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『ZZ』のラストは、初めて「ニュータイプの主人公らしい終り」を見せてくれたのだった。 [富野監督関係]





 昨年末に、何故かZZへの言及がぼくの身近なネット上でありまして。このツイートまとめとか、 highlandviewさんの記事とか。

 highlandviewさんの記事の最後に「みなさんも『機動戦士ガンダムZZ』見て、自分なりに感想戦やってみたら、きっと楽しいと思うよ」とあったので、ぼくも便乗することにしました。
 ZZ、再見してないけれど…

 もっとも去年の9月に1度、「俺もZZについて書いてみようかなー」と思わせてくれる記事がありまして。
 このブログに来訪いただいている方は、おそらくもう読まれているかと思いますが。

 コレですね

 福井・内田・小形3氏の対談自体も色々な情報があって興味深かったですが、この記事の特長はなんと言っても最後のライターさんによる追記部分でしょう。

 壇上の方々への芳賀ゆい・もとい歯痒い思いから生まれた、素晴らしい言及だと思います。

 もっとも、部分的には賛同しかねる部分もあります。
 つまり以下の部分です。

生々しい話になって恐縮だが、10歳の少女をより写実的に描いたのは富野監督と宮崎監督のどちらであるか、ということを考えていただきたい。さらに言うと、現在のアニメの世界で描かれる少女たちについてあえて富野的か、宮崎的か、と言えばこれは圧倒的に富野的だといえる。けがれ無きイノセンスではなく、女「性」としてのアイデンティティを持った存在として少女は描かれるようになったといえば、ご理解いただけるだろう。
(以上引用終り)


 これはちょっと、違うでしょう。

 「少女をイノセンス」として捉えるアニメは、現在でも力強く・しかも数多く生き残っています。
 中には高校生なのに男性の存在を全く出さず、それこそイノセンスな存在として描いて、大ヒットをかっ飛ばした作品だってあります。

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 しかし、この記事の終盤、「じゃあ僕らが見てきたニュータイプって何なのさ? どうすれば人は変わっていけるのさ? その答えを初めて見せてくれたのがジュドーだった」には大いに共感しました。

 ぼくは「終り方」に限定して語ります。

 
 物語のラストとして、木星へ旅立つあの展開がベストだったとは勿論言いません。

 富野の前々作『エルガイム』では立身出世を目指していたはずのダバが里に引っ込み、妹や仲間との生活を守るために戦っていたジュドーは最後どっか行っちまうのか! 結末が逆だろ! とは、思います。

 でも、「ニュータイプ」の結末としては、やっぱり好ましいラストだったのです。


 ぼくは小学生の時にガンプラブームを体験しました。
 もう説明不要でしょうが、本放送時ではなく再放送で起こったブームです。

 その数年後、『Z』『ZZ』の放送開始。

 でも周囲の級友も、そしてぼく自身も、あまり見ていませんでした。

 『Z』の最初の方こそ見ていたけれど、次第に見なくなり、『ZZ』に至っては本放送時の思い出はほぼありません。

 ファーストは友達が皆見ている共通言語でしたが、『Z』『ZZ』は見ている奴がいるのか? くらいの体感でした。

 ぼくより上の世代・マニアな方はセンチネルなんかを継続していた訳ですが、片田舎のガキにとってはそんなこと知る由もなく。
 「ガンダム」は一過性のブームで終る可能性だって充分あった訳です。

 さて、ぼくが『ZZ』を再放送で全話見たのはその数年後でした。

 もう記憶があやふやですが、『逆襲のシャア』公開より後だったかも知れません。

 最終回を視聴した感想は、「やっとニュータイプの主人公らしい終りが見れた」だったことは覚えています。

 「ニュータイプ」の概念がなんだって良いのですが、物語における意味合いとしては、「未来への希望」のはずです。

 しかしファーストでのアムロは「ぼくにはまだ帰れるところがあるんだ…」のセリフ通り、「回帰」へと向かいます。

 物語の締めとしては秀逸でも、「ニュータイプの主人公」の締めとしては釈然としませんでした。
 希望の象徴としてのアイコンは、帰る・戻るのではなく、外へ・明日へと向かって欲しかったのです。

 繰り返しますが、物語の締めとしては不満はありません。
 何より劇中では、それまでホワイトベースクルーを誘導していたアムロが・今度は子ども3人に誘導されることによって「ニュータイプ=未来への希望の象徴」の引き継ぎが行われています。

 だから物語のラストとしてはOK、でもニュータイプの主人公としては。
 てな思いがあった訳です。

 続くカミーユに関しては、説明不要ですね。希望も何にもない!

 そしてアムロは鬱屈としているし、ファーストで「希望の象徴の引き継ぎ」をしたはずの子ども達は。

 カツ!

 ねえ。

 だから・それこそ先の記事にある「ニュータイプって何なのさ?」状態だったわけです。

 でも、そこでジュドーの登場ですよ。

 アムロ、カミーユが繊細だったのに比べて、ジュドーは「線の太い」主人公でした。

 そして最後、彼はまだまだ未知の場所である木星へと旅立つ訳です。
 しかも、ルー・ルカなんてちょっとイケてる(言葉古っ・でも放送年代を考えても、この言葉が一番ピッタリに感じたんだよ)女の子を連れて。

 ああ、ジュドーらしいな。未知の世界に旅立つ「強い子」だ、ニュータイプだ。
 ガンダムシリーズ3作目にして、やっと「ニュータイプらしい」身の振り方が見られた。

 そう感じたし、この思いは、今も変わりませんね。

 初代ニュータイプであるアムロとシャアは、結局『逆襲のシャア』において・自分の命と引き換えに「希望の光」を人々に見せたわけですが。

 それより、女の子と一緒に・力強く新天地へ歩み出したジュドーの方が、ニュータイプとして正しい最後の姿を見せてくれた、と思っています。

 

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