HBCラジオ『サンデーモーニングトーク』11月21日放送(ゲスト富野由悠季監督)文字起こし [富野監督関係]
どうも。
HBCラジオ(北海道のTBS系列)の朝6時50分から放送している『サンデーモーニングトーク』。11月21日放送分は富野由悠季監督がゲストで登場しました。
月300いくら円払えばradikoで日本中どこからでも聞けるし、文字起こしはしなくてもいいかなと思っていたんだけれど…
10分間の番組なので、一応残しておくことにしました。
富野監督みっちり話されたので、10分間にしては文字起こし量多かったけれど…
パーソナリティはクイズ大好き山内要一アナウンサー。
では敬称略で、文字起こし。適度に入れている中見出しはもちろんブログ主が施したもの。
文化功労者の顕彰式で天皇陛下からかけられた言葉
山内:今週は機動戦士ガンダムシリーズをはじめ数多くの作品で総監督を務めて、今なお精力的に作品を送り出す富野由悠季さんにお話を伺ってまいります。富野監督、おはようございます。よろしくお願いいたします。
富野:おはようございます。富野です。よろしくどうぞお願いします。
山内:もうすでに行ってきたという方もいると思いますが、今月17日水曜日から北海道立近代美術館で待ちに待ちました特別展「富野由悠季の世界」がスタートいたしました。
展覧会私も見てきましたが、鉄腕アトムからGのレコンギスタまでですね、55年にわたる富野監督のお仕事をもう、ほぼ全て、見られるというような展示になっていますので、いろいろそのお話を伺う前に。
富野:はい。
山内:文化功労者、おめでとうございます。
富野:ありがとうございます。
あのー、これも本当ファンがいてのことですし、それから作品、それから作品外のことでもいろいろイベントや何かで協力してくれたスタッフがいてくれたからだという風に思っています。そういう意味では時代に押されて、そういう人たちがいてくれたおかげでの受賞、つまり総代として受けて参りました(この「総代」は16日・サツゲキでのトークショーでも言ってましたね)。
そして天皇陛下とも、お声を掛けていただいた時に、第一声が「(笑いながら)富野さん、あの『海のトリトン』が」ってきて…
山内:あっそうですか。
富野:はい。で、分かりました。あ、ご覧になってらしたんだなあ、っていう、そういう世代。時代がそういう風になったから、陛下のそういう言葉をいただいて。私は絶句しまして。何も話ができませんでした。
山内:へえ…
富野:というのは、まさか固有名詞が出てくるとは思わないわけですよ。だからありがたいと同時に、本当に幅広い視聴者に対してきちんとしたメッセージを送る作品が作れたんだろうか、っていうような思いもあったので、一瞬辞退したいとも思ったんですけれども。
山内:ほお。
富野:いや、文化庁からも言われたんです。これは応援団がいてくれて、ここまでのことを考えた時にって。それは顕彰しましたので、受けていただかなければ困りますって言われました。
山内:おそらくね、私もいわゆる団塊ジュニア世代なんですよね。いわゆるガンダム世代ですよ。
富野:そうです。
山内:そういった人たちがおそらく、いや富野監督にっていう声が上がったんでしょう。
富野 それは痛いほど感じました。つまり中央官僚から、まさに一般の方々まで、それから現在つまりリアルファンまでが、含めて、応援があったっていうことなので。お前だけ勝手にね、受賞面倒臭いから嫌だって言うな、っていう。ということ。
山内:(笑)。
富野:一番重要なことは、今までアニメの文化、ましてや巨大ロボットなんて文化のジャンルにも入ってないわけ。もう地の果て、へへ(笑)、ジャンルのものがこういう風に顕彰されたっていうことは、ジャンル全体とかアニメ全体が国家の目線から見てもやっぱり大きな地位に立って、社会的なメディアとしての位置付けっていうものを認識してくれたんだからだ、だから受ける。
「富野由悠季の世界」展について
山内:あの、今回の富野由悠季の世界についてもいろいろ伺おうと思います。
私も見てきましたがもう本当に壁の隙間ないくらいもう、だーっと展示物が並んでましてですね。 いわゆる根幹の部分とかもむき出し状態になっている作品展ですよね。今回私も拝見しましたけれども、
富野:全くそうです。そういうことです。
山内:これに関しては?
