ダンバインHD化に伴う富野監督×市川紗椰さん特別対談番組、一部文字起こし [富野監督関係]
9月2日にアニマックスで放送された、富野監督と市川紗椰さんの対談特別番組の、前半文字起こしです。
対談ちょっと・本編映像タップリの番組かなと思っていたのですが、予測は外れて対談タップリの内容でした。
ですので、はじめは全部文字起こしする気もあったのですが、疲れてしまいました。前半パートだけで2時間以上かかったから…誰に頼まれたわけでもないのに、もう嫌だ…
興味のある方は、アニマックスに加入するのが良いかと。5日(月曜)からは、アニマックスオンデマンドでこの対談の「完全版」が配信されるし(今回の文字起こし部分だけでも、おそらくカットされて話が完全に繋がらないところがある)。
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さて、では前半部分の文字起こしです。中見出しは、実際に画面テロップに出たものです。
すみません、疲れたので読み直していません。誤字脱字は勘弁してください。あと、よく市川さんの「うーん」って言葉を書いているけれども、コレは別に不満や異議のある言葉ではなくて相槌です。
市川「皆さんこんばんは。市川紗椰です。そして富野さんよろしくお願いします、はじめまして」
富野「こんばんは」
市川「今日は本当お忙しい中ありがとうございます」
富野「いえいえ、あの」
市川「はい」
富野「うん、今日市川さんに会えるんでとてもあのー、嬉しがって来ました。富野由悠季と申します」
市川「いえいえ。そんな恐縮です。そんなお気遣いいただきなく」
聖戦士ダンバインHDリマスター化
市川「先程あの、HDリマスターをご覧いただだいて、率直の感想からお聞きしてもいいですか」
富野「いえ、あのー…現場の人間はああいうもの見るのとても嫌です。してえーと、昔の16ミリの映写の性能」
市川「うんうん」
富野「と、今の性能が違うわけだから、」
市川「はい、ええ」
富野「あのー俗に言うデジタル技術も使われている部分があって、映写自体が」
市川「うんうん」
富野「フィルムの画像を言ってしまえば」
市川「はい」
富野「良くしちゃっている部分があると」
市川「うーんうん」
富野「汚い部分とか手抜きの部分がいっぱい見えてくるようになるので」
市川「ええ」
富野「もっとボケた画像でなければ困るんだよっていうのがホントのところ」
市川「あ、ちょっと粗っぽい感じを残した方がいいということ…」
富野「ところがそれがね、うかつなことが言えなくて、粗っぽく残すとどうなるかって言うと、ただ荒れるだけっていう問題があって」
市川「うんうん」
富野「むしろクリアに見せる方が今のデジタルっていうのが得意かもしれないという部分もあるし」
市川「はい」
富野「それからやはりその、画面の解像度によってなんて言うのかなァ…ボケてる部分が曖昧になっていいということもあるし、それからあのー、一生懸命考えてみなくちゃいけないという部分で、実を言うと視聴者の想像力を言ってしまえば刺激している部分があったりするんで」
市川「そうですよね」
富野「いいのが」
市川「はい」
富野「ここまで綺麗に見せられちゃうと、そのやっぱりあの、手直しをしたいところしか見えてこなくなるっていうのが」
市川「ほおー」
富野「ぼくなんかつまり作っている立場ですから」
市川「はいはい」
富野「だけど逆に言うと、今度は良いところもあって」
市川「うん勿論はい」
富野「あ、やはり当時のアニメーターとか当時の背景マンっていうのはこういうところでこういうふうに頑張ってっていうのが」
市川「うーん」
富野「も、やっぱり掘り起こして見えている部分があるから、どっちを取るかなという話ですね」
市川紗椰が語るダンバインの魅力
富野「教えてほしいんです」
市川「はい」
富野「どういうきっかけで」
市川「きっかけで」
富野「で、知るようになったのんですか」
市川「もともとですか?」
富野「うん」
市川「あのー私小学校中学校アメリカに住んでいたんですけれども、あのー、リアルタイムでガンダムウィングの放送が始まったんですよ。英語版で。それを見て、すごくハマって」
富野「うん」
