ロボットアニメのタイトルパターン 2 [アニメ周辺・時事]
前回からの続きです。
前回を要約すると、ロボットアニメのタイトルはいくつかのパターンに分類できます。
「フォーマット1」は「Aパート+Bパート」で構成されており、Aパートはロボット名(Bパート)の説明語として存在しています。
(例・超電磁ロボ(の)コンバトラーV、UFOロボ(の)グレンタイザー)
「フォーマット2」は「Bパートのみ」のパターン。
(例・マジンガーZ、ゲッターロボ)
あっ。たった数行ですんだ。前回あんなに書いたのに?
さて前回はフォーマット2まで説明しましたが、今回は残りのパターン、フォーマット3と4についても説明します。
フォーマット3が、やがて主流になります。このパターンのはしりは、例えば『大空魔竜ガイキング』や『太陽の牙ダグラム』です。
富野作品では『聖戦士ダンバイン』が「フォーマット3」にあてはまります。
このパターンは、ぱっと見の構造は「フォーマット1」と同じくAパート+Bパートでできていますが、Aパートの働きが全く違います。
AパートはBパートを修飾していないからです。
A・Bパートはそれぞれ独立した名詞として存在します。AパートはBパートに依存していません。
Aパートに入るのは、主役のロボットとは違う別の名詞です。固有名詞が多いですが、「聖戦士」は一般名詞ですかね。
上記の例で言えば、大空魔竜は母艦、太陽の牙は主人公が所属しているゲリラの部隊名、聖戦士は何? 属性?
ともかく「フォーマット3」ではAパート部分に、その作品を象徴するような名詞が入ります。
ちなみダグラムのようにAパートを「部隊名」にするというのは、ロボットアニメより、SFアニメや昔の子ども向け実写番組のネーミングで見られるパターンです。
『秘密戦隊ゴレンジャー』『科学忍者隊ガッチャマン』などです。
最後のパターン、「フォーマット4」は「フォーマット3」の発展形です。
「フォーマット4」は「Aパート+Bパート」という構成は同じですが、AパートがBパートの説明ではなく、また固有名詞でもなく、強いて言うなら「作品イメージ」です。
例をあげると『機構界ガリアン』『超時空世紀オーガス』、J9シリーズ(旋風・烈風・疾風!)、そして『新世紀エヴァンゲリオン』です。
80年代に入ると、フォーマット1より3・4のパターンの作品名が出てきます。
野心的な作品タイトルを例に、時代を追っていきましょう。
まず81年、画期的な作品名が生まれます。『戦国魔神ゴーショーグン』。
これは、スゴイですよねー。
パターン的には「フォーマット4」にバッチリ当てはまりますが、問題は「戦国魔神」のイメージが作品中に全くないことです。
舞台は戦国じゃないし、魔神に至ってはもう何を指すのか。
この作品からロボットアニメタイトルのバリエーションが一気に広がった、とぼくは思っています。
翌82年には、『超時空要塞マクロス』が登場します。
この作品タイトルは、実は「フォーマット2」に当てはまります。
超時空要塞(Aパート)(の)マクロス(Bパート)です。
しかし、これも画期的ですね。
なぜならマクロスは母艦であって、主役メカではないからです。
ガンダムに変換すれば「強襲揚陸艦ホワイトベース」みたいなタイトルです。Bパートに主役メカの名前が入っていないのは、恐らくマクロスが初めてではないでしょうか。
マクロスと同じようなパターンのタイトルには、『機甲創世記モスピーダ』があります。
モスピーダは「フォマート4」に分類されると思いますが、Bパートが主役メカではない、という点で共通しています。メインメカは明らかにレギオスですからね。
さらにOVAですが『メガゾーン23』は、マクロスの流れを汲んだ「フォーマット2」のタイトルといえます。
ちなみにモスピーダと同じ83年、サンライズは『銀河漂流バイファム』を発表しています。
サンライズ初の「フォーマット4」に分けられる作品名です。
そして同じく83年、ついに決定的というか、「ここまで来たか」と思える作品タイトルが生まれます。
そうです。『装甲騎兵ボトムズ』です。
ここで、前回は富野作品だけを追いましたので、今回はサンライズロボットアニメのもう一方の雄、高橋良輔作品のネーミングパターンを見ましょう。
富野作品は「フォーマット1」に順じたオーソドックスなパターンが多いと書きましたが、高橋作品は逆、作品タイトルに関しては革命児です。
上記にあるように、『太陽の牙ダグラム』は「フォーマット3」にあてはまりますが。しかし「太陽の牙」ですよ。アナタ。
それまでの同系タイトルが秘密戦隊や科学忍者隊と、明らかに子ども向けタイトルだったのに、いきなり「太陽の牙」ですからね。
そして次作が『装甲騎兵ボトムズ』です。傑作。このタイトルは本当に秀逸。
装甲騎兵スコープドッグ、なら分かりやすく「フォーマット1」ですが、ボトムズって。人の名前でもない、メカの名前でもない。
AT乗りの蔑称!
