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ネタバレあり『シン・仮面ライダー』感想・レビュー [映画感想・実況]





 ちょっと…いやかなり遅れたけれど、『シン・仮面ライダー』の感想を残しておこうと思います。

 冒頭の、ショッカーの戦闘員を殴ったら血が出てくる描写あるじゃないですか。
 ここがまず「いらないな、余計だな」と。
  黒澤明の『椿三十郎』で、仲代達也さんの血が出る時は「うわすげえ!」となるんですけれど、仮面ライダーにこういうのはいらないなあ…

 まず、ぼく自身の「仮面ライダー視聴歴」がどうだったか、と言うと。
 アニメはおっさんになっても見ているのに、特撮は小学校中学年くらいで普通に卒業しているんですよね。
 だからまあ、『ストロンガー』くらいまでは知っているけれど、平成ライダー・令和ライダーは全く見たことがない。

 で、『シン・仮面ライダー』を見た感想は、面白いとかツマラナイとかではなく、「ぼくが望んだ映画ではなかったな」と。

 じゃあぼくが望んでいた映画は、というと・コレ『シン・仮面ライダー』だけではなくて『シン・ゴジラ』でも『シン・ウルトラマン』でもそうなんですけれど、DAICON FILMの、あの『帰ってきたウルトラマン』。
 庵野監督が新マンになった映像あるじゃないですか。あれのお金と手間暇がもっとかかった、オタクマインドあふれているやつ、それが見たかったんですよね。

 いや、もちろん『シン・仮面ライダー』もオタクマインドに溢れているんですけれど…

 もう、エンタメ性が前面に出てて、なんならそれだけでいいし。
 もしテーマ性を制作者が盛り込みたいなら、それはちょっとエンタメ性の陰に隠れて見えるか・見えないかぐらいが良いなって。

 だから「シン」シリーズで言うと、『シン・ゴジラ』はそこら辺が絶妙だったんですよね。
 エンタメ性が前に出て、でも深読みしようと思えばできる。そこら辺のバランスがすごい良かった。

 『シン・仮面ライダー』は、ちょっとそのテーマ性がうるさかったなって。やっぱり。
 もちろん、漫画(石ノ森版)へのリスペクトもあると思うんですけれど。でも視聴者の大半は、「仮面ライダー」といえばあのテレビの特撮番組を連想すると思うんですよね。

 で、そう考えると、あのグローブが血で汚れる描写とか、本当いらないな、邪魔だなって。

 まあ監督は、「人間ならざるヒーローの苦悩」を表すのに、絶対に血の描写は不可欠と考えたんだろうし、だから視聴者は折れるしかないんだけれど。
 途中でちょっと映った映画のポスターも、『仁義なき戦い』シリーズとか『13人の刺客』(もちろん1963年版)を選んでいるくらいだし。

 ただその、戦闘員もショッカーの怪人(あえて怪人)も、元は人間ですよね? でもTV版って、そこはあえてスルーするというか、深堀しないわけじゃないですか。

 でも流血させちゃうと、どうしても同胞殺しについて視聴者の思いが行っちゃうし(だって緑とか黄色の血じゃなくて、赤い血なんだもん)、「人間離れしたヒーローの暴力性」とかに話がいっちゃうじゃない。

 あー。
 そういうのいいんだよな、崖の上に立っているライダーを煽りで撮るアングルを見たいとか(これはちゃんと用意してくれていたけれど)、そんな連続が欲しかったんだよな、と。
 これはもう、映画の嗜好が違うんだなあと思って諦めるしかなかったですね。


 それから兄妹の関係とか・親子の確執とかもなー。
 石ノ森漫画の定番です、って言われれば何も言い返せないけれど。「じゃあマドンナお姉さんいないんじゃん!」とは思うけれど。

 こういう家族の云々みたいなのも、ぼくには不必要だった。
 スターウォーズのエピソード6を見た時と同じ。「いらないいらない、そんなの。もっとスカッとさせてくれよ」みたいな。

