SSブログ

【アニメ版】昭和は遠くなって [アニメ周辺・時事]

 さて、今回はオッサンのノスタルジーであり、同年代の方には「そうだよなあ」としみじみしていただき、若人には「オッサンそんな訳・あっはっはっ」と笑っていただければ幸いです。

 もっとも、「今期のアニメは」という言い方・区切り方・期間が当たり前となった今、ぼくの感じている隔世感がどこまで通じるか、不安でもあります。

 つまり、そういう話です。

 「隔世感」などと言っても、たかだか15年ほど前のこと。
 アニメ系のムックで『マジンガーZ』を紹介する記事があった。

 その中で『マジンガーZ』のジェットスクランター装着・あ、知らない人向けにジェットスクランダーの説明書いておいた方がいい? 空飛ぶ翼。で、それを紹介する記事で、次のような記述があった。元本が手元にないから、うろ覚えの記憶だけど。


 空飛ぶ機械獣に苦戦するマジンガーZを見て、「マジンガーも空を飛べたら」とずっと思っていた。何週にも渡って、じらされていた。


 こういった内容だった。ぼくはこの1文を読んで、「そうかもしれないなあ」と素直に思った。

 wikiで調べてみると、ジェットスクランダー登場は34話。

 ぼくは『マジンガーZ』世代ではないから(『マジンガーZ』はぼくより更に上の世代の作品)想像するだけだが、その焦燥と・満たされた時の喜びは理解できる気がしました。

 一言で言えば、贅沢なんです。

 しかして、時が経ち。

 今では絶対的ブランドの『ガンダム』など少数の例外を除き、「1年間放送のオリジナルロボットアニメ」なんて存在しなくなってしまいました。

 日本動画協会のデータによれば、2010年に放送開始したTVアニメ全135件のうち「1年間以上放送しているアニメ」(名称変更してシリーズ化している作品含む、例・『プリキュア』みたいな)を書き出して見ると。

 『ハートキャッチプリキュア!』
 『爆丸バトルブローラーズニューヴェストロイア』
 『ジュエルペット てぃんくる☆』
 『メジャー』
 『デュエル・マスターズ クロスショック』
 『しまじろう ヘソカ』
 『デジモンクロスウォーズ』
 『バトルスピリッツ ブレイヴ』
 『ポケットモンスター ベストウィッシュ』

 の全8件。ものの見事に子ども向け、しかも実質的には「続きもの」がほとんどである。プリキュアとかポケモンとか。
 
 以前からの継続放送作品は60件もあるが、これはどのような作品かと言えば、まずは『ドラえもん』『サザエさん』のような国民的アニメであり、そして『名探偵コナン』『ワンピース』のようなメジャー少年誌に連載している漫画を原作に持つ作品である。
 あるいは子ども向け。
 ハイティーン以上向けの、オリジナルアニメが入る要素はない。

 今のアニメシーンにおいて、オリジナルアニメ、または(知名度が)強力原作ではないアニメを作る場合には、失敗しても怪我が浅くて済むよう1クールか2クールで作品を作って、人気が出れば2期、という流れが主流でしょう。

 昭和脳のぼくが、この事実を今更ながら強く認識したのは他ならぬ、先月の「富野新作」の噂が出た時だった。

 現在の状況で富野による、「ガンダムの新作」はあり得ない。
 だからぼくがこの時予想した富野新作は、「最低で小説、最高はオリジナル非ロボットアニメを1年間」と考えていた。

