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NHKラジオ 渋谷アニメランド「今、ガンダムから送るメッセージ」 富野発言部分全文字起こし(大平さん編) [富野監督関係]





 昨日、8月16日に放送されたラジオ「渋谷アニメランド」における、富野発言の文字起こし。

 まずはオープニングから、最初のゲストの大平さんが終了する部分まで。


司会
渋谷アニメランド 今、ガンダムから贈るメッセージ。開会のあいさつは、もちろんこの方です。

富野
ガンダムの、富野です(口調強く)

拍手。

富野
と、年甲斐もなく格好をつけてもしょうがないし、足腰は痛いし、もう、うん、どうしたものかな、これでお祭りなんて冗談じゃないよ、現に、こうやって見回しても、うん? アニメランド・には相応しいと言い難いんだけれども、ラジオで良かったねェ(会場から笑い声)っていうことで、これからえーちょっとの間お付き合いいただけたらありがたいと思います。
富野です。よろしくお願いします。


ゲスト4名呼び込み。司会が改めて富野に「よろしくお願いします」


富野
はい、こちらこそどうぞよろしくお願いしまーす。


「由悠季の部屋」スタート。最初のゲストはプラネタリウム・クリエーターの大平貴之さん。

 大平さんの経歴紹介。メガスターの製作など。

 トークテーマは「なぜ私達は宇宙(そら)に惹かれるのか」。


大平
でも本当は、まあ宇宙(そら)の話もいいんですけど、やっぱり物を作るってことに関してね、色々お考えをお聞きしたいな、とか。いうこともありますので。

富野
だからこういう所でお話しするのイヤなのよね(笑い。大平さん「いやいやいや」)。
で、あの、だからまた強引に、えー、ぼくはもう年寄りだからNHKサイドに擦り寄る、っていうことで本当は宇宙の話をしたいなーと思っている部分はあります・ので、えー、先に話をしますと、うん、なぜ宇宙に憧れるかというと、要するに宇宙というのは無限でね、きょ、虚無(? ブログ主注・違うかも)を考えることができるからね、宇宙に憧れるんだよね、っていうことを用意してたのね。
だけどそういうことで話をしないで、物作りの方に行くわけね。

大平
はい(笑)

富野
で、本当、今日は大平さんに会うにあたって、ずっと疑問に思っていたことがあるので、先にそれを聞いちゃう。それで物作りの話に入ってくるし、やっぱりそういう瑣末なところから入っていいんじゃないのかなと思って。
で、ぼくプラネタリウムってキライなのね。(会場笑い)。それでキライな一番の理由っていうのは、これはね、大平さん以前のプラネタリウムの知っていることが条件になってくるんだけれども、なんだよ、こんなものかよ、みたいなことが本当にぼくの場合にはその、昭和20年代からの記憶でずっとあるわけです。
で、それが要するにある日突然、大平さんみたいなのが出て、それでホビーみたいにして作っていきながらいきなり、え、今までのプラネタリウムにある星の数よりも10倍20倍の星の量を投影することができるっていうことが、ぼくにとってはとても不思議なのは何でそれが今まで、他の製作者がやっていなかったんだろうかってのが一番疑問なの。


 大平さんいわく、目に見える1万個程度の星をプラネタリウムで投影するのが伝統だった。


富野
伝統ね。


 大平さんは肉眼では見えない星もたくさんあることで「質感」に繋がると考えた。


富野
全くそうなんです。なるほど。
で、今の話でうかつに聞いていると聞き逃しちゃうとても大事な話があって、その1万個くらいでいいだろう、それが伝統だ、つまり技術者って意外とそういうものにとらわれるとそれで良しとしちゃうんですよね。


 会場で実際にメガスターを実演しながら、大平さん説明。公開されている星のデータなどを元に作った。


富野
だけどその、無償で公開されているっていうそのデータ、つまり星の位置、を示しているデータベースっていうのは、それこそ12等星まで、の位置が数値化してあるってことですか。


 大平さん「そうです」。説明。


富野
へー


 司会が、天の川は昔はほとんど光の帯で表現されていた、と言うと。


富野
そうそうそうそうそう。


 大平さん説明。星をちゃんと再現すると、それが天の川になる。


富野
だからあの、一番聞きたいのは、その天の川の構成している、星までを点、をつまりうつっていう訳でしょ。原盤に。それが生理的にどうしても分からないのよね。って。


 大平さん説明。


富野
実際にそれはレーザーで、やるにしてもなんだけれど、そのレーザーを絞り込む? みたいなことまで、結局ご自身でやらなくちゃいけなかった訳でしょ。

大平
全部あの、自分でやりました。

富野
それが一人で出来るのかな、っていう。ってところが。ふふふ。

大平
できるんです。

富野
できるよね。(会場笑)
だからそれが生理的にね、どうっ、どうっしても分からないの。なぜできるのかが。


 大平さん説明。一人で作ったと言っても、必要な部材が日本では手に入る。


富野
っていうことですよね。


 説明続く。


富野
だけど、プラネタリウムでそれこそ、その星の映すための穴を打ち込むみたいなことまでの、あ、打ち込むようなものすごいきめの細かい作業じゃないですか。

大平
いやそれはね、穴を開ける部分って言うのは全体でいうとそんなに大きな部分じゃなくて

富野
じゃなくて


 大平さん説明。たいしたことじゃない。


富野
へー。


 司会が富野に「アニメで宇宙を表現するときにどう考えていたか?」


富野
ああ、えーっと、基本的にはアニメの場合には、アニメの場合にはじゃなくてぼくの場合には、基本的に宇宙を描くということは、諦めてます。

司会
諦めている?

