私とドラッカー「富野由悠季」文字起こし [富野監督関係]
今日は「『家族』の視点から見る富野作品」は一休み。
ずっと前に放送予定で、しかしなぜか未放映のまま過ぎてしまっていたNHK「私とドラッカー」富野回が、昨日放送されました。
放送前は、もっと「もしドラ!」~アニメでわかるドラッカーの「ほぼ再放送」だろうと予想していた人が多かったかと思いますが・ぼくもそうだった・しかし開けてビックリ玉手箱、ほぼ未放映部分でした。
では、文字起こしです。
いや、普段はこのブログに来ないのに、この文字起こし目的で今回だけ来た人に見せるのはなんか口惜しいな。
いっつも通り、長いムダ話でもしてやるか。
嫌われるか。
ちっ。では、どうぞ。
ナレーションも含めた完全版です。
ナレーター女 今回のゲストはこのビルの中にいるわ。
ナレーター男 あ、誰だろう。
ナレーター女 それは、この方。
ナレーター男 ま、まさか。
ナレーター女 機動戦士ガンダム、の生みの親、総監督の富野由悠季さんよ。
ナレーター女 ドラッカーと富野さんとの出会いは、割と最近のことなんですって。最初に読んだドラッカーは、組織経営とは関係のない本だったの。
ナレーター男 組織経営じゃなかったら、いったい何の本だったの?
富野 あのーぼくはえーと、経済のことには全く興味がないし、なによりもそういうことが分からない人間なので、入り方が全然違うんです。ですから一番初めに読んだのが、ドラッカーの処女論文であるその『経済人の終わり』っていう本を読みました。えーと全体主義のことを書いているということを見つけて、読まざるをえなかったから、読んだわけです。
ナレーター男 ぜ、全体主義?
ナレーター女 簡単に言うと、個人は全て全体のためにあるとする考え方のことね。有名な例は、第二次世界大戦前にドイツに現れたナチズム。実はドラッカーが初めて発表したのは、この全体主義に関する本だったの。
富野 えーと、ドラッカーっていうのはえーと、学生時代からナチスドイツが勃興していくドイツというのを見て、それでアメリカに亡命しちゃって、ナチ政権がまだこれからいくぞっていう時に書いたのが『経済人の終わり』っていう本なんです。
富野 えー、政治状況とか経済との兼ね合いの中での権力のあり方みたいな構造論が、えーと全体主義に入るプロセスで書いてあるわけです。まだえーと第二次大戦、えー、が始まって・ない、前です。前に、これは絶対に危険だぞ、で、国家をも揺るがすようなことをやっているんだ、ところがナチスドイツだけ見ていると、国家が隆盛しているように見えるんです。そういう風に書いています。
ナレーター女 ドラッカーはこの本の中で、全体主義がどうなっていくかを見事に言い当てたの。
富野 あのー、『経済人の終わり』っていうのは、本当にぼくにとっては隅から隅まで教科書、になった。
富野 ですが、あれなぜこの人がその経済の指南書と言われているようなものを書いたのかというのが分からなかったので、『マネジメント』をざっと読んでみて、ああドラッカーっていう人はその、戦後の世界、世界です、世界がドイツとかイタリアのような全体主義の国家にならない、でこの国家というのは別の言い方をしますと組織です、組織にしないためにえー、それぞれの人々が何をしなければいけないか、ということを書いたのが『マネジメント』って本なんだろうというふうに理解しました。
富野 ぼくは『マネジメント』の中で一番大事な、えードラッカーが言っているだろうって単語は、「それぞれの人の責任」なんです。責任を持って目の前の物事に対処するということを積み上げていくと、あの、すごく乱暴な言い方をします、全体主義にはならないだろう、っていうのがぼくにとっての『マネジメント』って本です。
ナレーター男 色んな読み方があるんだなあ。
ナレーター女 富野さんにとって『マネジメント』は、人類の悲劇を繰り返さないためのマニュアルなのね。もしドラ、残すはいよいよ最終回!
富野を知るにはこれを買え
もしよろしければ、下のブログ村のバナーをクリックしてください。作者のモチベーションがあがったります。
ツイッターはこちら。
日本とドイツ 二つの全体主義 「戦前思想」を書く (光文社新書)
- 作者: 仲正 昌樹
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/07/14
- メディア: 新書
スターリンとヒットラーの軛のもとで―二つの全体主義 (自伝文庫)
- 作者: マルガレーテ ブーバー=ノイマン
- 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
- 発売日: 2008/07
- メディア: 単行本
見れませんので、とてもありがたいです。
富野さん一人だけマネジメント以外の本を話すくらいだったら、最終回に引っ張るべきだったな。
by KAITO2198 (2011-05-10 16:29)
KAITO2198 さん、コメントありがとうございます。
お役に立てたなら、幸いです。
ラストはやはり、もしドラ原作者ってことで…
by 坂井哲也 (2011-05-11 09:00)