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アニメブログなのに必殺の話。ピアス・ネックレスを援護します [その他]

 『必殺仕事人2009』に新たに加入する田中聖って人が、ヤフーニュース(記事元はスポーツ報知)によると


「仕事人なので、表と裏の顔がだぶらないように心がけています」と意気込んでいる


 らしいけど、こりゃヤバイですな。全く思い違いです。
 若いから仕方ないかもしれないけれど。

 必殺シリーズの前期、まあ第10作の『新必殺仕置人』までを前期と見做す向きが多いようですが、前期が非常に魅力的で面白く、その後のシリーズが全般的に低調なのは、理由があります。

 1つは勿論、脚本。前期はフォーマットがない、と言えるほど毎回違う、しかも重厚なドラマが展開されてマンネリズムとは無縁でした。

 2つ目の魅力は、殺し屋達に「表と裏の顔」なんて2面性がなかったことです。
 「表と裏の顔がだぶらない」ではなく、全く逆で、表と裏が渾然一体としているから、初期シリーズは面白かったのです。

 中村主水は初登場の回で、
「俺たちゃ悪よ、悪で無頼よ」

 と言い放ちました。

 この言葉が、必殺シリーズの魅力を示しています。「正義が悪を裁く」のではなく、「悪が悪を殺す」ところに最大の魅力があったのです。
 もちろん悪ですから、正義感などでは人を殺しません。「金を貰ったから」殺すところも、ミソです。正義が人それぞれ違うことも、そして「正義」が時として独善的で唾棄すべきものであることも、ぼくたちは現実世界の中でイヤというほど知っています。

 初期シリーズの殺し屋達は、辻斬りであったり、殺人快楽者であったり、お尋ね者であったり、本当に悪人ばかりでした。
 助けを求める人が現れても、金がなければ動かないような連中です。今じゃ好々爺になった中村主水だって、手篭めにされそうな女を見殺しにしたことがあります。

 英作家グレアム・グリーンいわく、「人間の本質は黒と白ではない。黒と灰色なのだ」。

 この言葉を劇としてエンターテインメント性豊かに見せたのが、初期必殺シリーズです。
 だから、「表と裏の顔」はだぶっていいのよ、どんどん。

 悪の中に、正義感が少しだけ垣間見えるような見えないような、そんな絶妙なさじ加減を期待します。
 今回のシリーズでいうと序盤の回で、ヒガシが卑怯な手で殺す演出は抜群です。好きでした。

 物語全体の評価は、エラそうに言うと下の上ってところですが。

 ところでこのニュースでは、田中さん演じる新キャラが、時代劇なのにピアス・ネックレスを付けていることを報じています。これに関して、バカの見本市とぼくが思っているヤフーニュースのコメント欄では、相変わらず面白い意見が多く笑えます。


時代劇にピアス? 馬鹿丸出しだ、あり得ん! 黒沢監督(原文ママ)が生きていたら何と言うかね?


 なんてコメントが「私もそう思う」を千点以上も集めていて、本当に世の中はバカで満ち溢れているのであります。なんで黒澤。
 そしてバカなコメントをバカにしているぼくも当然程度が知れるわけで、みんなバカなのです。平和ですな。

 上位コメントには「伝統の仕事人も」「壊していい領域を間違っている」など、まあ必殺ファンじゃないならコメントしなければいいのに、と思うような悲惨な意見? ばかりです。

 必殺シリーズの後期は、それこそ「あー、そこまでやっちゃの?」という失敗の連続で、伝統も壊してはいけない領域も、もともとありません。めちゃくちゃなんです、最初から。
 ファンのぼくでさえ目を背けてしまう、見るに耐えないシリーズだってあります。

 ピアスやネックレス、水戸黄門や遠山の金さんならおかしいですが、必殺シリーズなら全然平気です。

 山崎努はハンモックで寝ていたし、中条きよしは背中に「南無阿弥陀仏」と縫われた目立つ衣装で殺しに赴くし、黒船来航と忠臣蔵のどちらの時代にも中村主水はいるし、おかしいんです、何もかも。

 必殺ファンは今更ピアス・ネックレスくらいでは、「またか」ってなもんで、驚きも非難もないでしょうな。

 スイマセン前書き長くなりすぎて疲れちゃった。

 次回、『週間手塚治虫』に富野出演、の話しましょう。
 今日、再放送あったね。

 

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