富野
諦めています。
で、どういうことかと言うと、あのー、せい、えーと性能的にです、えー、アニメで、簡単に言っちゃうと宇宙の背景、つまり宇宙空?っていうものは作画ができないっていうことが、根本的にあるのと、それからあと、アニメで宇宙空を背景にした時にあのー、基本的に嘘をつかなくちゃいけないんです。
えー、どういう嘘かというと、えーとどんなに高速なものでも宇宙を飛んでるものを高速を表現しようと思うと、本当に宇宙の背景だったら、宇宙の背景ってほとんど動かないんですよ。それで音速の10倍で飛んでいっても背景動かさなくっていいんです。で、そんなの嫌じゃないですか。
だから、あのバンバンバンバンいつもその、宇宙空というか星空が動いているんです。でも、実を言うとアレがキライでね、嘘八百だから。

大平
うーんなるほど。

富野
で、あれがキライでと言いながら、あのーまさに、あれがキライでいいんだって、いいのは、ぼくが作っているのはアニメで、アニメで作っているのは映画で、映画的な表現ではああいう風に星空パッパパッパ動かさないと、要するに早く動いていると見えないからなんだ、っていうまさにあの、表現の記号、として扱うということに、えー、落としていった時に、あのぼくの場合簡単に言っちゃうと、ガンダムまでいけた。
どういうことかと言うと、ガンダムっていうのはあのー、なんでえーと人型の巨大ロボットをモビルスーツって言ったのかっていう、えー言ったのか、それからモビルスーツというようになったのかっていうのは、基本的にぼくは、ロボットに興味があったからじゃないんです。

大平
と言いますと。


富野
全く違ってて、あのー映画を作るために、えー巨大ロボットを、利用しただけ。それで巨大ロボットを使わないと、スポンサーが付いてくれないから。おもちゃ屋さんがスポンサーに付いてくれないからってんで、巨大ロボットを使うことをしただけのこと。
その時に、えーちょっとだけ本気に考えると、あんな大きなものが、地球上のその、重力が、1の重力がある所に立ってたって立たせたら最後歩けないんですよ。あんな重いもの。そいで地面、あ、足に付くこの面積で上の体重?が例えば身長が18mのあの1分の1のガンダム、ぼくは動かしてもらっちゃ困るんだけれども、動かせたら、動かせたらホントあの、ぼくは死んでもいいと思っている。だから宇宙を舞台にしたんです。
それで宇宙を舞台にすれば一応無重力帯で使うということで使い勝手ができるだろ、ってことがあったのが1つと、それから何故人型なのかというと、おもちゃ屋さんが人型じゃなくちゃいけないから人型にしたんですよ。
だけど人型にしたのにあたって、じゃあ宇宙で使うなら人型でいいっていう正当論を劇中で思いつくわけ。劇中の物語として。どういうことかというと、宇宙の中にもし自分が放り出された時に、何にもなかったら怖いでしょ? そうするとおそらくそういう環境に人間が置かれた時に人型の物を見た時に安心するんじゃないのか。シンパシー。だから、あの、宇宙で使う道具っていうのは、人に、人型に近づけるんじゃないのかな。そうしないと寂しいから。怖いからです。
で、人型のものだったら、ああ、あそこに仲間がいるって思える、っていうのは動物だから。
すると、あと、ガンダムでもう1つ重要なのは、その、うん、格闘、それで人型が格闘戦をやるわけ。それで格闘戦をやるっていうのはどういうことかと言うと、やっぱり映画にしなくちゃいけないからです。て言うのは、ガンダムの制作を始めた頃には、その大陸間弾道弾つまりミサイル、で撃ちあいみたいな映画もありました。そうすると長距離でミサイルをあのー、無線誘導なりで撃ちあう映画っていうのはドラマが発生しないんです。
で、ドラマが発生するっていうのはやっぱりチャンバラなんです。斬りあうという距離があるから、テメェ殺すぞ!(大声)って、殺せるものなら殺してごらん! ってやるから劇が出来るわけ。それ、地球の裏側と表側(おもてっかわ)でやって何の劇が出来ます? 
だからまず、巨大なロボッ…人型のものを、戦わせたい。で、戦わせるためには何が必要だ。だからレーザーがあったら、ふふ、あったら、困る。リモコンが発生しちゃうから。だからまずその、電波を殺すミノフスキー粒子ってものを先に作って、で、それで、あのガンダムの格闘戦ってのを成立させて。っていうのは、だから、あの、光学(工学?)の興味ってのは全くなかったんです。
絶えず、劇を作るために、ああいう風にしたってだけのことなんですが、えー、最近はもう恐ろしいことが起こってまして、だからガンダム世代の、あの、うーん方は気をつけていただきたいなと思うんだけれども、いやー、ミノフスキー粒子あれは俺はあるものだって信じこんでいたんですよねーって(会場笑)
そういう人にも会うようになりまして、えーとくれぐれもお間違いなきようにという風に(富野笑)思いますし、今こうやってあのー笑い声が起きたということで実言うとホッとしています。で、ホッとしているんだけれども、あ、保証します。あと30年したら、この笑い声がおそらく3…半分くらい減ると思う。(笑いながら)もっと信じている奴が出てくるかもしれないっていうくらいに、えーと、ファンタジーとかつまり物語、嘘八百をこうやって羅列していくといつの間にかそれが真実になるかもしれない。っていうのを、この歳になると、人類史の中に見つけることができるようにもなってきたんで、えー、やっぱりそういう風になっちゃうかもしれない。それは怖いな、って今思っていまして。
これ以上の話をすると、これから30分ダーンと独演会になっちゃいますんで、こっちの

