押井監督・小黒さん・上坂さんによる『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』のコメンタリーを見て、例の定説は怪しいのでは? と。 [アニメ周辺・時事]
どうもどうも。えー、ひと時お付き合いのほどを。
録画しておいた、オーディオコメンタリー付き『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(シネフィルWOWOW放送)を見ました。
出演は押井監督、上坂すみれさん、小黒祐一郎さんの3人。
すみぺさんの「なんか長らくBlu-rayが出なかった幻のすごい面白い『うる星やつら』があるらしい」という・知ってか知らずかの先制ジャブから始まったコメンタリーは面白かったです。
内容の詳細は、視聴できた契約者のみの特権で書かないとして。
しかし出だしは良かった上坂さん、その後は不調目立ったなー。上坂さん好きなんだけれど(年は大きく違えど・誕生日が同じなだけで応援したくなる)。
「しのぶのパジャマは誰のものか」(これ、何回も見ているのに考えたことなかった…)といい、
「しのぶを見ている例の男」の正体といい、
陽炎の中を戦車同士がすれ違うシーンといい、
押井監督の言っていることを聞いてなかったり、少しピントのズレた反応だったり。
しのぶのパジャマに関しては、すみぺさんが「しのぶちゃんが来る時用にあったかもしれない」とか言うので、押井監督は「いやー……許嫁って設定が最初あったんだけどね」と答えてたな(笑)。
『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』のほかに、上坂さんと押井監督は同局で『空軍大戦略』『ミッドウェイ』のコメンタリーもしていて、それは普通に楽しめたのですが。この時は不調だったな。小黒さんいて良かった…
押井監督自身は、けっこうサービス満点に解説してくれた。
冒頭の戦車シーンでは、小黒さんが話を戻したけれど。
全編掘るところだらけの映画なのでね。
少なくともぼくは、正直戦車の話は別な機会に、と思ったので(笑)。
さて『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』好きなら、ラストについてある説を聞いたことがあると思います。
それは、本編では本来3階だった学校が(冒頭では2階)、4階になっていた。
夢から覚めたと思ったラストの世界でも、学校は3階のはずなのに・2階になっている。これは実は、まだ夢は続いているのだ…という解釈ですね。
ラストに夢邪気出てくるしね。まだ夢の世界をループしている……
解釈としては嫌いじゃないし、例え監督の意図とは違っても、その解釈は「アリ」だと思います。
そもそも感想や解釈って、「正解探し」じゃないしね。
で、その上で。この解釈の根拠の1つって、劇中でサクラによる「築60年。モルタル木造3階建ての時計塔校舎、いつから4階建てになったのかの」ですよね。
ところが今回のコメンタリーで、ここが白眉だとも言えるのですが。
小黒さんがこのシーンで、「サクラさんがもともと『木造モルタル3階建て』って言ってるのが間違いなんですね?」と念押ししてくれたんですよ。
でかい! これはでかい!
その質問に、押井監督は「もともと2階建てだったりするからさ」「(サクラは)一見冷静そうに見えるけれど、じつはやっぱり夢の中の登場人物として冷静な存在じゃないっていうかね」と答えています。
小黒さん、さらに「ふだん2階建てである校舎に対して、3階建てだっていっているのは夢の中に入っちゃっているからだ、という解釈でよろしいですね?」と念押ししています。
そこからは、TVシリーズでは適当で、2階になったり3階になったり、って話に(笑)。
ただこの会話で、少なくとも押井監督の中では、あのラストは現実に戻っているんじゃないのかな。2階が正解なんだからね。
そうなると、夢邪気が邪魔なんだけれど。
とにかく、(押井監督の中で)「2階が正解」と分かったのは大きかった。
さらに、今回のコメンタリーで、ラストについて押井監督は「シリーズ自体、この作品自体も終わらせようと思ってやった。だから鐘を鳴らした」(このコメントも小黒さんからの質問)とまで言っているのでね。
ただ今回のコメンタリーを踏まえると、作品を終らせようとしているのに、最後キスはさせないんだよね。ラムとあたるに。
押井監督は「キスさせたら(2人の関係は)終り」だと考えていて、だから「シリーズ自体、この作品自体も終わらせようと思った」のなら、最後キスさせりゃいいのに。「チューだけは避けた」。
ここらへん、もうちょっと説明してもらえれば…
校舎は2階に戻って正解。夢邪気は出てくる。キス=終りにはさせない。だからたぶん、俗に言う高橋留美子作品の「終りのない日常」に戻った、と考えるのが素直なのかな。そして完結を知らせる鐘がなった、と。
原作におけるラストシーン「今わの際に言ってやる」=終らないが、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』における「キスはしない2人」=終らない、なんじゃないかな。
某SF作家は、原作『うる星やつら』と『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の関係を、「軒を貸して母屋を取られる」と言ったけれど(笑)。
でも今回のコメンタリーを見てラストシーンを考えると、いや、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』って高橋留美子スピリットに沿っているなって気もしてきたよ。
今回のコメンタリー、これ見るためだけにシネフィルWOWOWと契約して良かった。
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録画しておいた、オーディオコメンタリー付き『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(シネフィルWOWOW放送)を見ました。
うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー [デジタルリマスター版] [Blu-ray]
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- 発売日: 2015/01/21
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出演は押井監督、上坂すみれさん、小黒祐一郎さんの3人。
すみぺさんの「なんか長らくBlu-rayが出なかった幻のすごい面白い『うる星やつら』があるらしい」という・知ってか知らずかの先制ジャブから始まったコメンタリーは面白かったです。
内容の詳細は、視聴できた契約者のみの特権で書かないとして。
しかし出だしは良かった上坂さん、その後は不調目立ったなー。上坂さん好きなんだけれど(年は大きく違えど・誕生日が同じなだけで応援したくなる)。
「しのぶのパジャマは誰のものか」(これ、何回も見ているのに考えたことなかった…)といい、
「しのぶを見ている例の男」の正体といい、
陽炎の中を戦車同士がすれ違うシーンといい、
押井監督の言っていることを聞いてなかったり、少しピントのズレた反応だったり。
しのぶのパジャマに関しては、すみぺさんが「しのぶちゃんが来る時用にあったかもしれない」とか言うので、押井監督は「いやー……許嫁って設定が最初あったんだけどね」と答えてたな(笑)。
『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』のほかに、上坂さんと押井監督は同局で『空軍大戦略』『ミッドウェイ』のコメンタリーもしていて、それは普通に楽しめたのですが。この時は不調だったな。小黒さんいて良かった…
押井監督自身は、けっこうサービス満点に解説してくれた。
冒頭の戦車シーンでは、小黒さんが話を戻したけれど。
全編掘るところだらけの映画なのでね。
少なくともぼくは、正直戦車の話は別な機会に、と思ったので(笑)。
さて『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』好きなら、ラストについてある説を聞いたことがあると思います。
それは、本編では本来3階だった学校が(冒頭では2階)、4階になっていた。
夢から覚めたと思ったラストの世界でも、学校は3階のはずなのに・2階になっている。これは実は、まだ夢は続いているのだ…という解釈ですね。
ラストに夢邪気出てくるしね。まだ夢の世界をループしている……
解釈としては嫌いじゃないし、例え監督の意図とは違っても、その解釈は「アリ」だと思います。
そもそも感想や解釈って、「正解探し」じゃないしね。
で、その上で。この解釈の根拠の1つって、劇中でサクラによる「築60年。モルタル木造3階建ての時計塔校舎、いつから4階建てになったのかの」ですよね。
ところが今回のコメンタリーで、ここが白眉だとも言えるのですが。
小黒さんがこのシーンで、「サクラさんがもともと『木造モルタル3階建て』って言ってるのが間違いなんですね?」と念押ししてくれたんですよ。
でかい! これはでかい!
その質問に、押井監督は「もともと2階建てだったりするからさ」「(サクラは)一見冷静そうに見えるけれど、じつはやっぱり夢の中の登場人物として冷静な存在じゃないっていうかね」と答えています。
小黒さん、さらに「ふだん2階建てである校舎に対して、3階建てだっていっているのは夢の中に入っちゃっているからだ、という解釈でよろしいですね?」と念押ししています。
そこからは、TVシリーズでは適当で、2階になったり3階になったり、って話に(笑)。
ただこの会話で、少なくとも押井監督の中では、あのラストは現実に戻っているんじゃないのかな。2階が正解なんだからね。
そうなると、夢邪気が邪魔なんだけれど。
とにかく、(押井監督の中で)「2階が正解」と分かったのは大きかった。
さらに、今回のコメンタリーで、ラストについて押井監督は「シリーズ自体、この作品自体も終わらせようと思ってやった。だから鐘を鳴らした」(このコメントも小黒さんからの質問)とまで言っているのでね。
ただ今回のコメンタリーを踏まえると、作品を終らせようとしているのに、最後キスはさせないんだよね。ラムとあたるに。
押井監督は「キスさせたら(2人の関係は)終り」だと考えていて、だから「シリーズ自体、この作品自体も終わらせようと思った」のなら、最後キスさせりゃいいのに。「チューだけは避けた」。
ここらへん、もうちょっと説明してもらえれば…
校舎は2階に戻って正解。夢邪気は出てくる。キス=終りにはさせない。だからたぶん、俗に言う高橋留美子作品の「終りのない日常」に戻った、と考えるのが素直なのかな。そして完結を知らせる鐘がなった、と。
原作におけるラストシーン「今わの際に言ってやる」=終らないが、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』における「キスはしない2人」=終らない、なんじゃないかな。
某SF作家は、原作『うる星やつら』と『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の関係を、「軒を貸して母屋を取られる」と言ったけれど(笑)。
でも今回のコメンタリーを見てラストシーンを考えると、いや、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』って高橋留美子スピリットに沿っているなって気もしてきたよ。
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高橋留美子の優しい世界―「めぞん一刻」考 あとがき小説「ビューティフル・ドリーマー」
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