コレはスゴイよなー。実際、Bパートがロボット名じゃないのって、けっこう珍しいのに、さらに人の名前ですらない。
よく企画通ったな、と思っちゃうくらい非常に凝ったタイトルです。
このネーミングパターンを後継する作品がないことが、いかに『装甲騎兵ボトムズ』が抜けた作品名であるか示していると思います。
また『蒼き流星SPTレイズナー』も、一ひねり加えたタイトルです。
基本構成は「フォーマット4」ですが、AパートとBパートの間に「SPT」と入れているのがミソですね。
またガンダムで例えれば、「機動戦士MSガンダム」ってなもんです。
ロボットものではないですが、高橋作品では『幕末機関説 いろはにほへと』も面白いタイトルですね。
さてこの後、ボトムズほど革新的な作品名は生まれなくなります。
強いて言えば『魔神英雄伝ワタル』(88年)くらいですか。Bパートが主人公名、っていう。
ロボットアニメ界にガンダム以来のブームを巻き起こしたエヴァも、「フォーマット4」にすんなり分類されます。
しかし前回の冒頭でぼくが、今回の考察対象はエヴァまで、と書いたのには理由があります。
エヴァは95年ですが、2000年代に入ると、このフォーマットでは分けられない作品名が「やっと」出てくるからです。
90年代後半を代表するロボットアニメはエヴァでしょうから、考察対処をそこまで、にしたのです。
21世紀の作品、例えば『フルメタル・パニック? ふもっふ』『ぼくらの』などは、ぼくがこれまで唱えてきたフォーマット分けには、当てはまりません。
しかしそれは、嬉しいことです。
新しいパターンが生まれるってことは、それだけジャンルが豊潤になる、ということですからね。
タイトルだけではなく、中身も新しい作品が出てくることを心待ちにしましょう。
前回を要約すると、ロボットアニメのタイトルはいくつかのパターンに分類できます。
「フォーマット1」は「Aパート+Bパート」で構成されており、Aパートはロボット名(Bパート)の説明語として存在しています。
(例・超電磁ロボ(の)コンバトラーV、UFOロボ(の)グレンタイザー)
「フォーマット2」は「Bパートのみ」のパターン。
(例・マジンガーZ、ゲッターロボ)
あっ。たった数行ですんだ。前回あんなに書いたのに?
さて前回はフォーマット2まで説明しましたが、今回は残りのパターン、フォーマット3と4についても説明します。
フォーマット3が、やがて主流になります。このパターンのはしりは、例えば『大空魔竜ガイキング』や『太陽の牙ダグラム』です。
富野作品では『聖戦士ダンバイン』が「フォーマット3」にあてはまります。
このパターンは、ぱっと見の構造は「フォーマット1」と同じくAパート+Bパートでできていますが、Aパートの働きが全く違います。
AパートはBパートを修飾していないからです。
A・Bパートはそれぞれ独立した名詞として存在します。AパートはBパートに依存していません。
Aパートに入るのは、主役のロボットとは違う別の名詞です。固有名詞が多いですが、「聖戦士」は一般名詞ですかね。
上記の例で言えば、大空魔竜は母艦、太陽の牙は主人公が所属しているゲリラの部隊名、聖戦士は何? 属性?
