大塚康生さんのドキュメンタリー 映画『飄々~拝啓、大塚康生様~』を見た [アニメ周辺・時事]
どうも。ひと時お付き合いのほどを。
前回のブログ記事「『忘れじのカルチャー倶楽部 クラッキクロニクル 〜タイムマシンに気をつけろ!〜』のテーマ「ガンダム」回で、吉田健一さん登場」で、シネフィルWOWOWと契約したことを書きました。
そのシネフィルWOWOWで先日、大塚康生さんのドキュメンタリー 『飄々~拝啓、大塚康生様~』
が放映されていました。
当ブログを読んでいただいているような方には、大塚さんは説明不要ですよね。
ぼくは不勉強で、この『飄々~拝啓、大塚康生様~』を知らなかったのですが。
トムス・エンタテインメントが制作した映画で、2015年にイベントで1回、さらに杉並区の映画館1館で1週間だけ上映されたようです。
これが、かなり面白くて。72分間のドキュメンタリー。
おおすみ正秋さん、小田部羊一さん、高畑勲さん、田中敦子さん(少佐ではない)、月岡貞夫さん、富沢信雄さん、友永和秀さんなどなど、そうそうたるメンバーがインタビューに答えているのですが。
最初は組合の話が多くて(笑)。一緒に見ていたけれど・東映動画の例の騒動を知らないぼくのカミさんが、「組合ってなんの組合?」と聞いてくるほど、そのテの話多いの。
高畑さんや大塚さんが作っていた、社内啓発用の新聞(ガリ版)なんかも映し出されていた。ちょうどその紙面のレイアウトが「飛び降り」していて、仕事柄ちょっと気になっちゃったんだけれど(笑)。
その新聞では、高畑さんが「副委員長」として囲み記事で紹介されていた。
あと、おおすみさんが『太陽の王子 ホルスの大冒険』をこき下ろしているところも良かった。
「(大塚さんは仲間意識があるから作品を)悪く言えない」
「支持しなった大衆の方が悪いとか(中略)はっきり言って全然面白くなかったよ」
「あれは組合万歳で(中略)この世にヒーローはいりませんと(中略)どこが面白いんだよ」
と散々なの(笑)。
まあぼくは、そこまでツマらないとは思わなかったけれど。冒頭の戦闘シーンの作画とか、素人のぼくでも「スゲー」と思うしね。
それと、意外だったのが、高畑さんが日本アニメ特有のリミテッドアニメについて、肯定的に言及しているところ。
しかも流石の・うなる指摘でもありました。
日本のアニメは全然動かない、口パクとあとはポーズで決めていくっていう段階から入っていって、そこから段々動きに目覚めていくんですね、逆に。(中略)
大塚さんが主張する動きで、というだけでは日本のアニメは発達しなかったんだということを、ちゃんと言っておくのが公平だと思うね。ぼく自身は動かすものをできるだけやろうとしてきた方なんですよ。(中略)動かさないでも表現できる、ということを開発したところに日本のアニメの新しい特長があったんだよね。
どうですか。これを、あの『かぐや姫の物語 』の監督が言ったのかと思うと(笑)。
この話の後に、おおすみさんが『巨人の星』の絵について話すのを持ってくる構成も面白かった。1話で一球しか投げないとか。
あと大塚さん、全般的に饒舌気味だったのに、『リトル・ニモ』あたりから口数少なくなってきた印象あって。
最後の「まだ描きたいですか」の質問で。あれ、やんわりとだけれどインタビュー切り上げたよね。
そこらへん、突如訪れた緊張感も良かったです。あのインタビュアーさん、わざとなのか鈍感なのか。
さてちょっと関連している話で、もう1つ違う話題も書いておこう。
『飄々~拝啓、大塚康生様~』では、大塚さんが監修を務めた『ルパン三世 風魔一族の陰謀』については、触れられていなかった。この作品には「監督」がいないので、大塚さんはけっこう重要な役割を果たしていたと思うのだが……
『風魔一族の陰謀』は、山田康雄さん存命中に、山田さんはじめキャストが一新された唯一の作品。
