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ラジオ番組「TOKYO SPEAKEASY」の富野監督×ドリカム中村正人さん対談文字起こし 1 [富野監督関係]




どうも。お久しぶりです。

8月21日午前1時から、TOKYO FMほかで放送されたラジオ番組「TOKYO SPEAKEASY」。

秋元康さんプロデュースの「生放送」番組で、出演が富野監督とドリカム中村さんでした。






そんなわけで文字起こしです。かなりラフです。ガバガバです。

約1時間番組と長いので、3回に分けて書きます。適宜・中見出しも付けました。

富野監督ファンも、ドリカムファンもラジオを思いだして。敬称略です。ではでは。



オープニング


中村:本当に結構飲んじゃいましたね。

富野:時間が時間ですからね。

中村:大丈夫ですかこの時間(午前1時~2時)で。

富野:この時間が一番飲みながらやっている頃ですね。仕事。

中村:作業している時はね。不思議ですよね。健康的に生活しないとと言って健康的になろうとするんだけれど、クリエイティブはやっぱり1時過ぎに調子出ちゃったりするんですよね。

富野:2時、まあ3時くらいまでが一番いい時間ですね。

中村:冴えますよね。一日中考えてて結論出なかったのが、1時あたりにパンパンパンパンって入ってきませんか。

富野:ぼくの場合もうちょっと違う部分があって、フェードインがダーってきて、そして2時くらいに一番酔えるようにしたいって飲み方をしてます。

中村:いやーでもきついですよね。今流れてなかったの? 今の話。残念でしたね。


仕事をする意味
 

中村:避けて通れないのがこの状況。どうしてました?

富野:結局、仕事をやるために生きてるわけじゃなくて、生きるために仕事やってるだけのことなのよ。
だからこういう作品が作りたいとかアニメは好きだからやってたんでしょうっていうのは嘘八百で、食ってくためなの。住宅ローンを返済するためだけなの。

中村:(笑)。

富野:それだけのことなの。
そしてそのモチベーションがなかったら、なんていうの、飽きもせずにアニメのコンテなんかやってられないよね、演出なんかやってられないよねって。上等な仕事じゃないんだからっていう風に、舐めてる日があったもの。
今度は逆に、舐めるんじゃなくって、あいつがやってるんだったら、あいつを黙らせてやるためにこういう風に作るみたいなことで、言ってしまえばその創作欲みたいなものを気が付いた時に、何が起こるかって言うと、自分に創作能力はないってことに気付くって地獄が起こるわけね。

中村:はいはい。聞いてましょ今日は。

富野:その繰り返しだったなって。


「殺してやる」発言の真意


中村:監督の殺してやる発言というのはその辺から始まったんですかね、やっぱり。

富野:あのね、殺してやるっていうのは。

中村:殺してやる発言(笑)。

富野:劇中でもそうなんだけれども、あの野郎叩き殺してやろうっていうぐらいに思い込んでいかないと、実を言うとフィクションは作れない。

中村:はい。

富野:で、その位やっぱり気合を入れなきゃいけないっていうことが分かってくるわけ。
で、元々能力がある作家と言われてる人はね、それをしないでね、どうもできるという才能を持ってる人。

中村:なるほど。今キュキュンときました。


『トリトン』の時にまずやったこと


富野:あと、そういう人は資料を読めるとか、過去にかなりの作品を読み込んでいるっていうデータがあるのね。

中村:うーん。

富野:ぼくに、やっぱりアニメの仕事を始めるまでそれが全くなかったんで、番組任された時に、ぼく一番始めに。

中村:アトムでしたっけ最初。

富野:違います。番組を任された、つまりシリーズの総監督をやった時。




中村:はいはいはい。

富野:一番始めにやったのは、(自身が)子どもに読ませるお話を一切知らない人間で。1番始めにやったのは児童文学の書き方っていう本を探してきて、それを読むことから始めたの。

中村:うわー。

富野:その時に本当に地獄だったわけ。それでまして、手塚先生の原作がありながら、この原作が使えないってことだけはわかるわかるわけ。

中村:(笑)。それはなんかで読んで、それはすげえなと思いましたけどね。

富野:原作を使えるようにするための能力っていうのが、ぼくにはない。だから児童文学の書き方から始めるっていう、3か月くらいっていうのは本当に辛かった。

中村:監督辛い時は、こもっちゃうんですか。それとも結構人に当たり散らすとか。

富野:違う違う。あの、こもる時間もないの。つまりその本を読み切らない限り、手塚様の原作を直すところに行けないわけよ。
その時シナリオライター5人ぐらい集まってくれて、じゃあどうするって言った時に、お前の方針だからこうするっていうのを嘘でも言うわけね。
嘘でも言いながら、これ違うんじゃなうのかなー、これやったらまたくだらない怪獣ものなっちゃうんだよねっていうことを言いながらシナリオライターに頼む。そうしたら今度シナリオライターの正体が分かってくるわけ。