 序盤で博士が死ぬところとかは良かったんですけれど。
 「そうそう。そう言えば、(昭和)仮面ライダーシリーズって、博士とか家族って冒頭に死んでたよね。お、泡になった! 懐かしい」とか、そこはノレてたんですよ。


 あと、「テーマ性が前面に出ている鬱陶しさ」で言うとさ。

 やっぱり、ライダーのデザインですよね。
 1号は髪の毛が出ていて、2号は首元が見える。敵の森山未來さんも、後ろ髪が出ているじゃないですか。

 あれって要するに 「改造人間と人間の狭間の存在」みたいなメッセージ性が、強く出ていますよね。
 その、「テーマ」が四六時中画面に出ているので、それがもう「うるせー」って(笑)。

 もっと苦悩がないパターンを見たかったな。漫画の本郷猛は悩んだりしてるので、そこら辺を取り入れたってことなんでしょうかね。

 あと1号ライダーの結末って、明らかに漫画版から取ったと思うんですけれど。

 つまりこれって、「2号ライダー誕生の物語」じゃないですか。
 ポスターのキャッチフレーズに「あなたを信じて、あなたに託す」とある通り、緑川→1号→2号への継承の物語なので。

 だから、かつて1号ライダーがいて、こうして2号が誕生しますよ、と。
 まあこれから書くのは、富野監督ファンの言い回しっていうやつですけれど。「物語全体が、イントロダクションになっている」というね(@トリトン)。

 2号誕生して、これから本編始まるでしょ、っていう。
 だから、シリーズものになるんだったら・ぼくはなった方がいいなと思います。


 それと、戦闘シーンはおおむね満足させてもらったんだけれど。
 複数のライダーと戦うシーン、画面暗くて見え辛くなかったです? よく分かんなかった…

 NHKの『シン・仮面ライダー』ドキュメンタリー見ると、あれだけこだわっているのに、ちょっと見えづらかったかな。

 ちなみにあのドキュメンタリー、なんか賛否両論巻き起こしているようですけれど。ぼく昔の。
 あの、映画監督たちの現場での振る舞いとかのエピソード聞いたりドキュメンタリー見るのが好きなので。

 あれ見ても別に何とも思わなかったですね。
 今と昔は違うんだ、とか言われたらその通りですけれど。なんか意見がぶつからない、映画の制作現場って健全なのかなって。全くの外部の立場からはそう思います。

 と同時に。
 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のドキュメンタリーを見た時も思ったんですけれど、「まだ見たことがないもの、見たことがないもの」を周囲から搾り続ける制作方法って、スタッフの摩耗度半端ない・いつまで続けられるのだろうとは感じますね。


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富野監督の自伝的エッセイ『だから僕は…』での、富野監督とヒロイン・チョキの関係をどう読もうか。読書の愉悦 [富野監督関係]





 さて、久々です。
 もう2月に入っているのに、今年初の更新。

 先日、「週刊プレイボーイ」平成18年4月1日号を入手しました。
 掲載されている、富野監督のインタビュー・『富野監督が語る「オンナ心」と「ガンダム」』を読むためです。

 有志の方からいただいた情報で、内容は昔に知っていたのですが。
 ブログを書くにあたり、どうしても原本を読みたかったんですよね。

 このインタビュー記事では、以下のやり取りがあります。


――ズバリ聞きますが、監督が童貞を失ったのは、おいくつの時で、お相手はどなただったんですか?
「27歳で結婚した時ですよ。相手は、もちろん今の奥さんです」


 いやいや、ちょっと待てと。チョキはどうした、と。
 富野監督の自伝的エッセイ『だから僕は…』を読んでいる人=このブログに来てくれている人(決めつけ)は、大方の人がそう思ったはずです。

