス1000ページ』と今回の『新潮』、どっちが売れたんだろうね?




新潮 2016年 12 月号 [雑誌]

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  • 出版社/メーカー: 新潮社
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タグ:手塚
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