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オマエラとりあえずアニメなんてどうでもいいから、『私の叔父さん』見るんだぞ。 [その他]

 深夜に・こんばんは。

 ええ。まあね。ぼくも大人なんで、

 深夜に書くラブレターが、翌日になって見ると恥ずかしくって読めたものではない、ってことは充分承知なんですが。


 映画の話ですよ、今日は。


 恋愛ものです。恋愛っつっても、アレだよ、えーと。

 アニメファン向けに言うと、例えば新海誠作品みたいな、過度なセンチメンタリズムに陥ったものではなく。

 オマエは。なんで1つの作品を褒めるために、別の映画を悪く言うの?

 いや、新海作品も素晴らしいです。童貞くさいけれど。



 んー。ぼくが今日、話したい映画は。

 まず、恋愛ものだけど、非常に緊迫感がある。

 なぜか。


 それは。

 叔父(高橋克典さん)と姪(寺島咲さん)の話なんで、インセクトタブーが底辺に横たわっている。


 そこで。



 セックスに対する、衝動と自制。

 大人と子どもの狭間での綱渡り。

 真実と欺瞞。

 プラトニックな純情と、「毎日下着を…」と吐露する生々しさ。



 相反する要素がスクリーン上でせめぎあっているから、そこに緊張感が生まれる。

 

 そしてメリハリのある演出。


 競艇場で楽しい時間を過ごしたかと思ったら、帰りの自転車で互いの心が限りなく近づき、そして「死」へと向かって疾走する・感情の静かな爆発。


 この感情が沸点に達する様子は、決してオーバーな見せ方ではなく、静かに・しかし急激に上り詰めるために、観客の胸に迫ってくる。


 主人公はカメラマンだが、例えば「ファインダーを通せばオマエの気持ちが分かる」ような、陳腐な展開には決して陥らない。

 だが主人公が撮影したヒロインの写真5枚から、ヒロインの娘が2人の真実の気持ちに近づいていく。
 捻った展開で、ここには良質なミステリーに似た面白さがある。


 そしてミステリーに似ているのだから、当然「謎解き」に当たる箇所もある。

 不覚にも、40間近のオッサンであるぼくは、この「謎解き」のシーンで泣いてしまった。


 カメラマンが写真に込めた想いは、そして被写体の想いは、見る人に伝わるのか?
 
 
 ヒロインの娘は、写真を通して真実を確信する。

 過去と現在が交錯し、そしてまた主人公・ヒロイン・ヒロインの娘、3人の想いも交錯する。


 見事な物語構成。



 またこの映画は、キャスティングが素晴らしい。

 ヒロインの寺島咲さんは、モデルのような美しさではなく、しかし可愛くて・魅力的な女優さん。
 
 重要なのは、「異性として見ても魅力的」であると同時に、恋愛感情なんて一切無い・姪としてみても「可愛くて面倒見たくなるだろうな」と思えることだ。
 魅力が多層的なのである。


 そして何といっても、高橋克典さん!

 現在と回想シーンがいったりきたりするので、高橋さんは26歳と45歳を演じているわけだが、なんの違和感も無い。

 46歳でも、「あ、20代の女の子でも好きになるね」という魅力がある。

 そしてこの主人公は、是が非でも2枚目でなければならない。

 プレイボーイなイメージのある高橋さんが、「ずっと1人の女だけを想い続ける」からこそ、そのギャップでドラマに深みが醸し出されているのだ。

 正直、高橋さんというと特命係長が真っ先に思い浮かんで、見る前はえ? って感じだったんだけれど、本当、スイマセンでした。

  

 あ、あとねー。

 音楽が流れる場面が少なかったのも、好みでした。バンバン音付けられると、引いちゃうんだよね。「何、ここで感動させようとしてんの?」とか思っちゃう。


 その点も、この映画なら安心です。



 こんな素晴らしい映画に、なんで宣伝費がつかなかったんだ?

 もう、少なくとも今年は洋・邦問わず、この映画以上の作品なんか出るわけないんだから・あ、万一の奇跡があったらゴメン・もっと金つけて多くの人に見てもらえるようにしろよ。


 あー。海外で賞をとって、バカな奴らが慌てて宣伝を始める、みたいなことにならないかしら。


 ぼくは、こんな良い映画をスクリーンで見れて僥倖でした。

 もう公開は終っているから(福岡は飯塚セントラルシネマで今日14日まで)、見逃した人はせめてDVDが発売されたら見て下さい。

 なんか監督さんが、「DVD レンタル発売に関しても全く宣伝費が無いことが判って愕然」とツイートしているんで、もしレンタルショップで見かけたら是非レンタルして下さい。


 映画『私の叔父さん」』を見てから、切なさが胸を鷲づかみにして離さない。

 なんて陳腐な表現をしてしまうほど、この映画に捕らわれているので。

 切なさから逃れるための。そして、勝手に宣伝の微力な一助になれば、という記事でした。





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コメント 2

まな

>オマエは。なんで1つの作品を褒めるために、別の映画を悪く言うの?

分かってるならアニメや他の映像作品を差し置いてこれを見ろ、なんて何故言うんですか?他を下げてそれを持ち上げるってどうかと思いますよ。
映画は映画で面白そうですね。
by まな (2012-09-14 10:00) 

坂井哲也

まな様、コメントありがとうございます。

私の文章を読んで、癇に触ったり疑問に思ったりなさる箇所もあるでしょうが、「映画を面白そう」と思っていただいたことは、何よりです。
by 坂井哲也 (2012-09-14 10:49) 

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