 だから、チョキの説明は省きますね。
 コケティッシュガール。

 チョキって個人的には、『閃光のハサウェイ』のギギみたいなイメージなんだよね。




 で、この発言。考えられるパターンは3つ。

 1、読者サービス、または何かの精神を発揮して、このインタビューでは嘘をついた。

 2、インタビューは真実、『だから僕は…』にフィクションが混入されている。

 3、このインタビューも『だから僕は…』も真実。


 このうち、まず「1」は除外します。
 何故なら、このブログ記事を書く意味がなくなるから。

 まあ、1番可能性あるの、正直「1」なんだけれど…
 ほら、富野監督の発言を追っている人ほど、その正確性を信じなくなるじゃない?(笑)

 富野監督の発言、信じられないことあるから。それが意図的である・ないに関わらず。
 まーた女性ファンから火が付いた、って言っているよ、みたいな。

 それに自己プロデュースとして、矢沢永吉さん的な「俺は良いけれど矢沢はどうかな?」ってところもあるよね。

 だから素直に考えれば、「1」なんだけれど。
 それだとぼくの執筆意欲が削がれるのでね…このインタビューは真実を語っている! と。決めつけて。


「インタビューは真実、『だから僕は…』にフィクションが混入されている」場合


 さて、パターン「2」の可能性です。

 これは、無くもない。
 なにせ富野監督、『「イデオン」ライナー・ノート』では、井荻麟と本人を共存させ・「ぼくの中学時代のクラスメート」と紹介したり、富野監督・井荻・斧谷3人で会話する混沌を書いているので…

 そういや昔、下のツイートした時、



 ぼくにわざわざ富野監督=井荻って教えてくれた見ず知らずの人が何人かいたな。なんかすまん…


 『だから僕は…』の序文には、「嘘を書くわけにはいかないし、そうなれば、妻が知らないでよい部分にも触れざるを得なくなる」と書かれている。

 これも「フィクション混入文章」の冒頭と読むと、テクニックの1つと読めなくもない。





 まあ、このぼくのツイートは穿ち過ぎとしても、例えばチョキが富野監督の部屋に泊まり込んだりはしていなかったとか、肉体関係を匂わせる描写は「盛った」とか、そこらへんのフィクション混入である。

 ただなあ。
 「富野由悠季の世界」展で、『だから僕は…』に出てくるものが実際に展示されているので、ノンフィクションって考えた方が自然なんだよね。

 チョキのところだけ?

 実は、そう考える1つの記述がある。

 以降、全て角川スニーカー文庫版の『だから僕は…』で、該当箇所を振り返ってみよう。
 「チョキ」の名前が初登場した箇所。

 「多少気があったチョキのことが突然思い出されて、」(124P)とあるのだが、
 わずか15ページ後には「振られたのは僕のほうなのだ。(中略)僕がプロポーズをしたのか?」(138-139P)になって、
 最終的には「焼きぼっくいに火をつけて」(170P)となる。

 「やけぼっくいに火がつく」はかつて夫婦・恋人に使う言葉であり、学生時代に付き合っていたことになる。
 ましてやプロポーズをしたのか? と思い返す女性は、「多少気があった」ではすまない。

 キャラ設定がブレてるぞ! と突っ込んでも、そう大外れではないと思うけれど…(嫌われはしそう)。


 なんか疑って読むと、頻繁に出てくるあのメモが民明書房に思えてくるんだよね(笑)。


「このインタビューも『だから僕は…』も真実」の場合


 さて「嘘だろ」と思われるかもしれないが、パターン「3」を、ぼくは案外捨てきれていない。

 実は今回のブログを書くために、「27歳まで童貞・初体験は亜阿子さん」と信じ切って『だから僕は…』の該当部分を再読したところ、「そう読めなくもない」気がしたから。

 人の思い込みって恐ろしい……

 そんな該当箇所を列挙していこう。

 メモの箇所。143P。


そして、今夜はチョキと一晩のつきあい
二人の間に仕事がちゃんとあって 一晩のつきあい
ノーマルじゃない


 「ノーマルじゃない」は「若い男女が2人同じ部屋なのに仕事をしている=ノーマルじゃない」ってことだから、明らかに肉体関係の否定だと思う。


 続いて146P-147P。ここもメモ部分。


≪ブラジャー外れている。オトミ寝てる間にさわったな!≫
≪知るかい! 濡れ衣かぶせられるんならいじっとくか≫
≪できるもんか! オトミになんか! させないよ≫


 ここはさ…感性で分かれる所かも知れないけれど、「何もない男女(でも気はある)」会話の方が、素直に読めない?
 そもそも、ブラジャーつけたまま寝ているってことは、そういう行為をしていないだろうし。