しかし批判が多く、この一作だけで元のキャストに戻ったらしい。
詳しくは小黒さんのWEBアニメスタイルなどを。
さて先日、Abemaの番組『声優と夜あそび』のゲストが、その1作だけのルパンこと古川登志夫さんで、この時の心境・そして現在の心境について語っています。
このYouTube動画は公式です。
よくこの話題をぶっこんだな、と思うけれども(笑)。古川さんは「(声優の)仕事を辞めたくなっちゃうくらい」だった、と当時を振り返っております。興味のある方は見てみては。
ちなみにこの動画には含まれていない本放送では、衝撃の事実? も。
某アニメの主人公、実はCV古川さんで決まっていたそうです。
それが古川さんを推していたPが諸事情で抜けたことで、別な方に決まったそう。
古川さん、その作品名を明らかには言わなかったけれども。
古川さん「昨年、何周年とかで話題になった……」
谷山さん「あっ。街を…」「掲示板にメッセージを」
とか、もう作品名を明言するかしないかだけで、視聴者にもはっきり分かったけれども。
最終的には古川さん、「でも結果的に良かったと思います。彼は事務所名を『冴羽商事』にするくらい、思い入れているわけだし…」みたいなことまで言っていたので(笑)。
そうかあ。どうなっていたのかな、古川獠だったら。
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『忘れじのカルチャー倶楽部 クラッキクロニクル 〜タイムマシンに気をつけろ!〜』のテーマ「ガンダム」回で、吉田健一さん登場 [富野監督関係]
どうも。予定通りに3日連続更新。
シネフィルWOWOWで押井監督、すみぺさん、小黒祐一郎さんによる『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー 』のコメンタリー版が放送されるというので、数年ぶりにスカパーと契約しました。
スカパーと契約すると、個人的に一番楽しみなのが契約者用のチャンネル「BSスカパー!」を見られること。
正直、どこかの専門チャンネルの番組より、「BSスカパー!」で放送されている『ダラケ!』『田村淳の地上波ではダメ!絶対!』を見られるのが嬉しいんだよな…
どこの専門チャンネルとも契約せず、基本料金だけ払って「BSスカパー!」を見れたらいいのに…(現状では必ず基本契約+チャンネル最低1つとの契約が必要)。
さて、そのスカパー契約者だと見られるチャンネル「BSスカパー!」では現在、『忘れじのカルチャー倶楽部 クラッキクロニクル 〜タイムマシンに気をつけろ!〜』が再放送されています。
主に昭和40年代生まれの人を対象にした番組(でいいのかな?)で、「付録」「ウルトラQとウルトラマン」「昭和の声優文化」「フォークソング」など毎回テーマを変えて放送しています。
メインMCはサッカー実況などで著名な倉敷保雄さん(だから番組名が倉敷→愛称クラッキ→クラッキクロニクル)。
先日再放送された第9回・本放送は昨年9月では、テーマが「ガンダム」でした。
ゲストはキンゲやG-レコで・富野作品ファンにはおなじみ、吉田健一さん。
吉田さんと倉敷さんは、倉敷さんの本の表紙を吉田さんが担当するなど、以前から交流があるようです。
番組は、途中で歌紹介などを挟みつつ、吉田さんがご自身で書いたコンテ絵的ラフを使いながらガンダムの魅力・見どころなどを説明していました。
あのラフ絵、全部見たい……
一部は、吉田さんがご自身のツイッターに上げていました。
(この画像クリックすると該当ツイートにいきます)
では以下、ざっくり、本当にザックリと番組内容です。
吉田さんの着ているTシャツ、メトロン星人が描かれている……
吉田さんが『ガンダム』で好きなのはザク。ザクとモノアイ。
