富野が選ぶ邦画・洋画トップ10 まとめ記事 1999年版と2009年版 [富野監督関係]
父親がガンに侵されていることが判明したが、さりとてぼくに出来ることもなく、ぼくは普段どおりに娘と遊び、仕事をしていたわけです。完治して一安心。
さて、お久し振りです。
なんか更新もしてないのに、来て頂いていた方、ありがとうございます。
またちょこっと更新します。
今後も読み応えのある内容を書くべく、作文に関しては天狗になって頑張ります。
今回は復活ということもあり、久々に富野の話です。
富野と映画。
あのー、富野作品を見ていて、特定の映画作品・映画監督の影響を感じたことがありますか?
ぼくはないんです。
インタビューでも、「ルーカスやスピルバーグがライバル」って言ってみたり、ハリウッドのCG多用メジャー作品を「エンターテインメントとしてなめてはいけない」みたいな発言をしているのは読んだことがある。
けど、じゃあ富野の好きな映画(監督)って何? と考えると、これだけ長い間富野ファンをやっているのに知らない! という事実に気付いたわけです。
例えば宮崎駿だったら、真っ先に黒澤明の名前が挙がるでしょう。
他にも、『荒野の決闘』の雲の流れ方に影響を受けたとか。
押井守だったら、あくまでぼくの勝手なイメージだけど、「タルコフスキー好きそう」とかね。
『スカイ・クロラ』なんか、途中まで、「トリュフォーやりたいのかなあ」と思って見てた。『隣の女』を連想したのは、ぼくだけではないはず。
では、富野は? うーん、なんだ?
そんな訳で、調べました。
『キネマ旬報』1999年10月上旬号・下旬号に、特集「140人の映画人が選んだ10本」が組まれております。
2回に分けて、洋画・邦画別の特集なのですが、この140人の中に富野も入っております。
調べればネット上でもこの情報は見つけられますが、2ちゃんねる経由のせいか、不正確です。
以下が、正確な情報。富野が選ぶ邦画・洋画トップ10。
邦画
用心棒
おとうと(市川崑)
秋刀魚の味
七人の侍
浪速の恋の物語
風雲児
月はどっちに出ている
櫻の園
シコふんじゃった。
となりのトトロ
洋画
怒りの葡萄
勝手にしやがれ
灰とダイヤモンド
去年マリエンバートで
2001年宇宙の旅
ラストエンペラー
バベットの晩餐会
アマデウス
尼僧ヨアンナ
ピアノレッスン
以上です。どうですか。
この話題は書きたいことがたくさんあります。続く。
記事2回目。
富野が選んだ邦画・洋画トップ10の続き。
まずは邦画から。リストはこちら。
大御所は、と見ると黒澤が2本、小津が1本入っていますが、溝口・成瀬は0本。
小津作品から、代表作といわれる『東京物語』ではなく『秋刀魚の味』をチョイスしているのは少し興味深いですね。
まあ『秋刀魚の味』も名作ですから、不思議ではないですが。
『月はどっちにでている』以降はわりと近年の映画で、まあそんなに意外なタイトルはありません。
『櫻の園』は勿論いい映画ですが、富野が見ているのを想像すると、ちょっとウフフって思いませんか? 思いませんかそうですか。
唯一選んでいるアニメが、トトロ。
初期の宮崎アニメじゃなくて、トトロかあ、とはちょっと思います。
自分の作風からは一番遠いからかな。
ちなみに富野はコメントの中で、
映画の面白さをペロリと観せつつ、映画を製作するにはこのようにパッケージにするのだよというセットの使い方のうまさを見せてくれているのが「用心棒]なのだ
(中略)
「おとうと」については、ヌーベルバーグが映画だと信じられていた時代に、手法こそそれらしく見せながらも、日本的文芸のフィーリングを嫌味なく観せてくれた作品ということで絶句した覚えがある。
と書いています。
富野がヌーベルバーグに言及しているのは、初めて読んだような気がする。
だから洋画で『勝手にしやがれ』を選んでいるのは意外な気がしました。
ちなみに富野の邦画ベスト10と、このアンケート全体の結果を照らし合わせると、
用心棒 18位
おとうと(市川崑) 49位
秋刀魚の味 82位
七人の侍 1位
月はどっちに出ている 21位
となりのトトロ 13位
となります。
ところで最後に疑問なんですが、富野が6番目に選んでいる『風雲児』って映画は、なんだ?
