「女優」として再構築する富野ヒロイン7(最終回) シーラ・ラパーナ [富野監督関係]
今では名作として知られる恋愛映画『赤い嵐の女王』だが、元の企画は全く違う内容で、主役も老いた男性が演じるはずだった。
しかし脚本家のスケヒロ・トミタが一人の少女と出会ったことから、『赤い嵐の女王』は現在の形となり、その少女――シーラ・ラパーナのシンデレラ・ストーリーは始まった。
映画の内容はかの名作『ローマの休日』のリメイクとなり、監督には名匠・富野由悠季を迎えた。
シーラ・ラパーナはまだ10代で演技経験もなかったが、新人らしい清廉さと、すでに大女優と呼ぶに相応しい存在感、相反する才能を兼ね備えていた。
共演することになったショウ・ザマは、『ローマの休日』のグレゴリー・ペックにならって、エンドロールでの彼女の名前を自分より上にするか、少なくとも並列にするよう会社に掛け合ったが認められなかった。
クレジットはショウ・ザマが上になっている。
『赤い嵐の女王』が上映されると、彼女はたちまちスターの仲間入りを果たした。
スクリーン上での高貴なイメージから、若いファンは彼女を「聖少女」と呼んだ。
また熱心なファンは白い服装に身を固めて彼女を応援したことから、「白き護り」とあだ名された。
ラブロマンス作品でデビューしたシーラ・ラパーナだが、その後は重厚な戦争映画に立て続けに出演する。
若くしてデビューしたスターが陥りがちなスキャンダルとは無縁で、社会的活動にも積極的に取り組んだ。
彼女は、自分に与えれた社会的地位や財産に伴い、義務も発生すると考えているようだった。
その生き方は多くの尊敬を集め、ついにはイギリス女王との面会も果たしている。
私生活では一生独身を通したが、何回か共演したショウ・ザマには淡い感情を抱いていたとする説もある。
だがかつて付き人だった少女の証言によると、シーラ・ラパーナはショウ・ザマとの関係について「情けは交わさぬが良い」と語ったそうだ。
彼女がどのような気持ちでこの言葉を言ったのかは、知る由もない。
本当に恋愛感情を持っていたとして、それを押し殺した理由は「女優」としての役割を果たすためだったとも、ショウの恋人だった米女優マーベル・フローズンを思ったためとも言われるが、真相は分からない。
どちらが真実だったにしろ、彼女の魅力を表すエピソードが1つ増えるだけだ。
最後の映画出演作は、連作の『クロス・ファイト』と『チャム・ファウ』。
両作とも当時のスター達を集めた大作映画だが、彼女はその中でも重要な役を担い、一際強い存在感を放っている。
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