住んでいた熊本県では放送していなかった。
ジオン兵が良かった。
吉田さんが好きな井荻作品は『愛のフィールド』。倉敷さんはララァ系の歌が好き。
これからはしばらく、ガンダム1話冒頭の話。ザクの目を消している。
無重力空間の演出を、さらりと(しかし)しつこくやっている。
上からの視点で、降下するザクとコロニーの地表を描いたカット。吉田さんの描いた絵には、「この絵はもう生まれて始めて見た光景ですよ!! だんぜん新しい!! …と、思ったものです…オレは、もうもっていかれました」との走り書き。
着地した音で、(ザクが)重いと分かる。
ジオン兵が覗く双眼鏡の景色から、コロニー内が円形だと分かる。
細かい描写をやりながら、細かい説明はしない。目線誘導だけでやっている。それを視聴者の知りたい順番にやっている。
これ以降はキャラクターや戦闘シーン、NTについて。
キャラクターについて。ラル一行との邂逅シーン。憎むべき敵とは違う、普通の人がいっぱいいると分かる。
吉田さんと倉敷さんによるマチルダさん話から、声もいい→歌もうまい→『コスモスに君と』の話にも。
吉田さんいわく、ミハルは自分たちの代表だと思う。自分たちがあの世界にいたら、ああなっちゃうのかなと。
MS戦について。コンスコン戦。アムロはライフルを撃ち尽くしたあとに、戦艦にビームサーベルの柄を押し付けてから、ビームを出す。その時一瞬、反動がある。それがたまらんかった。
ララァはオリエンタルな雰囲気もあるし、(それまでの他のキャラと)違う。(視聴者は)この人どんな人だろう? と思う。ちょっと違う感を、絵で描いている。
吉田さんはアムロが安彦さん、シャアが富野さん説を持っている。
演出もやる・絵も描きたい(吉田さん曰く「絵を伝えることが上手なんだと思っている」)シャア=富野監督と、絵を一発描くだけで何かを全て決定してしまうかのようなアムロ=安彦さん。
シャアとアムロは孤独になっていく。演出家とか、才能ある人も孤独になると思う。あのお2人(富野監督・安彦さん)ならなおのこと。
(2人をつなぐ)ララァは星山さん説。
吉田さんに影響を与えたアニメキャラベスト10。1~3位は『母をたずねて三千里』から。アメデオはデザイン的にも扱いもキャラクターも、フィクションと現実のギリギリのライン。
そして7位に、まさかのアバデデ様!(ブログ主注・フリップではなぜか「様」付き。アバデデか…「忠義忠節だけの男。面白くもない……」)
以上です。本当にざっくり・ザックリでしたが…
本当はトーク、映画順に進んでいましたが、このようにまとめちゃった。
にしても吉田さん、どうしてアバデデ様選んだのか、聞きたかったな。
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シネフィルWOWOWで押井監督、すみぺさん、小黒祐一郎さんによる『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー 』のコメンタリー版が放送されるというので、数年ぶりにスカパーと契約しました。
スカパーと契約すると、個人的に一番楽しみなのが契約者用のチャンネル「BSスカパー!」を見られること。
正直、どこかの専門チャンネルの番組より、「BSスカパー!」で放送されている『ダラケ!』『田村淳の地上波ではダメ!絶対!』を見られるのが嬉しいんだよな…
どこの専門チャンネルとも契約せず、基本料金だけ払って「BSスカパー!」を見れたらいいのに…(現状では必ず基本契約+チャンネル最低1つとの契約が必要)。
さて、そのスカパー契約者だと見られるチャンネル「BSスカパー!」では現在、『忘れじのカルチャー倶楽部 クラッキクロニクル 〜タイムマシンに気をつけろ!〜』が再放送されています。
