OVAの歴史まとめと『バブルガム・クライシス』まとめ [アニメ周辺・時事]
記事1回目。
さて、以前『マクロスF』について書いたら、普段より当ブログへのアクセス数が良くてね。
やっぱ人気のアニメについて書くと反応違うなー、と思って。
よし、今回も小賢しくアクセス数アップを狙おう! 実写化されて全米で公開されるあの人気アニメについて書きます。
バブルガム・クライシス。
えっ。ドラゴンボールとかカウボーイビバップじゃねえの?
いいよ、そんなの。どうせ大勢の人が書いているんでしょ。僕は『バブルガム・クライシス』について書きたいの。
アクセス数なんかどうでもいいの、ゼロじゃなければ。アクセス数増やしたければ、モザイク無しの性器の写真でも載せておけばいいんでしょ。捕まるけど。
さて、80年代のOVAシリーズ『バブルガム・クライシス』が数十億円の予算をかけて実写映画化され、米国を中心に公開されます。
詳細記事はこちらでも読んで。http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20081125_bubblegum_crisis_movie/
で今、『バブルガム・クライシス』の説明をすると多分、未来世界の女性仕置人とか、女性の体の柔らかさが伝わるパワードスーツとか、そういう説明になると思うんだけど。
そのー、間違いではないよ、勿論。それも魅力の1つ。
でも文脈を捉えていないというか、この作品がどういう流れで出てきたかを書かないと、十全ではない気がするんですね。
で、今回は『バブルガム・クライシス』の説明をするために、OVAの歴史から語ろう、というとんでもない回り道をすることになります。
あ、勿論これから語るのはぼく自身のOVA史観であって、OVA史観ってなんかバカっぽくていいな。OVA史観。
つまり当然ながらぼく個人の主観であって、「この見解が正しいんだ」とか声高に主張するつもりは、全く無いですから。
さて、今回の記事のタイトルを見て、「今だってOVAはあるよ」と突っ込んだ人もいるだろう。
分かっています、ぼくも。
しかし今のOVAは「様々なメディアで展開している作品の、媒体の1つ」に成り果ててしまった。
しかも現在はネット先行やら衛星放送やら本州のみで(ここの表現、ぼくが北海道人なのだと自覚してしまう)放映されているアニメやらいっぱいあって、よほどのマニアでないとどの作品がOVAなのか、分からないほどだ。
OVAというジャンルに活気があって、新しい何かを生み出す力があったのは、私見では1990年初頭まで。
終焉の外的要因としてはバブル景気の崩壊、作品的には『機動警察パトレイバー』の登場が原因である。
OVAというジャンルに活気があった1つの要因は、バブル景気で浮かれた様々な大手メーカーが、ボコボコとアニメ業界に参入してきたからである。新規参入組にとって、TVシリーズよりOVAの方が予算も安く手がけやすかったのだろう。
アニメを新たに手がけたメーカーは、ちょっとヘンな作品、怪作を連発した。でも、これがOVAの活気に繋がった。
駄作が溢れるファミコンは大ブームになって、作品を厳選した64がブレイクしなかったことを思い出してほしい。そのジャンルがにぎわうためには、ドラクエやスーパーマリオだけではなく、『スペランカー』や『星をみるひと』が必要なのだ。
しかしバブル崩壊に合わせて、メーカーは撤退したり潰れたりして、OVA自体に元気がなくなった。
そして、初めて「メディアミックス」をうたったアニメ作品『機動警察パトレイバー』の登場。
バブル景気末期に登場したパトレイバーは、それまでのOVAの価格から考えると、大幅に安い値段で第1巻を発売した。まるで最初からTVシリーズを意識していたかのような、全6巻の構成(後で1巻増えたけど)。そして漫画、劇場版、TVへの派生。
全てが新しいOVAのビジネスモデルとなった。
こうしてパトレイバーがきっかけとなり、今となっては恥ずかしい言葉となったメディアミックスの媒体の1ジャンルとして、OVAは機能し始めるのだった。
これが現在に繋がる、OVAの変容である。
そして結局、OVA発で、一番作品的に成功したのはパトレイバーで、後発は超えることができなかった。
記事2回目。
OVAの歴史について、昨日の続きです。読んでいない方はゼヒ前回からお読み下さい。
第1回目の昨日がOVAの終焉、2回目の今日がその始まりについて書くという、ちょっと凝った構成になっております。
