えー、どうも。
今回もお付き合いのほどを。
今日、作詞家で著作家でシンガーソングライターで…多数の肩書を持つ小室みつ子さんが、下のツイートをなさっていました。
ネットが普及してから幾度となく散見する話で、今までも何度も出てくるのが「Beyond The Time」の制作秘話。この曲に関しては秘話はないです; 何故かガンダムファンの方たちの間で固定されているのだけど、私は富野監督にお会いしたこともなく制作でも歌詞について指摘も書き直しもありませんでした。
— mitsuko komuro/小室みつ子 (@miccorina) 2017年12月11日
あー。こんな話、あったような無かったような?
でも小室さんご本人が明言したことで、事実無根の噂だったと証明されたわけですね。
偶然のタイミングなのか、この話・実は、最近富野監督も言及していました。
富野監督は今年10月、イベントで上海に行っています。
その時のファンとの交流・質疑応答で、『Beyond The Time』に関する質問が出ていました。
サイト「TOMINOSUKI / 富野愛好病」さんが、その時の質疑応答の内容を書いてくれています。
その中で、ずばり『Beyond The Time』の歌詞内容は富野監督が決めたものなのか? と質問がありました。詳しくはリンク先を見てもらうとして、富野監督は「違う違う」と否定しています。
当事者の両方とも否定しているので、『Beyond The Time』の歌詞に富野監督の意向は関与していない、で決着でしょう。
ちなみに小室みつ子さんの公式サイトには、『Beyond The Time』を作詞した時はガンダムを知らなくてビデオを見たこと、そこから普遍的なテーマを見つけて詞にしたことなどが書かれています。
昔のツイートには「一気見した」とも書かれていました。
そもそも小室みつ子さんは5年以上も前から、『Beyond The Time』を作詞する上で富野監督と会ったことはないとツイートしているのですが、どこからこんな噂が出てきたんでしょうね?
「逆襲のシャア」のED「Beyond The Time」を書いた頃は、私は完璧ゲーマー引きこもり状態だったのでw 家に大量のビデオが送られてきて、打ち合わせは電話で。音は小室てっちゃんががっちり作っていたので、それを聴きつつビデオを見つつ。後はスタジオでの作業のみ参加でした。
— mitsuko komuro/小室みつ子 (@miccorina) 2012年1月11日
それが…実際にお会いしてないのでわからないのですw 歌詞書いてウツに歌ってもらってスタジオだけの作業でした。RT @rin1: @miccorina あらためて考えるとBEYOND THE TIME作詞はすごいw 富野監督といえばいろいろたいへんだったんじゃないですか?
— mitsuko komuro/小室みつ子 (@miccorina) 2012年1月11日
上記の上海におけるファンとの質疑応答では、小室哲哉さんは売れっ子だから自分の意見なんて聞くわけない、と答えている富野監督ですが、しかしT・Kのインタビューを読むと、この発言を素直に受け取るのは一考した方がよさそうです。
雑誌「GB ギターブック」1988年のインタビューで、T・K(小室みつ子さんと混同しないようにT・K表記にします)は絵コンテを見て、富野監督にも会い、曲ができるまでの各段階でチェックがあったことを語っています。
それまでも映像作品に曲を提供していたT・Kですが(『D』!)、『逆襲のシャア』では初めて「映像に歩みよった」そうです。
ちなみにT・Kは『逆襲のシャア』のサントラも担当したかったとか。
その方が統一性出るだろうしね。
ただ富野作品の1ファンとしては、『逆襲のシャア』って『Z』『ZZ』からの流れがあるので、同じ三枝さんで良かったかな。
音楽からも作品の「地続き」感を得られるので。
『Beyond The Time』の歌詞に富野監督の意向・意見・修正などがあった、って噂は、ここら辺のT・Kとのやり取りと、あと菅野よう子さんとの「遺伝子が暗躍する感じ」云々、そこら辺が合わさって流布し始めたのかなと個人的には思います(ここら辺・そこら辺と指示語うるせーな、我ながら)。
いかにもありそうだし、よく出来た噂ですよね。
実際、例えば『Gレコ』後期OPの『ふたりのまほう』では「富野さんからは何回も何回も歌詞の書き直しがあったらし」いしね。
しかし実際のところ、「Beyond The Time 歌詞 富野」でググっても、この噂を肯定している記事は出てこないんだが(楽曲に対しての富野の要望を書いている記事はいくつかヒットする)、どこから発生した噂なんだ?
さてオマケ。
GARNiDELiAさんが『Gレコ』の主題歌を担当することになった時。
インタビューでGARNiDELiAのお2人は富野監督から主題歌担当に指名された理由について「最近監督ご自身がクラシックにハマっていた」「クラシックの素養がある人間が書いたメロディラインだから」と答えています。
上にあるGBのインタビューでは、T・Kも「(富野監督は)生の弦の音とかにすごいインパクトを感じる人」「(T・Kが)クラシックが好きだっていうことでなんとかなった」と答えています。
おそらくこの当時から、富野監督はクラシック音楽が好きだったんじゃないのかな。
F91の『GUNDAM FESTIVAL LIVE』で指揮棒振っている姿を見るに、当時からクラシック音楽に親しんでいた気がして仕方ないんだが。
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