主に昭和40年代生まれの人を対象にした番組(でいいのかな?)で、「付録」「ウルトラQとウルトラマン」「昭和の声優文化」「フォークソング」など毎回テーマを変えて放送しています。
メインMCはサッカー実況などで著名な倉敷保雄さん(だから番組名が倉敷→愛称クラッキ→クラッキクロニクル)。
先日再放送された第9回・本放送は昨年9月では、テーマが「ガンダム」でした。
ゲストはキンゲやG-レコで・富野作品ファンにはおなじみ、吉田健一さん。
吉田さんと倉敷さんは、倉敷さんの本の表紙を吉田さんが担当するなど、以前から交流があるようです。
番組は、途中で歌紹介などを挟みつつ、吉田さんがご自身で書いたコンテ絵的ラフを使いながらガンダムの魅力・見どころなどを説明していました。
あのラフ絵、全部見たい……
一部は、吉田さんがご自身のツイッターに上げていました。
(この画像クリックすると該当ツイートにいきます)
では以下、ざっくり、本当にザックリと番組内容です。
吉田さんの着ているTシャツ、メトロン星人が描かれている……
吉田さんが『ガンダム』で好きなのはザク。ザクとモノアイ。
住んでいた熊本県では放送していなかった。
ジオン兵が良かった。
吉田さんが好きな井荻作品は『愛のフィールド』。倉敷さんはララァ系の歌が好き。
これからはしばらく、ガンダム1話冒頭の話。ザクの目を消している。
無重力空間の演出を、さらりと(しかし)しつこくやっている。
上からの視点で、降下するザクとコロニーの地表を描いたカット。吉田さんの描いた絵には、「この絵はもう生まれて始めて見た光景ですよ!! だんぜん新しい!! …と、思ったものです…オレは、もうもっていかれました」との走り書き。
着地した音で、(ザクが)重いと分かる。
ジオン兵が覗く双眼鏡の景色から、コロニー内が円形だと分かる。
細かい描写をやりながら、細かい説明はしない。目線誘導だけでやっている。それを視聴者の知りたい順番にやっている。
これ以降はキャラクターや戦闘シーン、NTについて。
キャラクターについて。ラル一行との邂逅シーン。憎むべき敵とは違う、普通の人がいっぱいいると分かる。
吉田さんと倉敷さんによるマチルダさん話から、声もいい→歌もうまい→『コスモスに君と』の話にも。
吉田さんいわく、ミハルは自分たちの代表だと思う。自分たちがあの世界にいたら、ああなっちゃうのかなと。
MS戦について。コンスコン戦。アムロはライフルを撃ち尽くしたあとに、戦艦にビームサーベルの柄を押し付けてから、ビームを出す。その時一瞬、反動がある。それがたまらんかった。
ララァはオリエンタルな雰囲気もあるし、(それまでの他のキャラと)違う。(視聴者は)この人どんな人だろう? と思う。ちょっと違う感を、絵で描いている。
吉田さんはアムロが安彦さん、シャアが富野さん説を持っている。
演出もやる・絵も描きたい(吉田さん曰く「絵を伝えることが上手なんだと思っている」)シャア=富野監督と、絵を一発描くだけで何かを全て決定してしまうかのようなアムロ=安彦さん。
シャアとアムロは孤独になっていく。演出家とか、才能ある人も孤独になると思う。あのお2人(富野監督・安彦さん)ならなおのこと。
(2人をつなぐ)ララァは星山さん説。
吉田さんに影響を与えたアニメキャラベスト10。1~3位は『母をたずねて三千里』から。アメデオはデザイン的にも扱いもキャラクターも、フィクションと現実のギリギリのライン。
そして7位に、まさかのアバデデ様!(ブログ主注・フリップではなぜか「様」付き。アバデデか…「忠義忠節だけの男。面白くもない……」)
以上です。本当にざっくり・ザックリでしたが…
本当はトーク、映画順に進んでいましたが、このようにまとめちゃった。
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富野監督の「人類観」に対する、押井監督と平井和正さん評の違い [富野監督関係]