さて、日本初のOVA作品は、83年発売の『ダロス』ということになっている。
ぼくは昔アニメ雑誌で、ロリコンもののアニメビデオ(タイトル失念)がダロスより先、という記事を読んだ記憶がある。が、初のOVAが「ロリコンビデオ」より、「押井監督作品」の方が聞こえがいいから、このままでいいだろう。
何故OVAという名称になったのかは知らないが、アニメ雑誌によって表記も違っていた。学研(アニメディア)はOAV、角川(ニュータイプ)はOVA表記だった。徳間(アニメージュ)も確か、OVA表記だったと思う。学研ではOVA専門誌『アニメV』を出していたくらいだから、OVAが1つのジャンルとしてどれ程盛り上がっていたか、想像いただけるだろう。
OVAが短い期間とはいえ、発展したのには幾つかの要因が重なった。
1つ目は、アニメファンの熟成である。
現在のアニメの状況を鑑みれば明白だが、あるジャンルは熟成が進めば進むほど、ニーズは細分化される。ヤマトからガンダムに至り、「大人の視聴に耐えうるアニメ」を手に入れたファン達は、さらに自分の好みに合う作品、自分の欲求に応える作品を求め始めた。
2つ目は、前回でも触れたバブル景気。
メーカー側にもファンの要求に応える余裕があった。今みたいに、原作付きや人気シリーズの続編ばかりではない。新たなオリジナル作品をOVA発で立ち上げる懐の深さがあった。
3つ目は、レンタルビデオ店の普及。
ぼくが住んでいた北海道の片田舎にも、レンタルビデオ店ができ始めたのはこの頃。いくらアニメファンでも、1本1万円以上するOVAは高すぎる。レンタルビデオ店の普及は、必要不可欠だった。
そして4つ目は、主にガンダム以降に顕著になった作家主義や、アニメスタッフにスポットライトが当たり始めたことである。
この4番目の要素は、OVAの発展を語る上で外せない。
OVAは、オリジナル・アニメ・ビデオという呼称とは裏腹に、作品タイトルは何もオリジナルばかりではなかった。
『エリア88』はかなりOVA初期の作品だったはずだし、日本アニメ大賞オリジナルビデオソフト最優秀作品賞を受賞している『妖獣都市』だって菊地秀行の原作だ。
ただ、OVAの歴史の初期から原作付きの作品は多かったが、同じくらいにオリジナルやマイナー原作の作品も多かった。
しかしオリジナル作品や、マイナーな原作の作品では、宣伝力が弱すぎる。
そこで、アニメファンを引き付ける要素として用意されたのが、「あの誰彼(スタッフ)が作った作品」だった。それも、例えば手塚や富野などのメジャー作家である必要はない。
もともと、OVAを見る層なんてマニアなのだ。
「北爪宏幸が今度監督をやる作品が出るぞ」
「平野俊弘と垣野内成美のコンビだから安心できそうだ」
など、スタッフの名前さえあれば、アニメファンはその作品に評価を下すことができる(その評価が当たっているかは別問題だが)。
余談だが、この商法の極め付けが『トップをねらえ!』である。
原作・岡田斗司夫、キャラクター原案・美樹本晴彦、メカニックデザイン・宮武一貴で(当時の庵野は今のネームバリューではない)、「全てのアニメは、道をあけろ!」などとキャッチコピーが書かれていれば、「これは見るしかない」とアニメファンなら思うだろう。スタッフ名を見ても、一般人には何の判断基準にもならない。アニメファンにのみ伝わるアピールなのだ。
さて、ここでやっと。本題の『バブルガム・クライシス』の話に入れる。
『バブルガム・クライシス』は発売当時、SF設定や、パワードスーツの魅力を最大の売りにしていたのではない。
当時のアニメファンには、少なくともぼくには、発売前から『バブルガム・クライシス』を楽しみにしていたのは、「あの『ガルフォース』の園田健一の、新しいキャラクターが見られる!」からだったのだ。
そんなわけで回り道をしましたが次回、やっと『バブルガム・クライシス』の話をします。
記事3回目。
OVAの歴史から書き始めた今回のテーマ、やっと本題『バブルガム・クライシス』について書くであります。
『バブルガム・クライシス』は実写化もされます。でも、ぼくは見に行くかどうか微妙であります。
前回まで2回に渡り、ダラダラと書いてきたことを手短にまとめます。OVAという媒体が発展した要素の1つには、ガンダム以降訪れた「クリエイターの時代」の熟成があった。で、『バブルガム・クライシス』もこの文脈の中で出てきた、ってことです。
え、たった3行で終るの?