知らないし、調べても分からないんですが、知っている人がいたら、教えてくれると嬉しいです。
この話題はまだまだ続きます。
記事3回目。
さて、富野が選んだ洋画・邦画トップ10の3夜目です。
今回話題にしている『キネマ旬報』1999年10月上旬号・下旬号の特集「140人の映画人が選んだ10本」の邦画部門では、
なんとベスト10に、イデオンを選んでいる人が2人います。
1人は映画監督の小松隆志さん(『幸福な食卓』)。
アニメからカリオストロの城と共に、イデオンの接触篇/発動篇を選んでいます。
もう1人はディレクターの石井克人さん(『鮫肌男と桃尻女』『山のあなた徳市の恋』)です。
石井さんはアニメを3本も選んでいて、カリ城、エースをねらえ!、そしてイデオン(こちらは発動篇のみの表記)。
コメントの中では、
選んだ基準は観終わって「アンタはスゴイ!! すごくおもしろいです」て思った奴か、もしくは5回以上観てる奴です。
と書いている。その後はエースをねらえ!の出崎監督を「今世紀最高の映像作家は出崎氏だと言い切れる」とまで褒めております。
ちなみに、イデオンより知名度が高いはずのガンダムには、得票がありません。
確かアニメックの小牧さんだったと思いますが、「ガンダムはTV版、イデオンは映画版さえあればいい」みたいなことを書いていたはずですが、この結果を見ても、的確な意見ですね。
あと参考までに、トータルのベスト100までに入っているアニメ映画は、トトロ(13位)ともののけ姫(49位)の2本だけです。
またこれまで書いた以外に、名前が挙がっていたアニメは、ナウシカ、ルパン(78年)、ホルスの大冒険、ラピュタです。
このアンケートから約10年経ちますが、過去の(実写)名作邦画群に迫れるアニメ作品は、何本生まれたでしょうかね。
最近、ぼくは「名作」と評価されている過去の実写邦画を見ているのですが、なかなか壁は厚いです。
もちろんこんなブログを書くくらいですから、ぼくもアニメが好きなんですが。
記事4回目。
あのー、このブログを読んでいただいている数少ない(たぶん)女性のために、気になるアイツを落とす方法を開帳いたしましょう。恋のテクニックってやつ?
これはある程度、友達関係が築かれている男を狙っている時にのみ使用可能な技です。
ええと、その男と午後から会う約束があるとしましょう。
あなたはお昼ごはんに焼きそばとかお好み焼きとか、青海苔がついているものを食べます。
普通の女性だったら食後、歯に青海苔がくっ付いていないかチェックするでしょう。
それがいけません。
青海苔を歯に付着させたまま、意中の男性に会います。
男性はあなたの歯に付いた青海苔に気付き、笑いながら指摘することでしょう。
そこであなたは、「えー本当? 恥ずかしい」と頬を赤らめてから、
「じゃあ、とって」
と言って目を閉じましょう。
もう、間違いありません。彼はキスをしてくれるはずです。
そしてキスのついでに舌で青海苔も取ってくれます。いきなり大人のキスです。
良かったね。
なに、この話?