市川「そこからもう、あらゆるロボものをもう漁るように見るようになって」
富野「だけど、アメリカに見る、どうやって見るんですか」
市川「あのー、まあ、日本に毎年」
富野「ああそうか」
市川「来ているのでその時に色々探して。その中の1つだったんですけど。結構自分の中でインパクトが大きくて。ダンバインが」
富野「ダンバインと出会ったのっていつくらいの時なわけ」
市川「えー中学の…1年とか2年くらい…」
富野「1年…でしょ。そうするとその頃の、女の子が」
市川「はい」
富野「ダンバインみたいな、っていうのでは」
市川「はい」
富野「どういう部分がなんて言うのかな、惹かれたっていうか好きになったっていうか、えっと思った?」
市川「あの、やっぱりその、最初、まあいろんなロボットものを見てた中でやっぱり異色じゃないですか」
富野「うん。はい」
市川「で、あの最初にまああの、その現代から異世界に」
富野「はい」
市川「行くっていうところがまず」
富野「うん」
市川「もう簡単にそのまま」
富野「うんうん勿論」
市川「つられて巻き込まれるんですけど、で、そのずっとあの…割と一番ハマったところが、そのー現実世界に地上に戻るところがものすごく自分の中で引っかかって…。あのずっと……なんだろ、一番異世界にいるのに見た作品の中で一番リアルに感じたんですよ。リアリティーが。悲惨さだったりとか、その1回その世界からリアルに行くからこそ結構グっときたのがあるんですよね。
こういうものって、あるかもしれないと思えるところが、結構好きでした。うん…中学生にとっては」
富野「いや、今それ、ふと思ったのはアメリカの文化圏?」
市川「うんうん」
富野「日本?」
市川「はい」
富野「日本という文化圏というのは、日本を地上だとしたらアメリカの方が」
市川「はい」
富野「バイストン・ウェルでしょ」
市川「ああ…まあ世界観としては。近いかもしれないですけど」
富野「文化圏の違い?」
市川「はい」
富野「が持ってる感覚論から出てくる言葉だな、っていうのは」
市川「ああ…」
富野「ちょっとあの感じましたし、国内しか知らなくってダンバインを見ていた子と、明らかに違う何か」
市川「ああでも」
富野「あったんだろうな」
市川「そこはもう1つの点が、あのー結構まあ、勿論アメリカとか西洋ファンタジーのものってやっぱりありふれてて」
富野「あああります」
市川「ダンバインもその中の1つなんですけど、聖戦士ってまあholy warriorですよね。そういう宗教観がどういうところにあるんだろうとか、そういう風に見ていたりとか、してたのも、あのー。でも意外と、あるようでないようなっていうところが割と私も面白かったんですけれどね」
富野「はいはい」
市川「どこらへん。そういうのって何かあったりするんですか…聖戦士っていういまだにちょっと気になるんですけど」
富野「日本人、つまりぼくはなんだかんだ言っててもやっぱり仏教圏の人間なんだと思っていた時に、仏教圏の人間から考えた時の聖戦士論っていうのは無い、無いに近いんですよ」
市川「はい」
富野「そして、じゃあその西洋ファンタジーでは聖戦士って考えた時になんなんだろうかなあって言った時に、ハリーポッターの世界…ああロード・オブ・リング(ママ)あたりなんですけども」
市川「はい」
富野「以後のところであれだけ聞こえてくれば」
市川「ああ…」
富野「少しは考えるんだけれども、じゃあそこでの聖戦士論っていうのをうかつに触ると、どこに行くかっていうと、結局まさにロード・オブ・リングのあそこにいっちゃって」
市川「はい」
富野「アーサー王は出てこないまでも、アーサー王に願掛け(感化? 聞き取れず)していった時に何が起こるかっていうと結局キリストの文化圏に対してズッって行くわけね」
市川「そうですね」
富野「それだけは絶対にしない」
市川「うんうん」
富野「その、holyとかなんなんだっていった時に、…ダンバインをやっている時に、この問題だけはあの意識してたから」
市川「ああ」
富野「考えるのをやめたのね」
市川「うんうんうん」
富野「だからその部分を突き進むっていう気はなかったし、あともう1つ。今度はあの…ぼくの年代の仏教徒ではないんだけども、仏教文化に浸っていた人間からうかつにその部分を触ってその、西洋ファンタジーに対して」