中村:なるほど。

富野:あ、こいつはこの手の作品をやることに関してはプロだけども、つまり子どもに向けて作品を書くってことに関しては何も考えていない。スポンサーとテレビ局のことしか考えてないとかっていうことが分かってきたりするっていうものとの戦いだったの。

中村:逆に言うとそれらの職業の人たちも、やっぱり食うために。

富野:全くそう。

中村:監督も食うためにそれじゃダメと。


「食うための仕事」でも…


富野:だけど重要なことがあって、食うためにこういう仕事やるっていうことで、実を言うとこれをコツコツやってくと、修行になるかもしれない、勉強になるかもしれない。だからある時から分かったことがあるのは、お金を貰いながら、つまり貰いながら勉強ができるのはなんてありがたいことなんだろうっていう時期が数年ありましたね。

中村:多分今、そういう考え方の人はすごい少ないかもしれないですね。

富野:そのへんは、ぼくには分からない。

中村:でもチームの中にいっぱいいるでしょ。そこのイラストレーターとか、ぼくはセクションよく分かんないですけど、監督の周りにいっぱいいるんじゃないですか。

富野:いないいない。どうしていないかって言うと、ぼくの周りにはぼくと一緒に仕事やっていたような年代の人なわけよ。

中村:ああそうか。

富野:若くないの、もう。若くない人たちからの意見はこの10年くらい聞き続けているわけね。

中村:はいはい。


監督と同年代の人同士の会話


富野:そうすると、ぼくはもう今こういう風にしか仕事ができないからねっていうことを聞かされる。
それで暮らしてくの大変だよね、大変なんだけれども何よりも手が動かなくなって絵が描けないとかの話になっちゃうわけね。

中村:(笑)。目が見えないとかね。

富野:そうそうそう。病気が出てきたとかって話が先に出てくる。50過ぎてもね、この仕事やってられてありがたいねっていうとこにバンっていっちゃうから。
いわゆる創作の話なんかじゃなくなるのね。

中村:総監督のチームでさえそんなこと起きますか。

富野:もうこれはだって、60過ぎたらはっきりそっちしかないよ。

中村:(笑)。そうですか。

富野:そういう年齢に入ってるんだから。

中村:もちろんぼくも61、今年2ですからね。確かにレコーディングの現場にしてもそういう話ばっかりだから。


吉田美和さんの「業」


富野:だから現に、今度ドリカムだから、嫌でもドリカムのライブの映像見られるわけよ。



中村:嫌でも(苦笑)

富野:嫌でも見られるわけ。どうして嫌でもって言い方をするかというと、つい最近見ちゃったからなの。

中村:見ちゃったからね。

富野:美和さんがあの体でね、国立競技場でさ。これ50過ぎたらやめなきゃダメよね。

中村:過ぎてやっていますからね。

富野:そう。何故これが出来るんだろうっていうのも含めて考えるとね、実を言うと悪口になっちゃうのかもしれないけれども、「吉田美和」っていう業(ごう)がさせていることなんだろうなと。

中村:ああ…

富野:っていう所にいく。

中村:それは何ですかね、ぼくもやっぱり。話ちょっとぐっと戻っちゃうけど、その才能のある人って監督おっしゃって。
例えばぼくらも含めて、監督は才能の塊だと思っているけれど、(富野監督自身は、自己評価として)そうじゃない見方をするじゃないですか。

富野:はい。


「才能がある人」とは


中村:で、才能がある人って結構誰かに勝ちたいとか、殺すって思ってない人が多いですよね。なんか人と比べないっつーか。どうなんですか。

富野:あのね、そういう言われ方したことないから、本当ビックリするんだけど、本当に才能のある人ってそうでしょうね。
まさに唯我独尊なんだよお前はっていうことも含めて、
「え、唯我独尊ってなんなの。私自分ができることをこういう風に」とか、
「こういうこと好きだからやってるのよね」とか、
「こういう歌い方って素敵でしょ」とか、
「私が出てくると皆がこっちを見てくれるじゃない。だから皆さんに対して、私はこうよ、こうよ、こうよ」
っていうことしか考えてなくって。

中村:それが多分、吉田の業ということかもしれないですね。

富野:それで物が作れるんだったら、それはまさに才能っていうのはそういうもので、才能がないぼくみたいな人間がやる時はどうするかと言うと、あの野郎ぶっ殺してやろうかって思わない限り

中村:(笑)

富野:絶対にね、物語の発端さえ出てこないのよ。

中村:もうとにかく悔しいとか、誰かをやっつけてやるっていうモチベーションが物語の。

富野:全くそうです。そういうのが全くないところで、オマエ作れるものある? って言われたら、ぼく作りたいものないんだもの。(中篇に続く)



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