では本題。
まだしつこく富野が選んだ邦画・洋画トップ10の続き。今度は洋画。
タイトルはこちらを参照を。
何と言ってもぼくが意外だったのは、2番目に『勝手にしやがれ』を選んでいるところ。今まで富野がゴダールやヌーベルバーグの話をしていることを読み聞きした記憶がないので。
富野自身の作風も、ゴダールとは似ているところないし。
ぼくは『勝手にしやがれ』をはじめ『男と女のいる歩道』とか『カラビニエ』とか『軽蔑』とか、初期のゴダール作品しか見ていないけど、あの物語全体に漂う刹那的で退廃的な雰囲気は、富野の作風とはむしろ正反対な気がするんだがなあ。
ストーリーではなく、映像的な面に着目したのかな。
3位の『灰とダイヤモンド』については、このブログでもちょこっだけと触れております。ここ。
あともう1つ意外だったのは、『2001年宇宙の旅』。
あーもう疲れた。くだらない前書き長すぎた。明日に続く。
記事5回目。
まだしつこく富野が選んだ邦画・洋画トップ10の続き。今回でラストです。洋画。
前回の文章から続けてしまいます。
ベストテンで意外だったのは、『勝手にしやがれ』ともう1つ、『2001年宇宙の旅』。
『2001年宇宙の旅』はさあ、富野が批判的に話しているのは読んだことあるんだよね。
「出てくる宇宙船の内部は、汚れがなく綺麗だ。生活感が無い」みたいなことを言っていた。
記憶あやふやだけど、確かその続きで「スターウォーズは汚れている。生活感がある。やられたと思った」と言ってたはずなんだよなあ。
だから『2001年宇宙の旅』よりスターウォーズの方が好きだと思っていたんだけど。
ちなみにこのベストテンのコメントで、富野は次のようなことを書いております。以下、抜粋。
ぼくの年代ではチャップリンの作品をあげてみたいと思う部分がありながら、氏の作品は古典になってしまったし、エイゼンシュテインかと思っても、それもひいてしまう。インテリの重さが臭うのがサイレントであろう。
が「2001年」が上等に穏やかな映画かといえば違うのだが、それでも慨然的思考を映像に焼きつけられる作品ということであればこれを第一にあげてしまう。(以下略)
「慨然的思考」ってどういう意味だ? とは思うが、それは置いておこう。
まあ『2001年宇宙の旅』を選んだのは、こういう理由らしいです。イマイチ理解できないけど。
エイゼンシュテインについても触れているどけど、このアンケートの数年後に『映像の原則』なんて本を上梓する富野だったら、『戦艦ポチョムキン』なんかを入れてくれていた方が、すんなり得心できるんだがなあ。
以上、長々続けた「富野が選んだ邦画・洋画トップ10」でした。
と、上記の文章は1週間ほど前に書いたものなのですが、そのあと、富野が『2001年宇宙の旅』を褒めている講演内容を見つけちゃいました。
アツイです。
「お前らの作品は所詮コピーだ」――富野由悠季さん、プロ論を語る
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0810/31/news118_5.html
「だってここ50、60年で作られたSF映画の名作は『2001年宇宙の旅』でしょう」と言っています。
そうかあ。ぼくは断然、スターウォーズの方が好きなんだが。あ、エピソード4だけね。
グルメ・美食家として有名な、なんつったっけ? フランス人の昔の人。グルマンくん?
忘れた。グルマンくんでいいや。
グルマンくんが「今まで食べてきたものを言ってみたまえ。君がどんな人間か当てて見せよう」って名言を残しているでしょう。
同じように、「どんな人間か」までは分からないけれど、映画や漫画・小説でもベスト10を聞くと、その人がどのくらいの映画鑑賞量・読書量かは、透けて見えるよね。
例えベスト10の内容が、自分の好みとは全く違うラインナップであっても「俺の趣味とは合わないけど、この人たくさん本読んでいるなー」とか、逆に「こんな作品ばかり並べて、この人全く映画見ていないんだろうな。これでよく恥ずかしげも無くベスト10とか書いているな」とかあるでしょう?
で、えーと。
あれっ。話の入り方間違ったかな?
