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富野講演の演題が「自分の個性を信じる」! 今までの「個性」に関する発言を振り返る [富野監督関係]




4月に開かれる「富野流仕事術」の告知を見てビックリ

 先日、ツイッターのTLをぼんやり眺めていたら、こんなツイートを見つけました。


 講演かあ、どうせ札幌在住の貧乏人であるところのぼくには関係ない…「富野流仕事術~自分の個性を信じる」…ええっ?! 個性を信じる?

 慌ててリンク先のサイトを見ました。

 嘘だろ…なんだこの演題は。

 ファンの方ならご存知でしょうが、富野は「個性」というものに非常に懐疑的です。

 ぼくは「富野作品ファン」であり、「富野ファン」ではあまりないので、書籍やインタビューでの言葉を100%受け入れることはありません。この姿勢は富野以外の、お気に入りの作家やタレントに対しても同じです。

 ですが勿論、「これは慧眼、その通りだ」と思う発言もあって、「オマエ程度に個性やセンスがあると思うな」論もその1つでした。
 それを言っている富野本人が、(低い自己評価とは裏腹に)個性溢れているってトコロもオツなのですが…

 その富野が「個性を信じる」とは如何なることか。
 これまで何回も、「個性」への無批判な信奉を否定していたはず。
 
 そこでちょっと、富野が「個性」について語っているものを、ネット上から探して並べてみました。書物はもう、どこに何を書いているのか忘却の彼方なので…ネット上からのみ。


「個性の否定」を羅列してみた

 自我を持てとか個性を大切にしようと言われていましたけど、ほとんどウソ八百です。
 個性を大事にした時代なんて、そんなにありません。
 個性が維持されている地域は、文化が入っていない地域です。(『富野由悠季のコーヒーブレイク』1999年1月11日

 実を言うと今大学なんかで話をしてるのは、僕そのことしか話をしてない。自分に技術とか個性があるなんて思うな。思ってりゃもう20歳までで売れてるよ。売れてないってことはボンクラなんだからお互いに。ボンクラが他のボンクラに勝とうと思ったらどうするかって少し勉強するしかない。(『オリジナルの肝』2005年5月

 皆さん方の受けてきた教育、皆さん方が20年、もしくは20何年という時間の中で、きっとこういうふうに教えられてきたんじゃないのかなって、僕自身スタジオで若い人たちと接して感じることがあります。
 それは、・・・・・・個性が大事だ、君にはあなたには特別なものがあるんだから、その個性を伸ばすためにお勉強しましょう、がんばりましょう、という教えられ方を、先生や他の大人たちからされてきたんじゃないのかと感じるようになりました。
 僕自身、いくつかの本を読んだ中で、具体的にどなたが書いたかは覚えていませんが、とても納得する話があります。
 普通の人は、個性はないという一節です。
 それをまず皆さん方が自覚していただく方が正しいような気がします。
(中略)
 15歳までに一所懸命努力をしてきた顔が見えています。
 そういう顔を持っていないおまえらが才能あるはずがないじゃないか、個性があるわけがないじゃないか、そういう自覚がないから、なんとなく勉強すればなんとかなるというふうに思っちゃうのですから、いくら勉強してもダメなんです。(KINO Vol.02 思考としての『ガンダム』2006年7月

 例えば個性という問題です。皆さんはおそらく小中学校時代に、あなたらしく君らしく頑張ろう、勉強しようと言われてきたと思います。あなたの個性は得難いものだから大事にしましょう、大事にして育てばきっといいことあるよと、うそをつかれ、教育されてきましたよね?
 大人になって気づくのは、俺に特に個性なんてあるわけねえじゃんということ。はっきり言って、個性も能力もない。(『ITmediaニュース』2009年9月「僕にとってゲームは悪」だが……富野由悠季氏、ゲーム開発者を鼓舞

 自分の個性は、信じるな。自分の個性を、はじめに信じちゃったら、それで、一本線でダーッと行くじゃないですか。(ラジオ『Growing Reed』2009年10月25日)

 「自分には特別な個性や能力がある」などとは思わないで下さい。(『アニメージュ』2010年5月号富野に訊け!!

 でもさ、誰にもない自分だけに固有の価値なんてものを持ってるのは、それこそ尾田栄一郎ぐらいだよ。あのくらいの才能がないと、絶対にグーンと行かない。この20~30年の義務教育で“みんなには個性がある”という教え方をしてきたらしいんで。僕を含め、固有の能力のあるヤツなんてほとんどいないんです(『R25』2012年4月5日ロングインタビュー富野由悠季

 日本の民主主義教育は、誰でも権利を主張していい、誰でも個性があると教えてきちゃった。本当に個性があったらブランド品なんて買わないよね、流行を追ったりしないでしょ。(対談石川智晶VS富野由悠季・日時不明
 ※「個性があったらブランド買わない」は、書籍『富野に訊け!』の中にもありますね。

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  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2010/02
  • メディア: 文庫


 あと、この情報もいただきました。


 「そんな凡人が、自分の“好き”という思いだけで作ったものは作品とは言えません」と続くやつですね。


考えが変わるのは誰にでもあることだが

 どうでしょうか。リンク先の皆様に感謝。

 他にも探せば、たくさん出てくると思います。確か、詩人のランボーは何歳だかにデビューして、でも個性がない自分は…みたいな話もなかったっけ。

 考えの変化に伴い、意見が変わることは誰にでもあることです。珍しくも、責められるべきことでもありません。

 ただ、富野は個性尊重を長年否定していたので、今回の演題「自分の個性を信じる」にはやはりビックリしました。
 自分に個性はない、だからこそ・どう勝負するか、まあ勉強しろってことなんだけれども、富野が繰り返してきた趣旨だったはずです。

 それが今回の講話ではどうなるのでしょうか。

 出だしで「今回のテーマは『自分の個性を信じる』ですが、あなた達に個性があるとは思わないでください」とくるのか、それともホントに考えが変わったのか、興味津々です。

 ぼくは行けませんが、参加できる方は羨ましい。さてどちらに転がるか。

富野を知るにはこれを買え


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