ラジオ番組「TOKYO SPEAKEASY」の富野監督×ドリカム中村正人さん対談文字起こし 5(ラスト) [富野監督関係]
どうも。
『ガンダム』などを作った富野監督と・ドリカム中村さんが出演したラジオ番組「TOKYO SPEAKEASY」(8月21日放送)の文字起こし、その5です。最終回です。
富野監督の最新作劇場版『Gのレコンギスタ』(略称『Gレコ』)シリーズのテーマ曲を担当したドリカム。そのため、対談の内容は多岐に渡っています。
これまでの記事は以下の通りです。
ラジオ番組「TOKYO SPEAKEASY」の富野監督×ドリカム中村正人さん対談文字起こし 1
ラジオ番組「TOKYO SPEAKEASY」の富野監督×ドリカム中村正人さん対談文字起こし 2
ラジオ番組「TOKYO SPEAKEASY」の富野監督×ドリカム中村正人さん対談文字起こし 3
ラジオ番組「TOKYO SPEAKEASY」の富野監督×ドリカム中村正人さん対談文字起こし 4
今回も、勝手に適宜中見出しを入れております。それと敬称略です。ではでは。
「ついでに」人が死ぬ描写
中村:ちょっとぼくが振っておきながらここで断ち切るのも申し訳ないですけれども。
でもぼくね、いつも思うんですよ。『Gレコ』で戦闘シーンあるじゃないですか。それこそついでに死んじゃう人いっぱいいるわけですよ。あれどうしてくれるんですか。
例えば水戸黄門がですね、「助さん格さん懲らしめてやりなさい」って言って、刃物をピュッて向けた時に、ついでに死んじゃう人いっぱいいるわけですよ。これはすごいシリアスな問題だと思うんですよ。『Gレコ』の戦闘シーンとかで。
どういう風に考えてらっしゃるんですか。あれって、あれやられちゃったっていっぱいいるじゃないですか。
富野:あれやられちゃったっていう局面を作ったやつのことを、そろそろ本当にお前ら考えろっていうのは、もう40年以上前から持ってます。
だからあの偶然ではないんだよね。だから最近のデジタルの加工が本当に腹が立つのは、平気で人間を飛ばすのね。お前人間をこんなに飛ばしたら死ぬんだぞっていうの、みんな絵面の格好良い、あの爆発の飛ばされ方をしてるわけ。
で、そういう演技論を見せられてかっこいいとかというふうに思わせるという今のビデオのデジタルビデオの環境、極度にひどいと。
それで、じゃあついでにとか、勝手に死んでく人たちのことを無惨に死ぬようにやったら戦争反対の表現なるかというと、その表現をした瞬間にオンエアが禁止される、公開が禁止されるって事も起こるから、それもしてはいけない。
そうなった時に、我々はそういう具体的な物事に対して正確な判断基準になる材料を持ててるのってなった時に、今の人たちは持ってないよね。
中村:それは難しいですよやっぱり。
富野:つまり東京大震災の時の、震災後の焼死体の写真でさえもクロ塗りになってるかフレームから切って掲載するようになってしまった時代には、我々はこれ以後と何て言うのかな、人の命を大事にしましょうって言うことをだけを言葉にしていて済むんだろうかっていうことは、そろそろ本当に考えなくちゃいけない時期が来てるんじゃないのかなとも思う。
だけども人権主義に関して、既に誰一人反対論を言えなくなってしまってるっていう。3~40年は経つので、本当に正直困ってます。
で困ってるからこそ、いやそういうものに反旗を翻すようなものを作れないのかなとも。
中村:作品でね。
富野:思うんだけれども、ということでいま本当に苦労してます。
富野監督が選ぶ曲、1曲目
中村:そんな富野監督がですね、好きな曲をかけようかなと思って。で2曲あるんですね、候補がね。
富野:あるんだけれども。
中村:最初に考えたのは何ですか。
富野:最初に考えたのは『ハイフン・スタッカート』(『Gレコ』劇中歌)で、自分の作詞した曲で、『Gレコ』でやった曲なんだけれども、とても好きなのよね。
中村:じゃあちょっと聞かせてもらいましょうかね。聞いてください。
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中村:知ってますよこれ。
アレンジとかも監督ちょっと意見するんですか。こういう風にしてくれないみたいな。これも菅野(祐悟)さんですよね。
富野:ぼくね、この歌詞カード渡して、何にも言わない。で、この曲が出来てくるのよ。すごいなって。
中村:トイレ関係で言えば、やっぱり『Gレコ』ですごいのはトイレですよね。コアファイターの中にトイレがあって。あれすごいです。
今までの巨大ロボットもので、ああいうのありました?
