音楽も絵も信じないのなら、富野は何を信じて物語を作るのか。 [富野監督関係]
えー、今晩は。
まあこのブログでね、たまーに「友達がいない」って書くけれど。
学生時代、別にぼっちって訳じゃなかったんですよ。
男子に限定して正確に書くと、「クラスのほとんどの人とそれなりに仲が良くて、そして誰とも親友じゃない」。
分かって貰えますかね。
さて、そんな6・7番手のぼくが、今回お送りする記事は。
あるいはツイッターで、ある人が書いた記事に対して「ガセネタを元にしたとかじゃなくて、あんな題材を選んだ時点で面白い記事になりようがない」とけなしたおかげで・テメエへのハードルが無闇に上がってしまったぼくが書く記事は。
えーとまずですね。
kaito2198さんがまとめた、ヤマカンさんの富野関連発言。
この中の、
このヒトって惜しい守同様、「画」にも「言葉」にも頼る事の出来ない宙ぶらりんな放浪者なのだなぁ
って発言を読んでいて、「アレ確か以前にも、誰かが富野は○○の力を信じていない、って言ってなかったっけ?」と思いまして。調べました。
あった。菅野さんだ。このインタビュー。
菅野さんは
音楽の力をまったく信じてない。多分、自分の言葉しか信じてない、全部台詞で言っちゃう。最初は「あ゛ぁ~! 」って感じでしたけど、「音楽も絵も信じてない人なんだ」って分かってからは大丈夫でした(笑)。
と言っている。
菅野さんは「(自分の)言葉しか信じていない」と指摘しているけれど、ヤマカンさんは「言葉にも頼る事の出来ない」と書いている。
これはどちらが正しいんでしょうね。
まあ押井さんに関しては、あの冗長に過ぎる台詞が、逆に言葉への不信感を浮き彫りにしていると指摘できるかもしれない。
富野は…どうだろうね。
会話になってない会話とか(「イエスだね!」)から、まあ時折「言葉も信じてない・頼ってないんだな」と思わないこともないけれど。
絵については、諦観がある、間違いなく。
これは富野の理想が高すぎる、とも指摘できるだろうね。
例えばこの前ぼくが文字を起こした「NHKラジオ 渋谷アニメランド」出演時にも、「宇宙を描くということは、諦めてます」と言ってるけれど。
コレなんかまさに、富野の目標が高いからだよね。
またそれとは別な理由で、「絵への信頼感の無さ」を、ヤマカンさんは同業者として感じているんだろう。
じゃあ、菅野さん・ヤマカンさんの指摘が正しいとして、富野は何を拠り所にしてアニメを作っているんだ?
音楽も言葉も絵も信じていない富野は、何を信じて作品を作っているんだろう。
まさか何も信じずに、何十年間も作品を発表し続けられないよね。
その答えは十人十色になるだろうけれど、ぼくは「富野は、物語の力を信じているんだろう」と答える。
おっ。なんか青臭いね。照れるね。
勿論、菅野さんやヤマカンさんの論に異を唱えることだってできる。
サントラのライナーに寄せられている富野の様々な文章から、音楽の力をすごく認めている箇所を提示するのは容易な作業だろうし、絵の力を肯定しているインタビューだって見つけられるだろう。
でも、富野は作曲できないし、絵だって「趣味は素描」でも周りにプロが沢山いるんだから、本職にはかなわない。自分が出来ないものを、創作する上で信じることは出来ない。
富野が信じているものは「物語」であり、目指しているものは多くの人に伝わる「物語の構築」なんだろう。
ここでいくつか、インタビューから引用しよう。
そう、音楽や絵については引用しないで、自説を証明する時にこそ富野の発言を引用するッ! 卑怯じゃない、これが作文テクニックなんです。
では、例えば。
まずは「ひびのたわごと」さんが紹介している、こちら。
ティーンエイジャー世代も引き込める物語性を持たせたことで、現在のアニメの基盤にもなっていると思います。名場面?ファンのみなさんはいろいろと言ってくださるけど、僕にとってはすべてが名場面ですね。
(中略)
ビジュアル的にCGアニメのような細やかさがあるわけではないのですが、劇中のキャラクターたちは本当に生き生きとしているんですね。ディティールではなく、物語の”肝”をしっかりと描くことが、それを実現させているんです。
次いでWEB R25の記事。
必要なのは機械としてのカメラの知識よりも「どういう物語を作るのかが大事と知った」。
まだ上げられますが、だらだら長くなるのもアレなので最後に。
最近のインタビューですね。手塚に関する話です。産経。
外注で『古くていい仕事』を見ることができたのは大きかった。『物語がしっかりしていれば動かなくてもいい』と思う一方で、同じ漫画絵を動かすにしても、これだけ幅があると知った。
絵の動きと、物語の重要性を認識したって話です。
ちなみに。
前にも書いたのですが、このインタビューで富野は次のように言っています。
「手塚先生の本性は漫画家でもアニメ制作者でもなく、物語作家」
これは、富野にも当てはまる評だと思うのですが、皆さんいかがですか。
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