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『ガンダムGのレコンギスタ(Gレコ)』冒頭10分を見て思った、富野はやっぱり連れ去ってくれる。 [富野監督関係]





 さて本日8日午後6時から、『ガンダム Gのレコンギスタ』1話の冒頭10分が公開されました。

 ぼくは以前ツイッターで、


ぼく、焦らされるのが嫌いなので、やらしいことを始めるなら射精までいきたいんですよ。それがダメなら、最初からしたくないんです。ちょっとだけョは有難迷惑なんです。なんの話か分かりますよね? Gレコ10分間だけ公開の話ですよ。


 などと呟きましたが、勿論「見ない」という選択肢はありません。
 
 そりゃ当然見ます。

 
 ぼくが富野作品の1話に期待していることは、冒頭から視聴者(ぼく)をガッとつかみ、物語世界へ連れ去っていくこと。

 いきなり戦闘シーンでもいいし、キャラクターが走ってもいいし、何なら宇宙船の中で童謡を歌っていてもいい。

 「お、なんだ?」
 「よく設定とか分からないけれど、いきなり状況が動き始めている!」

 好奇心を掻き立てて、作品世界に導く…じゃスピード感に欠けるな。やっぱり「連れ去ってほしい」のです。

 それで、G―レコの冒頭10分間ですが。期待感を煽る音楽から始まり、ぼくの望みはいとも簡単にかなえられました。

 富野由悠季は老齢になろうとも、「G-レコは子ども向け」と本人がおっしゃっていようとも、少なくともぼくを作品世界に連れ去る華麗な豪腕は、些かも衰えていませんでした。
 
 今作は戦闘シーンから開幕。(おそらく)フォトン・バッテリーの発光が美しい。

 そして短い戦闘シーンを通じて、G-セルフのランドセル部分が分離すること、機体の色が変色することも提示する。
 またラライヤのムササビを連想させる衣装(機体から放り出されるのが前提の服だろ)、富野セリフの臭いがする「なんか落ちたか!」。
 グイグイ引き込まれます。

 カット・シーの(後に出てくるレクテンもだけれど)、特異な顔のフレームインも印象的。

 1回目のタイトルは「謎のモビルスーツ」。
 富野ガンダムの初回は、Z「黒いガンダム」、V「白いモビルスーツ」と、案外と率直なタイトルが見られます。

 上空から始まり、アバン後はスコード教の施設からスタート。
 ただの説法と見せかけて、「宇宙からの恩寵があればこそ…」と舞台の根幹の説明をしています。

 ここら辺は、本当に芸が細かい。

 次いで、さっそく本作の「肝」である宇宙エレベーターを登場させ、動かします(エレベーターの運行に合わせて空に発光が見られた描写、誰か理由を説明してくれ)。
 主人公のベルリも登場し、言動で性格描写をし、周囲のセリフで二階級飛び級したことを説明。

 ※追記・発光現象について、ツイッターでアルベオさんに教えていただきました。レッドスプライトあるいはスプライトと呼ばれる現象のようです。 アルベオさんによると、「今日のスプライトは多いな」というセリフもあったそうです。聞き逃しているよ…

 情報量が多い! これだ、これなんだよ。富野作品の初回って!

 ノレドやマニィの踊りが、バラバラなのも良い。彼女達は男探しがメインだから、踊りは拙いのです。
 最初は「そういう振り付けなのかな」とも思いましたが、2回目の踊りのシーン、全員の動きを合わせるべき一斉ジャンプでも乱れていました。細かい。

 まあここら辺は、各キャラの動きを全く同じにする富野ではないですね。

 そして相変わらず続く、さりげないセリフによる設定説明ラッシュ。

 「主席の貴様までが」
 「運行部長の息子だからって、クンタラの娘を(以下略)」
 「キャピタル・アーミー?」

 加えて、初回から「クンタラ」の連呼。
 富野は「クンタラ」の説明はしないってインタビューで答えていたら、例えば『Z』のメラニー・ヒュー・カーバインがユダヤ人としての野望を持っていることを劇中では一切出さないような処理をするのかと思っていたので、これは意外でした。

 それと意外というかビックリしたのは、あのシーン。ノレドのセリフ、

 「キャピタル・アーミー?」
 「監視?」
 「何それ?」

 に合わせて、顔がグッ、グッ、グッと3回ズームするんですよ。

 こんな演出と言うか見せ方、富野作品で初めて見た気がする。面白かったです。

 続いて先生と生徒の問答を通して、主な舞台である宇宙エレベーターの説明。
 ただ退屈しないのは、説明だけではなくベルリの性格や優秀さも、富野っぽく言えばスルリと見せているからです。