富野:一度やってるんですけども。
この前のラジオで、コアファイターのトイレに関して。
— 坂井哲也 (@sakaitetsu) August 27, 2020
中村さんが「今までの巨大ロボットもので、ああいうのありました?」に対して、富野監督は「一度やってるんですけども」って答えているけれど、これどの作品の・なんのシーンでしょうね?
中村:でもまさにそうですよね。
富野:で、何よりも菅野祐悟がすごいのは、あの歌詞カードを持ってきて、この曲層で作るっていうのは本当にね、脱帽ものなんてものじゃない。
中村:さっきのホルストのもそうですけど、宇宙、壮大とか、サイエンスフィクションって言い方が良いのか分かんないけれども、そういうものに絶対今まで使われなかった、東洋というかインドっぽいというかバリっぽいというか。
ただそのバリにしてもインドにしても、宇宙と直接つながっている…
富野:そういう説明を一切しないのに、菅野祐悟はそれやってくるのよ。
中村:そこでもうなんかピンと来ちゃうっていうか。『Gレコ』の地球サイズにしていくっていうか、ちょっと欧米なサイエンスフィクションの描写もあったけれども、インドも含めて、マントラ含めての宇宙観というか。
富野:ここまでパッとくるというそりゃ凄いよ。
中村:凄いですよね。俺はできないですよ。菅野さんで良かった(笑)。俺偉そうに言ってるけど。怒られちゃうなホントに(笑)。
『うれしはずかし朝帰り』から受けた衝撃
中村:もう1曲いきましょうか。もう1曲はこれですね。
(『うれしはずかし朝帰り』が流れる)
中村:突然言ったんでスタッフ慌てて、ウチの曲なんかアーカイブに入っていませんからね。慌ててSpotifyからとったんじゃないですか今。
(笑)。ホントに。
昔はレコード部屋に引き抜きに行ったんですけどね。今は簡単だから。仕事簡単だから。Spotifyで検索して出てきますから。これはドリカムの『うれしはずかし朝帰り』。これは何故ですか。
富野:要するに衝撃を受けたんですよね。
中村:これ実際にお聞きになったんですか。
富野:聞きました。
えっ、朝帰りの曲だろ。朝帰りをテーマにして、こうまで大々的に元気に歌っちゃうっていう、シンガーソングライターみたいなのが出てきたっていうのがまずね衝撃的だったわけ。
中村:当時の常識で言えば、朝帰りっていうのはちょっと秘めたるものでございます。
富野:そうそう。それとそういうロマンがないわけ。
中村:(笑)。ありますよ。ロマンあるけど、でもそうですね。すがすがしい朝です。
富野:これか、っていう時に、まさに時代の、世代間の断絶。
中村:切れ目が入っているんですね。
富野:っていうものものを感じて、こういう人たちが出てくるこれ以後の10年20年どうやって暮らしてこうか。
富野監督と秋元さん
中村:(笑)。なんですかそれ。悔しい悔しいで1時間話してきましたけれども。
もちろんね、ソーシャルディスタンス取りながら、監督の健康にも私自身もそうですけど。また是非、秋元(康、この番組のプロデューサー)さんにチャンス頂きましたんで、
富野:本当そういう意味ではご縁で(笑)、だって、秋元さんって人もぼくにとって妙な関係の人で。
中村:なんか番組では言えない話があるらしいですね。
富野:言えないじゃなくて、そうじゃない。
中村:そうじゃないそうじゃない(笑)。
富野:作詞をやってもらっているんだよね、変な曲のさ(ブログ主注・おそらく『アニメじゃない』のこと)。
中村:気が付きました。1時間やっていて気づきました。秋ボトっていうロボットがいるんだね、秋元さんの。
富野:はなから、はなから気付いています。
中村:ぼく全然気付かなかったです。なんか台本がでるのかと思った。違いましたね。
(笑)
中村:ひどいね。これで俺が仕切っているんだよっていうのを証明するわけだね。ひどい人だねホントに…
富野:そうそう(笑)
中村:ぜひまたチャンスがありましたら。
富野:本当に機会があればということで。ぼくにとっても本当に中村さんの切り口の考え方みたいなもの正直本当に勉強になるんで、ありがたいんですよね。ありがたいけどただ今から聞かされてもね間に合わないんだよねー
(笑)
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