SSブログ

Gレコは「ロードムービー」ではなかったな、ぼくにとっては。ではロードムービー感あふれるロボットアニメ3選は。 [富野監督関係]





 どうも。お久しぶりです。
 もう少しGレコのことを書こう。

 今日はいつも以上に、「ぼくにとっては」って話になりますよ。


 放映直前に、富野はGレコについて次のように語っていました。

 「これ(ブログ主注・宇宙エレベーターのこと)は一種の交通手段なんです。そして交通手段にするためには、目的地に何かがなければいけない。つまりこれはロードムービーなんだということに気付いたんです」。(映画.com ニュース2014年8月23日より

 「これはコンテをやって初めて気がついたんだけど、『G-レコ』ってロードピクチャーなんですよ。地球から月、そして金星へと主人公たちがほぼ一直線に旅をして帰ってくる物語。ただのロードピクチャーだからこそ楽しくつくらなければいけない」。( 月刊ニュータイプ2014年9月号

 で、実はロードムービー(ピクチャーでもいいんだけれど)には、厳密には定義って無いようなんだよね。
 面白いんだよ、「ロードムービー」をネット上の辞書で調べると。以下、列記。


【デジタル大辞泉】
 主人公が旅を続けるなかで変貌し、自分を発見するという筋立ての映画。
 
【大辞林 第三版】
 主人公が作中で旅や放浪をしながら,さまざまな出来事に遭遇したり変化していくさまを描いた映画。

【日本大百科全書(ニッポニカ)】
 主人公が自宅や故郷を離れ、各地を旅しながら、旅の過程で成長や変貌(へんぼう)を遂げていく映画。陸路による移動が物語展開の基線をなすが、こうした物語形式の源には、『オデュッセイア』など、西欧の古代叙事詩がある。陸路をいくプロットは映画初期から採用されていたが、確固たるジャンルとして認識され、形成されていくのは、自動車社会が到来し、若者文化が興隆する第二次世界大戦後以降である。口火を切ったのは、『イージー・ライダー』(デニス・ホッパー、1969年)や『俺たちに明日はない』(アーサー・ペン、1967年)などのアメリカのニュー・シネマだった。日本でこの用語が普及し始めるのは、ドイツのビム・ベンダース監督作品が公開されるようになってからである。『まわり道』(1975)、『さすらい』(1976)、『パリ・テキサス』(1984)など、彼の作品には旅をモチーフとしたものが多く、そのスタイルを表現するために用いられるようになった。日本映画にも『幸せの黄色いハンカチ』(山田洋次、1977年)など、ロード・ムービーとよぶにふさわしい作品が生まれている。

【ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典】
 陸路による移動が物語展開の基線を成す映画。アメリカ映画『イージー・ライダー』 (1969年) などがこれに該当するが,確固とした用語ではない。日本で急速に用いられ始めたのは,ドイツの W.ベンダース監督作品が公開されてからで,『まわり道』 (75年) や『さすらい』 (76年) など,彼の作品には旅をモチーフとしたものが多く,その特徴を表現するために使われるようになった。

 
 どうですか、ちょっと面白いでしょう。
 ブリタニカには「確固とした用語ではない」と明記されていますね。

 だから、確固としたラインが無い言葉なので。例えば。
 英Total Film誌が2012年に発表した「史上最高のロードムービー50本」を見ても。

 「『俺たちに明日はない』は傑作犯罪映画だし青春映画でもあるけれども、ロードムービーって言われるとなー」って気がしちゃうのは、ぼくだけですかね?


 では、ですよ。ぼくにとっての「ロードムービー」の絶対条件は。

 「道程でドラマが起こる」ってこと。コレ、絶対。「目的地に着いてから」ではなく、「道程で」ドラマがあること。
 これを満たしているのが、ぼくの思う「ロードムービー」。

 それともう1つ。
 コレは絶対じゃないんだけれど、できれば「物語の序盤で目的地が明示される」。


 さて。このぼくの視点でいくと、Gレコってどうしてもロードムービーに見えないんですよ。

 まず一番の要因は、道程での描写がほとんどないこと。まああの、マラソンくらいかな。思い出す道程での出来事って。

 後はね、これぼくの「2」の条件にも重なってくるんだけれど、アイーダ様(あとベルリも)が思い付き・思い立ったが吉日・弾丸娘の勢いで行動するので、コマ切れに目的地が提示されるんだよね。
 最初から「金星に行く!」って言ってくれれば、もっとロードムービー感あったんだけれど。