富野:基本的に展示物に関しては一切ぼくがコントロールしてません。それであのー、学芸員たちが結局美術館の学芸員でありながら、若い頃に子どもの頃にアニメを見ていたおかげで、っていうのが集結して今回展示をやったわけです。
だからぼく自身が、あ、この作品はこの時代にこういう風な形で見られていたんだとか、それから、何で自分はこういう風に思い付けたのかっていう、やっぱり一番根本的なところを見せておきたかった、っていう理由があります。
それが若い人にじゃなかったわけ。
ガンダムファンとか、それこそ歳をとっていく人たちに対して、実を言うとなんとなくの気分で巨大ロボットものをやったんじゃないんだよねっていうことをちょっと思い出しておいてほしい、っていうことが一番根幹にありました。
それはどういうことかと言うと、公共放送の電波を使っている。つまり公共に向けてメッセージ性ってのがある作品を作らなければいけないってことは、ぼくの中では基本的な哲学とは言わないまでもテーゼにしていた、っていう部分があります。
山内:はー。
「ニュータイプ」を設定してみたけれど…
富野:だもんで、どんなタイプの作品であっても、つまり近未来を全部輝かしいキラキラした世界だという風には思いたくはないし、それほど軽率にものを考えてはいけないっていう趣旨の作品があったりとか、ガンダムの場合には戦争の実相みたいなものがぼくの知っている第二次大戦の様相を転写することで、未来論というのを語れないのかなと思ってやった。
だからニュータイプ論みたいなことも設定してみたんだけれども、20年やって、世界中の偉い人たち・大統領レベルの人たちが皆オールドタイプだっていうことが分かったんで(ブログ主注:これもサツゲキのイベントで言っていました)、基本的にぼくに世界中の人間を感化する能力がないってことが分かったわけね。すごいでしょ?(笑)
世界中の人間を感化したかったわけ。
山内:はあー。
富野:それでニュータイプって言葉を思い付いて、それでドラマを作ろうと思うと、人間ってね、そのくらい驕りたかぶって物語を作るわけ。
ってやってるけど「お前のやってるのさ、巨大ロボットものだよね」ってそれでおしまいなわけ。だけどそういうものにこだわりました。
ハタチくらいまではただの、ただのガンダムファン、メカファンだったのが、35になると少しものの考え方が分かって、「ん、やっぱりこうだったのね」とか。だからなるべく資料としては生々しい資料を並べておいて、そしてかつて自分の記憶にあったものが、こういうレベルから始まってるからこういう風に分かりにくいんだ、こういうレベルから始まってるからこういう風に面白いんだ、っていうようなことも含めて、もうお前ら子どもじゃないんだからきちんとしろよ、と言いたいわけ。
山内:うーん。
富野:だからああいう展示にしたの。
それできちんとしろよって言ったのはどういうことかと言うと、あなたたちに子どもがいるでしょ、なんです。
子どもの世代に対してどういう風に大人っていうのが大人の態度を見せていくかという時に、今の子たちはもう本当にデジタル時代になってしまって、SNSを使って、それでクリックしながら何やってるか分かんないような子どもたちをどういう風にコントロールしていくかという時に、あなたコントロールしてる? してない? 教育してる? しつけしてる? してない? だろ。もうちょっときちんとモノを考えるとか、対象に対しての自分の姿勢ってのを正しなさいよ。
そういうことしていかないと、次の子たちが全部グレていって、要するに地球を汚染する、汚染源にしかならないんだよ、っていうことを「富野由悠季の世界」展では言ってますって。嘘です。わははは(笑)
山内:いやいやいや、メッセージは十分ね、伝わる世界になっておりますんで。是非ね足を運んでいただきたいと思います。まだまだ聞いていたいところなんですが、お時間ということで。ありがとうございました。
富野:いえいえ、こちらこそありがとうございます。
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『KADOKAWAのメディアミックス全史 サブカルチャーの創造と発展』電子版を無料配布中、当然富野監督への言及もある社史 [富野監督関係]
今回は情報のみ。
現在、KADOKAWAグループの会社が運営している電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」では、『KADOKAWAのメディアミックス全史 サブカルチャーの創造と発展』を無料配布しています。