あの、朝日新聞の連載「おやじのせなか」に、富野が出たらしいんだけど。
公式サイトにいつまでもアップされない(富野とばされた?)ので、有名な富野系情報サイトでテキスト化されていたその記事を読んでいたら。
そのサイトに、富野がTOKYO FMのラジオ「Suntory Saturday Waiting Bar "AVANTI"」に出演した時の文字起こし記事があってね。
北海道在住のぼくは、もちろんTOKYO FMの番組は聞けなかったので、これは有り難いと思って読んだんだけど。
その番組で、富野は作家の福井晴敏さんとまた対談していて、その中で福井さんが(富野が実写映画への憧れを話す割には)映画見ていませんよね、って指摘していて。
で、富野も肯定しているんだよね。あっさりと。
ああ・やっぱりと、ぼくなんかは思ったんだけど。
ズバリ指摘したのは、たぶん福井さんが初めてじゃないかと。
ちなみに『キネマ旬報』1999年10月上旬号で、富野が選んだ邦画・洋画トップ10がこちら。
邦画
用心棒
おとうと(市川崑)
秋刀魚の味
七人の侍
浪速の恋の物語
風雲児
月はどっちに出ている
櫻の園
シコふんじゃった。
となりのトトロ
洋画
怒りの葡萄
勝手にしやがれ
灰とダイヤモンド
去年マリエンバートで
2001年宇宙の旅
ラストエンペラー
バベットの晩餐会
アマデウス
尼僧ヨアンナ
ピアノレッスン
ねー。好き嫌いは別にして、特に洋画は、後半ちょっと厳しいよねー。
何か、沢山ある候補の中から消去法で削って・削って・削って選んだんじゃなく、どれにしようコレかな、アレかなって探したのが透けて見えるというか。苦しんでいるのが分かるっていうか。
邦画にも『風雲児』っていう、いくらグーグルで探しても出てこない映画名があるし(これはミスなんじゃないかと、今でも思っている)。
それに溝口も成瀬も入っていないし、小津は『東京物語』が入っていなくて『秋刀魚の味』を入れているという。
いや、もちろん好みの問題なんだけど。『秋刀魚の味』はいい映画だけど。
えーとねー。この違和感をアニメに置き換えると、えーと。
前者の「溝口も成瀬も入っていない」ってのは、宮崎は入っているけど、富野も押井も入っていない感じ。
後者は、そーねー、アニメベスト10にガンダムもイデオンもキングゲイナーも入れていたら、「ああ・この人富野が好きなんだな」って納得できるけど、ガンダムもイデオンも入っていないのにキングゲイナーだけ入っていたら、うん?って思わない?
いや、キンゲはいいアニメだけど、ってなんか釈然としないでしょ? そんな感じ。
しかし、しかしですよ。
男子三日会わざれば刮目して見よ、ですよ。
まー実際は3日じゃなくて10年たっているけど、シャア専用ブログ@アクシズさんによる『オールタイム・ベスト 映画遺産200 「心に残る珠玉の映画10本」』の富野チョイスを読むと。
どうだ。富野が選んだ10本をミロ!
邦画
姿三四郎
無法松の一生
羅生門
カルメン故郷に帰る
西鶴一代女
東京物語
ゴジラ
異母兄弟
幕末太陽傳
おとうと
有りがたうさん(本文中に11本目として記述)
洋画
駅馬車
市民ケーン
エデンの東
禁断の惑星
勝手にしやがれ
ウエスト・サイド物語
2001年宇宙の旅
ブリット
バベットの晩餐会
エリザベス
どうですか。明らかに10年前のベスト10とは違う。
邦画なんて10本に絞りきれず、11本目を書いていて、しかもそれが清水宏だ!
10年前のベスト10では、川島雄三なんて出る気配さえない面子なのに、今回は『幕末太陽傳』が入っている(まあこの映画は、オールタイムベスト10の常連だけどね)。
さらに各作品についているコメントも、「隙のない名作とはこのことだろう。評論する気などはない。映画を目指す人は、時代をこえて観てほしい」(東京物語)、「これを観ないで映画を撮ることはやめて欲しい」(駅馬車)、「後半の物語は買えない」(ウエスト・サイド物語)など、的を射たものばかり。
まあ『ブリット』のコメント「イェーツにイエーイ!」ってダジャレは、アレだけれども。
こんなベスト10を選べる人なら、福井さんに「映画見てないですよね」って言われても、「そんなことないよ! 勉強している」って反論できそうだがなあ。
まあ富野は「福井はもっと映画を見ている」、あるいは「映画監督を目指す人間にしては見ていない」と思ったのかな。
でもこんな映画の視聴歴1つにしても、進歩している大人(おじいさん)って、ステキだね。
さて、お久し振りです。
なんか更新もしてないのに、来て頂いていた方、ありがとうございます。
またちょこっと更新します。
今後も読み応えのある内容を書くべく、作文に関しては天狗になって頑張ります。
今回は復活ということもあり、久々に富野の話です。
富野と映画。
あのー、富野作品を見ていて、特定の映画作品・映画監督の影響を感じたことがありますか?
