「家族」の視点から見る富野作品 3 [富野監督関係]
さて、お久し振りです。
「『家族』の視点から見る富野作品」の続きです。
『ザブングル』からですね。
この作品においては、「家族」の存在はあまり出てきません。
注目すべき点は2つです。
1つは、ホワイトベースと同じように少年少女がアイアンギアーに集まりながら、しかし疑似家族のような繋がりを全く構成しない点です。
『イデオン』でも同じ傾向はありましたが、『ザブングル』で決定的になりました。
この作品以降、登場人物が疑似家族を構成していくような富野作品はありません。 父親・母親、どちらかの役を担うキャラクターが片方だけ存在する場合はありますが。
2つ目の着目点はカンタンです。
「3日の掟」を破るほど親の敵・ティンプー!・を追っている、つまりそれほど親を慕っていたはずなのに、それに関連する描写がほとんどない点です。
次は『ダンバイン』。
ドレイクとルーザ、リムルについては書く必要はないでしょう。
主人公ショウの家族に関しては、世間体ばかりを気にする教育評論家の母親が登場します。
このキャラクター設定は陳腐で、ちょっと残念な気がします。
結局、ショウは母親との関係を断ちます。親に見捨てられても、しかしその親を庇う、なかなかにヒネリのきいた展開です。
一方、娘を温かく迎え入れるマーベル家も登場します。言うまでもなく、バラバラなザマ家との対比です。
さて、ショウが地上の自宅を訪れる回には、名クイズ「ウサギの目が赤いのはなぜ?」を出す女性が登場します。
親の代わりに、幼い頃からショウの面倒を見てきた女性です。
子育てに積極的ではない親に代わり、主人公の世話をする女性――初期の富野作品には、よく登場したキャラクターです。
ぼくは以前の記事で、「(富野は)親子関係に限ってはフィクションに飛翔できない」と書きました。
だから富野にも実際に、このようなポジションの人物が実在するのだろう、と思っていました。
今回の新著『「ガンダム」の家族論』を読むと、「あやとりを教えてくれたおばあちゃん」が該当するようです。フラウ・ボウもファ・ユイリイも母性を感じさせる少女に設定したのは、偶然ではないでしょう。
『エルガイム』
家族の「か」の字も出てこない作品ですよね。「家族」という視点からは、語りようのない作品です。
家族要素が全くないですから。
王家再興のために行動を始めたはずのダバが、オリビーと共に田舎に引っ込んでしまったのは、この当時の富野が「家族」とか「血縁」とか、あまり興味がなかった証左なのではないかと思っています。
『Z』における親子関係はファーストの焼き直しです。カミーユの父親は、ヒドクなったテム・レイです。
ただ『Z』は至るところで「ファーストを踏まえた」設定・描写があるので、カミーユの家族設定がアムロのそれと非常に酷似しているのが意図的なのか、それともワンパターンなのかは、ちょっと判断しかねるところです。
『ZZ』にいたっては最初から親がいない子ども達を登場させました。家族や親子関係の描写を、最初から放棄したのです。
この当時の富野は、おそらく「家族」よりも、「大人と断絶している子ども達」に重点を置いていたように思います。
ぼくは別段、「家族」が作品における不可欠な絶対条件とは考えていませんから、それはそれで構いません。
富野が本当に「家族」に興味を持ち、作品に取り入れるのは『F91』からだと思います。
また次回。
「『家族』の視点から見る富野作品」の続きです。
『ザブングル』からですね。
この作品においては、「家族」の存在はあまり出てきません。
注目すべき点は2つです。
1つは、ホワイトベースと同じように少年少女がアイアンギアーに集まりながら、しかし疑似家族のような繋がりを全く構成しない点です。
『イデオン』でも同じ傾向はありましたが、『ザブングル』で決定的になりました。
この作品以降、登場人物が疑似家族を構成していくような富野作品はありません。 父親・母親、どちらかの役を担うキャラクターが片方だけ存在する場合はありますが。
2つ目の着目点はカンタンです。
「3日の掟」を破るほど親の敵・ティンプー!・を追っている、つまりそれほど親を慕っていたはずなのに、それに関連する描写がほとんどない点です。
次は『ダンバイン』。
ドレイクとルーザ、リムルについては書く必要はないでしょう。
主人公ショウの家族に関しては、世間体ばかりを気にする教育評論家の母親が登場します。
このキャラクター設定は陳腐で、ちょっと残念な気がします。
結局、ショウは母親との関係を断ちます。親に見捨てられても、しかしその親を庇う、なかなかにヒネリのきいた展開です。
一方、娘を温かく迎え入れるマーベル家も登場します。言うまでもなく、バラバラなザマ家との対比です。
さて、ショウが地上の自宅を訪れる回には、名クイズ「ウサギの目が赤いのはなぜ?」を出す女性が登場します。
親の代わりに、幼い頃からショウの面倒を見てきた女性です。
子育てに積極的ではない親に代わり、主人公の世話をする女性――初期の富野作品には、よく登場したキャラクターです。
ぼくは以前の記事で、「(富野は)親子関係に限ってはフィクションに飛翔できない」と書きました。
だから富野にも実際に、このようなポジションの人物が実在するのだろう、と思っていました。
今回の新著『「ガンダム」の家族論』を読むと、「あやとりを教えてくれたおばあちゃん」が該当するようです。フラウ・ボウもファ・ユイリイも母性を感じさせる少女に設定したのは、偶然ではないでしょう。
『エルガイム』
家族の「か」の字も出てこない作品ですよね。「家族」という視点からは、語りようのない作品です。
家族要素が全くないですから。
王家再興のために行動を始めたはずのダバが、オリビーと共に田舎に引っ込んでしまったのは、この当時の富野が「家族」とか「血縁」とか、あまり興味がなかった証左なのではないかと思っています。
『Z』における親子関係はファーストの焼き直しです。カミーユの父親は、ヒドクなったテム・レイです。
ただ『Z』は至るところで「ファーストを踏まえた」設定・描写があるので、カミーユの家族設定がアムロのそれと非常に酷似しているのが意図的なのか、それともワンパターンなのかは、ちょっと判断しかねるところです。
『ZZ』にいたっては最初から親がいない子ども達を登場させました。家族や親子関係の描写を、最初から放棄したのです。
この当時の富野は、おそらく「家族」よりも、「大人と断絶している子ども達」に重点を置いていたように思います。
ぼくは別段、「家族」が作品における不可欠な絶対条件とは考えていませんから、それはそれで構いません。
富野が本当に「家族」に興味を持ち、作品に取り入れるのは『F91』からだと思います。
また次回。
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