HPにあるあらすじ・内容には「ライトノベル、コミック、アニメというもっぱらサブカルチャーの分野でKADOKAWAが創造した価値とその分野でのメディアミックス戦略の意味を解き明かす」と書かれています。
「BOOK☆WALKER」への登録が必要ですが、これで入手できるなら全然OKですね。
私はさっそくもらって、でもまだ読む時間は無いので、「富野」で検索だけかけてみました。
当然ヒットしますよね。
「New type」創刊の話(表面上? は『カムイの剣』上映に合わせての創刊ってことになっているのか…)、
「ガンダム」ノベライズの件(カドカワからのセールスではなく、サンライズから版元移籍打診あった)、
逆シャア公開に合わせた文庫の「富野由悠季・ガンダムフェア」、
ガンダムエースの創刊、
などで富野監督の名前が登場しています。
まあ富野監督関係なくても、アニメに興味のある人やあの時代の角川映画に思いのある人は・無料でもあるので、入手しておいた方が良さそうです。
今見ると悪くないんだよね、角川映画(アニメじゃなく実写)。当時のあの空気は、なんだったのか……
この『KADOKAWAのメディアミックス全史 サブカルチャーの創造と発展』のプレゼント期間は今月末まで。これを無料で読めるのはありがたいな。
「富野由悠季の世界」札幌開催記念特別上映会・劇場版『機動戦士ガンダム』富野監督舞台あいさつ内容要旨 [富野監督関係]
昨日16日、「『機動戦士ガンダム』富野由悠季監督舞台挨拶付き上映」が開かれました。
今日から始まっている「富野由悠季の世界」展の記念上映です。
富野監督が札幌で舞台あいさつしたのは、たぶん劇場版∀以来。19年ぶり……
まさか一人でトークするはずないので、「どなたが対談相手(か司会進行)を務めるんだろう」と思っていたら、まさかの最初から最後まで・観客から質問を受け付けて答えていく形式でした。
司会は、劇場の職員さんが担当していました。
では、内容です。走り書きしただけなので、ザックリした要旨です。
富野監督登場前~登場
開始前に、スタッフからスタンディングオベーションの要請。
サプライズで誕生日ケーキプレゼントがあることの告知。
富野監督登場。素直にスタンディングオベーションする来場者。
富野監督「立たなくていい、座れ!」
俺(おお……これだよコレ……!)
富野監督「なるべく簡潔に答えて、数多くの質問を受けるように努力します」
文化功労者選出お祝いの花束贈呈。
しかしちょっと遅れて、花束現れない。
富野監督「無視して次に行く」「急げ!」(結局笑顔で受け取りました)
富野監督「(文化功労者選出は)スタッフそして皆さんがいたおかげ。私は総代。カドが丸くなったので、皆さんが期待するようなコメントは出しません(笑)」
来場者からの質問1
Q、ニュータイプについて。NTの概念は。
A、ニュータイプを説明できなかったのがガンダム(シリーズ)。∀以降は描くのをやめた。現実ではオールドタイプの人間が大統領になったし、人類に絶望しているという言い方もできる。でもニュータイプを具体的にあげることもできる。藤井聡太さん。羽生さんのコメントでそう思った。
来場者からの質問2
Q、F91で、ビギナ・ギナに花を付けた意図。
A、細かい部分に引っかかることが不思議。花が持っている共通認識がある。絶望したくない。
来場者からの質問3
Q、昔の作品も素晴らしいですが、現在の作品も素晴らしいと思います。劇場版Gレコの進捗状況を教えていただけるでしょうか?(なぜこの質問だけちゃんと書いているかと言うと、質問したのがぼくだからである)
メモったが、自分の質問時のみ流石に顔を見ながらでないと失礼と思って=メモとれんかった。直後に走り書きしたけれど。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) November 16, 2021
A、ちょうど先週アフレコを終えた。年末までにはダビングを終らせたい。でも問題もある。信じてもらえないかもしれないが、コロナ禍でアニメが増えて、アニメーターが不足している。来年の6月までには5部作を終らせたい。奥さんからは絶対に言うなと言われているが、生きている間に終らせろと言われている(笑)
来場者からの質問4
Q、樋口監督のローレライなど実写映画に出演した理由
A、同業者に依頼されたら出る。現場を見たい気持ちもある。勉強になった、ありがたかった。
来場者からの質問5
Q、作詞する上で心掛けていること