どうも。昨日、約2か月ぶりに記事を更新したと思ったら、今度は連日更新。
忘れていなければ、たぶん明日も更新する。
さて昨日、富野監督ファン界隈のツイッターは、押井守監督の『【連載エッセイ】押井守の映画50年50本』の「1988年『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』編」で、少し盛り上がったかと思います。
この文章は、8月に発売予定の立東舎『押井守の映画50年50本』の連動企画で、同社のHPに公開されたもの。
Amazonの商品説明読むと、同書では逆シャア以外に『2001年宇宙の旅』『わらの犬』『ブレードランナー』なんかが紹介されているようですね。
でも立東舎さんHPにある『【連載エッセイ】押井守の映画50年50本』では、1968年の分もアップされていて、そこでは『2001年宇宙の旅』ではなく『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』(別名『ウエスタン』)が選ばれているけれど(笑)。
今回のエッセイで富野ファンが衝撃を受けたのは、なんと言っても「宮さん、よく富野さんに電話しておしゃべりしていたからね」ではないでしょうか(個人的にはほかに、ぼくは知らなかった伊藤さん・高橋さんの関係に流れ弾が飛んでいるところも面白かった)。
あと、そうだなあ、「(劇中のセリフの多さは)僕どころじゃないよ」と笑い交じりにおっしゃっているけれど、いやいや『御先祖様万々歳!』を作った方が何を……とは(笑)。
さて熱心な富野監督ファン、あるいは押井監督ファンの中には、押井監督が『逆襲のシャア』について触れる(しかも褒める)ことについては、知っていた方もおられるかと思います。
今回のエッセイでも記述があるように押井監督は、庵野監督などが手掛けた同人誌『逆襲のシャア友の会』のほか、『アニメージュ』誌上でも俎上にあげているし。2人で対談もしています。
『ガンダム』は観ています。特に『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(88年)は、かなりしつこく観ました。
あれは特筆すべき作品ですね。(91年4月号)
持ってないから確認できないけれど、この文章はたぶん『すべての映画はアニメに変わる』に収録されているんじゃないかな。違ったらすまん。
同じ『アニメージュ』の誌上で対談したのは93年、『Vガンダム』が始まった頃。
互いの作品、Vガンとパト2についてや、TVアニメと劇場版アニメの違いなどについて語り合っております。
個人的には、劇場版『パトレイバー』と逆シャアって、見た時期が近かったこともあって、逆シャアにどうしても「時代遅れ」を感じてしまったんだよね。
大昔にもこのブログで書いた記憶あるけれど、OSの概念の導入とか、「CGと分かって良いところでCGを使う」手法とか、『機動警察パトレイバー the movie』って衝撃的だった。
ホラ、逆シャアのCGコロニーのシーン、やっぱり違和感あるでしょ?
最後のMS同士のどつきあいとかさ…だから当時の逆シャアって、ぼくは「劇場版パトに比べると古臭いけれど、でも好きなんだ!」って作品だったの。
だから押井さんが逆シャアを激賞していると、知ってはいたけれどちょっと不思議な感じもします。
ちなみに逆に、富野監督がトークショーやインタビューなどで、押井監督に触れたのは……
あるイベントで、インタビュアーから・実写パトや庵野ゴジラなど、アニメ監督が実写作品を手がけていることについて聞かれたことがあります。ノーコメントにしているけれど……
別のイベントでは、明言していないけれど『イノセンス』を否定的に言っている。そのくらい?