ぼくはないんです。
インタビューでも、「ルーカスやスピルバーグがライバル」って言ってみたり、ハリウッドのCG多用メジャー作品を「エンターテインメントとしてなめてはいけない」みたいな発言をしているのは読んだことがある。
けど、じゃあ富野の好きな映画(監督)って何? と考えると、これだけ長い間富野ファンをやっているのに知らない! という事実に気付いたわけです。
例えば宮崎駿だったら、真っ先に黒澤明の名前が挙がるでしょう。
他にも、『荒野の決闘』の雲の流れ方に影響を受けたとか。
押井守だったら、あくまでぼくの勝手なイメージだけど、「タルコフスキー好きそう」とかね。
『スカイ・クロラ』なんか、途中まで、「トリュフォーやりたいのかなあ」と思って見てた。『隣の女』を連想したのは、ぼくだけではないはず。
では、富野は? うーん、なんだ?
そんな訳で、調べました。
『キネマ旬報』1999年10月上旬号・下旬号に、特集「140人の映画人が選んだ10本」が組まれております。
2回に分けて、洋画・邦画別の特集なのですが、この140人の中に富野も入っております。
調べればネット上でもこの情報は見つけられますが、2ちゃんねる経由のせいか、不正確です。
以下が、正確な情報。富野が選ぶ邦画・洋画トップ10。
邦画
用心棒
おとうと(市川崑)
秋刀魚の味
七人の侍
浪速の恋の物語
風雲児
月はどっちに出ている
櫻の園
シコふんじゃった。
となりのトトロ
洋画
怒りの葡萄
勝手にしやがれ
灰とダイヤモンド
去年マリエンバートで
2001年宇宙の旅
ラストエンペラー
バベットの晩餐会
アマデウス
尼僧ヨアンナ
ピアノレッスン
以上です。どうですか。
この話題は書きたいことがたくさんあります。続く。
記事2回目。
富野が選んだ邦画・洋画トップ10の続き。
まずは邦画から。リストはこちら。
大御所は、と見ると黒澤が2本、小津が1本入っていますが、溝口・成瀬は0本。
小津作品から、代表作といわれる『東京物語』ではなく『秋刀魚の味』をチョイスしているのは少し興味深いですね。
まあ『秋刀魚の味』も名作ですから、不思議ではないですが。
『月はどっちにでている』以降はわりと近年の映画で、まあそんなに意外なタイトルはありません。
『櫻の園』は勿論いい映画ですが、富野が見ているのを想像すると、ちょっとウフフって思いませんか? 思いませんかそうですか。
唯一選んでいるアニメが、トトロ。
初期の宮崎アニメじゃなくて、トトロかあ、とはちょっと思います。
自分の作風からは一番遠いからかな。
ちなみに富野はコメントの中で、
映画の面白さをペロリと観せつつ、映画を製作するにはこのようにパッケージにするのだよというセットの使い方のうまさを見せてくれているのが「用心棒]なのだ
(中略)
「おとうと」については、ヌーベルバーグが映画だと信じられていた時代に、手法こそそれらしく見せながらも、日本的文芸のフィーリングを嫌味なく観せてくれた作品ということで絶句した覚えがある。
と書いています。
富野がヌーベルバーグに言及しているのは、初めて読んだような気がする。
だから洋画で『勝手にしやがれ』を選んでいるのは意外な気がしました。
ちなみに富野の邦画ベスト10と、このアンケート全体の結果を照らし合わせると、
用心棒 18位
おとうと(市川崑) 49位
秋刀魚の味 82位
七人の侍 1位
月はどっちに出ている 21位
となりのトトロ 13位
となります。
ところで最後に疑問なんですが、富野が6番目に選んでいる『風雲児』って映画は、なんだ?