A、「本来やってはいけないところ」という自覚を持ってやっている。これしか書けない、という絶望感の方が多い。子どもの時を思い出してほしいが、詩や短歌、俳句などを書けると思ったはず。自分は中学で「詩」を選んだが、その後高校で学ばなかったのでバチが当たった。
本来書いてはいけない奴が書いている。作詞ができるとは思っていないが、富野展で展示しているものもある。「しょうがねえなハゲは」と見逃してほしい(笑)。
来場者からの質問6
Q、アニメ作品のバックグラウンドがアニメになっている(アニメを見てアニメを作っている)。後進の育成は。
A、(育成の)意識は毛頭していない。ライバルが増えるから。
「なんとなく作る」ことはやめた。アニメは「公」に向かって公開するもの。その意識を持っていると、後進に方向性を示すことになる。
日本のヌーヴェルバーグ(ブログ主注・たぶん松竹ヌーヴェルバーグのこと)は後進が生まれなかった。自己主張ではなく、みんなが喜んでもらえるものを作る。若い人に貰える楽しい作品を作る。「お前の個性」なんかいらない(この前に、富野ファンならお馴染みの「教育現場での個性あるあるは嘘」の話もしています)
質問終了
約30分間のトークでした。
富野監督「結局(答えが)長くなってしまった。でも60点くらいはつけられる」
誕生日プレゼントのケーキ登場。
「北海道で誕生ケーキを食べられるなんて…」「(仕事柄)顔は食べない」と端を食べていました。 https://t.co/KFt2vOTd48
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) November 16, 2021
司会の女性「最後のご挨拶をお願いします」
富野監督「(司会が)最後の挨拶と言いました。どうせ私は来年死にますよ」
以上です。劇場版ガンダムは「見なくてもいいかな?」と思っていたんだが、結局最後まで見てしまった。
背景を省略するためか顔のアップが多用されていたり、今の目で見ると作画的に辛いところもあるけれど、やっぱり見ると面白いわ。
小学生の頃、「アムロの母親って浮気していて嫌だな…」と思っていた記憶があるんだけれど。
今見ると、カマリアを乗せた車を・男が運転しているだけなんだよね。
まあでも、それで分からせるってことでしょ。
そこら辺が巧みですよね。
ただ、画質悪かったなあ(笑)。絵がブレているシーンすらあったんだけれど。
10年くらい前にリバイバル上映で見た時も、あんなに悪かったかな……
『Anison Days』2021年11月5日放送分(ゲスト・GARNiDELiA)、Gレコ主題歌『BLAZING』言及部分文字起こし(富野監督のリテイク辛かった件) [富野監督関係]
タイトル通り。発言者さんの敬称略。
リテイクの話は、当時も何かのインタビューで語ってらっしゃいましたね。
Gレコの話はないだろうと・期待もせずに見ていたら。
「曲作りで苦労を味わった楽曲が…」とナレーションが流れてきて、「Gレコの話題来る!」と思ったよ(笑)。
ではでは。以下から。
Na:巧みにニーズをとらえるGARNiDELiA。しかし曲作りで苦労を味わった楽曲が。
メイリア:『Gのレコンギスタ』っていうガンダムの作品の主題歌をやらせていただいた『BLAZING』って楽曲がありまして(笑)。あの、富野監督が監督された作品だったんですけれど、作詞もさせていただいて。そのリテイクがもう6回7回くらいあって。
森口:おー。
メイリア:1か月くらい1曲の作詞でかかっちゃったんですよ。私がデータで送ると、富野監督がここに〇つけて、ここはもうちょっと主人公の想いはこういう感じだから、もっとこいう心情を表現するような歌詞にしてください、みたいな。そのやりとりを永遠けっこう繰り返して。
森口:やっててめげなかったですか。監督もう…
メイリア:もう3回目ぐらいで無理かもしれないと思い始めて、もうなんかじゃあ監督書いてくださいみたいな気持ちになったんですけど。
一同:(笑)
酒井:そうなりますよね。
メイリア:分かんないよもうみたいな。分かんないよ、その気持ちみたいな。
森口:監督もきっと、打てばなんか響くじゃないですけど、何か出てくるかもしれないこのメイリアさんからはっていう可能性もすごく感じたんじゃないですか。
メイリア:そうだったんですかね。でもあの、ほんとにもう……もーほんとやだって思いましたね(笑)。
一同:(笑)
メイリア:もう絶対来ませんようにって願いながら。
森口:最後、こなかった時はどんな気持ちだったんですか?
メイリア:ヤッター! やっと解放されたって気持ちになって。でもあの、やっと認めてもらえたなと思って。すごいなんか頑張って良かったなとおもったんですけど。
以上です。