さて押井監督が逆シャアを「日本のロボットアニメが到達したひとつの極点」「たとえガンダムやロボットアニメに興味がなくても、ドラマとして、人物として鑑賞できる作品のはず」とまでプッシュする理由の1つは、
「富野さんはそこまで人類に絶望しているんだなって分かったから」と説明されています。
シャア=富野監督、というのは今までも見られる説ですが(ちなみに明日紹介する予定ですが、吉田健一さんも同じことを語られています)。
シャアが富野さんの本音を代弁して、人間なんてダメだ! 粛清してやる! とアクシズを落とすわけですね。
しかもここからはぼくの推測ですが、おそらく・富野監督っぽくいうと「やってみせる」ことが重要で、結果はあまり問わない、と。
まあマスクもかぶってないし・鉄仮面と違ってむき出し。サイコフレームの奇跡は「物語を終結させるための方便」で、見る限り・やっぱり力点は「アクシズ落としたる!」にあると感じるし。
だから富野監督のむき出し感がある。押井さんの書いてらっしゃることも分かる。
蛇足ですが、例の有名な庵野監督による「パンツはいてる・はいてない」も、ここら辺のことじゃないのかな。
さてここで、自らの作品を「人類ダメ小説」と称していたSF作家がいます。平井和正さんっていうんですけれど。
今は亡き平井さんの富野監督評が、今回の押井さんとは真逆だったので、ご紹介しておきます。
ま、発言の時期が違うからね。平井さんの発言は、イデオンの頃だから。
(ブログ主注・平井作品が絶対的な善悪構造であるのに対して)富野さんの場合にはそれが相対的な構造になっている。富野さんは心優しいわけですよね、人間を信じている。私のようにとことん冷酷になれないんですね。
ですから富野作品の中には、徹底した悪人は出てこないです。(ラポート㈱『伝説巨神イデオン大事典』43-44P)
これも、納得出きるところですよね。
富野監督、人間を信じたり、絶望してみたり。波のようにその時期によってたゆたっているのか。
それかイデオンの頃には信じていたけれど、その後闇落ちしたのか(笑)。
ただまあ、∀は人類が一回絶滅してからの話だったり、G-レコもクンタラがいたり技術がタブー化しているところを見ると(しかも富野監督の中では∀より後年設定)、人類への絶望感は根深そうだな、とは感じます。
こう書くと、人間賛歌と人類絶望が同居しているな、富野作品。
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忘れていなければ、たぶん明日も更新する。
さて昨日、富野監督ファン界隈のツイッターは、押井守監督の『【連載エッセイ】押井守の映画50年50本』の「1988年『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』編」で、少し盛り上がったかと思います。
この文章は、8月に発売予定の立東舎『押井守の映画50年50本』の連動企画で、同社のHPに公開されたもの。
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でも立東舎さんHPにある『【連載エッセイ】押井守の映画50年50本』では、1968年の分もアップされていて、そこでは『2001年宇宙の旅』ではなく『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』(別名『ウエスタン』)が選ばれているけれど(笑)。
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今回のエッセイで富野ファンが衝撃を受けたのは、なんと言っても「宮さん、よく富野さんに電話しておしゃべりしていたからね」ではないでしょうか(個人的にはほかに、ぼくは知らなかった伊藤さん・高橋さんの関係に流れ弾が飛んでいるところも面白かった)。
あと、そうだなあ、「(劇中のセリフの多さは)僕どころじゃないよ」と笑い交じりにおっしゃっているけれど、いやいや『御先祖様万々歳!』を作った方が何を……とは(笑)。
さて熱心な富野監督ファン、あるいは押井監督ファンの中には、押井監督が『逆襲のシャア』について触れる(しかも褒める)ことについては、知っていた方もおられるかと思います。
今回のエッセイでも記述があるように押井監督は、庵野監督などが手掛けた同人誌『逆襲のシャア友の会』のほか、『アニメージュ』誌上でも俎上にあげているし。2人で対談もしています。
『ガンダム』は観ています。特に『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(88年)は、かなりしつこく観ました。
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持ってないから確認できないけれど、この文章はたぶん『すべての映画はアニメに変わる』に収録されているんじゃないかな。違ったらすまん。
すべての映画はアニメになる[押井守発言集] (アニメージュ叢書)
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同じ『アニメージュ』の誌上で対談したのは93年、『Vガンダム』が始まった頃。
互いの作品、Vガンとパト2についてや、TVアニメと劇場版アニメの違いなどについて語り合っております。
個人的には、劇場版『パトレイバー』と逆シャアって、見た時期が近かったこともあって、逆シャアにどうしても「時代遅れ」を感じてしまったんだよね。
大昔にもこのブログで書いた記憶あるけれど、OSの概念の導入とか、「CGと分かって良いところでCGを使う」手法とか、『機動警察パトレイバー the movie』って衝撃的だった。
ホラ、逆シャアのCGコロニーのシーン、やっぱり違和感あるでしょ?