 Gレコは、
「宇宙からの脅威の話を確かめるため、キャピタル・テリトリィに行こう」
「次はザンクト・ポルト」
「アイーダ様、真実を確かめるため月を指さす」
「アイーダ様、レイハントン家とドレット家の争いの原因がヘルメス財団にあるのならと、財団のあるビーナス・グロゥブに行ってみることを決意」

 こう、目的地を小出しにされると…
 しかも実際には、確かに「道程」での出来事ではあるんだけれど、ザンクト・ポルトに着いて1つの出来事、月に着いてまた出来事、金星に着いて出来事と、どうも「旅の途中での話」な感じがしないんですよ。
 目的地に着いてからの物語、って感じがする。

 これなら例えば、クルー同士でいさかいがあったり、主人公が「旅」から離脱したり、様々なドラマが移動中で生まれている初代ガンダムやイデオンの方が、ロードムービー感あったなー。
 「2」の条件は満たしてないけれど。

 これについては、氷川さんが藤津さんとの対談で面白い指摘をしています。


 今回、「ロードムービー、旅ものにする」と語っていますね。もともと富野さんの作品は、ホワイトベースのように「グランドホテルがロードムービーする」というシステムが秀逸なんです。ゲストが来るときは大きな船がグランドホテルとして出迎えるし、それが動けばロードムービーになる。ドラマづくりに便利な構造をしています。

グランド・ホテル [Blu-ray]

グランド・ホテル [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: Blu-ray


 グランドホテル方式(ホテルのような一つの大きな場所に様々な人間模様を持った人々が集まって、そこから物語が展開する)と、ロードムービーの複合ってのは、さすがの見立てですね。

 実際・富野作品に限らず、都合良く異星人などが東京・日本ばかり襲ってきた大昔の作品ならともかく、ロボットアニメにはこの要素が生まれますよね。

 
 その上で。

 じゃあ、ぼくが思う「ロードムービーなロボットアニメ」は。
 3つ上げると。Gレコは入らないなー。

 バイファム(カチュアー、もといカサハラー!)、モスピーダ、そしてキンゲ。

EMOTION the Best 銀河漂流バイファム DVD-BOX1

EMOTION the Best 銀河漂流バイファム DVD-BOX1

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • 発売日: 2011/08/25
  • メディア: DVD



機甲創世記モスピーダ  ブルーレイBOX<4枚組> [Blu-ray]

機甲創世記モスピーダ ブルーレイBOX<4枚組> [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 松竹
  • メディア: Blu-ray



オーバーマン キングゲイナー 5.1ch DVD-BOX (期間限定生産)

オーバーマン キングゲイナー 5.1ch DVD-BOX (期間限定生産)

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • メディア: DVD



 3作とも「目的地」ではなく「道程」の描写がメインでドラマが生まれているし、しかもククト星・レフレックスポイント・ヤーパンと目的地が序盤で明示されている。

 まあウィキ見ると、モスピーダはスタッフが西部劇目指していたみたいだけれど。でもホラ、OPで旅に出るがいい、と歌っているし(最初5秒ピー音あり)。




 ロードムービーの映画ならね・もう、1位は絶対不動だろうし、あとはベンダース…そんなに面白いランキングにはならないでしょ? ぼくはあんまり見てないから、『或る夜の出来事』と『イントゥ・ザ・ワイルド 』かな。

 だからアニメで。
 皆さんが「ロードムービー」で思い出すアニメはなんですか?



nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

nice! 0

コメント 2

z

面白く読ませてもらってます。
『母を訪ねて三千里』は?

テレビアニメにおけるリアリズム演出の極北みたいな作品で、ロードムービーとは単純にはいえないかもしれませんが。
by z (2015-06-18 20:41) 

坂井哲也

zさん、コメントありがとうございます。

ロボットアニメに限定しないなら、『母を訪ねて三千里』を思い浮かべる人は多いかもしれませんね。タイトル自体もOPの歌も、ロードムービー感ありますね。
by 坂井哲也 (2015-06-19 09:58) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0