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岩井俊二監督が語る「恋愛物」としてのガンダム [富野監督関係]

 こんばんは。

 Eテレで放送している『岩井俊二のMOVIEラボ』で、今回のテーマが「ラブストーリー編」でした。

 そこで岩井監督がラブストーリーの原体験として語った「恋愛物としてのガンダム」が面白かったので、文字起こししておこうかと思います。
 テロップなどは略。話のみ。

 では、以下からスタートです。


 昔子ども時代になんかあの、多分見てて一番理解できなかったのが、男女の恋愛劇で、ドラマ見てても映画見ててもよく分からなかったですね。最初。そのー、自分が小学校中学校くらいまでは。

 そんな時に、機動戦士ガンダムを見たんですよ。
 で、それにやられてしまって、けっこう。

 ま、あのアニメにハマッた人ってたくさんいると思うんですけど、意外と自分の場合はラブストーリーとして、そのー、なんだコレはっていうカルチャーショックがあって。

 シナリオがね、(ゲストの評論家さん「脚本スゴイですよね」)、国宝級ですね。

 まずそのー、主人公のアムロ・レイってのがいますけど、なんかお友達のような、隣に住んでいる女の子で、フラウ・ボゥってのが出てきて。

 まあ、大体その当時の漫画で言えば、そういう関係で2人現れたらずーっとこの関係は崩れないっていう不文律が(評論家さん「うんうん」)ありましたよね。

 ところがこのフラウ・ボゥってのは途中から、あんまりパッとしない(笑)脇キャラがいて、で、だんだんそっちとこういってしまう、アレって感じでまあフェードアウトしていくっていう、関係的には。

 そんなアムロが途中でマチルダさんっていう、まあ年上の女性に惹かれたりなんかして。
 なんで急にそこいったのかなってのは、理解できなくて。ピンともこなくて(笑)。

 で、そこはスルーしたんですけど。
 もうカルチャーショックだったのは、あのー、ララァ・スンっていう…(評論家さん「ララァ・スンはすごいですね」)

 アムロはそのーララァとおそらく数分間しか会ってない、実際。
 会ってるとも会ってないとも言えない、全く接点の無かったような関係の2人が、宇宙空間で戦闘機とロボットに乗って遭遇するんですよ。

 そうすると、あ、この人と会ったって感覚は全く無くて、ほとんど覚えてもいない。
 実際に会ったとも言えない関係なんだけど、宇宙空間で戦っているうちにこの2人が恋に落ちていくっていう。

 普通見てたものと全く違う男女間の、いろんなことが出てきて…

 終ってみたら、なんか相当、なんだったんだこれと思いつつ、今振り返ると…
 まあ自分が知っている恋愛物語の中でも、かなり特異な、異色作だったんだなってのが見えてくるんですけど。



 以上です。

 パッとしない脇キャラ…ハヤトー!


 ちなみにぼくは、初見の小学生の頃は当然、MSの格好良さとかに目が行って・惚れた腫れたなんか?だったので、キャラクターの恋愛感情の機微なんて分かりませんでした。

 だからZガンダムで、フラウとハヤト及びブライトとミライが結婚していたのには、驚いたものです。

  しかし大人になってからリバイバル上映で、スクリーンで劇場3部作を見ると、「こんなにハッキリ描写していたのか」と再発見がありました。

 ミライがブライトに愛想をつかしてスレッガーになびいた瞬間も、フラウの心情も、ちゃんと描かれていました。改めてファーストすごいな、と思いました。

 まあ、その後の富野作品でも、恋愛描写が達者かと聞かれれば、ちょっと疑問符がつきますけれども…

 直近で言えば、Gレコの16話「ベルリの戦争」で。
 ベルがアッサリと「姉さん」と言ったの、ぼくなりにおそらくの演出意図を汲んだ上で、それでも納得いかなかったからね。

 アイーダさまの尻を追っかけて人まで殺しているのに、その女が姉だったなんて、アッサリと認められるか!

 「その後に感情爆発したじゃん」って指摘はあるだろうけれども、でも「姉さん」って言っちゃうの、早すぎるよ。

 話が逸れた。戻す。


 詳しくないせいかもしれないけれど、岩井さんがガンダム語るイメージなかったので・内容も納得だったし、面白い話でした。

 ちなみにこの番組の中では、恋愛物語を描くスキルとして「障壁」と「不在」が上げられていました。

 ベル! インセスト・タブーなんて「障壁」は乗り越えて…(最後は列車に乗って、2人でゴールの無い逃避行)。




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