最後のMS同士のどつきあいとかさ…だから当時の逆シャアって、ぼくは「劇場版パトに比べると古臭いけれど、でも好きなんだ!」って作品だったの。
だから押井さんが逆シャアを激賞していると、知ってはいたけれどちょっと不思議な感じもします。
ちなみに逆に、富野監督がトークショーやインタビューなどで、押井監督に触れたのは……
あるイベントで、インタビュアーから・実写パトや庵野ゴジラなど、アニメ監督が実写作品を手がけていることについて聞かれたことがあります。ノーコメントにしているけれど……
別のイベントでは、明言していないけれど『イノセンス』を否定的に言っている。そのくらい?
さて押井監督が逆シャアを「日本のロボットアニメが到達したひとつの極点」「たとえガンダムやロボットアニメに興味がなくても、ドラマとして、人物として鑑賞できる作品のはず」とまでプッシュする理由の1つは、
「富野さんはそこまで人類に絶望しているんだなって分かったから」と説明されています。
シャア=富野監督、というのは今までも見られる説ですが(ちなみに明日紹介する予定ですが、吉田健一さんも同じことを語られています)。
シャアが富野さんの本音を代弁して、人間なんてダメだ! 粛清してやる! とアクシズを落とすわけですね。
しかもここからはぼくの推測ですが、おそらく・富野監督っぽくいうと「やってみせる」ことが重要で、結果はあまり問わない、と。
まあマスクもかぶってないし・鉄仮面と違ってむき出し。サイコフレームの奇跡は「物語を終結させるための方便」で、見る限り・やっぱり力点は「アクシズ落としたる!」にあると感じるし。
だから富野監督のむき出し感がある。押井さんの書いてらっしゃることも分かる。
蛇足ですが、例の有名な庵野監督による「パンツはいてる・はいてない」も、ここら辺のことじゃないのかな。
さてここで、自らの作品を「人類ダメ小説」と称していたSF作家がいます。平井和正さんっていうんですけれど。
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今は亡き平井さんの富野監督評が、今回の押井さんとは真逆だったので、ご紹介しておきます。
ま、発言の時期が違うからね。平井さんの発言は、イデオンの頃だから。
(ブログ主注・平井作品が絶対的な善悪構造であるのに対して)富野さんの場合にはそれが相対的な構造になっている。富野さんは心優しいわけですよね、人間を信じている。私のようにとことん冷酷になれないんですね。
ですから富野作品の中には、徹底した悪人は出てこないです。(ラポート㈱『伝説巨神イデオン大事典』43-44P)
これも、納得出きるところですよね。
富野監督、人間を信じたり、絶望してみたり。波のようにその時期によってたゆたっているのか。
それかイデオンの頃には信じていたけれど、その後闇落ちしたのか(笑)。
ただまあ、∀は人類が一回絶滅してからの話だったり、G-レコもクンタラがいたり技術がタブー化しているところを見ると(しかも富野監督の中では∀より後年設定)、人類への絶望感は根深そうだな、とは感じます。
こう書くと、人間賛歌と人類絶望が同居しているな、富野作品。
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コミック版『戦争は女の顔をしていない 1』の帯が富野監督 [富野監督関係]
どうも。今年もよろしくお願いします。もう1月も終盤だけれど……
コミック版『戦争は女の顔をしていない 1』が発売されていて、帯を富野監督が書いています。
下記の文言です。
この原作を漫画化しようと考えた作家がいるとは想像しなかった。瞠目する。(中略)それを漫画化した作者の蛮勇にも脱帽する(後略)