 カメラは、ノレドやマニィ達に移動します。「男を探していないで…」みたいな注意は、勿論意味のないセリフではありません。
 つまりこのセリフは、「女達が将来の夫を見つけようとするほど、キャピタル・ガード養成学校の候補生はエリートコースを歩いている」って説明なんですよ。

 富野作品、特に初回に無駄なセリフなんてありません。

 ところであの少女達の中に、口ヒゲを生やしている娘いなかった? 浅黒い肌の子。
 ぼくの見間違いか? ヒゲ。

 ぼくは、「クンタラには外見に、それと分かるサインがあるのではないか」と夢想していて、もし本当にヒゲが生えているのなら、そのヒゲや・ノレドのおでこの印が、そうではないのか? と思っているのです。

 ルインはキャピタル・ガード養成学校の候補生になれたために、その印が免除されているとか、こんな考えどうスかね? だめですか、そうですか。

 この後、ベルリはレクテンに乗り、いよいよアイーダお姉ちゃんの駆るG-セルフが現れます。

 ところでこのG-セルフ、デレンセンが鹵獲した機体のはずだけれど、それを海賊達が奪取する描写はなかったね。

 キャピタル側に内通者がいる設定か、もしくはG-セルフが2機ないと、ちょっとアッサリと奪われちゃった感があるけれども。
 この後、説明あるのかな。(※後日追記・ぼくの間違いです。コメント欄参照して下さい)

 ここのシーンで面白いのは、何といってもベルリの反応。

 「ミノフスキーだって!」
 「来るのかよ!」

 危機が訪れているのに、興味津津ワクワク、笑顔なんです、ベルリ。

 この反応、今までの富野ガンダムの主人公とは、明らかに違います。どうやら未知の状況に対してすら、好奇心で応じる少年のようです。

 なにせこれから、大冒険するんだからね!

 ちなみにベルリはG-セルフの動きを見て、「うまっ!」と感嘆します。

 このセリフが何を示しているかは、もう皆さんお分かりですよね。

 アイーダの操縦技術も悪くない、むしろ腕がある、って説明です。この一言で。

 もっともこの後、その上手なアイーダが操縦する特機・G-セルフを、ベルリはレクテンで制圧しちゃうんですけれど…


 これで冒頭10分間は終り。
 ここまで書くのに、2時間以上かかったぞ…本放映になったら、ブログ書くのに何時間割いたらいいんだ…

 
 ちなみに富野は後ろのインタビューで、「(アニメにおいて)癒し系・女子系みたいなものが勢力を伸ばしているのは偏っていると感じる」みたいなことを言っています。

 その代名詞であるような作品・『けいおん!』のムギちゃんを重要なキャラクターに据えているのは、富野らしいと思いました。
 まあ富野は、「知りませんでした」って言う可能性もあるけれど。

 富野は「声優はイメージと違う役をやりたがっている」ようなことを言っていましたが、今回の寿さんは、まさにそんなキャスティングなのかな。


 最後に。

 富野は冒頭のインタビューで、「嫌でも続きを見たくなります」と断言しました。

 確かに、見たい。
 今回の10分間はアペリティフ。8月の劇場版が豪華なオードブル、10月からやっとメインディッシュの提供です。

 「空腹は最高のスパイス」らしいですよ。
 



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グダちん

G-セルフ本体は海賊部隊のカーヒル・セイントのグリモアがサブタイトルの直前にワイヤーで牽引してますよー。
キャピタルガードのカット・シーはラライヤと大気圏飛行バックパックを回収してます。
カット・シーのデレンセン大尉はラライヤとバックパックを抱えつつ、2機のカットシーで3機のグリモアを深追いするのは不利と判断したっぽいです。
(カット・シーはキャピタルテリトリィより外に追撃するのは禁止されてるのかもしれないです)
by グダちん (2014-08-09 21:39) 

坂井哲也

ご指摘ありがとうございます。
いやー、こんなブログをやっておいて、あまり書きたくないのですが、あのシーンが三つ巴だって気付かなかったんですよ。

牽引しているのは見ていたのですが、デレンセンの僚機だと思っていました。ブログアップした後で、グダちんさんの記事を読んで自分の間違いに気付きました。
by 坂井哲也 (2014-08-10 02:08) 

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