知らないし、調べても分からないんですが、知っている人がいたら、教えてくれると嬉しいです。
この話題はまだまだ続きます。
記事3回目。
さて、富野が選んだ洋画・邦画トップ10の3夜目です。
今回話題にしている『キネマ旬報』1999年10月上旬号・下旬号の特集「140人の映画人が選んだ10本」の邦画部門では、
なんとベスト10に、イデオンを選んでいる人が2人います。
1人は映画監督の小松隆志さん(『幸福な食卓』)。
アニメからカリオストロの城と共に、イデオンの接触篇/発動篇を選んでいます。
もう1人はディレクターの石井克人さん(『鮫肌男と桃尻女』『山のあなた徳市の恋』)です。
石井さんはアニメを3本も選んでいて、カリ城、エースをねらえ!、そしてイデオン(こちらは発動篇のみの表記)。
コメントの中では、
選んだ基準は観終わって「アンタはスゴイ!! すごくおもしろいです」て思った奴か、もしくは5回以上観てる奴です。
と書いている。その後はエースをねらえ!の出崎監督を「今世紀最高の映像作家は出崎氏だと言い切れる」とまで褒めております。
ちなみに、イデオンより知名度が高いはずのガンダムには、得票がありません。
確かアニメックの小牧さんだったと思いますが、「ガンダムはTV版、イデオンは映画版さえあればいい」みたいなことを書いていたはずですが、この結果を見ても、的確な意見ですね。
あと参考までに、トータルのベスト100までに入っているアニメ映画は、トトロ(13位)ともののけ姫(49位)の2本だけです。
またこれまで書いた以外に、名前が挙がっていたアニメは、ナウシカ、ルパン(78年)、ホルスの大冒険、ラピュタです。
このアンケートから約10年経ちますが、過去の(実写)名作邦画群に迫れるアニメ作品は、何本生まれたでしょうかね。
最近、ぼくは「名作」と評価されている過去の実写邦画を見ているのですが、なかなか壁は厚いです。
もちろんこんなブログを書くくらいですから、ぼくもアニメが好きなんですが。
記事4回目。
あのー、このブログを読んでいただいている数少ない(たぶん)女性のために、気になるアイツを落とす方法を開帳いたしましょう。恋のテクニックってやつ?
これはある程度、友達関係が築かれている男を狙っている時にのみ使用可能な技です。
ええと、その男と午後から会う約束があるとしましょう。
あなたはお昼ごはんに焼きそばとかお好み焼きとか、青海苔がついているものを食べます。
普通の女性だったら食後、歯に青海苔がくっ付いていないかチェックするでしょう。
それがいけません。
青海苔を歯に付着させたまま、意中の男性に会います。
男性はあなたの歯に付いた青海苔に気付き、笑いながら指摘することでしょう。
そこであなたは、「えー本当? 恥ずかしい」と頬を赤らめてから、
「じゃあ、とって」
と言って目を閉じましょう。
もう、間違いありません。彼はキスをしてくれるはずです。
そしてキスのついでに舌で青海苔も取ってくれます。いきなり大人のキスです。
良かったね。
なに、この話?
では本題。
まだしつこく富野が選んだ邦画・洋画トップ10の続き。今度は洋画。
タイトルはこちらを参照を。
何と言ってもぼくが意外だったのは、2番目に『勝手にしやがれ』を選んでいるところ。今まで富野がゴダールやヌーベルバーグの話をしていることを読み聞きした記憶がないので。
富野自身の作風も、ゴダールとは似ているところないし。
ぼくは『勝手にしやがれ』をはじめ『男と女のいる歩道』とか『カラビニエ』とか『軽蔑』とか、初期のゴダール作品しか見ていないけど、あの物語全体に漂う刹那的で退廃的な雰囲気は、富野の作風とはむしろ正反対な気がするんだがなあ。
ストーリーではなく、映像的な面に着目したのかな。
3位の『灰とダイヤモンド』については、このブログでもちょこっだけと触れております。ここ。
あともう1つ意外だったのは、『2001年宇宙の旅』。
あーもう疲れた。くだらない前書き長すぎた。明日に続く。
記事5回目。
まだしつこく富野が選んだ邦画・洋画トップ10の続き。今回でラストです。洋画。
前回の文章から続けてしまいます。
ベストテンで意外だったのは、『勝手にしやがれ』ともう1つ、『2001年宇宙の旅』。
『2001年宇宙の旅』はさあ、富野が批判的に話しているのは読んだことあるんだよね。
「出てくる宇宙船の内部は、汚れがなく綺麗だ。生活感が無い」みたいなことを言っていた。
記憶あやふやだけど、確かその続きで「スターウォーズは汚れている。生活感がある。やられたと思った」と言ってたはずなんだよなあ。
だから『2001年宇宙の旅』よりスターウォーズの方が好きだと思っていたんだけど。
ちなみにこのベストテンのコメントで、富野は次のようなことを書いております。以下、抜粋。
