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「家族」の視点から見る富野作品 2 [富野監督関係]

 先日、録画しておいたデジタルリマスター版『東京物語』を見ました。
 鑑賞するのは10数年ぶり。

 しみじみと、ヤッパリいい映画だなァと思う。

 邦画オールタイムベストは『東京物語』、次が『伝説巨神イデオン 発動篇』という順番は、もう生涯変わらないのでは。

 さて『東京物語』は「家族」というテーマを真正面に据えた映画であるのに対し、富野作品のメインテーマは別にあると踏まえつつ、あ・別にメインテーマって言っても薬師丸ひろ子じゃねーよ。

 ねえ、この思い付いた駄洒落を拾い食いする癖さえなければ、もっとスッキリした読みやすい文章になるのにね。

 富野作品のメインテーマは別にあるとふまえつつ、「家族」の視点から見る富野作品。続きです。

 『機動戦士ガンダム』

 おそらく、ぼくの考えではもっとも「家族」を描いている富野作品。

 アムロの家族だけ見ると、「断絶」が「もっと断絶」と、変化の幅は少ない。

 しかし父親の役割を担うキャラクター(ランバ・ラルとブライト)の登場、母親離れを経ての成長、そして家族を失ったアムロがしかし最終話で「帰るべき場所」を見つけるなど、底流には「家族」の陰があります。

 また、家族に縛られて復讐に邁進するシャアとの対比もあります。

 ちなみに富野作品ではお馴染みの、「家族を顧みず仕事に没頭する親」「そんな夫(妻)との関係を回復しようともしない親」は、ファーストガンダムによってはっきりと姿をあらわします。
 ガンダム以降の富野は、このタイプの親「しか」描かないか、もしくは最初から「親」を描くことを放棄することが多くなります。

 上記のような極端な親しか描けないことを、しかしぼくは富野の限界、とは考えません。
 このようなタイプの親しか描けないほど、富野は実の親に対して複雑な感情を抱いている、根深いものがあるんだろうナ、と考えてしまうのです。

 親子関係に限ってはフィクションに飛翔できない・あるいは最初から無視してしまう、そこに富野が親に対して持つ、複雑で拭いきれない感情を見出すのです。


 『伝説巨神イデオン』

 主人公側の親は、初回で全員死んでしまうので、特段家族の描写はありません。
 ソロシップに大人がいると、その人を中心にクルーの一体感が生まれかねないので、大人は全員ご退場いただく必要があったのでしょう。

 ギスギスしてこそのイデオンですからね。

 しかし、不安な気持ちでスペースランナウェイする少年少女達が、親や家族を憧憬する当たり前のシーンがないことには、着目していいでしょう。

 カミューラ・ランバンは? という意見があるでしょうが、あのキャラクターは「コスモが母親を慕っているから」と登場させたキャラクターではないでしょう。登場させる動機が、「戦いから逃げ出すコスモを戻すきっかけ」「イデオンが反応するきっかけ」というスタート地点から生み出されたキャラでしょう、おそらく。

 家族の話が少ない、と思ったからこそ、脚本家の渡辺由自さんは、ベスの両親が登場するオリジナルストーリーを挿入したのだろうし。

 一方、バッフ・クラン側では、ドバとカララ、ハルル家族が出てきます。

 ドバというキャラクターは、「仕事に没頭する親」の変形パターンと言えます。テム・レイが「仕事に没頭して家族を顧みない」のに対し、ドバは「仕事に没頭して家族をも取り込んでしまう」人物だということです。

 ちなみに「私はカララを殺してきたのです、父上!」「よく…やってくれた」からの「助けて、ダラム…」までの流れは、会話をしていながら親子の関係は断絶していることを表す、名シーンだと思います。

 おそらく、男の子が生まれなかったドバがハルルを軍人にしようとした時から、そしてハルルが父の期待に答えようと頑張った時から、始まった悲劇なのでしょう。

 余談ですが、「助けてダラム…」のところは、全富野作品の中でぼくがもっとも好きなシーンです。
 そしてハルルが一番好きなキャラクターです。

 さて、今回の最後です。

 ハルルとカララの描き方で、ぼくが不思議に思うところがあります。

 それは、「なぜ幼少の頃に、姉妹が仲の良かったシーンを一瞬でも描かなかったのだろう」ということです。

 幼少時分は仲が良かった、という描写が少しでもあれば、「今は銃を向け合う2人」の悲劇性が増すことは確実です。

 シロウトのぼくが思うことを、プロで手だれの富野が考えないはずがありません。

 ジメジメした展開が乾いた作風のイデオンには合わないと考えたのか、それともそもそも「仲の良かった幼少時代」などない設定なのか、はたまたぼくが考えている富野の「家族への忌避感」が描かせなかったのか。

 分からないですが、上記のシーンがない故に、イデオンには特異性が生まれていると思います。



 次回に続きます。『ザブングル』からですね。




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