「蛮勇」ってあまりプラスのイメージがない言葉を使いながら、「脱帽」と白旗をあげる言葉にすぐ接続しているのが、富野監督の個性が出ていると感じさせる一文だけれども…
さて富野監督が、このコミックの原作ルポである『戦争は女の顔をしていない』に触れたのは、およそ3年前。
『この世界の片隅に』の片淵須直監督と対談した時です。
富野監督はこの対談で、『戦争は女の顔をしていない』を紹介しつつ、
「ソ連の赤軍にいた女性狙撃兵とすずさんは全く同じだったという感触を僕は持ちました」
「すずさんがまな板を持っている場面と、ソ連の女性狙撃兵が同じメンタリティーだということが分かったんです」
と指摘し、さらに『この世界の片隅に』のあるシーンにおける、カメラアングルにまで言及しています。興味のある方は、リンク先の記事をお読みください。
勝手な想像ですが、今回富野監督がコミック版の帯を書いたのも、この対談での発言が縁じゃないのかな……
蛇足ですがぼくは当時、この対談を通じて『戦争は女の顔をしていない』に興味を持って、近くの図書館で借りて読みました(買えよ)。
ちなみにコミック版は、ツイッターの公式アカウントで全話公開されてもいます。もちろん読みづらいので、買った方が快適な読書体験だろうけれど。
しかし富野監督による帯の最後、「女たちは美しくも切なく強靭であったのは事実なのだ」って、まるで富野キャラそのものだよなあ。
富野監督が『戦争は女の顔をしていない』を読む・遥か前に創造された、カテジナさんがぼくの脳裏をチラつくのだが……
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コミック版『戦争は女の顔をしていない 1』が発売されていて、帯を富野監督が書いています。
下記の文言です。
この原作を漫画化しようと考えた作家がいるとは想像しなかった。瞠目する。(中略)それを漫画化した作者の蛮勇にも脱帽する(後略)
「蛮勇」ってあまりプラスのイメージがない言葉を使いながら、「脱帽」と白旗をあげる言葉にすぐ接続しているのが、富野監督の個性が出ていると感じさせる一文だけれども…
さて富野監督が、このコミックの原作ルポである『戦争は女の顔をしていない』に触れたのは、およそ3年前。
『この世界の片隅に』の片淵須直監督と対談した時です。
富野監督はこの対談で、『戦争は女の顔をしていない』を紹介しつつ、
「ソ連の赤軍にいた女性狙撃兵とすずさんは全く同じだったという感触を僕は持ちました」
「すずさんがまな板を持っている場面と、ソ連の女性狙撃兵が同じメンタリティーだということが分かったんです」
と指摘し、さらに『この世界の片隅に』のあるシーンにおける、カメラアングルにまで言及しています。興味のある方は、リンク先の記事をお読みください。
勝手な想像ですが、今回富野監督がコミック版の帯を書いたのも、この対談での発言が縁じゃないのかな……
蛇足ですがぼくは当時、この対談を通じて『戦争は女の顔をしていない』に興味を持って、近くの図書館で借りて読みました(買えよ)。
ちなみにコミック版は、ツイッターの公式アカウントで全話公開されてもいます。もちろん読みづらいので、買った方が快適な読書体験だろうけれど。
しかし富野監督による帯の最後、「女たちは美しくも切なく強靭であったのは事実なのだ」って、まるで富野キャラそのものだよなあ。
富野監督が『戦争は女の顔をしていない』を読む・遥か前に創造された、カテジナさんがぼくの脳裏をチラつくのだが……
エクセレントモデル RAHDXG.A.NEO カテジナ・ルース
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- メディア: おもちゃ&ホビー
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