ここからが続き。『バブルガム・クライシス』の看板(売り)は、キャラクターデザインの園田健一だった。
園田健一はOVA『ガルフォース』のキャラクターデザインで、一躍有名になっていた。
『ガルフォース』はストーリーはさして面白くもなかったが、園田デザインの女性キャラが人気を呼び、続編や新作も作られた。キャミィ、人気あったよね。
で、新しく『バブルガム・クライシス』ってOVAが発売されたと知った時、当時中学生だったぼくは「新しい園田キャラだ!」と期待したのだった。
そうして見た1巻は、ストーリーに関しては『ガルフォース』と同じ感想。
キャラクターはなかなかたっていたし、曲線を多用したパワードスーツも良かったけど、それだけだった。
かなり前のことなので記憶が怪しいけど、確か映像特典として『今夜はハリケーン』っていう恥ずかしいタイトルの主題歌をうたうライブ映像がけっこう長く収録されていて、「なんだこれは」と違和感を覚えた記憶がある。
シリーズ2巻目で、ぼくは『バブルガム・クライシス』シリーズが好きになった。
と言っても、中学生時分だったからで、現在他人にオススメできるものではない。
『バブルガム・クライシス』はよく「未来の女性仕置人」みたいに紹介されることがあるけど、ぼくが気に入った理由は、まさにこの点にあった。
必殺シリーズ好きなぼくとしては、2巻目のアクションシーンが短くあっさり終ったことに、必殺テイストを感じたのだ。
ぼくがもっとも好きなのは、コンピューター制御の車が暴走する4巻目。数年前にGYAOで放映していた時に見返したけど、パワードスーツとアスファルトが擦れるシーンとか、「いやー今見ても格好良いな」と思った。
声優陣についても触れておきましょう。
主人公プリス役の女性は、まあアレでした。プリス役以外でお名前を見たことが無いので、ぼくの勝手な想像なんですが、この人、本職は歌手だったんじゃないでしょうか。
ただし脇を固める声優陣は豪華。プリスの仲間は平松晶子さん、富沢美智恵さん、そして榊原良子さん。男性陣は古川登志男さんに佐々木望さん。ぼくなどは、榊原さんの声に酔いしれておりました。
『バブルガム・クライシス』を語る上でもう1つ絶対に触れておきたいのが、歌です。
各巻の主題歌には、馬飼野康二さんとか(このブログの読者には、『疾風ザブングル』の作曲者と言えば分かりやすいか)、ちびまる子ちゃんの主題歌で有名な坪倉唯子さんなんかが参加していました。
関連して特筆すべきはボーカルコレクションのCD2枚で、ぼくはいたく気に入り何度も聞いていました。
マイケル・ジャクソン大好きの富沢さんがそれっぽい歌をうたったり、プリス役の人のしっとりしたバラードがあったり、何より榊原さんの歌声が聞けるのって貴重だと思いませんか?
『バブルガム・クライシス』はその後、『バブルガム・クラッシュ!』という新シリーズも作られました。
こちらは一般的に評価が低いようですが、ぼくは嫌いではありません。
特に情報収集・分析が担当で、戦闘では非力だったネネのスーツがパワーアップするところなんかは、ぐっと来ました。
繰り返しになりますが、『バブルガム・クライシス』シリーズは現在熱烈にオススメしたくなる作品ではありません。話は、『ブレードランナー』となんかとなんかの寄せ集めみたいな作品だし。
でも、中学生だったぼくには、フィットしたんです。園田キャラの魅力と、声優陣の声にやられたんですね。
あのー、最後に。
ウィキペディアの『バブルガム・クライシス』の項目にも書いていないので、ぼくの記憶違いかもしれないんだけど、ナイトセイバーズの声優さん4人がハワイに行くソフトなかった? ナイトセイバーズINハワイ的な。
俺の記憶が混濁しているのかなー。
さて、以前『マクロスF』について書いたら、普段より当ブログへのアクセス数が良くてね。
やっぱ人気のアニメについて書くと反応違うなー、と思って。
よし、今回も小賢しくアクセス数アップを狙おう! 実写化されて全米で公開されるあの人気アニメについて書きます。
バブルガム・クライシス。
えっ。ドラゴンボールとかカウボーイビバップじゃねえの?