ぼくの年代ではチャップリンの作品をあげてみたいと思う部分がありながら、氏の作品は古典になってしまったし、エイゼンシュテインかと思っても、それもひいてしまう。インテリの重さが臭うのがサイレントであろう。
が「2001年」が上等に穏やかな映画かといえば違うのだが、それでも慨然的思考を映像に焼きつけられる作品ということであればこれを第一にあげてしまう。(以下略)
「慨然的思考」ってどういう意味だ? とは思うが、それは置いておこう。
まあ『2001年宇宙の旅』を選んだのは、こういう理由らしいです。イマイチ理解できないけど。
エイゼンシュテインについても触れているどけど、このアンケートの数年後に『映像の原則』なんて本を上梓する富野だったら、『戦艦ポチョムキン』なんかを入れてくれていた方が、すんなり得心できるんだがなあ。
以上、長々続けた「富野が選んだ邦画・洋画トップ10」でした。
と、上記の文章は1週間ほど前に書いたものなのですが、そのあと、富野が『2001年宇宙の旅』を褒めている講演内容を見つけちゃいました。
アツイです。
「お前らの作品は所詮コピーだ」――富野由悠季さん、プロ論を語る
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0810/31/news118_5.html
「だってここ50、60年で作られたSF映画の名作は『2001年宇宙の旅』でしょう」と言っています。
そうかあ。ぼくは断然、スターウォーズの方が好きなんだが。あ、エピソード4だけね。
グルメ・美食家として有名な、なんつったっけ? フランス人の昔の人。グルマンくん?
忘れた。グルマンくんでいいや。
グルマンくんが「今まで食べてきたものを言ってみたまえ。君がどんな人間か当てて見せよう」って名言を残しているでしょう。
同じように、「どんな人間か」までは分からないけれど、映画や漫画・小説でもベスト10を聞くと、その人がどのくらいの映画鑑賞量・読書量かは、透けて見えるよね。
例えベスト10の内容が、自分の好みとは全く違うラインナップであっても「俺の趣味とは合わないけど、この人たくさん本読んでいるなー」とか、逆に「こんな作品ばかり並べて、この人全く映画見ていないんだろうな。これでよく恥ずかしげも無くベスト10とか書いているな」とかあるでしょう?
で、えーと。
あれっ。話の入り方間違ったかな?
あの、朝日新聞の連載「おやじのせなか」に、富野が出たらしいんだけど。
公式サイトにいつまでもアップされない(富野とばされた?)ので、有名な富野系情報サイトでテキスト化されていたその記事を読んでいたら。
そのサイトに、富野がTOKYO FMのラジオ「Suntory Saturday Waiting Bar "AVANTI"」に出演した時の文字起こし記事があってね。
北海道在住のぼくは、もちろんTOKYO FMの番組は聞けなかったので、これは有り難いと思って読んだんだけど。
その番組で、富野は作家の福井晴敏さんとまた対談していて、その中で福井さんが(富野が実写映画への憧れを話す割には)映画見ていませんよね、って指摘していて。
で、富野も肯定しているんだよね。あっさりと。
ああ・やっぱりと、ぼくなんかは思ったんだけど。
ズバリ指摘したのは、たぶん福井さんが初めてじゃないかと。
ちなみに『キネマ旬報』1999年10月上旬号で、富野が選んだ邦画・洋画トップ10がこちら。
邦画
用心棒
おとうと(市川崑)
秋刀魚の味
七人の侍
浪速の恋の物語
風雲児
月はどっちに出ている
櫻の園
シコふんじゃった。
となりのトトロ
洋画
怒りの葡萄
勝手にしやがれ
灰とダイヤモンド
去年マリエンバートで
2001年宇宙の旅
ラストエンペラー
バベットの晩餐会
アマデウス
尼僧ヨアンナ
ピアノレッスン
ねー。好き嫌いは別にして、特に洋画は、後半ちょっと厳しいよねー。
何か、沢山ある候補の中から消去法で削って・削って・削って選んだんじゃなく、どれにしようコレかな、アレかなって探したのが透けて見えるというか。苦しんでいるのが分かるっていうか。
邦画にも『風雲児』っていう、いくらグーグルで探しても出てこない映画名があるし(これはミスなんじゃないかと、今でも思っている)。
それに溝口も成瀬も入っていないし、小津は『東京物語』が入っていなくて『秋刀魚の味』を入れているという。
いや、もちろん好みの問題なんだけど。『秋刀魚の味』はいい映画だけど。
えーとねー。この違和感をアニメに置き換えると、えーと。
前者の「溝口も成瀬も入っていない」ってのは、宮崎は入っているけど、富野も押井も入っていない感じ。
後者は、そーねー、アニメベスト10にガンダムもイデオンもキングゲイナーも入れていたら、「ああ・この人富野が好きなんだな」って納得できるけど、ガンダムもイデオンも入っていないのにキングゲイナーだけ入っていたら、うん?って思わない?
