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TVアニメ『虚構推理』が面白過ぎる理由(ややネタバレあり) [アニメ周辺・時事]

 どうも。
 えー、ひと時お付き合いのほどを。

 自由時間とTVアニメの放送本数が釣り合わないので、積読ならぬ積アニメ状態が10数年以上続いているわけですが。

 そんな中、先日『虚構推理』を見始めました。
 原作小説を読んだこともなく、コミカライズ版にも触れたことなく、事前知識ゼロで。


虚構推理 (講談社タイガ)

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虚構推理(1) (月刊少年マガジンコミックス)

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  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/11/17
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基本設定からして惹かれる


 いやー、面白い。

 まず、後にヒロイン・岩永琴子自身が同じようなことを言っちゃうのですが、「この世に住みづらい・居場所のない」者同士が、バディになる基本設定が良い。
 ボニー&クライド、ブッチ&サンダンス、湧太と真魚……そんな前例を出すまでもなく、こういう組み合わせには無条件で「良い…」と降伏してしまいます。

 さらに、そこに幽霊や妖怪など、怪異を組み合わせた設定にも興味をそそられました。
 怪異×謎解きテイストって、たぶん先例がたくさんあると思うのですが、どうも1話を見る限り、作風的には本格推理っぽい。怪異×本格推理となると、これはどんな化学反応…いやドラマ反応? なんでも良いけれど、それを巻き起こすのか興味を持ちました。

 ちなみに1話目のラストで、男性主人公の桜川九郎が不死身であることが明かされ、「あ、これ人魚の肉食ったな!  湧太だ、湧太」と思ったのも、個人的にはちょっと興奮しました。まあ勿論、人魚の肉の伝説は昔からある伝承だけれども…


2話目でいきなり多重解決型ストーリー


 ぼくが・更におおっと思ったのは2話目、本格的な第1の事件である「ヌシの大蛇は聞いていた」を見た時でした(図書館の事件は「顔見せ」のようなものなのでノーカン)。

 この2話目「ヌシの大蛇は聞いていた」は。
 ある事件に関して、怪異の大蛇を納得させるため、ヒロインの岩永琴子が様々な推理を開陳するストーリーです。

 はじめは、この作品の最大の特長が分からなかったので。
 名探偵役を務める岩永琴子が、延々と披露した謎解きを自身で「この説はないですね」とあっさり否定した時は、「こんなに長く説明しておいて、違うのかい!」と思ってしまいました。

 しかし話が進むにつれ、「あ、これ多重解決型ミステリーだ。『毒入りチョコレート事件』だ」と興奮してきました。

 多重ミステリーは、hontoの説明から引用しましょう。



考えられる可能性のなかから、ただ一つの真実を導き出すのがミステリー小説。そのなかでも、複数の「真実に見える仮説」を提示するストーリーを多重解決型といいます。



 そして『毒入りチョコレート事件』はアントニイ・バークリーによる有名な推理小説です。


毒入りチョコレート事件【新版】 (創元推理文庫)

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  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2009/11/10
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 先ほどはhontoから引用したので、今度はAmazonから『毒入りチョコレート事件』の内容紹介を引用しましょう。


ロジャー・シェリンガムが創設した「犯罪研究会」の面々は、迷宮入り寸前の難事件に挑むことになった。被害者は、新製品という触れ込みのチョコレートを試食した夫妻。チョコレートには毒物が仕込まれており、夫は一命を取り留めたが、夫人は死亡する。だが、そのチョコレートは夫妻ではなく他人へ送られたものだった。会員たちは独自に調査を重ね、自慢の頭脳を駆使した推理を、一晩ずつ披露する――。誰がこの推理合戦に勝利するのか。本格ミステリ史上に燦然と輝く、傑作長編。