いいよ、そんなの。どうせ大勢の人が書いているんでしょ。僕は『バブルガム・クライシス』について書きたいの。
アクセス数なんかどうでもいいの、ゼロじゃなければ。アクセス数増やしたければ、モザイク無しの性器の写真でも載せておけばいいんでしょ。捕まるけど。
さて、80年代のOVAシリーズ『バブルガム・クライシス』が数十億円の予算をかけて実写映画化され、米国を中心に公開されます。
詳細記事はこちらでも読んで。http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20081125_bubblegum_crisis_movie/
で今、『バブルガム・クライシス』の説明をすると多分、未来世界の女性仕置人とか、女性の体の柔らかさが伝わるパワードスーツとか、そういう説明になると思うんだけど。
そのー、間違いではないよ、勿論。それも魅力の1つ。
でも文脈を捉えていないというか、この作品がどういう流れで出てきたかを書かないと、十全ではない気がするんですね。
で、今回は『バブルガム・クライシス』の説明をするために、OVAの歴史から語ろう、というとんでもない回り道をすることになります。
あ、勿論これから語るのはぼく自身のOVA史観であって、OVA史観ってなんかバカっぽくていいな。OVA史観。
つまり当然ながらぼく個人の主観であって、「この見解が正しいんだ」とか声高に主張するつもりは、全く無いですから。
さて、今回の記事のタイトルを見て、「今だってOVAはあるよ」と突っ込んだ人もいるだろう。
分かっています、ぼくも。
しかし今のOVAは「様々なメディアで展開している作品の、媒体の1つ」に成り果ててしまった。
しかも現在はネット先行やら衛星放送やら本州のみで(ここの表現、ぼくが北海道人なのだと自覚してしまう)放映されているアニメやらいっぱいあって、よほどのマニアでないとどの作品がOVAなのか、分からないほどだ。
OVAというジャンルに活気があって、新しい何かを生み出す力があったのは、私見では1990年初頭まで。
終焉の外的要因としてはバブル景気の崩壊、作品的には『機動警察パトレイバー』の登場が原因である。
OVAというジャンルに活気があった1つの要因は、バブル景気で浮かれた様々な大手メーカーが、ボコボコとアニメ業界に参入してきたからである。新規参入組にとって、TVシリーズよりOVAの方が予算も安く手がけやすかったのだろう。
アニメを新たに手がけたメーカーは、ちょっとヘンな作品、怪作を連発した。でも、これがOVAの活気に繋がった。
駄作が溢れるファミコンは大ブームになって、作品を厳選した64がブレイクしなかったことを思い出してほしい。そのジャンルがにぎわうためには、ドラクエやスーパーマリオだけではなく、『スペランカー』や『星をみるひと』が必要なのだ。
しかしバブル崩壊に合わせて、メーカーは撤退したり潰れたりして、OVA自体に元気がなくなった。
そして、初めて「メディアミックス」をうたったアニメ作品『機動警察パトレイバー』の登場。
バブル景気末期に登場したパトレイバーは、それまでのOVAの価格から考えると、大幅に安い値段で第1巻を発売した。まるで最初からTVシリーズを意識していたかのような、全6巻の構成(後で1巻増えたけど)。そして漫画、劇場版、TVへの派生。
全てが新しいOVAのビジネスモデルとなった。
こうしてパトレイバーがきっかけとなり、今となっては恥ずかしい言葉となったメディアミックスの媒体の1ジャンルとして、OVAは機能し始めるのだった。
これが現在に繋がる、OVAの変容である。
そして結局、OVA発で、一番作品的に成功したのはパトレイバーで、後発は超えることができなかった。
記事2回目。
OVAの歴史について、昨日の続きです。読んでいない方はゼヒ前回からお読み下さい。
第1回目の昨日がOVAの終焉、2回目の今日がその始まりについて書くという、ちょっと凝った構成になっております。
さて、日本初のOVA作品は、83年発売の『ダロス』ということになっている。
ぼくは昔アニメ雑誌で、ロリコンもののアニメビデオ(タイトル失念)がダロスより先、という記事を読んだ記憶がある。が、初のOVAが「ロリコンビデオ」より、「押井監督作品」の方が聞こえがいいから、このままでいいだろう。
