やっぱり『ダイターン3』の最終回はいいなあ [富野監督関係]
以前CSフジで入っていた『ダイターン3』は録画しておいて、時間がある時にチョイチョイ見進めていたのだが、先日最終回を見終えた(念のため、もちろん初見ではない)。
うーん、最終回のハードボイルドっぷりは、やっぱりイイなあ。
シリーズ全体の出来としてはちょっとアレな感じはあります、正直。
製作年で見ると『機動戦士ガンダム』と1年しか差がないんだけど、今の目で見ると両作品の間にはそれ以上の差があります。
ひょっとして『スーパーロボット大戦』シリーズでの厚遇が、『ダイターン3』の評価に下駄をはかせているんじゃないか、という気すらします。
でもね、やっぱり。
「ロボット版ルパン三世」のような洒脱な第1話と、大人のテイストに満ちた最終話は、イイよなあ。
酔える。
初回が、今後の料理を期待させる口当たりの良いシャンパンなら、最終話はバーで独りで傾けるバーボンですね。
ああああなんか今気取ったこと言ったあああ。気持ち悪いいい。うんこうんこ。
以下、最終話の痺れる点を列挙する。
1、出撃する万丈の後ろ姿を見送るレイカとビューティのセリフ。
「見納めね」
「未練よ」
簡潔なセリフ自体もいいが、「未練よ」を言うのが日頃は頭の軽そうなビューティというのも良い。
普段の感じから言ったら、セリフの担当が逆な感じしません?
2、力の入っている最終決戦の作画。
絵の知識が全くないぼくにも、描き手の情熱が伝わってきます。
突然、背景が白くなる大胆なシーンも。
3、「ひょっとしたら万丈自身がメガノイドではないのか?」 という疑問を、結局匂わせたまま終える「粋」。
全部ペラペラ喋ってしまう無粋とは無縁です。
そして、「まだ○○の説明がされていないじゃないか!」と全てに答えを求めるお子様な視聴者とも、無縁なのです。
4、万丈最後のセリフ「ぼくは、いやだ…」
謎めいた・よく分からないセリフでありながら、全てを否定する力強さに満ちたセリフ。
まあ、普通に考えたら「メガノイドであること」の否定なんでしょうが、どこか哀しみや諦観を帯びている鈴置さんの演技ともあいまって、非常に印象深い一言になっています。
5、アッサリとした万丈チームの解散。
実は、ここがぼくの一番好きなところ。
ボスである万丈の帰還を待たず、共に闘ってきた戦友とのあまりに淡々とした別れ。
レイカは「仕方ないでしょ、住む世界が違うんだから」とカンタンに部屋を出て行く。ビューティもそんなレイカに文句を言いつつ、迎えの車に乗り込むと何の感慨も見せずに朝食の心配を始める。
みんな、宴が終ったことを承知しているのだ。
その淡々とした、しかししっかりとした解散劇を描く送り手の姿勢は、ファンの妄想に沿う制作者のそれとは対極をなすものです。
そして、ジメジメしたお涙頂戴とも、一切無縁な別れ。
本当に大人の演出だな、と思う。
他の作品の話になってしまうが、『カウボーイ・ビバップ』の終盤にもこのドライさがあれば、もっと名作だったんだがなあと残念に思う。
6、ラストシーン。
ギャリソンが鍵を掛けて去り、万丈邸は空き家になる。
夜が空け始めて、日輪がのぼってくる。
右端の部屋だけ明るいのは、陽が差し込んでいるからなのか、それとも屋敷の主が帰還したのか。
それも分からぬまま、物語は幕を閉じる。
しかし消化不良の感は無い。心地良い余韻だけが残る。
描写の過不足ない、見事なラストシーンだな、と改めて思いました。
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