TVアニメにおけるクレジット順~『神のみぞ知るセカイ 女神篇』最終回から [アニメ周辺・時事]
もう随分と、旧聞に属する話ですが。
本当は放映直後に書こうと思っていたのに、今調べたら昨年の9月28日か…また時間泥棒が現れやがった。
『神のみぞ知るセカイ 女神篇』の最終回ですよ。
まあ、おじさんとしてはあんまり使いたくない言葉ですけれど、それでもラクチンだから安易に使用しちゃうと、神回でしたよね。
話も良し、それまでイマイチだったライブシーンも良し、歌も良し。
ちひろちゃんの「(女神の姿が)私には見えないや」、からのライブ中のワンシーンには本当にヤラレタ! と思ったし。
『初めて恋をした記憶』、東山さんVerもアスミスVerも購入してしまった。
バンドメンバーの中で、唯一ヒロインではない女の子のテキトーなキャラデザも絶妙だったのですが。
あと演技も・特に今回のメインヒロインだった阿澄さんが素晴らしく。
中でも、主人公に「ちひろ(阿澄さんが演じているキャラ)は、関係ない」と言われた後の
「あー良かった。これでまだ関係あったらサイアクだし」は、本当に絶品でした。直後の「それじゃ」も。ご馳走様でした。
セリフと裏腹の心情を、こうも豊かに表現するか、と感動しました。
声優は素人でもできる、俺のところにも依頼がくるくらいだから、とか言っていた人いなかったっけ? 黙れ。
おとなしく得意の金儲けしてろ。
で、この回で最後まで感動できたのが、キャストのクレジット順だったんですよ。
実写映画では俳優の格が上から順に、トップ、トメ(最後)、中トメ(真ん中に単独)に名前がクレジットされるのですが(役の大きさも無関係ではない)。
俳優さんは見栄えが大事な商売ですから、このクレジット順をすごく気にするらしいんですね。
例えば、こちらのサイトには、実際のスタッフの裏話・苦労話が書かれております。
左幸子さんと西村晃さんの争いは分かりますが、キャリアが全く違うキンキンと郁恵ちゃんでも綱引きがあるとはね!
洋画で有名なのは、『ローマの休日』で本来は単独クレジットだったグレゴリー・ペックが、オードリーの素質に気付いて並列表記にさせた、って逸話もありますが。
なんと言っても2大スターがW主演した『タワーリング・インフェルノ』ですよね。
スティーブ・マックイーンとポール・ニューマン、どちらもスーパスター。さてスタッフは悩んだ結果。
左と右では、左表記の方が格上。左にはスティーブ・マックイーンの名前を記載。
上と下では、上表記の方が格上。上にはポール・ニューマンの名前を記載。
大岡裁きで、どちらの顔もたてました。この表記は、ビデオ、DVD、そして現在のBlu-rayにも継承されています。
ほら。
ただ、このクレジット順って、日本のTVアニメの世界ではあまり重視されていないように思うんですよね。
そこからも、同じ俳優業界でも「声優界」って特殊なんじゃなかろうか、と考えるわけですが。
最近のアニメだと、『ダンガンロンパ』は大山のぶ代さんの名前がトップだったり、トメだったこともあったような気がしたけれど(ここは記憶あやふや)。
一番あるパターンは、たぶん・単純に「重要な役順」ではないでしょうか。ただし、1行あけて敵の重要なキャラ名が頭にくることは多い。「トメはないけど中トメはある」って感じですね。
あと、ナレーションの方が最後に来る作品もある。
『ガンダム』や『ちびまる子ちゃん』がそうだよね。ん? もう何年も見ていないけれど、『ちびまる子ちゃん』はキートン山田さんの名前が最後だったよな?
どちらにしろ、トップ、トメ、中トメを意識しているアニメのEDって、ほとんどないと思う。
トップと、中トメ。それもおそらく・役者(声優)の格ではなく、役の重要性で決まる。
拙ブログを読んでいただいている方なら分かるだろうけれど、レアパターンが『Zガンダム』ですよね。「え、これはカミーユの物語じゃなくてシャアの話なの?」となる訳です。
アニメ・実写に関わらず、芸暦にどれだけ差があろうと、主人公がトップじゃないクレジットは珍しいと思います。
まあ素直に、富野の中では「シャアの物語」だったのかな…
今、ぼくのHDに残っている現在放映中のアニメで確認してみよう。
『ご注文はうさぎですか?』は、トメの部分に速水奨さんがクレジットされていました。
ただこれは、役の順に並べていっただけ、だと思います。その1つ上が、速水さんより先輩の清川元夢さんですからね。役で考えても、どちらかと言えば清川さんのティッピーの方が重要だと思うし、登場シーンも多いし。
『ノブナガ・ザ・フール』『魔法科高校の劣等生』『ノーゲーム・ノーライフ』『棺姫のチャイカ』は従来のアニメ通り。
それで、話は『神のみぞ知るセカイ 女神篇』の最終回に戻ります。
ぼくは「色んなヒロインが出たけれども、最後数話はちひろ=アスミスが主役だったから、主人公の次に名前がくるかな」と思っていました。
TV画面では最後のライブシーンがスタートし、同時にクレジットが流れ始めます。
最初に主人公=下野さん。
しかし次はレギュラーのエルシィ=伊藤かな恵さん、ハクア=早見沙織さんでした。
ぼく「そうかそうか。レギュラー陣が先か。じゃあ、この次にアスミスだな」と考え直します。
物語上で、完全にちひろに肩入れしているので、アスミスのクレジット順だけが気になっていました。
しかし、次に名前が出てきたのは名塚さんや東山さんなどの「6人の女神」。
ぼく「あー、今回は『女神篇』だから、女神役の声優さん達が先かあ」。
ところがその後、脇役の方達の名前が続きます。モブの声優さんの名前も出て。
えっ阿澄さんは? と思ったところ、最後に…
画面左に、上に、そして単独表記で、堂々のトメに!
小阪ちひろ 阿澄佳奈
と表記されたんですよ。
それを見た瞬間に、この最終回はラストまでビシッと決まった、という感覚がぼくを包み。
TVアニメを通り越して、劇場版クラスのアニメを見たかのような。
本当に最後の最後まで、楽しませてくれたな、と。満足感に浸りましたね。
たかだか(と言うのもなんだが)キャスト表記で、ここまで「やってくれた! ありがとう」と思ったのは初めて。
別にTVアニメが、映画の真似してトップ、トメ、中トメを意識することはない、とも思うけれど。
実際『神のみ』最終回でも、中トメは無かったしね。キャリアは同じくらいでしょうから、東山さん(かのん)か竹達さん(歩美)が中トメでも良かったはずですが。
でもやっぱり、「ここぞ」って回では、トップ、トメ、中トメを意識したクレジットにすると、作品の最後まで締まった感じになるのかな、なんて。
『神のみぞ知るセカイ 女神篇』最終回は、クレジットでも痺れました。
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