何故OVAという名称になったのかは知らないが、アニメ雑誌によって表記も違っていた。学研(アニメディア)はOAV、角川(ニュータイプ)はOVA表記だった。徳間(アニメージュ)も確か、OVA表記だったと思う。学研ではOVA専門誌『アニメV』を出していたくらいだから、OVAが1つのジャンルとしてどれ程盛り上がっていたか、想像いただけるだろう。
OVAが短い期間とはいえ、発展したのには幾つかの要因が重なった。
1つ目は、アニメファンの熟成である。
現在のアニメの状況を鑑みれば明白だが、あるジャンルは熟成が進めば進むほど、ニーズは細分化される。ヤマトからガンダムに至り、「大人の視聴に耐えうるアニメ」を手に入れたファン達は、さらに自分の好みに合う作品、自分の欲求に応える作品を求め始めた。
2つ目は、前回でも触れたバブル景気。
メーカー側にもファンの要求に応える余裕があった。今みたいに、原作付きや人気シリーズの続編ばかりではない。新たなオリジナル作品をOVA発で立ち上げる懐の深さがあった。
3つ目は、レンタルビデオ店の普及。
ぼくが住んでいた北海道の片田舎にも、レンタルビデオ店ができ始めたのはこの頃。いくらアニメファンでも、1本1万円以上するOVAは高すぎる。レンタルビデオ店の普及は、必要不可欠だった。
そして4つ目は、主にガンダム以降に顕著になった作家主義や、アニメスタッフにスポットライトが当たり始めたことである。
この4番目の要素は、OVAの発展を語る上で外せない。
OVAは、オリジナル・アニメ・ビデオという呼称とは裏腹に、作品タイトルは何もオリジナルばかりではなかった。
『エリア88』はかなりOVA初期の作品だったはずだし、日本アニメ大賞オリジナルビデオソフト最優秀作品賞を受賞している『妖獣都市』だって菊地秀行の原作だ。
ただ、OVAの歴史の初期から原作付きの作品は多かったが、同じくらいにオリジナルやマイナー原作の作品も多かった。
しかしオリジナル作品や、マイナーな原作の作品では、宣伝力が弱すぎる。
そこで、アニメファンを引き付ける要素として用意されたのが、「あの誰彼(スタッフ)が作った作品」だった。それも、例えば手塚や富野などのメジャー作家である必要はない。
もともと、OVAを見る層なんてマニアなのだ。
「北爪宏幸が今度監督をやる作品が出るぞ」
「平野俊弘と垣野内成美のコンビだから安心できそうだ」
など、スタッフの名前さえあれば、アニメファンはその作品に評価を下すことができる(その評価が当たっているかは別問題だが)。
余談だが、この商法の極め付けが『トップをねらえ!』である。
原作・岡田斗司夫、キャラクター原案・美樹本晴彦、メカニックデザイン・宮武一貴で(当時の庵野は今のネームバリューではない)、「全てのアニメは、道をあけろ!」などとキャッチコピーが書かれていれば、「これは見るしかない」とアニメファンなら思うだろう。スタッフ名を見ても、一般人には何の判断基準にもならない。アニメファンにのみ伝わるアピールなのだ。
さて、ここでやっと。本題の『バブルガム・クライシス』の話に入れる。
『バブルガム・クライシス』は発売当時、SF設定や、パワードスーツの魅力を最大の売りにしていたのではない。
当時のアニメファンには、少なくともぼくには、発売前から『バブルガム・クライシス』を楽しみにしていたのは、「あの『ガルフォース』の園田健一の、新しいキャラクターが見られる!」からだったのだ。
そんなわけで回り道をしましたが次回、やっと『バブルガム・クライシス』の話をします。
記事3回目。
OVAの歴史から書き始めた今回のテーマ、やっと本題『バブルガム・クライシス』について書くであります。
『バブルガム・クライシス』は実写化もされます。でも、ぼくは見に行くかどうか微妙であります。
前回まで2回に渡り、ダラダラと書いてきたことを手短にまとめます。OVAという媒体が発展した要素の1つには、ガンダム以降訪れた「クリエイターの時代」の熟成があった。で、『バブルガム・クライシス』もこの文脈の中で出てきた、ってことです。
え、たった3行で終るの?