ともかく「フォーマット3」ではAパート部分に、その作品を象徴するような名詞が入ります。
ちなみダグラムのようにAパートを「部隊名」にするというのは、ロボットアニメより、SFアニメや昔の子ども向け実写番組のネーミングで見られるパターンです。
『秘密戦隊ゴレンジャー』『科学忍者隊ガッチャマン』などです。
最後のパターン、「フォーマット4」は「フォーマット3」の発展形です。
「フォーマット4」は「Aパート+Bパート」という構成は同じですが、AパートがBパートの説明ではなく、また固有名詞でもなく、強いて言うなら「作品イメージ」です。
例をあげると『機構界ガリアン』『超時空世紀オーガス』、J9シリーズ(旋風・烈風・疾風!)、そして『新世紀エヴァンゲリオン』です。
80年代に入ると、フォーマット1より3・4のパターンの作品名が出てきます。
野心的な作品タイトルを例に、時代を追っていきましょう。
まず81年、画期的な作品名が生まれます。『戦国魔神ゴーショーグン』。
これは、スゴイですよねー。
パターン的には「フォーマット4」にバッチリ当てはまりますが、問題は「戦国魔神」のイメージが作品中に全くないことです。
舞台は戦国じゃないし、魔神に至ってはもう何を指すのか。
この作品からロボットアニメタイトルのバリエーションが一気に広がった、とぼくは思っています。
翌82年には、『超時空要塞マクロス』が登場します。
この作品タイトルは、実は「フォーマット2」に当てはまります。
超時空要塞(Aパート)(の)マクロス(Bパート)です。
しかし、これも画期的ですね。
なぜならマクロスは母艦であって、主役メカではないからです。
ガンダムに変換すれば「強襲揚陸艦ホワイトベース」みたいなタイトルです。Bパートに主役メカの名前が入っていないのは、恐らくマクロスが初めてではないでしょうか。
マクロスと同じようなパターンのタイトルには、『機甲創世記モスピーダ』があります。
モスピーダは「フォマート4」に分類されると思いますが、Bパートが主役メカではない、という点で共通しています。メインメカは明らかにレギオスですからね。
さらにOVAですが『メガゾーン23』は、マクロスの流れを汲んだ「フォーマット2」のタイトルといえます。
ちなみにモスピーダと同じ83年、サンライズは『銀河漂流バイファム』を発表しています。
サンライズ初の「フォーマット4」に分けられる作品名です。
そして同じく83年、ついに決定的というか、「ここまで来たか」と思える作品タイトルが生まれます。
そうです。『装甲騎兵ボトムズ』です。
ここで、前回は富野作品だけを追いましたので、今回はサンライズロボットアニメのもう一方の雄、高橋良輔作品のネーミングパターンを見ましょう。
富野作品は「フォーマット1」に順じたオーソドックスなパターンが多いと書きましたが、高橋作品は逆、作品タイトルに関しては革命児です。
上記にあるように、『太陽の牙ダグラム』は「フォーマット3」にあてはまりますが。しかし「太陽の牙」ですよ。アナタ。
それまでの同系タイトルが秘密戦隊や科学忍者隊と、明らかに子ども向けタイトルだったのに、いきなり「太陽の牙」ですからね。
そして次作が『装甲騎兵ボトムズ』です。傑作。このタイトルは本当に秀逸。
装甲騎兵スコープドッグ、なら分かりやすく「フォーマット1」ですが、ボトムズって。人の名前でもない、メカの名前でもない。
AT乗りの蔑称!
コレはスゴイよなー。実際、Bパートがロボット名じゃないのって、けっこう珍しいのに、さらに人の名前ですらない。
よく企画通ったな、と思っちゃうくらい非常に凝ったタイトルです。
このネーミングパターンを後継する作品がないことが、いかに『装甲騎兵ボトムズ』が抜けた作品名であるか示していると思います。
また『蒼き流星SPTレイズナー』も、一ひねり加えたタイトルです。
基本構成は「フォーマット4」ですが、AパートとBパートの間に「SPT」と入れているのがミソですね。
またガンダムで例えれば、「機動戦士MSガンダム」ってなもんです。
ロボットものではないですが、高橋作品では『幕末機関説 いろはにほへと』も面白いタイトルですね。
さてこの後、ボトムズほど革新的な作品名は生まれなくなります。
強いて言えば『魔神英雄伝ワタル』(88年)くらいですか。Bパートが主人公名、っていう。
ロボットアニメ界にガンダム以来のブームを巻き起こしたエヴァも、「フォーマット4」にすんなり分類されます。
しかし前回の冒頭でぼくが、今回の考察対象はエヴァまで、と書いたのには理由があります。
エヴァは95年ですが、2000年代に入ると、このフォーマットでは分けられない作品名が「やっと」出てくるからです。
90年代後半を代表するロボットアニメはエヴァでしょうから、考察対処をそこまで、にしたのです。
21世紀の作品、例えば『フルメタル・パニック? ふもっふ』『ぼくらの』などは、ぼくがこれまで唱えてきたフォーマット分けには、当てはまりません。
しかしそれは、嬉しいことです。
新しいパターンが生まれるってことは、それだけジャンルが豊潤になる、ということですからね。
タイトルだけではなく、中身も新しい作品が出てくることを心待ちにしましょう。
装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ 劇場版 Collector's Edition <初回限定生産> [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
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無敵超人ザンボット3 メモリアルボックス ANNIVERSARY EDITION【初回限定生産】 [DVD]
- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
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もう見ました、面白いですね
by HUNTER×HUNTER 画像 (2010-12-03 18:17)