司会
ではお話を大平さんの方に

富野
いや、大平さんはもうよくって、(会場笑)


 大平さん何か言いかける


富野
まだ話したい?


 音楽の時間に。大平さんセレクト。「ビギニング」。


 音楽後、作詞は富野監督? という司会の確認に対して。


富野
きっと。


 大平さんがこの曲をセレクトした理由を聞かれると。富野が横から。


富野
いや、大して考えてないって言った。


 大平さんが最初はヤマトが好きだったと。


富野
うん…だからあの、ガンダム作ったのは打倒宇宙戦艦ヤマトですからね。


 話はゲストのガンダム思い出話? に。宇野さんが映画Ⅲから観念的に、そこから富野さんは変わった、と指摘。


富野
ゴメン。今までそれに気がつかなかった! 
だから、Ⅲの時に、ホントにダビングでものすごく苦労して、大喧嘩して、録音監督と。大喧嘩もしたし、それで1度うーん、OKしたんだけれども、2日後に電話をして、ラストロールってのが後ろ10分くらい? のダビングを全部やり直す、ってやって、大騒ぎをしたっていう、なんでそうやってブレているのかっていうのが今、今初めて分かった。


 宇野さんは富野のフィルムはⅢから宇宙を漂っていて、観念の世界でやっていて、ターンエーくらいまで帰ってこない、と畳み掛ける。


富野
そうかもしれない。


 大平さんのプラネタリウム話に戻る。単価、など。


富野
あのーその、ホームスター? ああいう風に売れたんだったら、あの。それはそれでいいんじゃなくって、とってもいいことで、だからこそ、あのーだからこそ、なんて言うの、プラネタリウムの延長線上にビジネス論がなくっちゃいけないのは、つまり我々死ぬまで、食べていかなくちゃいけないわけだから、ご商売上手に出来るようにならなくちゃいけない。


 大平さんとの対談振り返り。


富野
いやーあのー、新しい、新しいあの技術を迂闊に触ってしまうと、こうやって1人で苦労しなくちゃいけなくなってくるから大変ですよ。だけど面白いかも知れませんよ。さあ、あなたはどっちを取りますか、ってそれだけの話ですね。
(壇上微妙な笑い声)
現にこうやっている人もいるんだから、あのー、嫌がらずに、今我々が気がつかない、まーあの、全然違うジャンル? のものでのテーマってのはまだまだ世の中にはぼくはいくつもあると思うから、あのー、むしろそういうことに今あの気がついている人はやっぱりそれを、に、あのそれを、に突き進んでいただきたいなとは思います。そのことがそれこそえーと日本、の国の力、国力をつけることにもなるんじゃないのかな、なんてまあ、いや、年寄りになるとイヤーね。



 大平さんゲストパートでの富野発言は以上です。疲れたー。

 まだ1時間半近く残ってるぞ! タダで、計2時間の音声の文字起こしなんてやってらんねー。

 たぶん、続きはしません。アクセス数が跳ね上がったら、考えるけど。


 

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子犬

詳しい文字起こしありがとうございます。
もし差し支えなければ、こちらの文字起こしをベースにして、
カットされた富野の発言を補完する記事を作成したいのですが、
許可いただけないでしょうか。
by 子犬 (2013-08-22 22:56) 

坂井哲也

これはご丁寧に。

子犬 さんでしたら、ブログの中で明記さえしてくれたら、別に断りいりませんよ(今後も)。

正直言って、「俺の文字起こしをコピペして、早くカット部分の記事を描いて欲しい」と思っていたくらいですから(笑)。

でも倉田さん・吉崎さん部分は残りの文字起こしもほぼ終っているので近日中にアップしますが、宇野さん部分はちょっとどうするか悩み中です。

スイマセン。
by 坂井哲也 (2013-08-23 00:28) 

子犬

ありがとうございます。
さっそく利用させていただきました。

私も最初の大平さんのところで精魂尽き果ててしまいましたので、
その後のアップ無理して急がれなくてもいいですよ。
実際大変ですよね……

by 子犬 (2013-08-23 06:58) 

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