「家族」の視点から見る富野作品 4 [富野監督関係]
お久し振りです。
「『家族』の視点から見る富野作品」の続きです。第4回。
前回は『ZZ』において、ついに最初から「家族」というか、「親」を描くことを放棄した、というところまで書きました。
思えば『ZZ』は、そもそも「大人」を描くことを放棄した作品だったかも知れません。
さて『ZZ』の次は『逆襲のシャア』です。
角川版の原作小説ではアムロに子どもがいます。「ヘレンヘレンでしょ?」とか言っていた女との子どもですね。
家族がいるアムロと、未だにララアのことでグジグジしているシャア、の比較は面白かったのですが、映画では実現しませんでした。
これはぼくの勝手な推測ですが、「ロボットアニメの主人公が、子持ちじゃイカン!」という富野の考えからだと思います。
ぼくがそう推測するには理由があって、当時のアニメディアに富野のロングインタビュー(10Pくらいだったかなあ)が掲載された逆シャアの別冊付録があったんです。
残念ながら紛失しちゃったので細部は間違っているでしょうが、富野は「(逆シャアに)謎の総統Aを出してもいい。カミーユやジュドーを出して混戦模様にしたっていい。でもアニメにオヤジ顔のキャラクター(アムロとシャアのこと)を出してしまった責任だけは取らなくちゃいけない」みたいなことを言っていたんです。
(年齢的には)大人が主役・ライバルをやっていることだけですら負い目? を感じているのに、その上さらに子持ちの主人公ってことは有り得なかったんでしょう。
さて、富野がファーストガンダム以来、久し振りに家族に焦点を当てたのが次作『F91』です。
マイッツァー側の家族構成がやや複雑で、予備知識なしだと初見では把握しづらいきらいがありますが。人類の進歩より少年の成長より、自由より平和より優しさより君だけが真実つかんでいた
あっれ今。
なんかいい歌詞ができそうな感じしたぞ。
いいよオマエ。
そういう寄り道するから、本筋が分からなくなるんだよ。
人類の進歩より少年の成長より、「家族」に焦点を当てた作品と言えるのではないでしょうか。
『「ガンダム」の家族論』で第1章にこの作品を持ってきたのも納得です。
『F91』でぼくが好きなのは、鉄仮面のキャラクター造形です。
よく「家族は社会を構成する最小単位」なんて言いますが、その家族からさえ見放された男が、人類について大仰に語る滑稽さがたまりません。
この造形は素直にうまいな、プロだなと思います。
また富野シンパとしては、鉄の仮面で本音を封じ込めた男が、妻には逃げられ娘には敵対され、挙句の果てに「女というものはつくづく御し難い生き物だな!」と吐きゃあ、「富野、なんか心の中のぐちゃぐちゃしているところが漏れちゃってる!漏れちゃってるよ!」とハアハアしてしまいます。
でも実は、鉄仮面は大袈裟だとしても、人前では本音を隠して・カミさんに愛想を尽かされ・娘には嫌われるってのは、世のオトーサン達に結構当てはまると思うんだよね。
ブっ飛んだキャラクターに見えて、実はどこにでもいるオトーサンを肥大化しているだけ、というところも感心します。
さて一方シーブックの方は、ガンダムシリーズでまともな親が初めて登場…と書こうと思いましたが、よく考えるとモニカもテム・レイのバージョン違い、木星帰りのセリフを借りると「マイナーチェンジのくせに!」ってことですよね。
そして親父の影は薄い。
ちなみに富野って、あんまり「夫婦」を描いたことないような。
『「ガンダム」の家族論』ではランバ・ラルとハモンについて項を割いていますが、逆に言うとこのカップルくらいしか、「男女像」を描いてないんじゃないのか、って気もします。
さて長くなってしまいました。
こういう続きもの形式の記事は早く終らせた方がいいのですが(回数を重ねるほどアクセス数が落ちる)、終らないものは仕方がありません。
続きます。次で終ります。
富野を知るにはこれを買え
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「『家族』の視点から見る富野作品」の続きです。第4回。
前回は『ZZ』において、ついに最初から「家族」というか、「親」を描くことを放棄した、というところまで書きました。
思えば『ZZ』は、そもそも「大人」を描くことを放棄した作品だったかも知れません。
さて『ZZ』の次は『逆襲のシャア』です。
角川版の原作小説ではアムロに子どもがいます。「ヘレンヘレンでしょ?」とか言っていた女との子どもですね。
家族がいるアムロと、未だにララアのことでグジグジしているシャア、の比較は面白かったのですが、映画では実現しませんでした。
これはぼくの勝手な推測ですが、「ロボットアニメの主人公が、子持ちじゃイカン!」という富野の考えからだと思います。
ぼくがそう推測するには理由があって、当時のアニメディアに富野のロングインタビュー(10Pくらいだったかなあ)が掲載された逆シャアの別冊付録があったんです。
残念ながら紛失しちゃったので細部は間違っているでしょうが、富野は「(逆シャアに)謎の総統Aを出してもいい。カミーユやジュドーを出して混戦模様にしたっていい。でもアニメにオヤジ顔のキャラクター(アムロとシャアのこと)を出してしまった責任だけは取らなくちゃいけない」みたいなことを言っていたんです。
(年齢的には)大人が主役・ライバルをやっていることだけですら負い目? を感じているのに、その上さらに子持ちの主人公ってことは有り得なかったんでしょう。
さて、富野がファーストガンダム以来、久し振りに家族に焦点を当てたのが次作『F91』です。
マイッツァー側の家族構成がやや複雑で、予備知識なしだと初見では把握しづらいきらいがありますが。人類の進歩より少年の成長より、自由より平和より優しさより君だけが真実つかんでいた
あっれ今。
なんかいい歌詞ができそうな感じしたぞ。
いいよオマエ。
そういう寄り道するから、本筋が分からなくなるんだよ。
人類の進歩より少年の成長より、「家族」に焦点を当てた作品と言えるのではないでしょうか。
『「ガンダム」の家族論』で第1章にこの作品を持ってきたのも納得です。
『F91』でぼくが好きなのは、鉄仮面のキャラクター造形です。
よく「家族は社会を構成する最小単位」なんて言いますが、その家族からさえ見放された男が、人類について大仰に語る滑稽さがたまりません。
この造形は素直にうまいな、プロだなと思います。
また富野シンパとしては、鉄の仮面で本音を封じ込めた男が、妻には逃げられ娘には敵対され、挙句の果てに「女というものはつくづく御し難い生き物だな!」と吐きゃあ、「富野、なんか心の中のぐちゃぐちゃしているところが漏れちゃってる!漏れちゃってるよ!」とハアハアしてしまいます。
でも実は、鉄仮面は大袈裟だとしても、人前では本音を隠して・カミさんに愛想を尽かされ・娘には嫌われるってのは、世のオトーサン達に結構当てはまると思うんだよね。
ブっ飛んだキャラクターに見えて、実はどこにでもいるオトーサンを肥大化しているだけ、というところも感心します。
さて一方シーブックの方は、ガンダムシリーズでまともな親が初めて登場…と書こうと思いましたが、よく考えるとモニカもテム・レイのバージョン違い、木星帰りのセリフを借りると「マイナーチェンジのくせに!」ってことですよね。
そして親父の影は薄い。
ちなみに富野って、あんまり「夫婦」を描いたことないような。
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さて長くなってしまいました。
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