 次は、肉体関係がないと暗に書いている箇所。


なんでもない彼女、そんな紹介を他人は信じるだろうか?
午前二時の訪問客は、まずお安くない仲と人はみよう(150-151P)


 これは、「本当になんでもない彼女」だが、「人は」「お安くない仲とみる」ということでしょう。


 ちょっとページが飛ぶが、次のような箇所もある。208-209P。


チョキがきて 徹夜して
朝方≪結婚してくれる?≫と、いった部屋
(中略)
おととしの初夏?
キスもできず、ただ手を握って


 キスもしていない女が、プロポーズを迫ってきた…


 さて、冒頭に紹介した件のインタビューを読んで、「そんなバカな」と笑ってしまう一番の要因が、191Pから始まる下記のメモ部分でしょう。


抱いたお前の胸のふくらみ 見た目よりずっとわずかなのに お前の躰の無理を知る


 抱いてる! 見てる!
 今回再読して気づいたんだけれど・明白な肉体関係の描写って、ここだけなんだよね(読み落としあったらすまん)。

 でもね。
 このメモ不思議なのは、次のように続くのよ。


僕はお前に嫌われることを恐れて 強姦することもできず
ただ、ベッドの上でお前の腰をさする マッサージ師…… マッサージ師……
(中略)
いや、僕の弱虫? インポの僕? しかし、僕は不能者じゃあない


 刺激的な言葉があるけれども(Googleアドセンスの規定に引っかかったらどうするんだ。……まあ月30円くらいの売り上げしかないからどうでもいいけれど…)、これは明らかに、「次の段階」に進みたいのに・進めない、不能者じゃないのにできない、って記述でしょう。

 こう続くとなるとさ、「抱いた」って言葉。
 男女の関係を暗喩した(でもないけれど)「抱いた」じゃなくて、普通に・服着た状態でぎゅっと抱きしめた、とかそういうことじゃない?

 以上だけれど、どうでしょう。
 「3、このインタビューも『だから僕は…』も真実」も、案外いけなくない?


 無論、描写に問題は無いとしても、疑問は残ります。

 デカいのは2つで、

 まず(虫プロを辞めた原因は別にあるとしても)「え、肉体関係もない女の後を追いかけて入社するの?」が1つ。

 もう1つは、「婚前交渉無しに、結納とか、婚約の話が出る?」。

 まあ後者に関しては、ぼくもおじさんだけれど・富野監督よりは随分と下の世代なので、「当時はそれが普通だったんだ!」と言われると、ぐうの音も出ないけれど…
 でもお見合いじゃなくて、恋愛だよ?

 また富野監督がチョキの部屋の合鍵を持っているらしい描写もあって、「そのくらいの関係の異性に、鍵渡す?」とも疑問に思う。

 もちろん「ベッドの上で腰をさする」メモだって、そもそも「肉体関係ない男にそこまで許す? その女性って貞操観念固いの? 緩いの?」とも思うし。

 
 今回さあ。
 つくづく実感したのは。読み手の先入観によって、読解内容って変わってくるな、と。

 「男女関係が無い」と思い込んで読むと、ちがう内容を見せたもんね、『だから僕は…』。

 他の男の影がチラつくのに、自分はさせてもらえない…でも気になる…ハサウェイなの? 監督……


 せつなくて、滑稽で、俺の何かに触れる。
 パターン「3」が、俺の一番好みってことなのかな……


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