いや、キンゲはいいアニメだけど、ってなんか釈然としないでしょ? そんな感じ。
しかし、しかしですよ。
男子三日会わざれば刮目して見よ、ですよ。
まー実際は3日じゃなくて10年たっているけど、シャア専用ブログ@アクシズさんによる『オールタイム・ベスト 映画遺産200 「心に残る珠玉の映画10本」』の富野チョイスを読むと。
どうだ。富野が選んだ10本をミロ!
邦画
姿三四郎
無法松の一生
羅生門
カルメン故郷に帰る
西鶴一代女
東京物語
ゴジラ
異母兄弟
幕末太陽傳
おとうと
有りがたうさん(本文中に11本目として記述)
洋画
駅馬車
市民ケーン
エデンの東
禁断の惑星
勝手にしやがれ
ウエスト・サイド物語
2001年宇宙の旅
ブリット
バベットの晩餐会
エリザベス
どうですか。明らかに10年前のベスト10とは違う。
邦画なんて10本に絞りきれず、11本目を書いていて、しかもそれが清水宏だ!
10年前のベスト10では、川島雄三なんて出る気配さえない面子なのに、今回は『幕末太陽傳』が入っている(まあこの映画は、オールタイムベスト10の常連だけどね)。
さらに各作品についているコメントも、「隙のない名作とはこのことだろう。評論する気などはない。映画を目指す人は、時代をこえて観てほしい」(東京物語)、「これを観ないで映画を撮ることはやめて欲しい」(駅馬車)、「後半の物語は買えない」(ウエスト・サイド物語)など、的を射たものばかり。
まあ『ブリット』のコメント「イェーツにイエーイ!」ってダジャレは、アレだけれども。
こんなベスト10を選べる人なら、福井さんに「映画見てないですよね」って言われても、「そんなことないよ! 勉強している」って反論できそうだがなあ。
まあ富野は「福井はもっと映画を見ている」、あるいは「映画監督を目指す人間にしては見ていない」と思ったのかな。
でもこんな映画の視聴歴1つにしても、進歩している大人(おじいさん)って、ステキだね。
たしか30年前に御大はフェリー二の「青春群像」に影響を受けたと言っていました。おかげで私はフェリーニを少しだけ見るようになったんですが、これは入っていないのね。
by masa murayama (2011-07-10 15:32)
masa murayamaさん、コメントありがとうございます。
>たしか30年前に御大はフェリー二の「青春群像」に影響を受けたと言っていました。
そうなんですか。初めて知りました。
富野が『青春群像』に影響を受けたとは、意外な感じがします。ぼくが『青春群像』を見たのは確か高校生の時=20年ほど前なので、内容はほぼ覚えておらず、友人同士で道を並んで歩くラストシーン(街を出ていくんだっけ?)だけ記憶に残っています。
主人公の閉塞感とかダメさ加減がぼくにはピッタリあって、「いい映画だなあ」とは思ったんですが(フェリーニにしては分かりやすいし)、富野はどういうところで影響を受けたんでしょうね。
富野本人の作風とは大分違う映画だと思うので、どこら辺に影響を受けたのか興味がありますね。
by 坂井哲也 (2011-07-10 17:41)
ガンダム放映時のアニメックか何かのインタビュー記事だとおもうんですが、ガンダムでの群像劇の作り方は「青春群像」にも影響を受けえいるかなあ、というような話でしたよ。
あのころの雑誌は捨ててしまったので今となっては確認のしようがありません。
by masa murayama (2011-07-10 18:34)
masa murayamaさん、お返事ありがとうございました。
ガンダムが影響を受けているんですね。思いもしませんでした。参考になるコメントありがとうございました。
by 坂井哲也 (2011-07-11 22:33)