 『毒入りチョコレート事件』は有名な作品ですが、ぼくはミステリーマニアでもなんでもないので、読んだのは数年前。

 しかし
「事件はどのようにでも推理しうる」
「どの推理にも反論はなしうる」
そして、
「『真実』を明示しない」

 という、アンチミステリーと呼びたくなるような内容に、大きな衝撃を受けたものでした。

 そして『虚構推理』の2話目で行われていたことは、まさにそれでした。無事に事件解決と思いきや、最後にもう一捻りもあります。
 さすがに「真実」については岩永琴子が述べますが、実はそれですら推測でしかありません。

 2話目視聴時点で、ぼくはまだ『虚構推理』という作品のメインが分かっていませんでした。

 なので、
「視聴者はおそらくスカっとした解決を望んでいるだろうに(真実はいつもひとつ!)、『毒入りチョコレート事件』のような構造を・実質的な第1の事件に持ってくるとは、なんてチャレンジングな試みなんだ!」と感動しました。

 しかし見続けるにつれ、チャレンジではないことが分かりました。
 この2話目は、以後の・最終話まで続くであろう(まだ8話目までしか見ていないんです)本題の事件「鋼人七瀬編」への慣らしでした。

『毒入りチョコレート事件』では1つの部屋で行っていたことを、
『虚構推理』2話目「ヌシの大蛇は聞いていた」では怪異である大蛇相手に行っていたことを、

 3話目以降の「鋼人七瀬編」ではネットの声相手に行っていくことになるのです。


何十年も前に読んだ「超能力探偵」ネタを、TVアニメで実際に見ることになるとは


 『虚構推理』には『毒入りチョコレート事件』とも、そして普通のミステリーとも大きく違う特徴があります。

 それは、「犯人捜し・推理」がない点です(その意味では、ぼくが初見に感じた「本格推理」は間違えていた)。

 「怪異たちの知恵の神」である岩永琴子は、事件現場にいた怪異に聞いて、真実を即知ることができてしまうのです。
 ぼくはこのシーンを見た時、星さんか筒井さんか平井さんがエッセイに書いていた(忘れた)・一番短い推理小説、



超能力探偵「犯人はお前だ」


 を思い出しちゃったよ。
 同じような解決法を、実際にアニメで見ることになるとは(笑)。


別なテーマ性も帯び始める『虚構推理』


 さて3話目からの「鋼人七瀬編」では、「ネットの声」という不特定多数を相手に、嘘を承知で「真実を構築していく」という対決が始まります。

 ここで初めて、作品名『虚構推理』の真意も分かります。

 ダグラムだと「Not even justice, I want to get truth」ですが、『虚構推理』だとjusticeとtruthが逆のような…そして正義じゃなくて「それらしい真実」になるのかな。

 「鋼人七瀬編」は大蛇ではなく、ネットで意見する人たちが相手になるわけです。
 そこにアンチミステリーの枠を飛び越えて、現代性を孕む訳ですが、そこを云々言うのは趣味じゃないしツマラナイので、スルーします。

 岩永琴子が推論を出し、それをネットの人たちが反論していく構造は、(1人対多数という構造すらも)『毒入りチョコレート事件』と同じで、やはり『毒入りチョコレート事件』好きとしては興奮します。

 さらには『毒入りチョコレート事件』と違う点もあります。
 それは、「大人数が納得するストーリーを提示する」という行為は、実はミステリー作家のそれと全く同一です。

 ここにきて、「怪異によって真実はアッサリ判明する」作品である『虚構推理』は、アンチミステリーの枠さえ超えて、ミステリー作家のメタ小説的要素さえ帯びてくるでのです。

 『虚構推理』は、BS日テレでは今週が最終回ですが、huluやアマブラで配信されています。興味を持った方は、ぜひ見てみては?


 蛇足。
 岩永琴子のCV鬼頭さんなんだけれど、キンゲのアナ姫演じていた方と混同していた。鬼頭さんお2人いるのか……







虚構推理 岩永琴子 1/7スケール PVC製 塗装済み完成品フィギュア

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虚構推理短編集 岩永琴子の出現 (講談社タイガ)

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