市川「うーん」
富野「失礼があっちゃいけないとも思ったので」
市川「ああ」
富野「触わらなかったっていう意識はあります」
市川「うーん」
富野「っていうのは、勉強もしてなくって」
市川「はい」
富野「そこには触るなっていう」
市川「うんうんうん」
富野「部分が、ホントにあったからです」
市川「はい」
富野「さらにだから、この歳になって最近ちょっとそういうことを知るようになってくると、やっぱりうかつに触ってなくて良かったなって。歯が立たない」
市川「勝手な中学生としては割とその、例えばそのショウが、ま、バイク」
富野「はい」
市川「とかで、それはもしかしたら死んだとして、死後の世界でっていうふうに見てた中で1回リアルに行くので、それで全部崩れたのが良かったんですよね。自分の中で。なんか割とそういう目で見れるんだけどそうじゃないってなると結局バイストン・ウェルって夢の世界ってところに戻って」
富野「はい」
市川「で、その夢の世界って誰もが持ってて『あるかも』っていうところが、割と刺さりました」
富野「不承不承やっている部分があったわけ」
市川「はい」
富野「で、不承不承やったから、部分があったんで、今市川さんが言ってくれた部分?」
市川「うんうん」
富野「そこまでは吹っ切れなかったのね」
市川「ああ、ああ、ああ」
富野「だからなんとなく、後半ああいう形になったんですよっていうのはやっぱり作業論の中でなんとなくやっただけのことである」
市川「うんうん。ネタ的に」
富野「あればあるほど、あのー聖戦士ってなんなの、地上にいた人が聖戦士、バイストン・ウェルにいた聖戦士ってなんなのっていうふうなちょっと曖昧なんですよねって。そりゃ曖昧だよって。作り手が何も考えてないんだからっていう」
市川「ああ、ああ」
富野「いう、言い方もしますし、しておきますし。それからあの今言った通り、じゃあこれから作り直せるかって言った時に、やはり、改めて」
市川「うん」
富野「今のキリスト文化圏の持っている問題ってのが分かってくると、そう簡単には触れない」
市川「でもやっぱり色んな要素があって、そういう例えば、しかもメタ的な作業所をそうしなきゃという制限があったからと、もともとのやっぱり富野さんの意思とかそれは全部合わせって出来たからこそ、たぶん私みたいな人が勝手に色んな考えが入れられるんですよね」
富野「うん、あのー、あの、勿論そうだと思います。だから」
市川「余地ができるというか」
富野「地上界と、バイストン・ウェルっていう、うーん、ホント海と陸の間にある」
市川「うんうん、はい」
富野「ええ、うまい設定だよねと(笑)」
市川「うんうん(笑)」
富野「思っていると、やっぱりその部分だけ、以上のことはしないようにするっていうことで、言ってしまえば、ダンバインやっている頃ならロード・オブ・ザ・リングっていう日本語がなくて、」
市川「はい。うんうん」
富野「日本語がなくて、指輪物語なんていう」
市川「指輪物語。はい」
富野「指輪物語をそのまま持ってくるようなことはとにかく、とにかく排除する」
市川「はい。あ、でもやっぱりそういう、作る、あのバイストン・ウェルの世界観を作られる時にやっぱり意識とかあったんですか」
富野「それはもう、うかつに読むと」
市川「うん」
富野「コピーが始まる」
市川「うんうん」
富野「だから、それはもう」
市川「あ、はい」
富野「それはね、かなり必死です」
市川「うんうん」
富野「だけれども、実を言うと、こちらの方が本物なんだから、読めばいただけるものがあるんだろうなと思う」
市川「うーん」
富野「ホントに思うんです」
市川「はい」
富野「けども作り始めたらそれは絶対にしません」
以上です。
※関連記事 市川紗椰さんがTV番組で「ラストが衝撃せつな過ぎるアニメ」として『ザンボット3』と『イデオン』を紹介
※追加。
こちらのブログさんが、全て文字起こしなさいました。ぼくのように泣き言も書かず、熱意のある方は違いますね。
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