ここからが続き。『バブルガム・クライシス』の看板(売り)は、キャラクターデザインの園田健一だった。
園田健一はOVA『ガルフォース』のキャラクターデザインで、一躍有名になっていた。
『ガルフォース』はストーリーはさして面白くもなかったが、園田デザインの女性キャラが人気を呼び、続編や新作も作られた。キャミィ、人気あったよね。
で、新しく『バブルガム・クライシス』ってOVAが発売されたと知った時、当時中学生だったぼくは「新しい園田キャラだ!」と期待したのだった。
そうして見た1巻は、ストーリーに関しては『ガルフォース』と同じ感想。
キャラクターはなかなかたっていたし、曲線を多用したパワードスーツも良かったけど、それだけだった。
かなり前のことなので記憶が怪しいけど、確か映像特典として『今夜はハリケーン』っていう恥ずかしいタイトルの主題歌をうたうライブ映像がけっこう長く収録されていて、「なんだこれは」と違和感を覚えた記憶がある。
シリーズ2巻目で、ぼくは『バブルガム・クライシス』シリーズが好きになった。
と言っても、中学生時分だったからで、現在他人にオススメできるものではない。
『バブルガム・クライシス』はよく「未来の女性仕置人」みたいに紹介されることがあるけど、ぼくが気に入った理由は、まさにこの点にあった。
必殺シリーズ好きなぼくとしては、2巻目のアクションシーンが短くあっさり終ったことに、必殺テイストを感じたのだ。
ぼくがもっとも好きなのは、コンピューター制御の車が暴走する4巻目。数年前にGYAOで放映していた時に見返したけど、パワードスーツとアスファルトが擦れるシーンとか、「いやー今見ても格好良いな」と思った。
声優陣についても触れておきましょう。
主人公プリス役の女性は、まあアレでした。プリス役以外でお名前を見たことが無いので、ぼくの勝手な想像なんですが、この人、本職は歌手だったんじゃないでしょうか。
ただし脇を固める声優陣は豪華。プリスの仲間は平松晶子さん、富沢美智恵さん、そして榊原良子さん。男性陣は古川登志男さんに佐々木望さん。ぼくなどは、榊原さんの声に酔いしれておりました。
『バブルガム・クライシス』を語る上でもう1つ絶対に触れておきたいのが、歌です。
各巻の主題歌には、馬飼野康二さんとか(このブログの読者には、『疾風ザブングル』の作曲者と言えば分かりやすいか)、ちびまる子ちゃんの主題歌で有名な坪倉唯子さんなんかが参加していました。
関連して特筆すべきはボーカルコレクションのCD2枚で、ぼくはいたく気に入り何度も聞いていました。
マイケル・ジャクソン大好きの富沢さんがそれっぽい歌をうたったり、プリス役の人のしっとりしたバラードがあったり、何より榊原さんの歌声が聞けるのって貴重だと思いませんか?
『バブルガム・クライシス』はその後、『バブルガム・クラッシュ!』という新シリーズも作られました。
こちらは一般的に評価が低いようですが、ぼくは嫌いではありません。
特に情報収集・分析が担当で、戦闘では非力だったネネのスーツがパワーアップするところなんかは、ぐっと来ました。
繰り返しになりますが、『バブルガム・クライシス』シリーズは現在熱烈にオススメしたくなる作品ではありません。話は、『ブレードランナー』となんかとなんかの寄せ集めみたいな作品だし。
でも、中学生だったぼくには、フィットしたんです。園田キャラの魅力と、声優陣の声にやられたんですね。
あのー、最後に。
ウィキペディアの『バブルガム・クライシス』の項目にも書いていないので、ぼくの記憶違いかもしれないんだけど、ナイトセイバーズの声優さん4人がハワイに行くソフトなかった? ナイトセイバーズINハワイ的な。
俺の記憶が混濁しているのかなー。
僕たちの好きなガンダム ガンダムまるわかりブック 機動戦士ガンダム 全OVA&劇場版編 (別冊宝島スペシャル)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2009/04/02
- メディア: 大型本
1/12 バブルガムクライシス No.01 可変モトスレイブ マシン・カノン Ver.