 ま、結果はぼくの考えていた「最低」より、もっと下だった訳ですが。

 思えば、サンライズが近年、オリジナルで最も力を入れていたっぽい『コードギアス反逆のルルーシュ』すら全25話。続編入れたら1年になるけど。

 サンライズに限らず、近年話題になったアニメは全部――『マクロスF』も『けいおん!』も『まどマギ』も、全て1~2クール。

 「オリジナルで1年間放送」なんて、今や昭和時代の幻想だった。

 そして。これから先、少なくとも5年間は、大人向けのガンダム新作はないだろう。UCとオリジンがあるから(『EVOLVE』のような単発ならあるかも)。

 この先製作されるガンダムは、『AGE』で掘り起こした新規ファンのフォロー、あるいはもう1度若年層の開拓、大穴で腐女子向け作品、いずれにせよ富野の出番はない。

 そして、オリジナル・しかもロボットものとなれば尚更、1年間放送など有り得ない。昭和の一時期のように、1年間毎週、富野アニメを楽しむような贅沢は、もう出来ないだろう。

 別に良い・悪いではない。ただ、昭和は遥か過去なのだった。


 うーん。遠くまで来た。



 明日も更新します。珍しく、連日更新です。


 

富野を知るにはこれを買え


 もしよろしければ、下のブログ村のバナーをクリックしてください。作者のモチベーションがあがったります。
にほんブログ村 アニメブログへ ツイッターはこちら

昭和が遠くなって―本音を申せば〈3〉 (文春文庫)

昭和が遠くなって―本音を申せば〈3〉 (文春文庫)

  • 作者: 小林 信彦
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/07/09
  • メディア: 文庫
ガンダム パーフェクトファイル 2011年 10/4・11合併号 [雑誌]

ガンダム パーフェクトファイル 2011年 10/4・11合併号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: デアゴスティーニ・ジャパン
  • 発売日: 2011/09/20
  • メディア: 雑誌
ガンダム パーフェクトファイル 2011年 10/18号 [分冊百科]

ガンダム パーフェクトファイル 2011年 10/18号 [分冊百科]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: デアゴスティーニ・ジャパン
  • 発売日: 2011/10/04
  • メディア: 雑誌
ガンダムが教えてくれたこと 一年戦争に学ぶ“勝ち残る組織”のつくり方

ガンダムが教えてくれたこと 一年戦争に学ぶ“勝ち残る組織”のつくり方

  • 作者: 鈴木 博毅
  • 出版社/メーカー: 日本実業出版社
  • 発売日: 2011/03/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
MG 1/100 RX-0 フルアーマーユニコーンガンダム Ver.ka (機動戦士ガンダムUC)

MG 1/100 RX-0 フルアーマーユニコーンガンダム Ver.ka (機動戦士ガンダムUC)

  • 出版社/メーカー: バンダイ
  • メディア: おもちゃ&ホビー
RG 1/144 RX-78-2 ガンダム (機動戦士ガンダム)

RG 1/144 RX-78-2 ガンダム (機動戦士ガンダム)

  • 出版社/メーカー: バンダイ
  • メディア: おもちゃ&ホビー

nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

nice! 0

コメント 2

KAITO2198

いつもお世話になっております。
うーん、坂井さんの分析はごもっともだと思いますが、一応自分の知った範囲の話では、富野監督の新作に対して、サンライズはやはりやろうとすれば(あくまで「やろうとすれば」の話)、今回のAGEみたいに子供向けの方向に仕上げたい意向だそうです。だから富野ガンダムはまったく見込みがないという話ですが、今回のAGEの挑みは成功か失敗にもよるのですが、2013年か14年での富野Gテレビシリーズもまったく不可能じゃない…という話も一応成り立てると思います。
by KAITO2198 (2011-10-11 00:04) 

坂井哲也

KAITO2198さん、コメントありがとうございます。

サンライズは子ども向けを考えているんですか。大人向けタイトルは埋まっているので、「ガンダムで」と考えると、そうなるんでしょうね。私は、富野に「子ども向けアニメ」のイメージがあまりないので、少し意外です。まあ例えば『Vガン』は多分、子どもをメイン視聴者に想定して作ったのでしょうが…

ファンとしては、子ども向けでも何でもいいので、見れたらいいです。実は私は、もうほとんど諦めていますが…
by 坂井哲也 (2011-10-11 23:06) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0