- 出版社/メーカー: 青島文化教材社
- メディア: おもちゃ&ホビー
バブルガムクライシスの話、当時を思い出し懐かしく思いました。
ナイトセイバーズのメンバーが海外に行くソフトはあります。
ハワイではなく、バリ島ですが。
「バイバイナイトセイバーズ」という作品で、LDを所有しています。
型番は TOLF-1106
でした。
ご参考までに。
by ヨシユキ (2017-10-12 14:41)
ヨシユキさま、情報ありがとうございます。
画像検索してみました。そうです、これです! 青い海のジャケに微かな記憶がありました。
ハワイだと思い込んでいたのですが、バリだったのですね。中古CD屋で一度見かけたきりだったので、自分の記憶力に自信を無くしていました…実在していて良かったです(笑)
ありがとうございました。
by 坂井哲也 (2017-10-12 19:16)
OVAは令和の今日ではほぼ没落傾向
平成後期の一時期の円盤ビジネスである程度売り上げを伸ばしていたovaオリジナルビデオアニメーション(らき☆すたovaなど)は、令和の今日ではNetflixオリジナルアニメなどのweb配信アニメ(インターネットアニメ)が爆発的に製作数を増やし続けたのとは対照的に20分物の単発作品ばかりに偏ったため(やくざ映画などの特定ジャンルが主体の実写のオリジナルビデオ映画(Vシネマ)は60分か90分で製作しているため良好)製作数が激減しておりほぼ没落傾向へと突き進んでいます(OADオリジナルアニメDVD・Blu-ray Discに至ってはかなり深刻)。よって、OVAがなくならないという保証はもうない(つまり、OVAがなくなる可能性が高い)と思う。
KADOKAWA会長逮捕
東京オリンピック汚職事件で、KADOKAWAの社員2人が逮捕され、遂に角川歴彦会長までも逮捕されました。KADOKAWAは、絶望先生やのんのんびよりなどの付録oadの会社でもありましたね。
角川会長は2012年付の著作権法改正を行わせた発起人の一人でもあったそうです。
KADOKAWA会長逮捕を受け、円盤ビジネスの団体である日本映像ソフト協会(JVA)はどう思うのかな。
のんのんびよりoad最終巻リリースの年にKADOKAWA会長逮捕とは、何かの伏線を感じますね。
朝日新聞の記事より引用
東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で、東京地検特捜部は14日午後、大会スポンサーだった出版大手「KADOKAWA」の会長・角川歴彦(つぐひこ)容疑者(79)を贈賄容疑で逮捕した。事件はKADOKAWAトップの逮捕にまで発展した。
by 紅野ヒロミ (2022-09-24 08:43)
超次元ゲイム ネプテューヌやsk8のova化の発表がなされていました。一方でovaビデオアニメシリーズを何本か出したルパン三世シリーズも遂にルパン三世VSキャッツ・アイとしてWEBアニメ化へと移行する事となりました。ovaの終焉を感じますね。大体、ova(oad)なる呼称自体、uhfアニメやcvと並ぶ和製英語です((「日本だから売れる」という過信により)日本のガラパゴス化の現状を象徴させています)。他国では実写のオリジナルビデオ(Vシネマ)に相当する製作形態はあるが、アニメのovaに相当する製作形態はほとんどありません(少なくとも、米国のディズニー社はリトルマーメイド3を以て終了しています。安部元総理暗殺事件で問題となった韓国統一教会のオリジナルdvdぐらい)。ovaが没落したのは(ovaが衰退したのは)エイベックスやKADOKAWAなどの映像ソフトメーカーやアニメ製作会社が(CS(アニメ専門チャンネル)で放送する予定の作品があるとの口実に、TVアニメや同時上映アニメ映画(パンダコパンダや劇場版ツヨシしっかりしなさい)と同じ30分サイズにする形で)ケチったから。(複数話のovaにおいて)この製作手法により、ovaのクオリティの低下やリリースの遅れによるovaの売り上げ低下が懸念されています。
by 紅野ヒロミ (2022-09-24 08:45)